示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説
刑事事件の示談交渉は、被害者への謝罪と損害賠償を行う重要な手続きです。
示談が成立すると、加害者の刑事処分に影響が及ぶ場合もあり、加害者にとって示談成立の有無が今後を左右する可能性もあります。
しかし、示談交渉を進めるタイミングや方法を誤ると、被害者の処罰感情が高まったり、適正な条件で合意が得られなかったりするリスクも否定できません。
この記事では、示談交渉のメリットや具体的な流れ、刑事事件の示談金の相場の目安、弁護士が果たす役割などを整理しながら、自分で示談を行う際に知っておくべきリスクや注意点についても詳しく解説します。
被害回復と真摯な謝罪をもって、適正な解決を目指すための参考にしてください。
目次
刑事事件における示談交渉の意味と重要性
刑事事件の示談交渉は、被害者の損害回復と加害者の刑事処分に影響を与える重要な手続きです。
示談は加害者と被害者の合意により、金銭的・精神的な被害回復を図る手続きですが、その目的は単なる金銭のやり取りにとどまりません。刑事事件に発展している以上、被害者は強い処罰感情を抱いていることが多く、その感情を少しでも和らげるためには、誠実さと適切な配慮が大切です。
刑事事件の示談交渉とは
刑事事件の示談交渉とは、加害者と被害者が金銭賠償や謝罪の方法などについて話し合い、民事上の紛争(損害賠償問題)を解決するための和解契約です。
これは刑事処分を直接的に消滅させるものではありませんが、被害者の許しを得ることで、検察官の起訴・不起訴の判断や裁判での量刑判断にプラスの影響を与える可能性があります。事件によっては、示談交渉のタイミングや対応次第で、その後の手続きに差が出るため、慎重な準備と正確な理解が必要です。
被害者の宥恕の意思とは
被害者の宥恕(ゆうじょ)の意思とは、被害者が加害者を許す姿勢や態度を示すことを指します。
実際の手続きでは、示談書に宥恕条項を盛り込んだり、被害者が被害届の取下げをしたりすることによって、被害者が処罰感情を和らげているとみなされるケースがあります。加害者にとっては不起訴処分獲得や量刑軽減の要素として評価されるため、この被害者の宥恕を得ることが重要です。
刑事事件における示談成立の5つのメリット
刑事事件における示談成立のメリットは、次の5つです。
- 捜査機関の事件発覚を回避|被害届提出前・告訴前の場合
- 逮捕・勾留の必要性がないとの判断と早期の身柄釈放
- 不起訴処分の獲得
- 裁判での量刑の軽減
- 被害者からの民事訴訟回避
被害者の感情や意思を尊重し、できるだけ早期に示談成立を実現することで、得られるメリットも大きいでしょう。
ただし、示談成立のタイミングや交渉姿勢によっては、被害者の感情を逆なでする場合もあり得ます。最終的にメリットを得るためには、誠意をもって被害者に対応し、詳細な条件や書面をきちんと整えたうえで手続きを進めることが欠かせません。
捜査機関の事件発覚を回避|被害届提出前・告訴前の場合
被害届が提出される前や告訴される前に示談が成立すると、そもそも捜査機関に事件が発覚しない、もしくは発覚しても事件として扱われない場合があります。
事件化を避けたい場合や周囲への影響を最小限にとどめたい場合には、被害者の対応が比較的柔軟な段階で早期に合意を目指すことが重要です。
ただし、非親告罪(被害者や告訴権者からの告訴がなくても、検察官が起訴できる犯罪のこと)の場合には、示談が成立しても、事件化される可能性は残ります。
逮捕・勾留の必要性がないとの判断と早期の身柄釈放
既に捜査機関が介入している場合でも、示談の成立は逮捕・勾留の必要性がないとの判断に繋がる可能性があります。
示談が成立し、被害者の被害感情が解消されていると判断されると、警察や検察は、加害者を身柄拘束する必要性が低いと判断し、逮捕せず在宅捜査としたり、既に逮捕されている場合には勾留請求を見送ったりと、逮捕・勾留の回避に繋がる可能性が高まります。
既に逮捕・勾留されている場合でも、被害者との示談が早期にまとまれば、身柄の解放が期待できます。
不起訴処分の獲得
示談が成立すると、検察官が被害者の意向を考慮して不起訴処分を下す可能性が高まります。特に、初犯や比較的軽微な犯罪の場合は、示談内容や反省の態度が理由となり、不起訴になるケースも少なくありません。不起訴処分になれば前科はつかないため、社会復帰の負担を軽減できます。
裁判での量刑の軽減
