仮想通貨(暗号資産)でできた借金は自己破産できない?仮想通貨の取扱いを解説
ビットコインの取引など、仮想通貨の投資により負債を抱える方も少なくありません。仮想通貨取引が原因で借金を背負った場合も、自己破産できるのでしょうか?
ギャンブル性の高い行為により過大な債務を負担する行為は、免責不許可事由に該当するため、原則として免責が許可されません。しかし、仮想通貨取引が原因で多額の借金を抱えた場合でも、免責が認められるケースがあります。
この記事では、自己破産における仮想通貨の取り扱いについて、次のとおり解説します。
- 仮想通貨でできた借金は自己破産できない?
- 自己破産で仮想通貨は資産として取り扱われる
- 自己破産で仮想通貨は差し押さえの対象となる?
- 自己破産で仮想通貨を隠したらどうなる?財産隠しの危険性
- 仮想通貨の税金は自己破産で免除される?
- 仮想通貨でできた借金を自己破産できない場合はどうすればいい?
仮想通貨取引により抱えた負債について自己破産を検討中の方は、ぜひご参考になさってください。

仮想通貨が原因で消費者金融等から借金をした場合は、裁判所の裁量により破産が認められることがあります。
債務整理をすると借金を減額もしくは免除してもらえます。仮想通貨が原因の借金を返せない人は、一度弁護士にご相談ください。
目次
仮想通貨(暗号資産)でできた借金は自己破産できない?
仮想通貨取引でできた借金は自己破産できるのでしょうか?
ここでは、仮想通貨取引が免責不許可事由に該当するかどうかを解説します。
取引の内容によっては免責されない可能性がある
仮想通貨取引の内容によっては免責されない可能性があります。
自己破産を申立てても、必ず免責が許可されるわけではありません。債務者に破産法が定める免責不許可事由がある場合は、裁判所は免責の不許可を決定できるからです。
仮想通貨取引は射幸行為に該当する
免責不許可事由の一つに、浪費・ギャンブル、射幸行為(しゃこうこうい)が原因で多額の借金をした場合が含まれます。射幸行為とはギャンブル性が高い行為を指します。株やFX、先物取引などと同様に、投機性のある仮想通貨取引は射幸行為に該当します。
射幸行為そのものが免責不許可事由に該当するわけではない
仮想通貨取引そのものが免責不許可事由に該当するわけではありません。仮想通貨取引によって、著しく財産を減少したり多額の借金を抱えたりしたことが、自己破産する原因(支払不能)に至った場合に限られます。
したがって、仮想通貨取引があっても他の理由で支払不能に至った場合は、この事由に該当しません。
免責不許可事由に該当しても裁量免責を得られる可能性がある
仮想通貨取引が原因でできた借金があっても、裁量免責が認められる可能性があります。
裁判所は、破産に至った経緯や諸般の事情を踏まえて、裁量により免責を認めることがあるからです。これを裁量免責といいます。
裁量免責が認められる基準は法律で明確に示されていませんが、次のような事情を考慮して個別具体的に判断されます。
- 借金ができた経緯に同情する余地があるかどうか
- 免責不許可事由に該当する行為が軽微であるかどうか
- 破産者が真摯に反省しているかどうか
- 破産者が裁判所の調査や破産管財業務に協力的かどうか
- 生活態度や家計収支を改善しているかどうか
自己破産で仮想通貨(暗号資産)は資産として取り扱われる
ここでは、自己破産における仮想通貨の取扱いについて解説します。
仮想通貨の残高を裁判所に申告しなければならない
仮想通貨は、自己破産において資産として取り扱われます。そのため、自己破産の申立時には、保有している仮想通貨の残高を裁判所に申告しなければなりません。
仮想通貨の評価方法は開始決定時の時価を基準とする
仮想通貨のレートは日々変化するため、破産手続きにおいては、破産手続開始決定時の時価を基準として評価します。
自己破産で仮想通貨(暗号資産)は差し押さえの対象となる?
