フランチャイズ本部にとって、契約の更新可否はブランド戦略や収益に直結する重要な判断事項です。問題のある加盟店を継続させれば、ブランド価値を毀損し、他加盟店や顧客との関係にも悪影響を及ぼします。
しかし、更新拒絶を誤った手順で行えば、加盟店から訴訟を提起され損害賠償を請求されるリスクもあります。
本部としては、適法かつ慎重に手続きを進める必要があります。

契約上の更新条項
多くのフランチャイズ契約には契約期間と更新条項が定められています。自動更新方式では特段の事情がなければ更新されますが、合意更新方式では毎回の合意が必要となります。
ただし、形式的に合意更新であっても、合理的理由を欠いた更新拒絶は「信義則違反」として違法と判断されることがあります。
更新拒絶が認められる典型例
本部が正当な理由で更新拒絶できるケースとして、①ロイヤリティ滞納、②繰り返される品質基準違反、③重大な契約違反、④著しい業績不振などが挙げられます。
これらの場合でも、単なる主観的判断ではなく、指導記録や売上データといった客観的証拠が重要です。
裁判では「本部が十分な是正機会を与えたか」もチェックポイントとなります。
不当な更新拒絶のリスク
一方、直営店への切替や他候補地への出店といった経営上の都合だけで更新を拒絶すると、不当な更新拒絶と評価される恐れがあります。過去には加盟店側の請求を認め、損害賠償が命じられた裁判例も存在します。
本部にとって、契約自由の原則を理由に一方的な判断を行うことは大きなリスクとなります。
実務対応のポイント
更新拒絶を行う際は、
- 契約書の条項と過去のやり取りを整理
- 違反状況や指導履歴を記録化
- 合理的な理由を明記した通知書を送付
という手順を踏むことが重要です。
また、更新拒絶後もブランド価値を維持するため、顧客への告知や代替店舗の整備など、経営面での配慮も欠かせません。
弁護士関与のメリット
弁護士が関与することで、更新拒絶の適法性を事前にチェックし、加盟店からの反発を見越した交渉戦略を立てられます。また、訴訟となった場合のリスク分析や和解交渉もスムーズに進められます。
本部にとっては、紛争を予防しつつブランド戦略を実現するための不可欠なサポートです。
まとめ
フランチャイズ契約の更新拒絶は、本部にとってブランド保護の有効な手段ですが、同時に大きな法的リスクも伴います。合理的な理由と適正な手続きを踏むことが、後の紛争回避につながります。
専門家である弁護士の助言を得ることで、安全かつ戦略的に対応できるのです。