不倫の示談書の書き方と自分で作成する際の注意点【テンプレート付】

  • 最終更新日: 2024.11.6

不倫慰謝料請求を裁判ではなく、当事者間の話し合いで解決する場合には、示談書を作成するのが一般的です。

示談書には、慰謝料額やその支払い方法だけでなく、今後の接触を禁止する旨など当事者間で決めた合意内容を記載できます。つまり、不倫トラブルのスムーズな解決には、交渉だけでなく、示談書の作成が重要だと言えるでしょう。

せっかく交渉がまとまっても、示談書がきちんと作成されていないと、約束がしっかりと守られない可能性があります。示談書の不備は、「言った。」「言っていない。」とトラブルが生じる原因になることもあります。

この記事では、法的に不備のない示談書を書くために知っておいてほしいことについて解説しています。

不倫慰謝料請求の示談書を作成する際に使えるテンプレートも記載していますので、示談書を作成する際の参考にしてください。

目次

不倫の示談書とは

示談書とは、当事者間で合意した内容を記載した書面です。

示談とは、裁判をせずに当事者間の話し合いでトラブルを解決することです。

示談書を作成する目的は、当事者間で合意した内容を記録するため・合意したことを客観的に証明するためです。

不倫の示談書は必ず作成すべき?

不倫の示談書は必ず作成しなければいけないわけではありません。

口約束だけでも示談は成立します。
しかし、口約束だけで示談を成立させてしまうと、後日「そんなことは約束していない!」と相手に言われる可能性があります。この場合、約束したことを証明しようにも、口約束だけでは何も証明できません。
約束そのものは否定されなくても、慰謝料の支払期日や支払方法などの細かい部分で認識の違いが生じる可能性もあるでしょう。

したがって、示談をする場合には、示談書を作成することをおすすめします。

不倫の示談書を作成する5つのメリット

不倫の示談書を作成するメリットは、次の5つです。

示談後のトラブルを防げる

1つめは、示談後のトラブルを防げる点です。

示談書が存在することで、当事者間で合意したことを客観的に証明できます。「言った。」「言っていない。」といったトラブルを防げるでしょう。

故意ではなくても、細かい約束を忘れてしまう可能性は十分にあります。例えば、支払期日は15日か、25日か、支払いの手数料はどちらが負担するのかなどは忘れてしまいがちです。

示談書を作成することで、慰謝料額のほか、支払期日や支払方法などの細かい合意内容の認識違いも回避できるでしょう。

約束が守られる可能性が高くなる

2つめは、約束が守られる可能性が高くなる点です。

口約束よりも書面が手元にあることは、相手にとって大きなプレッシャーになるでしょう。
あなた自身も、口頭で「支払ってください。」「支払います。」とやり取りするのと、書面で契約書や支払通知書が手元にあるのとでは、感じる重大さも異なることと思います。

示談書を作成することで、約束が守られる可能性は高くなるでしょう。

裁判の証拠として使える

3つめは、裁判の証拠として使える点です。

示談書に記載した慰謝料が支払われなかった場合には、原則、慰謝料請求訴訟を起こす必要があります。
では、示談書があることによって、慰謝料を支払う約束をしたことだけでなく、相手が不貞の事実を認めていることが証明できるでしょう。

示談書の存在が、裁判であなたに有利に働く可能性は高いでしょう。

離婚する際に不倫の事実を証明できる

4つめは、離婚する際に不倫の事実を証明できる点です。

示談書を作成する時点では離婚を考えていなくても、将来離婚を考えた時に、示談書があることでスムーズに離婚できる可能性が高くなります。
配偶者に不貞行為があったことは、法律上離婚が認められる理由のひとつに該当します(法定離婚事由)。配偶者に不貞行為があった場合には、配偶者が離婚に応じなくても、裁判で離婚が認められる可能性が高いです。

将来離婚したいと思った時に、配偶者に不倫の事実を否定されてしまったら、不倫の事実を証明するのはなかなか難しいでしょう。
示談書があることで、離婚をスムーズに進められる可能性が高くなるでしょう。

