更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年3月25日 (火)

不貞行為とは?判例の定義や具体的な7つの事例を簡単に解説!

不貞行為とは?判例の定義や具体的な7つの事例を簡単に解説! 不貞行為とは?判例の定義や具体的な7つの事例を簡単に解説!

サマリー

恋人や配偶者の不倫・浮気についてネットで検索すると、不貞行為(読み方:ふていこうい)が頻繁に出てくるでしょう。

「不貞行為があれば慰謝料を請求できます。」
「大切なのは、不貞行為の証拠を集めることです。」
では、不貞行為とは具体的にどのような行為を指すのでしょうか?

この記事では、主に次のことについて解説しています。

判例の定義や法律との関係
不貞行為に該当する具体的な事例
不貞行為が法的に問題視される理由
ぜひ参考にしてください。

不貞行為とは?|不倫や浮気との違い・定義・具体例を簡単に説明

不貞行為とは、配偶者のある者が配偶者以外の者と肉体関係を持つことです。

不倫・浮気との違いや判例が示す不貞行為の定義、その具体例について見ていきましょう。

不倫・浮気との違い

【不貞行為】よりも【不倫】や【浮気】の方が聞き馴染みのある言葉かもしれません。
【不倫】や【浮気】は法律用語ではなく、明確な定義もありません。
そのため、その解釈も人それぞれ微妙に異なるかもしれませんが、一般的には下表のとおり分けられます。

対象者 肉体関係の有無
不倫 一方または双方が既婚者 ある場合に限る
浮気 既婚者・独身者を問わない あるもの・ないものを含む

人によっては、一方または双方が既婚者で肉体関係のない交際不倫に該当すると考えるかもしれません。明確な定義がないわけですから、それも間違いではないでしょう。
しかし、肉体関係がない以上、原則として【不貞行為】には該当しません。

したがって、【不貞行為】は【不倫】や【浮気】よりも狭義な用語でしょう。

判例が示す不貞行為の定義

不貞行為の定義について、判例は次のとおり示しています(最高裁昭和48年11月15日判決)。

不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。
引用元:裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan

つまり、性的関係(肉体関係)の有無が重要なポイントです。

不貞行為・それに準ずる行為の具体例

不貞行為の定義に示された性的関係(肉体関係)には、性行為のほか、それに準ずる行為として性交類似行為も含まれます。

手を繋ぐ行為、キスやハグをする行為には、通常、肉体関係が伴わないため、不貞行為には該当しません。
しかし、その行為の態様が男女の交際として明らかに逸脱した場合かつ、夫婦の平穏な婚姻生活を脅かす場合には離婚や慰謝料請求が求められる余地があります(この点について、詳しくは5章で解説しています。)。

その他、上記表の行為が不貞行為に該当する詳しい理由については、「不貞行為にあたる肉体関係の定義とは?みんなの疑問6選を徹底解説 」の記事をご参照ください。

不貞行為があったと同視される具体例

不貞行為があったと同視される具体例として、次の2つが挙げられます。

  • ラブホテルでの宿泊
  • 同棲

通常、性交渉等は密室で行われるため、いくら不貞行為の存在が必須でも、それを現認するのは難しいでしょう。

ラブホテルでの宿泊や同棲それ自体は、不貞行為を直接示す行為ではありません。
しかし、一般的に、男女が2人でラブホテルに宿泊したり、同棲したりする場合には、肉体関係を伴うと考えられます。

そのため、裁判実務では、性的関係を伺わせる場合にも、不貞行為があったと評価されます。

不貞行為の定義に示された【配偶者のある者】や【配偶者以外の者】とは?