起訴後でも、裁判の前や途中で示談が成立すると、判決において量刑が軽減される可能性が高まります。示談の有無が量刑に影響を与える場面は少なくないため、一日でも早く示談を成立させることが望まれます。
被害者からの民事訴訟回避
示談が成立し、示談書のなかで「本示談をもって、本件に関する一切の民事上の請求を相互に行わないことを確認する。」旨(清算条項)が書かれていれば、後に被害者からの訴訟が起こされるリスクが減少します。
刑事事件の示談交渉の流れ|【STEP5】
示談交渉のプロセスは大きく次の5つのステップに分けられます。

それぞれで注意すべきポイントについて解説します。
STEP1|被害者との連絡
示談交渉を開始するためには、被害者と連絡を取る必要があります。
しかし、刑事事件に発展している場合、捜査機関が被害者の個人情報を教えないことが多いため、加害者本人が直接連絡を取るのは難しいことが少なくありません。
被害者と連絡が取れなければ何も始まりませんから、直接交渉が難しい場合は弁護士を通じて示談交渉をすることを検討しましょう。
そもそも、刑事事件で加害者本人が自分で示談交渉を行うこと自体おすすめできません。
不起訴処分獲得を目指すのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。

STEP2|示談金や条件の交渉
示談金の額や支払方法、その他の誓約事項などについては、双方が納得できるラインを探りながら落としどころを見つけます。
事件の内容や被害者の感情により、示談金の幅は変動するため、相場を参考にしながらも個別事情を重視しなければなりません。ここで相手の気持ちを蔑ろにすると、示談自体が難航することがあるため、慎重なコミュニケーションが不可欠です。
示談成立のためには、被害者の感情をどれだけ汲み取れるかがポイントになります。
STEP3|示談書の作成と署名
話し合いで合意に至った内容は、示談書の形で書面化するのが一般的です。
示談書には、示談金の額や支払期限、謝罪方法、最終的な合意事項が明確に記載されます。署名押印してお互いに原本を保管することで、合意内容を後から覆されるリスクを減らします。
STEP4|示談条件の履行
示談書に記載された支払い期限やその他の誓約事項を守って、速やかに条件を履行することが重要です。もし、支払いが滞ったり不誠実な対応をしたりすれば、被害者の感情が再び悪化するでしょう。示談成立後は、誠実な姿勢を見せることで被害者の不安や不満の再燃を防ぐ効果が期待できます。
STEP5|検察・裁判所への提出
示談がまとまったら、弁護士を通じて検察や裁判所に示談書を提出することで、処分や量刑の判断材料として活用してもらえます。
示談が成立している事実は、処罰感情の緩和の証拠となり、起訴猶予や量刑軽減の重要な要素になります。迅速に提出し、できるだけ早い段階で事情を説明することで、被疑者・被告人にとって有利な結果を得る可能性が高まるでしょう。
刑事事件の示談交渉を行う適切なタイミング
示談交渉の開始時期はなるべく早いほうが望ましいとされますが、事件の態様や手続きの状況によって最適なタイミングは異なります。
逮捕や捜査が進む前に示談交渉ができれば、被害届が出されずに事件が表面化しない可能性もあります。すでに逮捕・勾留されている状況でも、早期示談が成立すれば身柄の開放や不起訴処分を期待できるため、家族や周囲のサポートを得ながら行動することが重要です。時間の経過とともに被害者の処罰感情が固定化されることもあるので、できるだけ早いアプローチを目指すのが無難です。
とはいえ、被害者がすぐに示談を望まないケースや、状況を冷静に判断するために時間を置きたい場合も考えられます。あまりに焦って接触を続けると、逆に被害者の感情を悪化させるおそれがあります。相手の都合を尊重しつつ、状況に合わせてベストなタイミングを探ることが大切です。
身柄事件の場合
逮捕・勾留中の段階でも、弁護士を介して被害者との示談交渉を進めることは可能です。逮捕・勾留中に示談が成立することで、早期の身柄解放につながることがあります。
勾留されている場合は、原則として勾留後最大20日以内(勾留期間10日間+勾留延長期間10日間)に、検察官は起訴・不起訴の決定をしなければいけません。つまり、勾留決定から20日以内に示談が成立していない場合には、起訴・不起訴の決定に対する影響が限定的になる可能性もあるため、早めの行動が推奨されます。
在宅事件の場合
在宅事件の場合、身柄拘束されません。
したがって、起訴・不起訴が決まる前に示談を成立させれば、不起訴が見込まれるほか、裁判になった場合でも量刑面で有利に働くことがあります。示談の進捗状況をチェックしながら、捜査機関や検察官の動向を見極めることが重要です。