不倫の再発防止になる

5つめは、不倫の再発防止になる点です。

不倫相手と示談書を作成する際には、接触を禁止する文言合意内容に違反した場合の違約金を定めることが一般的です。

約束を守らなかった場合のペナルティを定めておくことで、不倫の再発防止に繋がるでしょう。

不倫の示談書の簡単な書き方!|記載すべき9つの事項

不倫の示談書を作成するうえで記載すべき事項は、次の9つです。

  • お互いが合意した旨
  • 不貞行為の事実
  • 慰謝料に関する事項
  • 慰謝料以外の誓約事項
  • 示談内容に違反した場合の罰則
  • 求償権放棄
  • 守秘義務
  • 清算条項
  • 示談成立日・当事者双方の住所・署名押印

以下、詳しく見ていきましょう。

当事者の表記については次のとおりです。
・慰謝料を請求する側(あなた):甲
・慰謝料を請求される側(不倫相手):乙
・あなたの配偶者:丙

①お互いが合意した旨

示談書の冒頭には、示談書に記載されている事項についてお互いが合意した旨を記載します。

(お互いが合意した旨)
甲と乙は、乙と丙の間の不貞行為に関して、本日以下のとおり合意した。

②不貞行為の事実

配偶者と不倫相手との間にあった不貞行為の事実について記載します。

記載する内容は、次のような事項も含めてできるだけ具体的に記載しましょう。

  • 不貞行為をした相手
  • 不貞行為をした日時(交際期間)
  • 不貞行為をした場所

もっとも、一度限りの関係でない限り、場所や回数などを正確に把握・記載することが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、不貞行為の期間・相手方・おおよその回数等を示しておくと良いでしょう。

この条項には、謝罪文言を付け加えることもあります。

【不貞行為の事実のみのパターン】
(不貞行為の事実)

乙は、甲に対し、20○○年〇月ころから20○○年〇月ころまでの間、継続して、乙の自宅やホテルAにおいて、丙と少なくとも〇回程度の不貞行為があったことを認める。

【不貞行為の事実と謝罪のパターン】
(不貞行為の事実)
乙は、甲に対し、20○○年〇月ころから20○○年〇月ころまでの間、継続して、乙の自宅やホテルAにおいて、丙と少なくとも〇回程度の不貞行為があったことを認めるとともに、これについて深く謝罪する。

③慰謝料に関する事項

慰謝料に関する事項について記載する内容は次のとおりです。

  • 慰謝料の金額
  • 支払期日
  • 支払い方法(現金手渡し・振込送金、一括払い・分割払い等)
  • 口座番号(銀行振込の場合)
  • 支払いに必要な手数料の負担(銀行振込の場合)

【振込送金・一括払いの場合】
(慰謝料)
乙は、甲に対し、慰謝料○○○万円の支払い義務があることを認める。
(支払い方法)

乙は、甲に対し、前条の慰謝料につき、令和〇年〇月〇日限り、甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
(振込先口座)
○○銀行○○支店
口座番号 ○○○○○○ 普通預金 口座名義 ○○○○

【振込送金・分割払いの場合】
(慰謝料)
乙は、甲に対し、慰謝料○○○万円の支払い義務があることを認める。
(支払い方法)
乙は、甲に対し、前条の慰謝料につき、次のとおり分割して、毎月〇日限り、甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。

令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで○○万円ずつ
(振込先口座)
○○銀行○○支店
口座番号 ○○○○○○ 普通預金 口座名義 ○○○○

④慰謝料以外の誓約事項

慰謝料の支払い以外にも、次のような誓約事項を記載することがあります。

  • 配偶者との接触を禁止する旨
  • SNSでの書き込みを禁止する旨
  • 自宅や職場に来ることを禁止する旨 など

(慰謝料以外の誓約)
乙は、丙との交際を解消し、今後いかなる理由があろうと、丙と電話やメール、SNS等の手段を用いて連絡や接触を一切しないことを約束する。

(慰謝料以外の誓約)
乙は、甲に対し、次に掲げる行為を行わないことを約束する。
⑴ 甲の自宅や職場に訪問すること
⑵ SNS上に本件に関する書き込みをすること など

⑤示談内容に違反した場合の罰則

示談内容に違反した場合の罰則を定めておくことで、違反行為の防止になるだけでなく、万一違反行為があった場合には、すみやかに違約金が請求できるというメリットがあります。

