更新日:2026年3月4日 (水)

公開日:2021年12月22日 (水)

離婚の弁護士費用は誰が払う?相手に請求できるケースと相場

離婚の弁護士費用は誰が払う?相手に請求できるケースと相場 離婚の弁護士費用は誰が払う?相手に請求できるケースと相場

サマリー

離婚を検討するにあたり、弁護士への依頼を考えているものの「費用は誰が負担するのか」「相手に請求することは可能なのか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。離婚手続きにおける弁護士費用は原則として自己負担ですが、状況によっては相手方に一部請求できる例外も存在します。この記事では、弁護士費用の負担に関する基本的なルールや相手に請求できるケース、手続きごとの費用相場や支払いが難しい場合の対処法について分かりやすく解説します。

離婚の弁護士費用は誰が払う?原則と相手に請求できる例外

離婚手続きにおける弁護士費用は、原則として依頼者自身が負担するルールとなっています。ただし、相手方との合意や特定の裁判例など、例外的に相手へ請求できる場面も存在します。

弁護士費用は原則として依頼した本人の自己負担

離婚手続きを弁護士に依頼した場合、その費用は原則として契約を結んだ依頼者本人が負担することになります。相手方に離婚の原因がある場合であっても、当然に相手へ支払いを義務付けることはできません。

離婚手続きにおいて発生する弁護士費用は、原則として依頼者自身が自己負担する仕組みになっています。

離婚裁判へ進んだ場合、判決において「訴訟費用」の負担割合が言い渡されますが、この訴訟費用に各当事者が委任した弁護士費用は基本的に含まれません。そのため、裁判手続きにおいても自身が依頼した弁護士の費用は自己負担が基本となります。

協議離婚や調停離婚における相手方への請求

夫婦間の話し合いによる協議離婚や、家庭裁判所で進める離婚調停においては、法的に相手へ弁護士費用の支払いを強制することは難しいとされています。

ただし、示談交渉や調停の席において双方が合意に至る場合は例外です。相手方が費用の負担に納得し、合意内容として取り決めるのであれば、相手側に弁護士費用を支払ってもらうことも可能です。

裁判で不法行為が認められた場合に上乗せできる例外事例

例外として、相手方の不貞行為やDVなどの不法行為を原因とする離婚訴訟において、裁判所が損害賠償(慰謝料)の支払いを命じる判決を出すケースがあります。このような場合、損害賠償の一部として弁護士費用相当額の上乗せが認められることがあります。

上乗せされる金額の目安は、認容された慰謝料額のおよそ10%程度とされるのが一般的です。例えば相手方に対して300万円の慰謝料請求が裁判で認められた場合、その10%に相当する30万円が弁護士費用相当の損害として加算される形になります。

不法行為に基づく損害賠償が認められた場合でも、依頼にかかった弁護士費用の全額を請求できるわけではない点にご注意ください。

離婚手続きにおける弁護士費用の内訳と相場

弁護士費用は、かつて日本弁護士連合会が定めていた報酬規定が存在していましたが、現在は廃止されています。そのため、各法律事務所が独自に料金体系を設定しており、依頼先によって金額や計算方法が異なります。

離婚手続きで発生する費用は、主に「法律相談料」「着手金」「報酬金(成功報酬)」「実費」「日当」の5つで構成されています。それぞれ支払うタイミングや目安が異なるため、契約前に内訳を確認しておくことが大切です。

法律相談料と着手金

法律相談料は、正式に依頼する前の相談段階で発生する費用です。一般的な相場は30分あたり5,000円程度からとなっていますが、初回相談を無料に設定している事務所もあります。

着手金は、弁護士に正式に依頼し、手続きや交渉を開始するタイミングで支払う初期費用です。結果の成否に関わらず原則として返金されません。

離婚手続きでは、協議(話し合い)から調停、訴訟(裁判)へと進むにつれて対応内容が複雑になるため、着手金の金額も段階に応じて高くなる傾向にあります。

手続きの段階・項目 着手金の一般的な相場
協議離婚(交渉) 20万円〜40万円程度
離婚調停 30万円〜50万円程度
離婚訴訟(裁判) 40万円〜60万円程度
慰謝料・財産分与請求 対象額の5%〜10%程度

協議から調停へ移行するなど次の段階に進む際には、改めて着手金の差額や追加分が発生することがありますが、同一事務所で継続する場合は割引対応を行うケースも見られます。

報酬金(成功報酬)

報酬金は、離婚が成立した際や希望の条件が認められた際など、事件が終了した段階で結果に応じて支払う費用です。得られた成果や経済的利益の大きさによって金額が変動します。