不貞行為の定義に示された【配偶者のある者】には、法律婚だけでなく事実婚も含まれます。
さらに、【配偶者以外の者】には異性だけでなく同性も含まれます。

【配偶者のある者】には法律婚だけでなく事実婚も含まれる

【配偶者のある者】には、法律婚だけでなく事実婚も含まれます。

事実婚(内縁関係)は、婚姻に準ずる関係として法律上保護されるべきものとして、判例で次のように示されています(最高裁昭和33年4月11日判決)。

内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。…内縁も保護せられるべき生活関係に外ならない…。
引用元:裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan

したがって、事実婚(内縁関係)でも、内縁の妻・夫以外の者と肉体関係を持った場合には不貞行為に該当します。

【配偶者以外の者】には異性だけでなく同性も含まれる

【配偶者以外の者】には異性だけでなく同性も含まれます。

元来、不貞行為は異性との性交渉または性交類似行為と考えられていました。

しかし、近年では、同性間でも不貞行為を認める裁判例が出現しています(東京地裁令和3年2月16日判決)。

この事例において、裁判所は、不貞行為とは、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことであるが、これに限らず、婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する蓋然性のある行為と解するのが相当であり、必ずしも性行為(陰茎の挿入行為)の存在が不可欠ではなく、夫婦共同生活を破壊し得るような性行為類似行為も含まれるとしました。
そのうえで、同性同士の性行為あるいはその類似行為が行われた結果として、婚姻共同生活の平穏が害される事態もまた想定されるところであるとして、不貞行為に該当するとしました。

したがって、同性間でも、婚姻共同生活の平穏を害する行為がある場合には不貞行為に該当するでしょう。

不貞行為は犯罪ではないのに法的に問題視される理由とは?

不貞行為は、世間的にも非難される行為ではあるものの、犯罪ではありません。
なぜなら、現行の刑法では、不貞行為を罰する規定がないからです。

では、なぜ不貞行為は法的に問題視されるのでしょうか?以下、その理由について詳しく見ていきましょう。

不貞行為はかつて犯罪だったから

不貞行為は、かつて犯罪だったからです。

旧刑法には、姦通罪(かんつうざい)がありました。
これは、女性側の姦通のみが対象で、夫のいる女性が夫以外の男性と性的関係を結んだときに、その女性と相手の男性とに成立する犯罪でした。

1947年の刑法改正により現在は廃止されましたが、根底にこの考え方が残っているからだと考えられるでしょう。

不貞行為は民法が定める離婚原因に該当するから

不貞行為は、民法が定める離婚原因に該当するからです。

基本的に、離婚は夫婦双方の合意により成立します(協議離婚)。
夫婦の一方が離婚を拒否する限り、話し合いによる離婚はできません。

そのため、夫婦の一方が合意しない場合には、裁判で争うことになります。
そこで、民法には、裁判による離婚が認められる事由(法定離婚事由)が定められています(民法770条)。

その法定離婚事由のひとつが、配偶者に不貞な行為があったときです。
つまり、不倫をされた側が離婚を希望する場合、不倫をした側が拒否しても、原則として裁判で離婚が認められます。

その一方で、不倫をした側が離婚を希望する場合、不倫をされた側が拒否する限り、原則として裁判での離婚は認められません。
不貞行為は、民法が定める離婚原因のひとつでもあることから、法的にも問題視されると考えられるでしょう。

平穏な婚姻生活を維持する権利や利益を侵害する行為だから

不貞行為は、平穏な婚姻生活を維持する権利や利益を侵害する行為だからです。

夫婦には、平穏な婚姻生活を送る権利や利益があります。夫婦になると、お互いの時間や感情を共有し、豊かで安定した生活を共にすべく努めるからです。

しかし、不貞行為の発覚によって、離婚したり、離婚に至らなくても夫婦関係に亀裂が生じたりするでしょう。

不貞行為は、平穏な婚姻生活を維持する権利や利益を侵害する行為のため、法的にも問題視されると考えられるでしょう。

不貞行為はなぜ悪いのかについて、詳しくは「不貞行為はなぜ悪い?不貞行為をした場合に発生しうる5つのリスク」の記事をご参照ください。

不貞行為で離婚や慰謝料請求をする場合に証拠が重要な理由とは

不貞行為で離婚や慰謝料請求をする場合には、証拠が重要です。

基本的に、離婚や慰謝料請求どちらの場面でも、まずは相手との話し合いによる解決を目指すでしょう。

相手がすぐに離婚を受け入れてくれれば、離婚届を提出して離婚が成立します。相手が素直に不貞行為を認め、慰謝料を支払えば、示談で終了します。

しかし、たいていの場合は、「証拠を見せて欲しい。」と言われるでしょう。
不貞行為の存在を証明する有力な証拠がなければ、話し合いは難航します。逆に、証拠があれば、あなたに有利に話を進められるでしょう。