示談内容に違反した場合の罰則には、次のようなものがあります。

  • 約束に違反した場合の違約金
  • (分割払いの場合)支払いを怠った場合の一括請求

【約束に違反した場合の違約金】
(示談内容に違反した場合の罰則)

乙がこの示談書に記載した内容に違反した場合には、乙は、甲に対し、その違約金として1回の違反行為につき各○○円を支払う。

【分割払いの支払いを怠った場合の一括請求】
(示談内容に違反した場合の罰則)

乙が本示談書に定める分割金の支払いを怠った場合には、当然に期限の利益を失う。

⑥求償権放棄

配偶者と離婚せず不倫相手にのみ慰謝料請求する場合は、求償権放棄の条項を記載することが多いです。

そもそも配偶者と不倫相手は共同で不貞慰謝料の支払い義務を負っています

不倫相手にのみ慰謝料請求をした場合には、不倫相手は慰謝料をあなたに全額支払った後で、配偶者に対して、配偶者が負担すべき部分にあたる慰謝料の一部を請求できます。この権利が、求償権です。

求償権について、詳しくは「図でわかる!不貞慰謝料の求償権とは?知っておくべきポイントを解説 」の記事をご参照ください。

夫婦が離婚する場合には、不倫相手による求償権行使が問題になることはあまりないでしょう。
あなたが不倫相手から慰謝料全額をもらった後で、不倫相手が離婚した元配偶者に求償権を行使しても、あなたには何らの影響もないからです。

しかし、配偶者と離婚せず家計が一緒のままの場合、せっかく慰謝料を獲得できても、不倫相手に求償権を行使されてしまったら、配偶者がお金を支払わなければいけません。つまり、家計からお金が出ていくことになります。

求償権が行使されることで、獲得できた慰謝料が実質減るだけでなく、手続きも二度手間になってしまいます。これを避けるためには、示談交渉の段階で、不倫相手に求償権を放棄するように求めて話し合いをすることが大切です。

不倫相手が求償権を放棄することに同意した場合には、示談書に必ず求償権を放棄する旨の条項を盛り込みましょう。

(求償権放棄の条項)
乙は、丙に対する、本件不貞行為に基づく求償権を放棄する。

⑦口外禁止条項

口外禁止条項とは、不倫の内容や解決に至る経緯などを第三者に口外しないことを約束する条項です。

お互いのプライバシーを守るためにも記載することが多いです。

(口外禁止条項)
甲及び乙は、本契約書の内容について、第三者に対し一切口外しないことを約束する。

⑧清算条項

清算条項とは、示談書で定めた条項以外に、当事者間に一切の権利義務関係がないことを確認する条項です。

つまり、示談書作成後に、示談書に記載のない金銭の請求やそのほかの請求行為はしないということです。

清算条項を入れることで、お互いにこれ以上何らかの請求がなされることを防げます。

(清算条項)
甲及び乙は、甲と乙の間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

⑨示談成立日・当事者双方の住所・署名押印

示談書の最後の欄に、示談の成立日・当事者双方の住所を記載し、署名押印します。

令和〇年〇月〇日
(甲)   住所・氏名 ㊞
(乙)   住所・氏名 ㊞

自分で作成!|不倫の示談書のテンプレート

不倫慰謝料請求用の示談書のテンプレートです。
示談書を作成する際は、ぜひ参考にしてください。

不倫の示談書作成の流れ

不倫の示談書を作成する流れは、以下のとおりです。

①示談交渉を行う

まずは、相手に配偶者との不貞関係に関して慰謝料を請求することを伝えます。

相手が不貞行為をしたことを認め、慰謝料を支払う意思があることを確認してから、慰謝料の金額や支払方法の合意に向けて話し合いを進めていきます。

話し合いがなかなかまとまらない場合や、相手が頑なに不貞の事実を認めない場合には、弁護士への相談を検討するか、訴訟提起を検討することになります。

②交渉がまとまったら示談内容(合意内容)を確認する

交渉がまとまったら示談内容(合意内容)を確認しましょう。

ここで、お互いに納得にいく内容になっているかしっかりと確かめましょう。
相手に強引に合意させるような行動はしないように心がけましょう。

お互いに問題がなければ、示談書を作成します。
なお、示談書は当事者の人数分を作成しましょう。

③内容に問題なければ示談書に署名押印する

作成した示談書の内容に問題がなければ、作成日を記入し、お互いに署名押印をします。

署名押印のある示談書は、原則変更できません。
署名押印の前に、示談書の記載内容に誤りがないか入念に確認しましょう。

不倫相手と直接顔を合わせたくない場合には、郵送でやり取りする方法もあります。この場合には、示談書を不倫相手に郵送で送り、署名押印したものを返送してもらう形をとることが一般的です。

