不貞慰謝料の請求書の書き方|記載すべき項目と押さえるべきポイント

  • 最終更新日: 2024.11.20

配偶者の不倫が発覚したあなたは、不倫相手に対して慰謝料を請求したいが、どのような書面を作成すればいいかわからず悩んでいませんか?

この記事では、不貞慰謝料の請求書の書き方や、内容証明のテンプレートを紹介します。

不貞慰謝料の請求書には、記載すべき項目や押さえておくべきポイントがあります。慰謝料請求をスムーズに進めるためにも、作成前にぜひご一読ください。

不貞慰謝料の請求書の書き方|①記載すべき9つの項目

不貞慰謝料の請求書に記載すべき主な項目として、以下の9つが挙げられます。

  • 不貞行為の事実
  • 不貞行為によって精神的苦痛を受けたこと
  • 不貞行為が不法行為に該当すること
  • 請求する慰謝料の金額
  • 振込期限・振込口座
  • 要求に従わなかった場合の措置
  • 請求書を作成した日付
  • 作成者(請求者)の氏名・住所
  • 相手方(被請求者)の氏名・住所

以下で詳述します。

不貞行為の事実

不貞慰謝料の請求書には、不貞行為の事実を記載しましょう。

誰が・誰と・いつ・どのくらい不貞行為をしたのか、端的に記載することをお勧めします。

なお、請求書には不倫ではなく不貞行為と記載しましょう。

(記載例)
貴殿は、〇〇○○(以下、「請求者」といいます。)の夫である○○○○が既婚者であることを知りながら、令和○年○月から令和○年○月頃までの間、複数回にわたり不貞行為を行いました。

不貞行為によって精神的苦痛を受けたこと

不貞慰謝料の請求書には、不貞行為によって精神的苦痛を受けたことを記載しましょう。

不貞慰謝料は、不貞行為によって受けた精神的苦痛を慰謝するために、当事者に請求するお金です。そのため、あなたが受けた精神的苦痛の大きさによって、認められる慰謝料の金額が変動します。

精神的苦痛の大きさは客観的に測れないため、具体的な事実や事情を記載することをお勧めします。

例えば、以下のような事実や事情を記載すると良いでしょう。

  • 配偶者の不倫によって心身に不調をきたして通院や服薬をしている
  • 不貞行為が原因で別居している
  • 不倫相手が配偶者に対して執拗にアプローチしていた

(記載例)
貴殿の不貞行為により、請求者は多大なる精神的苦痛を受け、精神的に不安定となり、精神科を受診したところ、不貞を原因としたうつ病と診断され通院しております。

不貞行為が不法行為に該当すること

不貞慰謝料の請求書には、不貞行為が不法行為に該当することを記載しましょう。

慰謝料を請求できる法的根拠があることを、相手に伝えるためです。

不貞行為とは配偶者以外の異性と自由意思に基づいて性的な関係を持つことをいい、民法上の不法行為に該当します。
不貞行為によって平穏な夫婦生活を送る権利を侵害されたといえる場合は、あなたが受けた精神的苦痛について、当事者である不倫相手はその損害を賠償する責任を負います(民法709条、710条)。

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

引用:民法/e-Gov法令検索

なお、不貞行為にはセックスだけでなく、裸で抱き合う、オーラルセックスなどの性交類似行為も含まれます。

請求の根拠を明確に示すことで、不倫相手が自分に責任があることを認めやすくなるでしょう。

(記載例)
本件不貞行為は不法行為に該当しますので、貴殿は請求者が受けた精神的苦痛について、その損害を賠償する責任を負います。

請求する慰謝料の金額

不貞慰謝料の請求書には、請求する慰謝料の金額を記載しましょう。

慰謝料としていくら請求するのか、具体的な金額を記載する必要があるためです。

慰謝料の金額は、法律で定められているわけではありません。不法行為によって損害を受けたあなたが、自由に決められます。

一般的に不貞慰謝料の相場は50300万円程度といわれています。不貞の悪質度や夫婦の離婚・別居の有無、不貞による妊娠の有無など、さまざまな事情が総合的に考慮されるため、高額な慰謝料が認められた裁判例もあります。しかし、相場からあまりにかけ離れた高額な慰謝料を請求しても、相手に支払い能力がなければ支払ってもらえない可能性が高いでしょう。

慰謝料の金額は、相場を参考にして決めることをお勧めします。

(記載例)
つきましては、貴殿に対し、慰謝料として金200万円を請求いたします。

不貞慰謝料の相場について、詳しくは「不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例」をご参照ください。

振込期限・振込口座

不貞慰謝料の請求書には、振込期限・振込口座を記載しましょう。

振込期限を記載しても法的効力は発生しませんが、手続きを進める目安となります。一般的に、10日2週間程度の期限が設けられていることが多いです。

支払い方法として振込口座を記載しておけば、不倫相手とのやり取りを減らせます。
銀行振込で受けとれば、いつ・いくらの支払いがあったかがわかる取引履歴も残せるため、トラブルも防ぎやすくなります。振込手数料は不倫相手の負担とする旨も記載しておくのも良いでしょう。

(記載例)
本請求書到着後2週間以内に、下記口座に振り込む方法によりお支払いください。
○○銀行○○支店
普通口座 口座番号○○○○○○○
口座名義人 ○○ ○○

