更新日:2022年10月14日 (金)

公開日:2022年10月14日 (金)

浮気相手への慰謝料請求|相場や条件・注意点を弁護士が解説

浮気相手への慰謝料請求|相場や条件・注意点を弁護士が解説 浮気相手への慰謝料請求|相場や条件・注意点を弁護士が解説

サマリー

配偶者の不貞行為が発覚した際、「夫婦関係を再構築するために、浮気相手だけに慰謝料を請求したい」と考える方も少なくありません。

法律上、配偶者ではなく浮気相手のみを対象に慰謝料を請求することは可能ですが、成立条件や求償権の取り扱い、内緒で進める際のリスクなど、あらかじめ把握しておくべき注意点が存在します。

この記事では、浮気相手に慰謝料請求を行う場合の相場や成立要件、注意すべきリスクや手続きの流れについて分かりやすく解説します。

浮気相手だけに慰謝料請求はできる?成立するための主な条件

浮気相手だけに慰謝料請求はできる?成立するための主な条件

浮気相手のみに慰謝料を請求することは法的に可能

配偶者が不貞行為に及んだ場合、その行為は配偶者と浮気相手の双方が関与した共同不法行為として扱われます。

被害を受けた側は、両名に対して同時に慰謝料を請求することも、いずれか一方のみを選んで請求することも法的に認められています。

離婚を選択せず夫婦関係の修復を目指す場合など、配偶者には責任追及をせず、浮気相手だけに絞って慰謝料を請求することも可能です。

浮気相手への慰謝料請求が認められるための4つの条件

浮気相手に対する慰謝料請求が法的に認められるためには、不法行為の成立要件を満たす必要があります。

一般的には、以下の4つの条件が揃っているかどうかが判断のポイントとなります。

1. 婚姻関係が存在していること

請求の前提として、不貞行為が行われた時点で請求者と配偶者との間に有効な婚姻関係(法律婚)が存在していることが必要です。

なお、内縁関係や婚約関係にある場合でも法的な保護の対象となり得ますが、一般的には戸籍上の婚姻関係が基本となります。

2. 自由な意思で肉体関係を持ったこと

法律上の不貞行為とは、原則として配偶者以外の者と自由な意思に基づいて肉体関係(性交渉またはそれに準ずる行為)を持つことを指します。

脅迫や強要などによって強いられた場合を除き、互いの意思に基づく行為であることが要件となります。

3. 不貞行為により婚姻関係が破綻または悪化したこと

不貞行為によって平穏な夫婦生活の維持が侵害され、精神的苦痛を受けたことが求められます。

ただし、不貞行為が始まる以前からすでに夫婦関係が完全に破綻しており修復不可能な状態にあったと客観的に認められる場合には、保護すべき利益が存在しないとみなされ、請求が認められない傾向にあります。

4. 浮気相手に故意または過失があること

浮気相手が、交際相手が既婚者であることを知っていた(故意)、あるいは注意を払えば既婚者であると気づくことができた(過失)状況にあることが必要です。

配偶者が独身であると偽っており、相手方がそれを信じたことについて過失がないと判断されるケースでは、不法行為が成立しない可能性があります。

浮気相手へ請求する場合の慰謝料相場と金額を左右する要素

浮気相手に対して慰謝料を請求する場合、法的な相場はおおむね50万〜300万円程度とされています。

請求先を浮気相手のみに絞った場合でも、不貞行為によって被った精神的苦痛に対する賠償という性質は変わらないため、請求相手が配偶者を含む双方である場合と相場の基準自体に大きな差はありません。

ただし、実際の慰謝料額は一律に決まっているわけではなく、不貞行為が夫婦関係に与えた影響の大きさや個別の事情によって金額が変動します。

状況・夫婦関係への影響 慰謝料の一般的な目安
不貞行為が原因で離婚に至った場合 150万〜300万円程度
別居に至ったが離婚はしていない場合 100万〜200万円程度
離婚せず婚姻関係を継続・再構築する場合 50万〜150万円程度

慰謝料額の算定に影響を与える主な要素

慰謝料の金額を左右する大きな要素のひとつが、離婚や別居の有無です。

不貞行為によって長年築いてきた婚姻生活が破綻し、離婚を余儀なくされた場合は精神的苦痛が重いと評価され、慰謝料額が高額になる傾向があります。

一方で、離婚せず同居を継続して関係修復を目指す場合は、損害の程度が比較的低いと判断され、算定額が抑えられることが一般的です。

また、夫婦側の事情として「婚姻期間の長さ」や「未成年の子どもの有無」も考慮されます。

婚姻期間が長い夫婦や小さな子どもがいる家庭において不貞行為が行われた場合、家庭生活の平穏を害された度合いが大きいとみなされ、金額の増額要素として考慮されることがあります。