お互いの署名押印が揃ったら、再度完成した示談書を不倫相手に郵送します。

④各自で保管する

署名押印した示談書は、当事者が各自に保管します。

相手が示談書の内容を守らない場合もありますから、大切に保管しておきましょう。

不倫の示談書を自分で作成する際の6つの注意点

示談書を自分で作成する際の注意点は、主に以下の6つです。

お互いの意思確認をしっかりと行う

お互いの意思確認をしっかりと行いましょう。

示談書には、当事者双方が合意した内容を記載します。

不倫をされた側は怒りのあまり、強気な態度で交渉してしまうこともあるでしょう。しかし、感情的になってしまい、相手に無理に示談を迫ってしまうと、後日、「こんな約束はしていない。」「脅されて仕方なく署名押印した。」と主張されてしまう可能性もあります。

このような場合には、紛争が蒸し返されてしまうことにもなるでしょう。
示談書を作成する際には、お互いが記載内容に合意しているかをしっかりと確認しましょう。

明確かつ簡潔に記載する

明確かつ簡潔に記載しましょう。

示談書の内容は、誰が読んでもひとつの解釈しかできないことが大切です。

二通りの解釈ができてしまうようなあいまいな表現を用いてしまうと、後日その解釈を巡るトラブルが生じたり、場合によっては示談書が無効になったりする可能性があります。

示談書の作成に慣れていない人は、話し合った内容すべてを盛り込んでおけば安心だと考えて、示談書の内容が長くなりがちです。しかし、必要のないことまで記載してしまうと重要な部分が不明確になってしまいます。

示談書の内容は、明確かつ簡潔な記載を心がけましょう。

テンプレートをそのまま使わない

テンプレートをそのまま使わないようにしましょう。

ネットを検索すると、不倫慰謝料に関する示談書のテンプレートを見つけられるでしょう。
それらを参考にすることは問題ありませんが、前提の事実(不倫の状況等)や示談の条件は個々のケースで異なります。

したがって、テンプレートを参考にしながら、ご自身の事情や条件を加味して、適宜修正・加筆して示談書を作成しましょう。

示談書の作成を相手に任せっきりにしない

示談書の作成を相手に任せっきりにしないようにしましょう。

示談書は当事者のどちら側が作成しても構いません。
一般的に、一方当事者がおおまかなたたき台を作成し、それをもとに当事者双方で話し合いながら、適宜修正・加筆していくという方法を取ります。

自ら進んで示談書の作成をした方が、自分に有利な条項を盛り込みやすいというメリットがあります。
示談書の作成は手間もかかりますが、事前にインターネットなどで下調べをし、積極的に示談書作成に携わることで、あなたにとって有利な解決ができる可能性は高くなるでしょう。

相場からかけ離れた慰謝料額を設定しない

相場からかけ離れた慰謝料額を設定しないようにしましょう。

相場からかけ離れた慰謝料で合意した場合、後日何かと理由を付けて示談書の無効や取り消しを主張される可能性が高くなります。法外な慰謝料を設定した場合には、公序良俗に反するとして無効になる可能性もあります。

不倫慰謝料の相場は、夫婦の離婚の有無で次のように分けられます。

  • 夫婦が離婚しない場合は50〜100万円程度
  • 不貞行為が原因で夫婦が別居した場合は150〜200万円程度
  • 不貞行為が原因で夫婦が離婚した場合は200〜300万円程度

したがって、相場からかけ離れた慰謝料額を設定しないようにしましょう。

自由な意思で判断できる環境を整える

自由な意思で判断できる環境を整えましょう。

有効な示談書を作成するためには、当事者双方が自由な意思で行う必要があります。
例えば、閉鎖された空間かつあなたの知人を何人も引き連れて示談書を作成したケースや、相手の職場に押しかけて示談書に署名押印を迫ったケースでは相手の意思が抑圧されていたと判断される可能性が高いでしょう。

お互いに自由な意思で判断できる環境で作成するようにしましょう。

不倫の示談書を作成したのに相手が支払わない!どうすればよい?

