フランチャイズ契約を検討する際、加盟金やロイヤリティといった費用は比較的わかりやすく提示されることが多い一方で、「追加費用」と呼ばれる項目は見落とされがちです。これらの費用は、加盟後の店舗運営において思わぬ負担となることがあり、慎重な検討が不可欠です。
本稿では、加盟店の立場から見た「追加費用」への注意点を整理し、契約前に確認しておくべきポイントを解説します。

契約書と付属資料を丁寧に確認する
契約書には、加盟店が支払うべき費用項目が明記されているはずですが、必ずしもすべてが明文化されているとは限りません。別紙の「費用一覧」や「本部への支払一覧」などが添付されていないかを確認し、あればその内容を丁寧に読み込みましょう。
たとえば、システム利用料、研修参加費、販促費の分担、改装費用などが含まれている場合があります。金額が未記載の場合は、どのように算定されるのか、上限はあるのかといった点も必ず質問しましょう。
将来の費用増加リスクに注意
契約書に「必要に応じて本部が別途費用を請求できる」旨の条文がある場合、将来的に予期しない費用が発生する可能性があります。本部に対して、その費用がどのようなケースで発生するか、過去に類似事例があったかなどを確認することが大切です。
このような不確定な費用がある場合は、予算に余裕を持たせた経営計画を立てる必要があります。
事前説明と契約内容に矛盾がないかを確認
契約前の面談などで「追加費用はほとんどありません」と言われたとしても、契約書に明記されていれば法的には有効となる可能性が高いです。したがって、口頭説明と書面の内容に食い違いがある場合は、そのままにせず、文書での確認や修正を求めるべきです。
説明内容を記録に残すことも有効で、疑義がある場合には「重要事項確認書」などの書類に署名を求めることが望ましいです。
本部による費用請求の合理性を自ら判断する
本部からの費用請求が妥当かどうかは、他の加盟店への適用状況や業界相場なども含めて判断する必要があります。何にどれだけ使われているのかを開示してもらう権利は加盟店側にもあります。
不明確な費用については、明細の提示や目的の説明を求めましょう。納得できない場合は、本部と協議のうえ対応方針を決定するのが賢明です。
合意のない費用請求には慎重に対応を
契約書に定めのない新たな費用負担を求められた場合、それが法的義務として妥当かどうかは慎重に検討する必要があります。契約上の義務がない場合は、安易に応じず、必要に応じて弁護士など専門家の意見を仰ぎましょう。
終わりに
フランチャイズ契約は、長期的なパートナーシップを前提とするものであり、最初の契約段階での認識のずれが将来のトラブルに発展するリスクがあります。追加費用についての理解と準備は、安定した店舗運営の基盤となる重要な要素です。契約書と説明資料の内容を精査し、不明点があれば必ず確認する姿勢を持つことが、リスク回避と成功への第一歩となるでしょう。
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