更新日:2026年3月5日 (木)

公開日:2022年5月3日 (火)

親権者とは?親権者になれる人や意味をわかりやすく解説

親権者とは?親権者になれる人や意味をわかりやすく解説 親権者とは?親権者になれる人や意味をわかりやすく解説

サマリー

離婚を検討するにあたり、未成年の子どもの親権をめぐって悩んでいる方は少なくありません。親権者という言葉は日常でも耳にしますが、法律上どのような権利や義務を負うのか、保護者や監護者と何が違うのかなど、正確な意味を把握することは大切です。

離婚時には原則として父母のどちらかを親権者と定める必要があります。

この記事では、親権および親権者の基本的な意味や親権者になれる人の範囲、親権者が持つ具体的な権利義務、類似する用語との違いについて分かりやすく解説します。

親権・親権者とは?基本的な意味と役割

親権・親権者とは?基本的な意味と役割

親権という言葉は、親が子どもに対して持つ一方的な支配権のように捉えられることもありますが、法律上の位置づけは異なります。

法律上の親権とは、成年に達していない子どもの利益を守り、健全な育成を図るために行使される権利であり、同時に重い義務を伴うものです。

親権の法的な意味と目的

親権は、未成年の子どもが社会的に自立するまでの間、不利益を被らないよう保護することを目的としています。

子どもの心身の成長を見守りながら教育や看護を行うことや、子ども名義の財産を適切に管理・保護することが主な内容です。

このように、親権は親の都合や希望のためではなく、あくまで「子の利益(子どもの福祉)」を最優先に考えて行使されるべきものと位置づけられています。

親権者が担う基本的な責任

親権者とは、未成年の子どもに対してこの親権を行使し、義務を果たす法的な責任を持つ人を指します。

親権者は、子どもの日々の衣食住を整えて教育を受けさせるだけでなく、法的な契約行為の代理や財産の保全など、幅広い場面で子どもを代表して判断を下します。

婚姻中は父母が共同して親権を行使しますが、離婚の際には夫婦のいずれかを単独の親権者として定める必要があります。

そのため、親権者をどちらにするかを話し合う際には、親双方の生活環境や収入面だけでなく、どちらが親権者となることが子どもの健やかな成長につながるかという視点が大切になります。

法律上「親権者になれる人」の範囲

親権者になれる人物の範囲は、父母の婚姻関係が継続しているか、あるいは離婚しているかによって法律上の扱いが異なります。

婚姻中は父母が共同して親権を行使する

婚姻中においては、父母の双方が共同して親権者となります。この点について、民法第818条では以下のように規定されています。

民法第818条では、成年に達しない子は父母の親権に服すること、子が養子であるときは養親の親権に服すること、そして婚姻中は父母が共同して親権を行うことが定められています。

一方が親権を行えない事情がある場合には、もう一方が単独で行います。

離婚時は父母のいずれか一方を親権者と定める

父母が離婚する際には、単独親権の原則に基づき、父母のどちらか一方を親権者として指定しなければなりません。

法律上、親権者を定めずに離婚することはできない仕組みとなっています。

子どもが複数人いる場合には、子どもごとに親権者を決定します。

兄弟姉妹の生活環境や教育環境を離れ離れにしない「きょうだい不分離」の考え方が重視される傾向にありますが、進学や生活環境の都合に応じて親権者を分ける場合もあります。

親権者を指定する審判等の手続きでは、15歳以上の子どもの場合に本人の意向を聴取する機会が設けられています。

また、幼少期の子どもについては監護状況などが考慮され、協議や家庭裁判所の手続きを通じて決定されます。

祖父母が親権者になる場合(養子縁組の活用)

実親以外の親族、例えば祖父母が親権者になれるかどうかという点については、養子縁組を行うことで親権者となることが可能です。

祖父母が孫と養子縁組を結ぶと、民法上の養親となるため、その子に対する親権を行使できるようになります。

なお、養子縁組を行うと子どもは祖父母の法定相続人にも含まれるなど、親族関係や相続関係にも法的な効力が生じます。

親権者が持つ具体的な権利と義務

親権は法律上、大きく「監護教育権」と「財産管理権」という2つの権能に分けられます。

親権者はこれらの権利を行使するとともに、相応の重い義務を果たすことが求められます。

子の心身の成長を支える「監護教育権」

監護教育権とは、未成年の子どもを手元で育て、教育を行う権利と義務のことです。民法第820条において「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と規定されています。