刑事事件の示談金相場と算定のポイント
示談金は、事件の内容や被害の程度、被害者の処罰感情などで変動します。
事件の類型によって相場はありますが、同じ種類の犯罪でも、被害者の心情や加害者の反省度合いによって金額が上下することは珍しくありません。
相場はあくまで目安に過ぎないため、個別事情を反映して金額を設定することが重要です。
刑事事件の示談金相場|【17の犯罪種類別】
17の犯罪種類別示談金相場は、下表のとおりです。
以下の金額は一般的な目安です。実際の示談金は、事件の内容、被害者の被害状況、反省の態度など個別事情によって変動します。
| 犯罪種別 | 相場目安 |
|---|---|
| 暴行罪 | 10万円~30万円 |
| 傷害罪 | 10万円~100万円 |
| 窃盗罪 | 被害額+5万円~20万円 |
| 強盗罪 | 被害額+20万円~50万円 |
| 詐欺罪 | 被害額+20万円 |
| 横領罪 | 被害額+20万円 |
| 恐喝罪 | 被害額+20万円 |
| 器物損壊罪 | 修理費または時価 |
| 住居侵入罪 | 10万円~20万円 |
| 名誉毀損罪 | 10万円~100万円 |
| 侮辱罪 | 5万円~10万円 |
| 公然わいせつ罪 | 10万円~50万円 |
| 淫行(みだらな行為) | 10万円~30万円 |
| 盗撮 | 10万円~50万円 |
| 痴漢 | 30万円~100万円 |
| 不同意わいせつ罪 (旧強制わいせつ) | 50万円~100万円 |
| 不同意性交等罪 (旧強制性交等) | 100万円~300万円 |
示談金は加害者が真摯に謝罪し、誠意を見せる一つの形ともいえます。
ただし、被害者が不相当に高額な示談金を要求する場合には、その根拠を確認し、必要に応じて弁護士を通じて交渉することが大切です。

被害の度合いや被害者の処罰感情と示談金の関連性
被害者の処罰感情が強く、事件の重大性が高いほど、示談金の要求額は高額になる傾向があります。
しかし、できるだけ早い段階で謝罪や誠意ある対応を示すことによって、金額が抑えられる可能性もあります。被害者の気持ちをいかに尊重しながら交渉を進めるかが、示談金の最終的な額を左右するポイントとなります。
示談拒否された・示談がまとまらない!示談できない場合の対処法
被害者が示談を拒否したり、そもそも連絡がつかなかったり、あるいは交渉はしたけれど示談がまとまらなかったりする場合には、別の手段を検討しなければなりません。
加害者本人の交渉で示談ができなかった場合でも、弁護士が介入することで、被害者の意向が変わることもあります。しかし、被害者の処罰感情が極めて強く、弁護士が介入しても交渉が難航・決裂に至る場合もあります。
この場合には、最終手段として、以下の2つの方法があります。
- 供託する
- 贖罪寄付する
以下、詳しく解説します。
供託する
供託(きょうたく)とは、被害者が示談金や賠償金の受け取りを明確に拒否しているなどの理由で直接支払いが不可能な場合に、法務局に金銭(供託金)を預ける制度です。
示談が、当事者間の合意を必要とするのに対し、供託は加害者側の一方的な意思表示のみで実行可能です。これにより、被害者の意向に関わらず、加害者は支払いに向けた行動を起こせます。
供託が受理されると、加害者には事実上、弁済したのと同様の効果が認められます。さらに、「被害回復のために最大限の努力をした。」という意思を検察官や裁判官に示せます。
ただし、供託は、示談成立と完全に同等とは評価されません。
その決定的な違いは、被害者の【宥恕(ゆうじょ)=許し】の有無にあります。供託では、被害者の怒りや処罰感情が解消されたわけではありません。そのため、供託は努力の証明にしかなり得ず、示談が困難な状況における最終的な防御手段として位置づけるべきです。
贖罪寄付する
贖罪寄付(しょくざいきふ)とは、事件によって生じた罪を償う意思を具体的に示すため、各地の弁護士会などの公益団体に寄付を行う行為です。
この手段は、被害者が存在しない犯罪(例えば、薬物事案など)や、被害者の連絡先が不明で供託を行うための情報もない場合に検討します。
贖罪寄付は、被害者への直接的な賠償にはなりませんが、反省と謝罪の意思を表明する情状資料として評価されます。弁護士を通じて寄付を行い、その証明書を検察官や裁判官に提出します。贖罪寄付は、示談や供託が不可能な場合の次善の策であり、加害者の真摯な反省態度を裏付ける材料となります。

示談したのに・示談金払ったのに起訴される場合も!