しっかりと話し合ったうえで示談書を作成したのにもかかわらず、慰謝料が支払われないというケースも少なくありません。

慰謝料が支払われない場合には、次の3つの方法を取りましょう。

  • 相手に支払いの催促をする
  • 弁護士に相談する
  • 裁判所に慰謝料請求訴訟を提起する

以下、詳しく見ていきましょう。

相手に支払いの催促をする

まずは、相手に支払いの催促をしましょう。

催促の方法は、電話やメール、LINEなど、どの方法でも構いません。
電話やメール、LINEをしたにもかかわらず、無視された場合には、内容証明郵便を送るのもひとつの方法です。内容証明郵便には、いつ・誰に対して・どのような内容の書面を送ったかを日本郵便株式会社が証明してくれるという特徴があります。

内容証明郵便を送ることで、相手にプレッシャーを与えられるでしょう。

弁護士に相談する

相手から何らの返答も来ない場合には、一度弁護士に相談してみるのもひとつの方法です。

弁護士に依頼して、内容証明郵便を再度弁護士名義で送る方法もあります。

弁護士名義で送ることで、相手が何らかのアクションを起こしてくる可能性は高くなります。

裁判所に慰謝料請求訴訟を提起する

最終的には、裁判所に慰謝料請求訴訟を提起する必要があります。

「示談書まで作成したのに裁判する必要があるの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、相手が任意に支払わない場合、示談書があるからといって強制的には支払わせられません。つまり、示談書だけでは差押えの手続きを取れません。差押えの手続きを取るためには、裁判で勝訴判決を獲得する必要があります。

それなら、「示談せずにはじめから裁判をすればよいのか?」と疑問を抱くことと思います。
示談の際に、示談書ではなく強制執行認諾文言付公正証書を作成しておくことで、裁判をしなくても差押えの手続きを取れるようになります。

次章で、詳しく見ていきましょう。

不倫の示談書は公正証書がおすすめ!

不倫慰謝料請求の示談書を作成する場合には、公正証書がおすすすめです。

相手が慰謝料を支払わなかった際に、スムーズに差押えの手続きに移行できます。

公正証書とは

公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成し、その記載内容を証明する公文書です。高い証明力があるとされています。

公証人は、法務大臣から任命され、法律の知識に富んだ人物です。

公正証書は、各自治体に設置されている公証役場で作成してもらえます。

公正証書のメリット

強制執行認諾文言付公正証書を作成することで、相手が慰謝料を支払わなかった場合であっても、裁判所の訴訟手続きを経ずに給与や預金などの差押え手続きが取れます。

示談書の場合には、相手が慰謝料を支払わなかった場合、裁判所で慰謝料請求訴訟を起こし勝訴判決を得る必要があります。
しかし、強制執行認諾文言付公正証書は、勝訴判決と同様に債務名義(強制執行を行う際に必要となる文書)に該当します。

強制執行認諾文言付公正証書を作成しておくと、相手が慰謝料を支払わなかった場合に、スムーズに差押えの手続きに移行できるでしょう。
なお、公正証書に強制執行認諾文言を付けるには相手の同意が必要になります。

公正証書のデメリット

公正証書の作成には時間と費用がかかります。

公正証書を作成するには、原則当事者双方が公証役場に出向く必要があります。事前に、公証役場に電話で予約を取り、必要な書類等を準備する必要もあり、示談書を作成する場合よりも手間がかかるでしょう。

公正証書の作成には、一定の手数料がかかります。
公正証書の作成に必要な手数料は、下表のとおりです。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1000万円以下 17,000円

