更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年3月19日 (水)

慰謝料を払ったのに離婚しない!慰謝料を返してもらう方法は?

慰謝料を払ったのに離婚しない!慰謝料を返してもらう方法は? 慰謝料を払ったのに離婚しない!慰謝料を返してもらう方法は?

サマリー

「離婚すると言ったから慰謝料を払ったのに。」
「離婚しないまま慰謝料だけ受け取ったのが許せない。」
相手夫婦は離婚予定だと聞いていたのに、慰謝料支払い後も離婚する様子が全くないケースもあるでしょう。

慰謝料を払ったのに離婚しないのはありなのでしょうか?

この記事では主に、次のことについて解説しています。

慰謝料を払ったのに離婚しない場合に離婚させる方法
慰謝料を払ったのに離婚しない場合の慰謝料返還請求の可否
さらに、これから慰謝料を支払う方(慰謝料の支払いを不倫相手や不倫相手の配偶者から迫られている方)に向けて、不倫相手から「離婚は進めるから慰謝料は払ってと言われたら?」という疑問にもお答えしています。ぜひ参考にしてください。

不倫慰謝料を払ったのに離婚しないのはあり?

不倫慰謝料を払ったのに離婚しなくても法的には問題ありません。
不倫慰謝料と離婚は別の問題であり、離婚をしなくても慰謝料の受け取りが可能です。

離婚しなくても法的には問題ない

離婚しなくても法的には問題ありません。

不倫慰謝料の請求根拠は、民法709条不法行為に基づく損害賠償請求です。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

この条文に記されたとおり、【他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為】つまり【不貞行為】があれば慰謝料を請求できます。

「でも慰謝料の話し合いのときに、離婚予定と言っていたのに…。」と思うかもしれません。

あなたと不倫相手の配偶者との間で、将来の離婚の約束がされたとしても、離婚の義務は生じません。そもそも、離婚は夫婦双方の合意で成立するものであり、かつ離婚時点で夫婦双方に離婚の意思が必要です。

したがって、離婚しなくても法的には問題ないでしょう。

不倫慰謝料と離婚は別の問題

不倫慰謝料と離婚は別の問題です。

不倫慰謝料は、不貞により被害者が受けた精神的苦痛を金銭的に補填するものであり、そこに離婚する・しないは関係しません

したがって、離婚をしなくても不倫慰謝料を受け取れます。

不倫慰謝料を払ったのに離婚しない場合に離婚させる方法はない?

不倫慰謝料を払ったのに離婚しない場合に離婚させる方法はないでしょう。

そもそも、第三者であるあなたは離婚を強制できません。さらに、不貞をした配偶者からの離婚請求も原則として認められません。

第三者であるあなたは離婚を強制できない

第三者であるあなたは離婚を強制できません。

離婚は、原則として夫婦双方の合意がなければ成立しません(協議離婚)。
夫婦の一方が離婚を拒否する場合には、裁判で離婚を認めるかを判断します(裁判離婚)。裁判離婚を請求できる人も当事者(夫婦のどちらか)のみです。

離婚は、あくまで夫婦の問題であり、第三者が介入したり、強制したりする方法はなく、そのような権利が法律上認められることもありません。

不貞をした配偶者からの離婚請求も原則認められない

不貞をした配偶者からの離婚請求も原則として認められません。

「第三者が関与できないなら、不倫相手(不貞をした配偶者)から離婚を切り出せばいいのでは?」と考える人もいるでしょう。

不貞をした配偶者は、婚姻破綻の原因を作った配偶者(有責配偶者)にあたります。裁判では、有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。
自分で婚姻破綻の原因となる不貞を働きながら、自分から離婚請求するのは不公平だと考えられているからです。

ただし、裁判所は、次の3つの条件のもと、不貞をした配偶者からの離婚請求が例外的に認められる場合があると判示しています(最高裁昭和62年9月2日判決)。

  • 長期間の別居をしていること
  • 未成熟子がいないこと
  • 相手方配偶者が離婚によって極めて苛酷な状態におかれないこと

例えば、不貞発覚後、10年以上別居しているケースでは、離婚が認められる余地もあるでしょう。

不貞をした配偶者からの離婚が認められない理由について、詳しくは「不貞行為をした側は離婚できない?離婚できる場合や対処法を紹介! 」の記事をご参照ください。

離婚前提の不倫慰謝料を払ったのに離婚しない場合は返還請求できる?