具体的には、子どもと同居して衣食住を提供するなど日常生活全般の世話をすること(監護)や、学校教育を受けさせ健全な社会人として成長できるよう指導・育成すること(教育)が含まれます。

監護教育権は単に親が子どもを支配するための権限ではなく、あくまで「子の利益」を最優先に考えて行使しなければならない義務としての性質を強く帯びています。

子の財産を守り適切に管理する「財産管理権」

財産管理権とは、未成年である子どもの財産を保護し、適切に管理するための権能です。

判断能力が十分でない子どもに不利益が生じないよう、親権者が包括的な管理を行います。

親権者は、子ども名義の預貯金や不動産などの財産を管理するほか、子どものために必要と認められる範囲で財産の処分や契約などの法律行為を代理で行うことができます。

ただし、子どもの財産すべてが無制限に管理対象となるわけではありません。

例えば、未成年者が自らの労働契約によって得たアルバイト代などの収入は、財産管理権の対象から除外される例外とされています。

親権の内容である監護教育権と財産管理権は、いずれも子どもの健やかな育成と権利を守るために適切に行使される必要があります。

親権者と類似する用語との違い

親権者という言葉と混同しやすい用語として、「保護者」「監護者」「扶養者」などが挙げられます。

それぞれの法的な位置づけや使われる場面には明確な違いがあります。

親権者と保護者の違い

学校教育や医療の現場などでは「保護者」という表現が広く使われています。

保護者とは、親権者に限定されず、未成年者を現に監護している人や未成年後見人なども含めた包括的な概念です。

例えば、里親や児童福祉施設の長、内縁関係にあり事実上子どもを養育している人なども保護者に該当します。

親権者は法律上の親権を有する者を指すのに対し、保護者はより広い範囲を対象としています。

親権者と監護者の違い

監護者とは、親権のうち「監護教育権」を持ち、実際に子どもと一緒に暮らして日常の世話や教育を行う人のことです。

通常は親権者が監護者としての役割も兼任します。

しかし、法律上は親権から監護権を切り離して別々に定める「親権と監護権の分属」が可能です。

一方が親権者(主に財産管理権や身分行為の代理権を担当)となり、もう一方が監護者として日常の養育を担当する形をとることができます。

親権と監護権を分属させる仕組みは、親権の帰属をめぐる話し合いや調停をまとめるための解決策として活用される場合があります。

親権者と扶養者の違い

扶養者とは、経済的な援助が必要な親族に対して生活費などの支援を行う人を指します。

法律上の親権とは異なり、主に社会保険や税法上の文脈で用いられる概念です。

離婚後に母親が親権者となって子どもと同居し、父親が扶養者として子どもを自身の健康保険の被扶養者に入れ続けるといった運用もみられます。

被扶養者の認定は年齢ではなく、収入状況などの要件に基づいて判断されます。

離婚時の親権に関する話し合いと弁護士への相談

離婚時の親権に関する話し合いと弁護士への相談

親権者の決定において考慮される主な判断要素

離婚にあたって父母のどちらが親権者となるかを話し合う際、重視されるのは「子の利益と福祉」です。

父母双方の感情や希望だけでなく、子どもにとってどちらの環境で暮らすことが健全な成長につながるかが中心的な基準となります。

親権者の決定においては、父母の経済力だけでなく、これまでの監護実績や育児環境の継続性、今後の養育体制などが総合的に考慮されます。

具体的には、これまでにどちらが中心となって日常の育児を行ってきたかという監護の実績、離婚後に子どもの生活環境が大きく変わりすぎないかという継続性の原則、さらには実家のサポートなど監護を補助する環境の有無などが検討材料となります。

また、子どもの年齢がある程度達している場合には、本人の意向も重要な考慮要素とされます。

いずれか一方の性別だけで機械的に判断されるわけではなく、個別の事情に応じた総合的な判断が行われます。

協議が難航する場合の法的手続きと弁護士相談の意義

夫婦間の直接の話し合い(協議)で親権の合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を交えて話し合いを進めることになります。

調停でもまとまらない場合には、審判や裁判手続きへと移行し、裁判所が親権者を決定します。

裁判所での手続きにおいては、家庭裁判所調査官による家庭環境や監護状況の調査が行われることがあり、法的な基準に沿った主張や資料の提出が求められます。

親権をめぐる話し合いは感情的な対立に発展しやすく、当事者同士だけでは冷静な協議が難しくなることも少なくありません。

調停や審判の手続きの流れ、判断にあたって重視される事情などを正しく把握するためにも、早期に弁護士へ相談し、客観的な視点からアドバイスを受けることが有益です。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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