私選弁護人と国選弁護人の違い|私選弁護人のメリットとは?

刑事事件の弁護人には当番弁護士、国選弁護士の他に私選弁護人という制度があります。この記事では各弁護人の概要について触れつつ、私選弁護人のメリット・デメリットについて解説します。

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私選弁護人・国選弁護人・当番弁護士とは?

刑事事件の弁護人には私選弁護人・国選弁護人・当番弁護士があります。それぞれどのようなものか、簡単に解説します。

私選弁護人とは?

私選弁護人とは、依頼者本人あるいはその家族や友人が数多くの弁護士の中から自分で選ぶ弁護士です。その弁護士と委任契約を結び、委任契約に基づき弁護士費用を支払い、刑事事件の弁護活動を行います。

選任方法

依頼したい事件を数多く手掛けている弁護士をネット等で検索し、相談の予約を取り相談に行きましょう。

各弁護士会の作成した名簿を見て、自宅あるいは警察署に近い事務所の弁護士に相談行く方法もあります。

弁護士も依頼者もお互い人間であるため、合う合わないがあります。弁護士費用も自分が支払える金額か確認しましょう。実際に複数の弁護士と話をしてみて、自分と合う弁護士を見つけたら私選弁護人の依頼をしましょう。

国選弁護人とは?

国選弁護人とは、国が選任する弁護士のことです。事前に準備された弁護士の名簿の中から国がランダムに選ぶため、どのような弁護士が選任されるかわかりません。

刑事事件に不慣れな弁護士やあまり熱心ではない弁護士が選ばれる可能性もありますが、刑事事件に熱心で慣れている弁護士が選ばれる可能性もあります。

国選弁護人が選任される要件

国選弁護人は国が選ぶので、弁護士報酬も国が支払います。本来ならば被疑者・被告人自身が支払うべき弁護士費用を国が代わりに支払うため、刑事事件で国選弁護人を選任してもらうためには以下4つの要件を満たしていなければなりません。

  • 現金や預貯金などの合計資産が50万円に満たないこと
  • 勾留状が発付されていること
  • 勾留状が発付されていなくても起訴されたこと
  • 外に選任された弁護人がいないこと

言い換えると以下のようになります。

  • 合計資産が50万円以上あると国選弁護人は選任されません。
  • お金が無くても勾留されていない被疑者には国選弁護人は選任されません。
  • 合計資産が50万円に満たない被疑者が起訴された場合には、在宅事件でも国選弁護人が選任されます。
  • 外に選任された弁護人がいる場合には国選弁護人は選任されません。

刑事訴訟法第37条の2 被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りではない。

引用:e-GOV法令検索

国選弁護人の詳細は、以下の記事をご参照ください。

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当番弁護士とは?

当番弁護士とは、被疑者が留置・勾留されている場合に、被疑者やその家族等からの依頼により接見に行く当番になっている弁護士のことです。被疑者が逮捕されると捜査機関による取り調べを受けます。被疑者は取り調べに対してどのように回答すべきか等の法的な知識がほぼありません。そのような被疑者のために、身柄が拘束されている間に1回だけ無料で相談にのってくれる(接見に来てくれる)弁護士が当番弁護士です。

当番弁護士に依頼できる期間および回数

当番弁護士に依頼できる期間および回数は以下のとおりです。

  • 身柄が拘束されている期間であること
  • 身柄拘束中に1回だけ

言い換えると、在宅事件の場合、捜査機関から呼び出されて取り調べを受けるときには当番弁護士を呼べません。当番弁護士を呼べるのは1回だけのため、身柄拘束されてすぐに当番弁護士を呼んで接見してもらうと、その後身柄拘束が続いても再びは呼べません。

当番弁護士の詳細は、以下の記事をご参照ください。

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刑事手続きの流れおよび私選弁護人と国選弁護人の違い

刑事事件の手続きの流れに沿って、私選弁護人と国選弁護人の違いについて解説します。

刑事手続きの流れ

刑事手続きの流れを簡単に説明します。

事件発生

事件発生時点では捜査機関にはまだ知られていません。この時点で自首をすれば刑が減軽される可能性があります。

刑法第42条第1項 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

引用:e-GOV法令検索

事件発覚

被害者や目撃者の通報等により捜査機関に事件が伝えられ、事件が発覚します。捜査機関に事件が発覚した後に出頭しても、自首ではありませんが良い情状とされます。

逮捕

事件が発覚し、捜査機関が捜査をした結果、被疑者が逮捕されます。

逮捕後の流れ

逮捕後の流れは下図をご確認ください。

逮捕されるとすぐに捜査機関からの取り調べがあります。

取り調べの結果そのまま身柄拘束される場合(身柄事件)と、釈放される場合(在宅事件)があります。逮捕勾留には身柄拘束の要件が必要なので、要件に該当しない場合には釈放され、在宅事件となります。