離婚前提の不倫慰謝料を払ったのに離婚しない場合でも、慰謝料の返還請求はできないでしょう。

原則として慰謝料の返還請求はできない

原則として慰謝料の返還請求はできません。

一度合意した以上、原則としてその内容は変更・撤回ができません。変更や撤回を許すと、いつまで経っても解決できません。

したがって、一度合意して慰謝料を支払った以上、返してもらうのは難しいでしょう。

ただし、支払った慰謝料の額が相場から法外にかけ離れている場合には、公序良俗に反するとしてその合意内容が無効になる可能性もあります(民法90条)。

慰謝料の合意が無効になるケースについて、詳しくは「不倫の示談書が無効になる場合はある?示談書作成の6つの注意点」の記事をご参照ください。

離婚の有無だけで慰謝料額が決まるわけではない

離婚の有無だけで慰謝料額が決まるわけではありません。

「離婚前提で払ったのだから慰謝料を払い過ぎているはずでは?」

たしかに、離婚する場合の慰謝料相場は100~300万円程度の一方、離婚しない場合の慰謝料相場は50~100万円程度と、離婚する場合の方が慰謝料相場は高い傾向にあります。
しかし、それは一般的に、離婚する場合の方が、被害者の精神的苦痛の程度や夫婦に与える影響の程度が大きいと考えられるからです。

つまり、慰謝料は離婚する・しない以外にも被害者の精神的苦痛の程度や夫婦に与える影響の程度が大きければ、高額になる可能性があります。
離婚のほかにも、慰謝料の増額事由として次の事項が挙げられます。

  • 夫婦の婚姻期間が長い
  • 不貞行為の期間が長い・回数が多い
  • 夫婦の間に未成熟子がいる
  • 独身側の妊娠・出産 等

したがって、離婚をしないからといって慰謝料の金額が過大であるとは一概には言えません。

不倫慰謝料を払ったのに離婚しない場合に何かできることはない?

既に支払った慰謝料を返還してもらうのは難しいですが、不貞をした配偶者(不倫相手)に慰謝料の一部を負担させる方法があります。それは、求償権の行使です。

不貞をした二人は、共同で不倫慰謝料の支払い義務を負っています
共同でした不法行為に対しては、共同で責任を負わなければなりません。

しかし、不倫慰謝料の請求場面では、不貞をした配偶者には慰謝料を請求せず、独身者側にのみ慰謝料を請求するケースが多くあります。この場合、あなただけが責任を負って、不貞をした配偶者(不倫相手)は何の責任も負わないのは不公平だと感じるでしょう。

そこで、不貞をした一方当事者が負担部分を超えて慰謝料を支払った場合には、もう一方に対して責任割合に応じた額の支払いを請求できます。この権利が、求償権です。

求償権を行使することで、あなたが負担した慰謝料の一部を不貞をした配偶者(不倫相手)に請求できます。

ただし、求償権を既に放棄している場合・求償権の時効が過ぎている場合求償権の行使ができません。

求償権の行使について、詳しくは「不貞相手に求償権を行使したい!求償権を行使できない場合とは?」の記事をご参照ください。

不倫相手から離婚は進めるから慰謝料は払ってと言われたら?

不倫相手から「離婚は進めるから、とりあえず慰謝料は配偶者の言う通り払って。」と言われた場合には、支払う前に一度弁護士に相談することをおすすめします。

不倫相手(不貞配偶者)の中には、離婚に対して楽観的に考え、離婚をする前提であなたに話をする人もいます。

しかし、2章で解説したとおり、不倫相手(不貞配偶者)からの離婚は簡単ではありません。離婚前提で慰謝料を支払っても、必ずしも相手夫婦が離婚するとは限りません。

したがって、すぐに支払う前に、今後の対応について一度弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

慰謝料を払ったのに離婚しなくても、法的には問題ないでしょう。
第三者であるあなたが、離婚に介入したり、強制したりもできません。

自分だけ慰謝料を負担したことに納得いかない場合には、求償権の行使を検討しましょう。
求償権の行使をすることで、既に負担した慰謝料の一部を不倫相手から受け取れる可能性があります。

この記事を読んでいる方の中で、まだ慰謝料請求段階の人は、相手から離婚予定と言われても、提示された金額をそのまま鵜呑みにせず、一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、慰謝料の支払い義務があるか・請求されている慰謝料額が妥当であるかを判断してもらえるでしょう。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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