手続き・成果の項目 報酬金の一般的な相場
協議離婚の成立 30万円〜50万円程度
調停離婚の成立 40万円〜60万円程度
裁判上の和解・判決 50万円〜70万円程度
慰謝料・財産分与の獲得 得られた金額の10%〜20%程度
養育費の獲得 合意された養育費の2年分の10%程度

例えば、協議離婚が成立したうえで慰謝料を獲得できた場合には、離婚成立に対する基本の報酬金と、獲得額に応じたパーセンテージの報酬金が合算される形式が一般的です。

実費と日当

実費は、手続きを行うために実際に支出される手数料や諸費用です。裁判所に納める申立手数料(収入印紙)や予納郵券(郵便切手)のほか、戸籍謄本等の取得費用、交通費などが該当します。調停や訴訟の申立時には、それぞれ4,000円程度の手数料・郵券代が目安となります。

日当は、弁護士が遠方の裁判所への出頭や現地調査など、事務所を離れて拘束される際に発生する費用です。一般的な目安は半日で3万円〜5万円程度、1日で5万円〜10万円程度ですが、裁判所の距離や各事務所の規定によって有無や金額が異なります。

弁護士費用の工面が難しい場合の主な対応方法

離婚問題で弁護士に依頼したいと考えていても、まとまった費用をすぐに工面するのが難しい場合があります。そのような場合でも、利用できる制度や相談先を把握しておくことで、費用面での負担を軽減しながら解決を目指すことが可能です。

無料の法律相談や自治体の窓口を活用する

弁護士費用を抑える第一歩として、初回の相談料を無料に設定している法律事務所を利用する方法があります。まずは無料相談を通じて今後の見通しや費用の支払い方法について助言を受けるとよいでしょう。

また、弁護士会や市区町村などの自治体でも定期的に無料の法律相談窓口が設けられています。住居の確保や生活費の工面自体に不安がある場合は、市区町村の福祉窓口などに生活相談を行うことも有効な手段です。

法テラスの民事法律扶助制度を利用する

収入や資産が一定基準以下である場合、日本司法支援センター(法テラス)の「民事法律扶助制度」を利用できる可能性があります。この制度では、無料の法律相談を受けられるほか、弁護士費用の立て替えを受けられます。

経済的な理由で弁護士費用の用意が難しい場合でも、法テラスの立て替え制度を活用できるケースがあります。

立て替えられた費用は、原則として毎月分割で法テラスに返済していく仕組みです。制度を利用するには収入や保有資産に関する一定の要件を満たす必要があるため、事前に条件を確認しておくとスムーズです。

分割払い・後払いや親族への相談を検討する

着手金などの弁護士費用は一括払いが原則となっていることが多いですが、法律事務所によっては事情に応じて分割払いや後払いに応じている場合もあります。支払いが厳しい場合は、依頼前の面談時に相談してみることが大切です。

また、信頼できる親族に事情を話し、費用の援助や一時的な借入れを相談することも現実的な対処法の一つです。解決後の精算方法や返済計画を共有しながら、無理のない方法を検討しましょう。

離婚問題における弁護士への相談

離婚問題について弁護士に依頼するかどうかを検討する際は、法律面のアドバイスだけでなく、費用面に関する事前の確認も重要になります。弁護士費用は事務所や事案の内容によって異なるため、初回相談などの場で見積もりや説明をしっかり受けておくことが大切です。

着手金や報酬金がどのような基準で計算されるのかに加えて、交通費などの実費や裁判所への出頭に伴う日当がどの程度発生し得るのかについても、あらかじめ確認しておくと費用の全体像を把握しやすくなります。

状況に合わせた無理のない解決に向けて

離婚手続きには協議、調停、裁判といった複数の段階があり、財産分与や養育費、慰謝料などの争点によって解決までにかかる時間や費用も変動します。そのため、現在の状況や重視したい条件を整理した上で相談を進めることが望まれます。

費用に関する不安がある場合は、相談時にその旨を率直に伝えることで、分割払いの可否や利用できる公的制度の有無などを含めた現実的な進め方を検討できることがあります。

弁護士費用への懸念も含めて事前にしっかり確認し、納得した上で手続きを進めることが安心につながります。

一人で問題を抱え込まず、まずは無料相談の窓口や見積もりの機会を活用しながら、自身の状況に合った解決策を探していくことが勧められます。

まとめ

離婚手続きにおける弁護士費用は原則として自己負担ですが、相手方との合意や不法行為が認められた裁判など、一部のケースでは相手に請求できることもあります。

弁護士費用は相談料・着手金・報酬金・実費・日当などで構成され、手続きの段階や争点によって金額が異なります。手元資金に不安がある場合でも、法テラスの利用や分割払いなどの選択肢を検討しながら、まずは弁護士への相談を通じて見通しを確認してみるとよいでしょう。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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