フランチャイズ本部が知っておくべき「追加費用」の説明責任―ロイヤリティ・加盟金以外の負担はどう伝えるべきか?

フランチャイズ契約において、加盟金やロイヤリティは加盟店が本部に支払う代表的な費用とされます。しかし、実際の運営においては、これら以外にも様々な費用が発生するのが一般的です。例えば、定期的な研修費、販促活動への参加費、システム利用料、店舗改装に関する費用、法定点検などが挙げられます。

本部がこれらの「追加費用」を加盟店に請求する際には、単に契約書に記載するだけでは不十分で、説明の仕方によってはトラブルの原因になりかねません。

本稿では、フランチャイズ本部としてどのように追加費用を説明すべきか、そのポイントを解説します。

目次

費用の項目と根拠を明確に提示する

まず重要なのは、「どのような費用が、なぜ、どのタイミングで発生するのか」を明確にすることです。これは契約書に条項として記載するだけでなく、別紙で「費用一覧表」などの形で整理し、事前説明資料として加盟希望者に渡すことが望ましいでしょう。

たとえば、以下のような形式で説明します。

システム利用料:月額1万5,000円(店舗業務支援システムの利用)
研修費:年1回、1名につき2万円(定期研修義務あり)
販促分担金:キャンペーンごとに本部が費用案内を事前に通知

このように具体的な費目、金額、頻度などを開示することで、加盟者は予見可能性をもって判断できます。

契約書に明文化し、網羅的に定める

契約条項においても、追加費用の根拠を明記することが不可欠です。「本部が別途定める費用」といった曖昧な表現では、加盟店に不信感を与え、ひいては後のトラブルのもとにもなりかねません。

そのため、契約書内で明確に定めておくことが重要です。具体的には、以下のような条項を付けると良いでしょう。

「加盟店は、別紙『支払費用一覧』に記載された費用を、本部の指示に基づき支払うものとする。費用の内容・金額は、本部が合理的な範囲で定め、事前に書面にて加盟店に通知する。」

また、定期的な改訂がある場合は、その都度加盟店に事前通知し、同意を得る手続きを設けるのが好ましい運用といえるでしょう。

説明記録を残し、法的リスクを回避する

加盟契約に先立って説明された内容が記録されていないと、後に「聞いていなかった」「説明がなかった」といった主張がなされる可能性があります。これを避けるために、本部側は説明内容とその説明を行った事実を記録に残すことが重要です。

チェックリストや同意確認書などを活用し、加盟希望者が「すべての費用について説明を受けたことを確認した」旨に署名する形式が有効です。

加盟店との信頼構築の姿勢を忘れずに

追加費用の説明は、単なる義務ではなく、本部と加盟店の信頼関係を築くための重要な機会でもあります。「費用を隠していた」との印象を与えると、開業後の関係にも大きく影響します。

説明の際は、次のように誠実な姿勢を示すとよいでしょう。

「ご負担いただく費用については、すべて契約前にご案内させていただきます。本部としても加盟店様の健全な経営を第一に考えており、必要以上の負担がかからないよう配慮しております。」

終わりに

フランチャイズ本部が加盟店に対して追加費用を課す場合、その説明と対応の仕方次第で信頼を得ることも、失うこともあります。事前の十分な情報提供と、誠実なコミュニケーション、そして法的な整備を通じて、トラブルの未然防止と持続的なパートナーシップの構築を目指すべきでしょう。

また、フランチャイズの事業内容によっては、中小小売商業振興法により、「法定開示書面」の交付が求められる場合がありますので、その観点からもご注意をお願いします。

(法定開示書面については、別途解説をしておりますので、そちらも併せてお読みください。)

ネクスパート法律事務所では、フランチャイズ契約のサポートに特化したチームが、契約書の作成や契約内容に関するアドバイス、トラブル対応、加盟に際してのリスクの洗い出しや条件交渉等をお手伝いします。

初回のご相談は無料で対応させていただきますので、フランチャイズ契約についてお悩みの際は是非お気軽にお問合せ下さい。

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