したがって、公正証書を作成するメリットデメリットを比較したうえで、公正証書を作成するか検討しましょう。

不倫の示談書の作成を弁護士に依頼する2つのメリット

示談書の作成を弁護士に依頼するメリットは、主に次の2つです。

  • 法的に不備のない示談書を作成してもらえる
  • 感情的なぶつかり合いを避けられる

以下、詳しく見ていきましょう。

法的に不備のない示談書を作成してもらえる

1つめは、法的に不備のない示談書を作成してもらえる点です。

法律に詳しくない人が法的に不備のない示談書を作成するのは簡単ではありません。

法律に抵触する内容があれば、無効になる可能性もあります。曖昧な表現を用いたことで、当事者間に解釈の違いが生じる可能性もあるでしょう。
後日、こうした示談書の不備が発覚した場合には、さらなるトラブルに発展してしまいます。

弁護士に依頼することで、こういったトラブルを回避できるでしょう。

感情的なぶつかり合いを避けられる

2つめは、感情的なぶつかり合いを避けられる点です。

当事者同士で交渉をすると、冷静に話し合うことはなかなか難しいでしょう。感情的になるあまり、話し合いが思うように進まないことも多くあります。

あなた自身、不倫相手に対する怒りの感情は少なからず抱いていることでしょう。感情的なぶつかりが激しくなることで、交渉の余地がなくなってしまうと、裁判で決着をつけることになります。裁判となると、時間と費用がかかるだけでなく、精神的な負担も大きくなってしまいます。

弁護士が介入することで、冷静な交渉ができるでしょう。

不倫の示談書に関するよくある質問5選

示談書に関するよくある質問について、回答しています。

示談書は自分で作成できる?

示談書は自分で作成できます。

ただし、公序良俗に反する内容などがある場合には、無効になる可能性もあります。

自分で作成してみたけれど法的に不備がないか不安な場合には、示談交渉の依頼も合わせて弁護士に相談してみましょう。

示談書の作成費用はどちらが負担する?

示談書の作成費用はどちらが負担しても構いません。

当事者間で話し合ったうえで決めることになります。不倫をした側に負担させたいという考え方もありますし、相手が費用負担に応じてくれる場合にはそのような形でもよいでしょう。

示談を速やかに成立させて、はやくトラブルから解放されたいと考えているのであれば、ご自身で負担するのもひとつの方法でしょう。

示談書の内容を修正できる?

示談書の内容は、原則修正できません。

ただし、当事者双方が修正することに合意している場合には、修正ができます。

示談書を後から修正するとなると、当事者間の合意が必要になるだけでなく、示談書の修正もする必要があります。修正した後に、やっぱり前の内容に戻したいといったことにもなりかねません。

示談書を作成する際には、修正をすることがないように、しっかりと話し合いを行いましょう。

示談書が無効になる場合はある?

示談書が無効になる場合もあります。

示談書が無効や取り消しになるケースとしては、主に次の5つが挙げられます。

  • 相手が念書の無効に合意した場合
  • 公序良俗に反した内容の場合
  • 法律の強行規定に反した内容の場合
  • 詐欺や脅迫によって合意した場合
  • 示談の前提となる事項に錯誤があった場合

示談書に無効や取り消しの原因となる記載事項があると、せっかく合意ができたのにもかかわらず、再度の紛争が生じるおそれがあります。

ご自身で作成する場合には、あらかじめ示談書が無効や取り消しになり得る事項について調べておくことをおすすめします。

示談書が無効になる場合について、詳しくは「不倫の示談書が無効になる場合はある?示談書作成の6つの注意点」の記事をご参照ください。

示談書の住所に間違いがあったらどうなる?

示談書の住所に間違いがあっても、原則示談書としては有効です。

示談書に住所を記載する目的としては、①当事者を特定するためと②作成した示談書を送付するためです。

示談書の内容に影響するものではありませんから、示談書としては有効です。

まとめ

当事者間の交渉がまとまったら、必ず示談書を作成しましょう。
不倫トラブルの解決には、当事者間の交渉だけでなく、法的に不備のない示談書の作成が重要です。

示談書に法的な不備や曖昧な表現があると、示談書が無効になることも少なくありません。そうなった場合には、さらなるトラブルを招いてしまうことにもなります。
示談書の作成に向けて、基本的な知識を身に付けておくようにしましょう。

示談書の作成に不安がある場合には、示談交渉を含めて弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼することで、法的に不備のない示談書を作成してもらえるだけでなく、あなたに有利な解決ができるよう交渉してくれるでしょう。

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