更新日:2026年3月4日 (水)

公開日:2022年4月3日 (日)

養育費調停の流れとは?申立手順や聞かれることを解説

養育費調停の流れとは?申立手順や聞かれることを解説 養育費調停の流れとは?申立手順や聞かれることを解説

サマリー

離婚時や離婚後に養育費の金額や支払い条件を巡って折り合いがつかない場合、家庭裁判所の養育費調停を通じて話し合いを進める方法があります。

しかし、調停がどのように進むのか、どのような準備が必要なのか分からず、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、養育費調停の概要や種類をはじめ、申立てから解決に至るまでの流れ、調停期日で確認されやすい事項や準備しておくべき書類について分かりやすく解説します。

養育費調停とは?話し合いの内容と3つの種類

養育費調停とは?話し合いの内容と3つの種類

養育費調停とは、当事者間の話し合いで養育費の取り決めができない場合に、家庭裁判所で調停委員の立ち会いのもと合意を目指す手続きです。

親には子どもの生活を保持する義務がありますが、離婚時や離婚後に金額や条件で対立が生じることがあります。

家庭裁判所では、調停委員が双方から個別に事情や希望を聴き取り、中立的な立場から客観的な資料などを踏まえて話し合いを進めます。

直接顔を合わせずに進める配慮もなされるため、感情的な対立を防ぎながら解決を図ることができます。

養育費調停で話し合う主な内容

調停では、養育費の金額だけでなく、将来のトラブルを防ぐために支払期間や方法などの具体的な条件についても細かく協議します。

主に話し合われる内容は以下のとおりです。

  • 養育費の支払いの有無
  • 毎月の支払金額(養育費算定表などを参考にした算出)
  • 支払期間(子どもが成人に達するまで、または大学等を卒業するまでなど)
  • 支払方法(毎月の口座振込、支払期日、一括など)

夫婦間の口頭での約束では「いつまで」「どのように支払うか」といった詳細が曖昧になり、後々の未払いトラブルに発展するケースも少なくありません。

調停を経ることで、具体的な取り決めを明確に残すことが可能です。

事情に応じて申し立てる3つの養育費調停

養育費調停は、離婚時に取り決める場合だけでなく、離婚後の生活状況や経済的事情の変化に応じて申し立てられることもあります。

主な種類と申立ての事情は次の3つに分類されます。

調停の種類 主な申立事情 手続きの概要
養育費請求調停 離婚時に取り決めをしていない、支払いが滞っている 新たに養育費の支払いや条件の確定を求める
養育費増額請求調停 子どもの進学・病気、受取側の減収、支払側の増収など 過去に取り決めた金額の引き上げを求める
養育費減額請求調停 支払側の失業・減収、再婚や扶養家族の増加など 生活状況の変化により支払額の引き下げを求める

養育費請求調停は、離婚時に金額を決めていなかった場合や、取り決め通りの支払いがなされない場合に申し立てを行います。

増額請求調停は、子どもの進学に伴う学費の増加や予期せぬ病気・事故の治療費、物価変動など、合意時点から事情が大きく変わった場合に認められる可能性があります。

ただし、過去に一括支払いで清算合意をしている場合などは、慎重に判断される傾向があります。

減額請求調停は、支払義務者の失業や病気による収入減、再婚による新たな扶養家族の増加などが理由となります。

なお、受取側が再婚した場合でも直ちに支払い義務が消滅するわけではありませんが、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合などは減額が検討されることがあります。

養育費調停の申立てから解決までの流れ

養育費調停は、家庭裁判所に申立てを行ってから期日での話し合いを重ね、合意や審判によって解決を目指す手続きです。

大まかな流れや期間の目安を把握しておくことで、落ち着いて準備を進めやすくなります。

家庭裁判所への申立てと必要書類の提出

養育費調停を申し立てる際は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または双方が合意で定めた家庭裁判所に申立書を提出します。

提出方法は、窓口への直接持参または郵送が一般的です。

申立てに必要な書類としては、養育費請求調停申立書とその写し(相手方送付用)、対象となる子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)が基本となります。