在宅事件となった場合

逮捕後すぐに釈放され在宅事件となった場合、釈放後に当番弁護士は呼べません。在宅事件のまま事件が進行した場合、起訴されるまでは国選弁護人も選任されません。

逮捕後すぐに当番弁護士に接見してもらった場合を除いて、逮捕から起訴されるまで、一度も弁護士に相談できずに取り調べが進む可能性があります。

在宅事件となった場合には、起訴後にやっと国選弁護人を選任してもらえます。日本の刑事裁判では、起訴されると99.9%が有罪となります。在宅事件になったと安心して何もしないでいると、起訴され前科が付く可能性があります。

在宅事件になった場合には釈放後すぐに私選弁護人に依頼しましょう。早期に示談交渉等の弁護活動を開始してもらえば、不起訴で終わる可能性があります。

身柄事件となった場合

逮捕から48時間以内に警察は事件を検察官に送致します。検察官は送致後24時間以内に裁判所に勾留請求するか釈放するか決定します。逮捕から裁判所が勾留決定をするまでの最大72時間のうち1度だけ当番弁護士を呼べます。

逮捕後の取り調べは、その後の流れを左右する重要な期間です。捜査機関は被疑者から自白を得ようと少々強引になっても取り調べをします。被疑者は捜査機関による取り調べにどのように回答したらよいか不安を抱えています。当番弁護士によるたった1度の接見でその不安を全部解消することはほぼ不可能です。

なお、身柄事件になっても勾留決定されるまでは国選弁護人は選任してもらえません。逮捕後の一番不安な時に選任できるのは私選弁護人だけです。

私選弁護人に依頼すれば、取り調べ中何度でも接見に来てもらえます。取り調べへの対処方法のアドバイスや、被害者との間の示談交渉等、早期の身柄開放を目指し不起訴を獲得するために私選弁護人は弁護活動をします。

依頼できる時期の比較

私選弁護人、および国選弁護人はいつから依頼できるのでしょうか?

国選弁護人

被疑者が国選弁護人に依頼できるのは、検察官が勾留請求をし、裁判所で勾留決定が出された時以降です。勾留決定がされた場合、国選弁護人選任条件を満たしていれば国選弁護人を選任してもらえます。

私選弁護人

私選弁護人は、いつ依頼しても構いません。刑事事件を起こした後すぐ、警察に事件が発覚する前の依頼も可能です。

警察に事件が発覚する前に依頼し、弁護士に自首同行してもらい、取り調べ中警察署で待機してもらいましょう。取り調べ中不明な点がある場合には取り調べを途中で中断し、弁護士に相談することができます。弁護士が同行すると、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが無いと判断してもらえ、身柄拘束されずに済む可能性があります。

被害者の連絡先が判明している場合には、警察に事件が発覚する前に被害者との間で示談交渉をしてもらうために弁護士への依頼も可能です。被害者が被害届を提出する前に示談交渉し示談が成立した場合や、被害届の提出後速やかに示談交渉して示談が成立し被害届を取り下げてもらった場合には、逮捕される前に事件が終了する可能性があります。

警察から呼び出された場合、出頭前に弁護士へ依頼もできます。取り調べ前に弁護士に相談し、取り調べや供述調書に関するアドバイスをもらうことは今後の流れに大きな影響を与えます。事務所によっては出頭に同行してもらえます。

依頼できる条件について

国選弁護人を依頼できる条件は前述したとおり、資力要件に加えて、被疑者であれば勾留されていること、勾留されていない場合には起訴されていることです。

私選弁護人に依頼できる条件は、弁護士費用が支払えることです。着手金は依頼後すぐに一括での支払いがほとんどですが、報酬金は分割払いでも良いとしている事務所もあります。但し、被害者がいる犯罪の場合には、被害者に支払う示談金も準備しなければなりません。示談金は一括払いが原則です。弁護士に相談するときには、示談金として別途いくらくらい準備すべきか併せて確認しましょう。

日本の刑事裁判では、起訴されてしまうと99.9%が有罪となります。前科を付けないため不起訴の獲得が重要です。そのためには事件後早期に私選弁護人への依頼をお勧めします。

国選弁護人の選任方法

国選弁護人の選任方法について簡単に説明します。勾留中の被疑者あるいは被告人が国選弁護人選任要件に合致している場合に、裁判所が弁護人を付す旨の決定をし、日本司法支援センター(法テラス)へ国選弁護人の人選を求めます。法テラスは名簿に記載されている弁護士の中からランダムに1名を選びます。裁判所がそれに基づき弁護人を決定し、選任されます。

弁護活動内容の比較

国選弁護人は、名簿に記載された弁護士の中からランダムに選任されます。そのため、刑事事件に不慣れな弁護士が選任されることもあります。刑事事件に不慣れな弁護士の場合には、対応が後手に回ってしまう可能性があります。早期に私選弁護人に依頼して弁護活動をしていたら不起訴で終了したかもしれないという可能性もあります。

国選弁護人の弁護士費用は国が支払います。国が税金で賄うため、私選弁護人を依頼した時に支払う弁護士費用は不要です。

国から支給される報酬の範囲内で弁護活動をしようとすると、例えば交通費がかかるため接見に行く回数が制限される、示談交渉するために被害者宅へ赴くことが困難になる等、弁護活動が制限される可能性があります。被疑者のために熱心に活動すると赤字になってしまうため、国選弁護人はなかなか熱心に弁護活動ができない状況があります。