さらに、不貞行為そのものの態様も金額に反映されます。不貞関係が続いていた期間の長さや肉体関係の頻度、浮気相手が主導的立場にあったか否か、発覚後の反省の態度なども算定において総合的に評価されます。

浮気相手だけに慰謝料請求する際に留意すべき注意点と求償権

浮気相手だけに絞って慰謝料を請求する場合、法律上の「共同不法行為」とそれに伴う「求償権(きゅうしょうけん)」の仕組みを理解しておくことが重要です。

共同不法行為と求償権の仕組み

不貞行為は、配偶者と浮気相手の双方が関与して成立する「共同不法行為」と位置付けられます。

法律上、不貞行為によって生じた精神的損害に対しては、双方が連帯して賠償責任を負う関係にあります。

被害者側は浮気相手に対して慰謝料の全額を請求することができますが、浮気相手が全額を支払った場合、浮気相手は本来配偶者が負担すべきであった割合分を配偶者に対して後から請求できます。

この権利を求償権と呼びます。

浮気相手から慰謝料を受け取っても、後に配偶者へ求償権が行使されれば、家計全体としては金銭的な負担が戻ってくる形になる点に注意が必要です。

求償権の放棄を条件とする減額交渉への対応

示談交渉の場では、浮気相手側から「配偶者への求償権を放棄する代わりに、支払う慰謝料を減額してほしい」という提案がなされることが少なくありません。

浮気相手だけに慰謝料請求したい

例えば、適正な損害額が200万円で責任割合が等しい場合、浮気相手が全額支払った後に100万円を配偶者に求償するのが原則です。

しかし、求償権を放棄させると浮気相手の自己負担は200万円となるため、実質的な負担を抑える目的で減額を求められる傾向があります。

離婚せず夫婦関係を継続する場合は、将来的な配偶者への求償を防ぐ目的で求償権の放棄条項を盛り込み、一定の減額に応じる合意も実務上広く行われています。

夫婦関係の破綻の程度と請求額への影響

慰謝料の金額は、不貞行為によって婚姻関係がどの程度悪化したかという点も大きく影響します。

浮気相手のみに請求し、配偶者とは再構築を目指す場合、婚姻関係が破綻したとまでは評価されないケースが一般的です。

不貞発覚後も同居を継続している場合などは、別居や離婚に至った事案と比較して認められる慰謝料額が低めにとどまる可能性がある点についても考慮しておく必要があります。

配偶者に内緒で浮気相手に慰謝料請求を進める際のリスク

夫婦間の無用な衝突を避けたい、あるいは関係修復を優先したいといった理由から、配偶者に知らせず浮気相手だけに慰謝料を請求したいと考えるケースは少なくありません。

法律上、不貞行為の被害者は単独で損害賠償請求を行うことができ、手続きにあたって配偶者の同意や承諾を得る必要はありません。

しかし、配偶者に内緒で進めることには特有のリスクが伴います。

浮気相手経由で配偶者に発覚する可能性

自身が内緒で手続きを進めていたとしても、請求を受けた浮気相手が事実確認や相談のために配偶者へ直接連絡を取るケースは珍しくありません。

請求書などで他言しないよう求めたとしても、相手方にそれを法的に強制することは原則として困難です。

浮気相手からの連絡によって予期せぬ形で配偶者に知られ、夫婦関係の修復に向けた話し合いに支障をきたすリスクがあります。

配偶者の独身偽装による故意・過失の不成立

浮気相手に対する慰謝料請求が法的に認められるためには、相手方が「既婚者であると知っていた(故意)」、あるいは「注意すれば知り得た(過失)」という主観的要件が必要です。

もし配偶者が独身であると偽って交際していた場合、浮気相手に故意・過失が認められず、不法行為責任を追及できない可能性があります。

さらに、独身だと信じて肉体関係を持たされた浮気相手側から、配偶者が貞操権侵害を理由に慰謝料請求を受ける事態に発展するリスクも想定されます。

ダブル不倫における相手方配偶者からの逆請求

浮気相手も既婚者である「ダブル不倫」の場合、慰謝料請求を通知したことがきっかけで相手の配偶者にも不貞行為が発覚することがあります。

その結果、相手の配偶者から自身の配偶者に対して慰謝料が逆請求され、夫婦間での請求が相互に発生する状態になりかねません。

浮気相手だけに慰謝料請求したい

特に相手側夫婦のみが離婚に至った場合、一般的に離婚を伴う慰謝料のほうが高額化しやすいため、世帯全体で見ると受け取る額より支払う額のほうが多くなるリスクが存在します。