ここでは、破産手続きにおいて仮想通貨が強制的に処分されるかどうかを解説します。
現行法では仮想通貨を差し押さえできない
借金を長期間滞納すると、債権者が債務者の財産を差し押さえることがあります。
仮想通貨等の暗号資産も強制執行の対象となり得ますが、実際には仮想通貨が差し押さえられるケースはほとんどありません。債務者が秘密鍵を管理している限り、債務者は差押命令に違反して差し押さえられる前に仮想通貨を移動できるからです。
現行法では、債務者や取引所に秘密鍵を強制的に開示させる方法がないため、実効性のある強制執行を行うことが困難です。
破産手続きでは仮想通貨の残高相当額が破産財団に組み入れられる
自己破産においては、仮想通貨の時価が20万円を超える場合は、原則として換価処分の対象となります。
破産管財人が取引所を通じて仮想通貨を売却して現金を回収し、債権者に配当します。
破産管財人は、破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産の管理処分権限があるため、債務者は破産管財人に秘密鍵を開示しなければなりません。
破産手続開始決定時点の時価相当額を管財人に支払うことにより、例外的に仮想通貨そのものは売却せずに済むこともあります。
自己破産で仮想通貨(暗号資産)を隠したらどうなる?財産隠しの危険性
ここでは、自己破産で仮想通貨を隠した場合のリスクを解説します。
財産隠しは免責不許可事由に該当する
財産隠しは免責不許可事由に該当します。
仮想通貨の存在を隠すだけでなく、仮想通貨の時価が暴落した時期に売却する行為があると、免責許可が下りない可能性があります。
財産を隠しても、裁判所や破産管財人の調査でばれるので、財産隠しは絶対にしないようにしましょう。
財産隠しが悪質な場合は詐欺破産罪として罰せられる可能性もある
財産隠しが悪質な場合は、詐欺破産罪として罰せられる可能性があります。
詐欺破産罪が成立して罪に問われた場合は、以下のいずれかもしくは両方が科せられることもあります。
- 1ヶ月以上10年以下の懲役
- 1,000万円以下の罰金
仮想通貨(暗号資産)の税金は自己破産で免除される?
ここでは、自己破産における税金の取扱いについて解説します。
自己破産しても税金の支払義務は免除されない
自己破産しても、税金の支払義務は免除されません。税金以外に借金がない場合は自己破産できません。
仮想通貨で利益を得た場合、申告・納税が必要です。利益が大きければ大きいほど税金の額も高額になります。納税時に仮想通貨の価値が暴落していた場合、現金化しても税金が払えず自己破産もできない事態に陥ってしまう可能性も十分にあり得ます。
税金が支払えない場合は税務署や区役所に分納・納付猶予を相談する
税金が払えない場合は、なるべく早く税務署に分納・猶予を相談しましょう。
税金を滞納すると、滞納した翌日から延滞税・延滞金が発生します。長期間滞納した場合は、財産を差し押さえられる可能性があります。
仮想通貨(暗号資産)でできた借金を自己破産できない場合はどうすればいい?
ここでは、仮想通貨でできた借金が自己破産で免責されなかった場合の対応策を解説します。
任意整理の利用を検討する
自己破産で免責が得られない場合は、任意整理を検討しましょう。
任意整理は、裁判所を通さず、債権者と交渉して利息のカットや返済期間の延長により借金を減額する手続きです。
個人再生の利用を検討する
個人再生は、裁判所を介して借金を概ね5分の1に減額する制度です。任意整理による減額幅では完済が見込めない場合は、個人再生を検討しましょう。
個人再生では、借金の原因を問われないため、自己破産で免責が得られなかった場合も利用できます。
裁判所に再生計画が認められれば、減額後の借金を原則3年(最長5年)で返済することで、残りの借金が免除されます。
まとめ
仮想通貨が原因で借金した場合でも、自己破産できます。
ただし、仮想通貨の税金が払えないケースでは、税金以外に借金がなければ自己破産できません。
仮想通貨でできた借金を理由に自己破産を申立てても、取引の内容や時期によっては、免責が得られない可能性もあります。そのような場合は、裁量免責が認められるように努力する必要があります。
弁護士に依頼すれば裁量免責が得られるようサポートしてもらえます。仮想通貨による借金があっても、自己破産を諦める必要はありません。
仮想通貨で借金を抱えて自己破産を検討中の方は、お気軽に当事務所にご相談ください。