私選弁護人であれば、弁護士費用は依頼者に負担していただくため、被疑者から接見要望がでた場合にも、時間の許す限り早急に駆けつけられます。示談交渉のために被害者宅へ何度も赴き、交渉を重ねられます。

刑事事件に慣れている弁護士に依頼できるため、各状況下で最適な弁護活動を行います。

弁護士費用の比較

国選弁護人は国が選任するため、勾留中の被疑者あるいは被告人は原則費用を負担することはありません。

私選弁護人は被疑者・被告人あるいはその家族や友人が多数の弁護士の中から依頼したいと思う弁護士を選んで依頼するため、それぞれの法律事務所で決めている費用に基づき弁護士費用を支払います。そのため、高額な費用が予想されます。

国選弁護人と比較した場合の私選弁護人のメリット・デメリット

国選弁護人と比較した場合の、私選弁護人のメリットおよびデメリットについて解説します。

私選弁護人のメリット

私選弁護人を依頼するメリットについてご案内します。

依頼者が自由に選べる|刑事事件に精通した弁護士を選べる

国選弁護人は国が選任するため、依頼者が自由に選べません。それに対して私選弁護人は、数多の弁護士の中から自分に合った弁護士を選べます。

また、国選弁護人は選任後、自分に合わない、熱心に弁護活動をしてくれているように見えない等の理由があっても勝手に解任できません。私選弁護人は自分で選んだため、解任も自由にできます。途中で弁護士の弁護方針と自分の意見が合わなくなったなどの場合には解任し、他の弁護士に依頼しなおせます。

逮捕・勾留前でも依頼できる|早期解決につながる

事件後すぐに依頼し、被害者との示談交渉ができれば、逮捕されずに事件が解決する可能性もあります。逮捕後に依頼すると、取り調べ中に何度でも接見に来てもらうことも可能です。

勾留前に依頼し、勾留を阻止する弁護活動をしてもらえば、勾留前に身柄を解放してもらえる可能性があります。勾留前に被害者との間で示談が成立すれば、勾留前に事件が終了する可能性もあります。

勾留されてしまった場合でも、早期に示談交渉が始まっていれば、検察官が起訴不起訴の判断をする前に示談が成立し、不起訴で終わる可能性があります。

状況報告をしてくれる

私選弁護人に依頼すると、依頼者本人の意思を確認し、家族等に状況の報告をします。国選弁護人は家族等に状況報告をする義務がないので、報告をしてもらえないことが多々あります。家族が知らないうちに起訴され、実刑判決になり刑務所に収監されたという事態もありえます。

独り暮らしの依頼者のペットについても配慮してもらえる

逮捕された独り暮らしの方の中には、自宅で飼っているペットの心配をされる方がいらっしゃいます。ペットは大事な家族です。私選弁護人の場合には、被疑者・被告人の自宅のカギを受け取りペットの様子を確認し、ペットホテル等に託すための手配をする等の行為も委任契約の範囲としてくれる場合もあります。相談時にペットに関する要望を伝え、費用がいくらになるのかを確認しましょう。

釈放後も弁護活動をしてもらえる

被疑者段階の国選弁護人選任の条件は、被疑者の勾留です。国選弁護人の弁護活動により、被疑者の身柄が解放された場合には、国選弁護人は解任されます。

私選弁護人に依頼すると、弁護活動の結果勾留されていた被疑者の身柄が解放されても、当然には業務終了になりません。被疑者の不起訴を目指し、被疑者の起訴不起訴が決定するまで弁護活動を続けます。

いつでも解任できる

国選弁護人は資産の無い被疑者・被告人でも刑事事件で必要な弁護を受けられるように国が弁護士費用を負担して付けてくれる弁護人です。そのため、気が合わない弁護人や、弁護活動をあまり熱心にやってくれない弁護人であっても被疑者・被告人による解任はできません。

私選弁護人は、依頼者が自由に選べ、自由に解任できます。

私選弁護人のデメリット

国選弁護人と比較した場合の私選弁護人のデメリットはどのようなものがあるでしょうか?

弁護士費用が高い

私選弁護人のデメリットは、とにかく弁護士費用が高額な点です。国選弁護人に支払う弁護士費用は国が負担します。そのため判決で訴訟費用を支払えと言い渡されない限り、原則支払う費用はありません。

私選弁護人を依頼する場合、弁護士報酬や実費等、すべて依頼者の負担となります。刑事事件は、弁護士がすべきことが多くありますが、それに対して活動できる時間が非常に短いです。勾留されないようにするためには逮捕後最大72時間しかありません。起訴されないようにするためには逮捕後の72時間に加え、最大20日間しかありません。

まとめ

私選弁護人に依頼した場合の弁護活動やメリットについて、国選弁護人と比較しながらお伝えしました。刑事事件を起こしてしまった場合にはまずは私選弁護人に依頼することを検討することをおすすめします。

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