また、申立人自身の収入状況を示す源泉徴収票や給与明細、確定申告書の写しなども併せて提出します。

調停期日の決定と呼出状の送付

裁判所で申立書が受理されると、第1回調停期日の日程調整が行われます。

申立てから双方へ期日呼出状が届くまでに約2週間、実際の第1回期日が開かれるまでには申立てから1か月前後の期間を要することが一般的です。

期日呼出状には、指定された日時や集合場所、持参すべき書類などが記載されています。

相手方にも呼出状とともに申立書の写しが送付され、期日への出頭が求められます。

調停期日での話し合いと所要回数の目安

調停期日当日は、裁判官1名と調停委員2名(男女各1名)で構成される調停委員会が間に入ります。

当事者双方が同席して直接対決するのではなく、交互に調停室へ呼ばれて意見や希望を伝える形式で進められます。

1回の期日だけで合意に至るケースもありますが、双方の主張や提出資料の精査が必要な場合は、およそ1か月に1回のペースで第2回、第3回と期日が重ねられます。

調停成立と不成立時の審判手続きへの移行

双方が養育費の金額や支払方法について合意に達した場合、調停が成立し、その内容をまとめた「調停調書」が作成されます。

調停調書が作成されると手続きは終了となります。

一方で、主張の隔たりが大きく合意に至る見込みがない場合、調停は不成立(不調)となって終了します。

養育費調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続きへ移行し、提出された資料や双方の事情をもとに裁判官が妥当な養育費の金額を決定します。

養育費調停期日で確認されやすい質問と準備書類

養育費調停期日で確認されやすい質問と準備書類

養育費調停では、調停委員が双方の主張や事情を正確に把握するために、生活状況や収入に関するさまざまな質問を行います。

期日当日に落ち着いて対応できるよう、確認されやすい事項とそれぞれの根拠となる書類を事前に把握して準備しておくことが大切です。

希望する養育費の金額とその算出根拠

調停の場では、まず「毎月いくらの養育費を希望するか」という具体的な金額とその理由について質問されます。

単に希望額を伝えるだけでなく、子どもの生活を維持するためにどのような名目でいくらの費用が必要なのか、合理的な根拠を説明できるように整理しておく必要があります。

申立人および相手方の収入状況

養育費の金額を決めるにあたっては、支払う側と受け取る側の双方が得ている収入が基礎的な判断材料となります。

自身の収入状況を証明するために、源泉徴収票や確定申告書の控え、直近の給与明細書などの客観的な資料を準備して提出することが求められます。

確認される主な項目 準備する書類の例
給与所得者の収入状況 源泉徴収票(直近のもの)、給与明細書(直近数か月分)、課税証明書
自営業者の収入状況 確定申告書控、決算書、課税証明書
住居費や光熱費などの生活費 賃貸借契約書、光熱費の請求書・領収書、家計簿

子どもの教育費や生活状況に関する資料

基本的な生活費に加えて、習い事の月謝や塾代、私立学校への通学費用などが発生している場合は、その支出状況が確認されます。

通塾にかかる費用の明細や学校の納付金通知書、進学予定先の学費案内などの具体的な資料を用意しておくと、必要性を説明しやすくなります。

調停期日での質問にスムーズに回答できるよう、事前に生活費や教育費の領収書・明細書を整理しておくことが推奨されます。

養育費調停を進める際の弁護士への相談

養育費調停はご自身で申し立てて進めることも可能ですが、申立書の作成や必要書類の収集、期日への出席など、一定の労力と時間がかかります。

手続きの進め方に不安がある場合や、相手方との直接的なやり取りに精神的な負担を感じる場合は、弁護士への相談や依頼を検討することも一つの方法です。

手続きの負担軽減と書類準備のサポート

調停を申し立てる際には、申立書のほかに収入に関する証明書や戸籍謄本など、複数の書類を揃えて裁判所に提出する必要があります。

弁護士に依頼した場合は、申立書類の作成や提出の代行、裁判所との日程調整などを任せることができるため、日常生活やお仕事への負担を軽減しやすくなります。

また、調停期日に代理人として同席してもらうことで、法的な観点を踏まえた説明や冷静な話し合いを進めやすくなるという側面もあります。

算定表を踏まえた主張と証拠資料の整理

養育費の金額は家庭裁判所の「養育費算定表」を目安に話し合われるのが一般的ですが、特別にかかる教育費や医療費などがある場合は個別の考慮が必要になります。

こうした事情を調停委員に納得してもらうためには、領収書や進学先の資料など、客観的な証拠をもとに金額の妥当性を説明しなければなりません。

法律相談を利用することで、算定表を基準とした見通しや、増額・減額を求める際にどのような資料を提出すべきかについて具体的な助言を受けることができます。

養育費の取り決めで納得のいく合意を目指すためには、調停の早い段階から弁護士のアドバイスを活用して準備を整えておくことが役立ちます。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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