浮気相手への慰謝料請求の手順と自分で進める場合のポイント

浮気相手に対して慰謝料を請求する場合、感情的に行動を起こすのではなく、法的な手順を踏んで冷静に進めることが求められます。

相手との無用なトラブルを防ぎ、適切な合意を形成するためにも全体の手続きの流れを把握しておくことが大切です。

浮気相手への慰謝料請求の一般的な流れ

請求手続きは、一般的に以下のような順序で進められます。初期段階での確実な証拠確保と、相手の身元特定が重要な要素となります。

  1. 不貞行為の証拠収集および浮気相手の氏名・住所などの身元特定
  2. 請求書面(内容証明郵便など)の送付による慰謝料請求の意思表示
  3. 慰謝料の金額や支払方法に関する話し合い・交渉の実施
  4. 合意内容をまとめた示談書(合意書)の作成と取り交わし
  5. 交渉が決裂した場合や相手が応じない場合の法的手続きの検討

相手の住所が不明な場合は請求書面の送付が難しくなるため、事前に配偶者の所持品や各種情報から連絡先を把握しておくことが必要です。

示談交渉において合意しておくべき重要事項

夫婦関係の再構築を目指す場合、慰謝料の金額を合意するだけでは不十分となることがあります。

将来的な再発を防ぐためにも、示談内容には配偶者との私的な連絡や面会を禁止する「接触禁止条項」を盛り込むことが一般的です。

また、口頭のみでの合意は後から「言った・言わない」の争いに発展しやすいため、必ず示談書を作成して書面化する必要があります。

慰謝料が分割払いになる場合や不払いの懸念がある際は、強制執行認諾文言を付けた公正証書を作成しておくと、支払いが滞った際に訴訟を経ずに差押え手続きを進めることが可能になります。

自分で請求を進める際に注意すべき行為

自身で相手と交渉を行う際には、怒りや感情の高ぶりから過度な要求を行わないよう注意しなければなりません。

「支払わなければ職場や家族に知らせる」といった告知や、謝罪の強要を行うと、脅迫や強要と受け取られ、法的に不利な立場に置かれるリスクがあります。

感情的な言動は交渉を難航させるだけでなく、相手方から不法行為などを主張される原因にもなりかねないため、冷静に事実と法的根拠に基づいたやり取りを維持することが肝要です。

浮気相手への慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

浮気相手への慰謝料請求は、感情的な対立が生じやすく、法的な論点も多岐にわたるため、弁護士への相談を検討することが有益な選択肢の一つとなります。

弁護士に相談することで、適正な慰謝料額の算定や求償権を含めた総合的な法的整理を行い、将来的なトラブルを防ぐための対応策を講じやすくなります。

適切な慰謝料額の算定と法的論点の整理

慰謝料の金額は、婚姻期間や不貞行為の期間、夫婦関係に与えた影響など様々な事情を総合的に考慮して判断されます。

弁護士に相談することで、個別の事情を踏まえた適正な相場を把握し、法的な根拠に基づいた請求額を検討することが可能です。

また、浮気相手だけに請求する場合には、後に配偶者へ求償権が行使されるリスクにも配慮しなければなりません。

求償権の放棄条項を盛り込んだ示談交渉など、事案に応じた法的な枠組みを整えた上で解決を目指せます。

相手方との直接交渉を回避し精神的負担を軽減

不貞行為の相手方と直接連絡を取り合って交渉を進めることは、当事者にとって大きな精神的ストレスを伴います。

相手方が不誠実な態度をとったり、言い逃れをしたりして話し合いが難航するケースも少なくありません。

弁護士に依頼した場合は、相手方との交渉窓口を弁護士に一本化できます。

本人が相手と直接やり取りをする必要がなくなるため、精神的な負担を大幅に軽減しながら冷静に手続きを進められます。

状況に応じた適切な対応と法的手続きの支援

配偶者が独身と偽っていた可能性やダブル不倫の事案など、不貞関係の背景によって生じる法的リスクは異なります。

弁護士は個々の状況を分析し、予期せぬ不利益を回避するための適切な進め方を検討します。

交渉による示談書の作成や公正証書の作成支援をはじめ、相手方が支払いに応じない場合の訴訟提起まで、状況に応じた法的手続きを段階的に進めることができます。

浮気相手への慰謝料請求を検討する際は、まずは弁護士に相談して適切な方針を確認することをおすすめします。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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