さらに、交渉による解決が難しい場合には、裁判で争うことになります。
裁判では、【離婚を求める側】・【慰謝料を請求する側】に、不貞行為の存在を証明する責任があります。

配偶者の帰りが頻繁に遅くなった等、あなたがいくら「不貞行為はあったはずだ!」と主張しても、それを証明する証拠がなければ、裁判での離婚や慰謝料請求は認められません。

したがって、離婚や慰謝料請求をする場合には証拠が重要です。
不貞行為の証拠として有力なものや自力で証拠を集める方法について、詳しくは「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」の記事をご参照ください。

慰謝料請求に不貞行為の存在が必須ではない理由とは

ここまで、不貞行為の存在の重要性について解説しましたが、裁判実務では、不貞行為がないにもかかわらず慰謝料請求が認められるケースもあります。
慰謝料請求に不貞行為の存在が必須ではない理由について、以下詳しく見ていきましょう。

慰謝料請求は不法行為に基づくものだから

慰謝料請求不法行為に基づくものだからです。

慰謝料請求の根拠は、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求です。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

この条文に記されているとおり、【他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為】が【不法行為】です。

つまり、【不法行為】に該当するためには、必ずしも不貞行為が必要なわけではなく、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為、すなわち不倫慰謝料請求の場面では、【夫婦の婚姻生活の平穏を侵害する行為】があれば、不貞行為がなくても不法行為が成立します。

したがって、不貞行為がなくても、夫婦の婚姻生活を侵害する行為があれば不法行為が成立し、慰謝料請求が認められるわけです。

不貞行為以外にも婚姻生活の平穏を侵害する行為があるから

不貞行為以外にも婚姻生活の平穏を侵害する行為があるからです。

例えば、深夜に二人きりで何度も密会を繰り返したり、既婚者と知りながら結婚前提の交際であることを言いふらして交際を続けたりと、もはや夫婦が平穏な婚姻生活を送ることが困難なケースでは、不貞行為がなくても夫婦の平穏な婚姻生活を送る権利を侵害したと評価されます。

裁判例では、不貞行為の存在は認められないと判断しつつも、次のような行為が夫婦の平穏な婚姻生活を脅かす行為と評価され、慰謝料請求が命じられています。

  • 既婚者と知りながら同居生活をしていた
  • 8回以上にわたり相手に別居・離婚を要求した
  • 肉体関係後に既婚者と知ったがその後も親密な交際を続けた
  • 過去の不倫相手と深夜に密会した
  • 既婚者と結婚前提に交際した
  • 自宅に入り浸らせ家庭を顧みさせなかった
  • 愛情や性的関心があるような内容のメールを送った
  • 高価なプレゼントの交換や2人きりでの旅行をした

裁判例の詳しい内容は、「不貞行為なしで慰謝料請求された!あなたの危険度チェックと8つの裁判例 」の記事をご参照ください。

したがって、不貞行為がなくても、社会一般の常識を考えて、男女の交際として明らかに逸脱した行為がある場合には慰謝料請求が認められる可能性があります。

まとめ

【不貞行為とは】についてお分かりいただけたでしょうか。

この記事のポイントは次のとおりです。

  • 不貞行為とは、配偶者のある者が配偶者以外の者と肉体関係を持つこと
  • 不貞行為は、【不倫】や【浮気】よりも狭義な用語
  • 不貞行為には、性行為のほか性交類似行為も含まれる
  • 不貞行為がなくても、不貞行為があったと同視される場合もある

配偶者の不貞行為を理由に、離婚や慰謝料請求をお考えの方は、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。

仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにLINEによる相談やオンライン法律相談サービスも実施しています。初回の相談は30分無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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