示談が成立しても、刑事事件では起訴される可能性が残ります。
示談は不起訴処分を目指すうえで有力な材料にはなりますが、あくまで要素の一つに過ぎず、万能ではありません。
刑事事件において、加害者を裁判にかける(公訴を提起する)か否かの最終的な決定権を持つのは、被害者ではなく検察官だけ(起訴独占主義)です。被害者と加害者の間で示談が成立し、被害者が処罰を望まない(宥恕)意思を表明したとしても、これはあくまで検察官の判断を左右する有利な情状の一つに過ぎません。
刑事事件は、単なる個人間の賠償問題を解決する民事紛争と異なり、社会全体の秩序維持と規範意識の確立という国家的な機能を担っています。
したがって、特に次の事情がある場合には、検察官は訴追の必要性があると判断し、起訴に踏み切る可能性があります。
- 犯罪の悪質性・重大性:殺人、強盗など犯罪の結果が極めて重大である場合
- 常習性・反復性:常習性が認められる場合、前科・前歴がある場合
- 社会的影響:事件が世間に広く報道され、社会的な非難が高まっている場合
示談は不起訴の可能性を高めますが、事件の性質によっては弁護士を通じた徹底した再犯防止策の提示など、示談以上のプラス材料が必要となります。

弁護士なしで自分で示談交渉を進めるリスク
費用面での負担を考えると、弁護士を通さずに示談交渉を試みる方もいるかもしれません。
しかし、弁護士なしで自分で示談交渉を進めることには、次の5つのリスクが伴います。
- 被害者の連絡先がわからない・交渉を拒否される
- 被害者の処罰感情を高める
- 適切な示談書が作成できない
- 相場からかけ離れた高額な示談金を強いられる
- 起訴・不起訴の決定までに示談成立できない
以下、詳しく解説します。
被害者の連絡先がわからない・交渉を拒否される
刑事事件では、被害者の連絡先がそもそもわからないことが多く、自分で交渉しようとしても被害者と接触できない可能性があります。
通常、被害者の個人情報は厳格に保護されているため、加害者自身で連絡先を知るのは困難です。警察や検察官は、被害者のプライバシーと安全を保護するために、加害者やその家族に対しては、被害者の情報を教えません。
もちろん、被害者本人やそのご家族も、加害者と直接対面することは拒むでしょう。
そのため、示談交渉の入り口にすら立てない事態が発生します。
仮に連絡が取れたとしても、交渉自体を拒否されるケースも多いです。
弁護士であれば、被害者の連絡先を秘匿扱いすることを前提として、捜査機関を通じ、連絡手段を確保できる可能性が高いです。弁護士なしで自分で直接交渉を持ちかけた際に、被害者から交渉を拒否されると、その後の関係修復がさらに難しくなるおそれがあります。
被害者の処罰感情を高める
謝罪の仕方や示談金の提示の仕方が不適切だと、被害者の感情を刺激してしまい逆効果になるケースがあります。
特に、言葉選びを間違えると「反省していない。」と思われる可能性が高くなります。心からの謝罪を伝えるためには、相手を思いやる姿勢と正確なコミュニケーション手法が欠かせません。
適切な示談書が作成できない
示談書は、示談交渉で合意した内容を明確にするための重要な書面であり、不備があると後からトラブルになるリスクがあります。
書き方を誤ると示談の効力自体が疑われることもあります。特に、刑事事件の示談書には、加害者が不起訴処分や刑の軽減を獲得するために重要な宥恕文言を確実に含める必要があります。宥恕文言がなければ、検察官や裁判官は示談の事実を十分に評価できず、せっかくの示談が刑事処分に良い影響を与えられない結果となりかねません。
さらに、合意内容が曖昧であったり、清算に関する条項が不十分であったりすると、後に民事裁判などのトラブルが蒸し返されるリスクがあります。
弁護士を介さず自分で示談書を作成することは、一見手間が省けて楽なようですが、結果として、予期せぬトラブルや紛争を招く可能性があります。
相場からかけ離れた高額な示談金を強いられる
被害者側から相場からかけ離れた高額な示談金を強いられる場合があります。
示談を急ぐあまり、相場からかけ離れた高額な示談金を受け入れるケースも少なくありません。