振込口座を記載することに抵抗がある場合は現金を直接受け取る方法もありますが、銀行振込のように取引履歴が残らないため、領収書を発行することをお勧めします。

要求に従わなかった場合の措置

不貞慰謝料の請求書には要求に従わなかった場合の措置を記載しましょう。

要求に従わない、誠意ある対応がみられない場合に予定している措置を記載すれば、あなたが本気で請求していることが不倫相手に伝わり、心理的なプレッシャーをかけられます。

期限までに支払いがない場合は、訴訟提起等の法的措置を講じる旨を記載することをお勧めします。

(記載例)
なお、期間内に慰謝料の支払いが確認できない場合は、訴訟提起等の法的措置を講ずることにいたしますので、ご承知おきください。

請求書を作成した日付

不貞慰謝料の請求書には、請求書を作成した日付を記載しましょう。

作成した日付がなければ、いつ請求したのか客観的に判断できません。

日付を記載することで、どの請求書に対して交渉するのかもお互いに判別しやすくなります。

作成者(請求者)の氏名・住所

不貞慰謝料の請求書には、作成者(請求者)の氏名・住所を記載しましょう。

誰が請求しているのか明確にするためです。
不倫相手が「慰謝料の支払いについて交渉したい」と思っても、住所の記載がなければ書面の送付先がわからないために無視されてしまうことも考えられます。

請求者であるあなたの氏名・住所を必ず記載しましょう。

相手方(被請求者)の氏名・住所

不貞慰謝料の請求書には、相手方(被請求者)の氏名・住所を記載しましょう。

誰に対して請求しているのか明確にするためです。被請求者が特定されていない請求書を送付しても、支払いを受けるのは難しいといえます。

被請求者である不倫相手の氏名・住所を必ず記載しましょう。なお、被請求者の敬称は様ではなく、殿とするケースが多いです。

不貞慰謝料の請求書の書き方|②内容証明のテンプレート

前章で説明した記載事項を満たした不貞慰謝料の請求書の例として、内容証明のテンプレートを紹介します。

請求書を作成する際の参考にしてください。

内容証明郵便には字数や行数の制限がありますので、以下日本郵便のウェブサイトを確認して、書き方のルールを知っておきましょう。

参照:内容証明 ご利用の条件等 – 日本郵便 (japanpost.jp)

不貞慰謝料の請求書を作成する際に押さえておくべきポイント4選

不貞慰謝料の請求書を作成する際に押さえておくべき主なポイントとして、以下の4つが挙げられます。

  • 内容証明郵便で送る
  • 送付先は原則として相手方の住所とする
  • 恐喝や名誉毀損となるような文言は記載しない
  • あまりに法外な慰謝料を請求しない

以下で詳述します。

内容証明郵便で送る

不貞慰謝料の請求書は、内容証明郵便で送ることをお勧めします。

内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の書面を、誰から誰宛てに差し出されたかを日本郵便株式会社が証明する制度です。

不貞慰謝料の請求書を内容証明郵便で送るメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 不倫相手に心理的なプレッシャーを与えられる
  • 慰謝料を請求した事実を証明できる
  • 不倫相手が内容証明郵便を受領した時点から6か月間時効の完成が猶予される

万が一交渉がまとまらず裁判となった場合も、慰謝料請求をした証拠として利用できます。

日常生活であまり目にすることのない内容証明郵便を利用して請求することで、不倫相手にあなたの本気度を伝えられるでしょう。

時効について、詳しくは「不貞行為の慰謝料請求はいつまで?起算点や時効が近い時の対処法」をご参照ください。

送付先は原則として相手方の住所とする

不貞慰謝料の請求書の送付先は、原則として相手方の住所としましょう。

不倫相手の勤務先に送付して第三者に不倫の事実が知れ渡った場合、あなたが名誉毀損で訴えられるおそれがあります。

不倫相手を懲らしめてやりたいとの思いから勤務先に送付したいと考えるかもしれませんが、安易な判断で送付するのは危険なため、推奨できません。

恐喝や名誉毀損となるような文言は記載しない

不貞慰謝料の請求書に、恐喝や名誉毀損となるような文言は記載しないようにしましょう。

怒りや悲しみから感情的になってしまうのも無理もありませんが、不倫相手を脅したり、誹謗中傷したりしてしまうと、恐喝や名誉毀損で訴えられるおそれがあります。

配偶者の不倫が発覚した直後は、感情的になってしまいがちです。冷静になってから請求書を作成しましょう

あまりに法外な慰謝料を請求しない

あまりに法外な慰謝料を請求しないようにしましょう。

あまりにも高額な慰謝料を請求すると、「とても支払えない」と考えて、交渉のテーブルにつくことすら拒否されるおそれがあります。
交渉ができなければ裁判で解決を図ることになるでしょうが、裁判をしてもあなたが望む金額の支払いを受けられるとは限りません。裁判になれば解決までに長い時間を要するため、精神的にも時間的にもあなたの負担は大きくなることが予想されます。

相場を基準として慰謝料の金額を設定することをお勧めします。

まとめ

不貞慰謝料の請求書は、冷静になって作成することがとても大切です。
必要な事項が記載できているか、恐喝や名誉毀損になり得る文言を記載していないか、落ち着いて確認しましょう。

不倫相手と交渉する自信がないなど、ご自身で解決まで対応することに不安があるなら、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。
弁護士であれば、不貞慰謝料の請求書の作成、交渉だけでなく、万が一裁判になった場合も引き続き代理人として行動できるため、解決までのすべての手続きを一任できます。
ネクスパート法律事務所は、初回相談30分無料です。お気軽にお問い合わせください。

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