【本部向け・弁護士解説】フランチャイズ契約における競業避止義務の設計と法的注意点

【本部向け・弁護士解説】フランチャイズ契約における競業避止義務の設計と法的注意点
目次

第1章:なぜフランチャイズ本部に競業避止義務が必要なのか?

フランチャイズ契約における競業避止義務(競業禁止条項)を定めることは、本部にとって自己の権利を守るために極めて重要な法的手段です。フランチャイズビジネスの本質は、フランチャイズ本部のブランドと、本部から加盟店に対する経営ノウハウの提供にあります。加盟店が契約期間中、あるいは終了後に、近隣で同様の業態を立ち上げることは、本部にとって深刻な競合リスクとなりかねません。実際、退店後に看板だけ変えて同じサービスを提供する「のれん分け型」の競業が問題になるケースも多く、これを予防するために競業避止義務は不可欠な条項と言えるでしょう。

第2章:競業避止義務の典型的な条項例と設計ポイント

競業避止義務を設ける際は、「業種」「地域」「期間」を明確に定義する必要があります。例えば「契約終了後2年間、直線距離5km以内で同様の業態を営まないこと」など、具体的な文言を規定することが必要です。また、フランチャイズ契約終了時に、契約書とは別途、「誓約書」という形の別の書面を取り交わす運用も有効です。さらに、法人から親族名義への名義変更や、従業員が新たに事業を始めるケースにも対応できるよう、第三者による承継も制限対象に含めておくことも重要です。

具体的な条項の定め方についてはここでは割愛しますが、抽象的な定め、広範すぎる制限は、公序良俗に違反し、無効だと判断される可能性もあるため、注意が必要です。

第3章:競業避止義務の有効性と裁判例の傾向

競業避止義務は、一定の制限があるものの、適切に設計すれば有効と認められます。

一方で、加盟店運営者の職業選択の自由を過度に制限するような広範囲・長期間の制約は、民法の原則である公序良俗違反として無効とされる可能性もあります。実務上は、地域制限は5km前後、期間は1〜2年程度で設定することが多いですが、業態や地域性など、個別具体的な事情を考慮する必要がありますので、一概にこの数字であれば安心、というものではありません。

過去の裁判例でも、本部の正当な利益保護を目的とし、加盟店に対する制限が合理的であれば有効と判断される傾向にあります。

第4章:競業避止義務違反に対する本部の対応策

競業避止義務違反が判明した場合、速やかな対応が求められます。まずは証拠の確保が重要です。SNS、看板、チラシ、従業員の証言などを収集し、競業の実態を把握します。その上で、内容証明郵便による警告書の送付や、必要に応じて差止請求や損害賠償請求を検討します。

ただし、法的手続きには時間とコストがかかるため、事前に十分な条項設計と証拠収集体制を整えておくことが肝要です。実際に競業避止義務違反の可能性がある場合には、事前に弁護士に相談し、証拠収集などについて指示を仰ぐのも良いでしょう。

第5章:本部が競業避止義務を導入・運用する際の注意点【弁護士の視点】

本部が適切に競業避止義務を導入するには、まず、加盟契約書内に明確な競業避止条項を設けましょう。また、契約書内においては、「競業にあたる業態」の定義も明確化しておきましょう。曖昧な文言では、実効性が担保されません。さらに、契約終了時の対応として、店舗設備の撤去、顧客情報の取り扱い、営業表示の除去などを定めた規定も設けておくと、紛争予防につながります。

加えて、契約書を補完するためのものとして、契約開始・終了時に記載してもらう誓約書を用意することも有用です。

ただ、書面に署名押印をさせるだけでは十分とは言えず、何より大事なのは、契約書や誓約書を用いて、加盟希望者に十分な説明を行うことです。加盟店に対して、当該フランチャイズのビジョンや、本部と加盟店が相互に協力し合い、お互いの利益を実現していくことを確り共有することで、競合のリスクは下がるでしょう。

終章:法的リスクを最小化するために弁護士の活用を

競業避止義務は、フランチャイズ本部が自社ブランドとビジネスモデルを守るうえで極めて重要な手段です。とはいえ、その有効性を担保するためには、条項設計、説明義務、証拠保全体制など、細部にまで注意を払う必要があります。

ネクスパート法律事務所では、フランチャイズ契約の作成・チェックから、競業避止義務の運用アドバイス、違反対応まで一貫した支援を提供しています。競業リスクに備えた体制整備をご検討の本部様は、ぜひご相談ください。

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