起訴・不起訴の決定までに示談成立できない
前科を回避するためには、検察官の起訴・不起訴の判断までに示談を成立させることが重要です。このタイミングまでに示談が成立しないと、示談成立の効果が十分に発揮できない可能性があります。
さらに、示談が成立したにも関わらず、検察官への連絡や情報共有が適切に行えないと、せっかくの合意が処分に影響しないことにもなりかねません。弁護士がついていればタイミングを見計らって検察官と交渉できるので、メリットを生かしやすいでしょう。
刑事事件の示談交渉を弁護士に依頼する6つのメリット
弁護士に依頼して示談交渉を進めることには、次のようなメリットがあります。
- 早期に示談交渉に着手できる
- 身柄拘束中でも交渉できる
- 適正な示談金額で合意できる
- 適切な示談書を作成できる
- 逮捕や前科を回避できる可能性が高まる
- 示談不成立になっても適切な対処を取れる
以下、詳しく解説します。
早期に示談交渉に着手できる
弁護士が代理人となると、捜査機関と連携を取りやすくなるため、示談交渉の開始が早まる利点があります。
迅速に被害者の意向を確認し、必要に応じて謝罪文や弁償の手続きを整えられるため、後手に回らずに対応できるのです。特に、勾留されている案件では時間が限られるため、この速さが示談の成否を分ける重要な要素となります。
身柄拘束中でも交渉できる
被疑者が勾留中の場合、自分で被害者とやりとりするのは困難です。弁護士ならば、被疑者と面会を通じて意思疎通を図りながら、被害者との交渉を代理で進められます。
勾留期間という限られた時間の中でも、有利な条件を引き出すために積極的に行動できるのはメリットです。
適正な示談金額で合意できる
示談金の相場や被害者が抱える感情を踏まえ、弁護士は加害者にとっても被害者にとっても妥当性のある金額を提案できます。
過去の判例や類似事例を参考にしつつ、検察や裁判所の動向も見据えたうえで金額を設定するため、極端に不利な条件を回避しやすくなります。こうした交渉力の有無は、示談の最終的な成否を左右します。
適切な示談書を作成できる
示談書の内容次第では、後で合意内容の解釈をめぐって対立する可能性が出てきます。弁護士が間に入れば、後の法的トラブルを想定し、支払い方法や不履行時の対応などを明確に盛り込んだ書面を作成してくれます。これにより、後から示談の有効性が疑われる事態を最小限に抑えられます。
逮捕や前科を回避できる可能性が高まる
示談が成立した場合、逮捕回避や前科回避など、加害者にとって有利な結果を得られる可能性が高まります。弁護士に依頼すると、その成立を一日でも早く確実に実現できるよう動いてくれます。前科を背負うリスクを減らすうえでも、示談交渉のプロセス全体を弁護士に任せる意義が大きいです。
示談不成立になっても適切な対処を取れる
もし示談が不成立に終わった場合でも、弁護士はそこからの刑事弁護や、民事手続きへの対策を早期に講じられます。弁護士がいれば、裁判や捜査と並行して今できる最善の方法を提案してくれるため、リスクを最小限に抑えられます。
刑事事件の示談交渉の弁護士費用
示談交渉を含む刑事事件の解決を弁護士に依頼した場合の弁護士費用相場は以下のとおりです。

事件の内容や難易度によっても料金体系は変わるため、事前に法律事務所に確認を取り、納得のうえで依頼することが大切です。
まとめ
刑事事件の示談交渉は、被害者への謝罪と刑事処分への影響の両面で重要な意味を持ちます。
示談交渉を適切に進めることで、不起訴や量刑の軽減、民事訴訟回避など多くのメリットを得られます。しかし、タイミングを誤ったり、被害者の処罰感情を逆なでするような対応を取ったりすると、かえって状況が悪化する可能性も否定できません。特に、自力での示談交渉は難航するだけでなく、リスクを伴う可能性がありますから、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
特に、被害者との示談においては、経験豊富な弁護士が迅速丁寧に示談成立を目指します。
初回相談は、30分無料です。
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