【弁護士が解説】ステップン(Stepn)は詐欺なのか!?

TKO木本武宏さんの件で、ステップン(Stepn)が詐欺ではないかと話題になっています。

そこで、ステップン(Stepn)が本当に詐欺なのか、検討していきます。

目次

ステップン(Stepn)とは?

ステップン(Stepn)とは、NFTのスニーカーをアプリ内で購入して(なお、2022/7/23現在ではNFTスニーカーはWEB版で購入します。)、リアルの世界で歩いたり走ったりすることでGSTという暗号資産が稼げるゲームアプリです。

そして、この稼いだGSTは、USドルと同等の価値を持つ暗号資産に交換することができ、最終的には日本円にも戻すこともできます。

ステップン(Stepn)は、動いてお金を稼ぐことができる、いわゆる「Move to Earn」の草分け的な存在です。

初めて聞く人は、これを聞くだけでもすでに怪しい感じがしますが、まずはステップン(Stepn)が詐欺なのか、法律的な見地からみていきましょう。

ステップン(Stepn)は詐欺なのか?

ステップン(Stepn)が詐欺であるかについて、一番問題となるのが、ポンジスキームという手法の詐欺に該当するか、です。

ポンジスキームとは、出資を受けた資金を運用し、その金銭を出資者に配当金や利回りなどとして戻すことを約束しておきながら、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資者から新たに集めたお金を、以前からの出資者に配当金・利回りなどと偽って渡すことで、あたかも資金運用によって利益が生まれ、その利益を出資者に配当しているかのように装い、お金を次々に出資させる詐欺の手法です。

ポンジスキームの説明は、こちら。

ステップン(Stepn)はポンジスキームか?

ステップン(Stepn)がポンジスキームといえるためには、運営が掲げているプロジェクトについて、運営が実際に運用せずに、後発参入者の出資を先行投資者に少しずつ分け与えている状況が必要です。

それでは、前提として、ステップン(Stepn)はどのようなプロジェクトを掲げているのでしょうか。

公式サイトでは、概要として、「STEPNは、Game-Fiによって、何百万人もの人々をより健康的なライフスタイルへと導き、②気候変動と闘い、③一般の人々をWeb 3.0に接続することを目指しています同時に、Social-Fiの側面を利用して、④ユーザーによるWeb 3.0コンテンツを促進する長期的なプラットフォームを構築しています。」と記載されています。

※公式サイトには、詳細にプロジェクトの内容について記載がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

このようなプロジェクトに対して、実際の運営ではどのように運用しているでしょうか。

 ステップン(Stepn)は、まだβ版ですが、実際に運用が始まっており、今までに世界で延べ90万人以上が利用し、実際にこの人々が歩いてGSTを獲得しています。

そうすると、ステップン(Stepn)は、

  1. 約90万人の人々に対して歩く行動をとらせることで、「健康的なライフスタイルへと導い」ている
  2. 移動手段を歩くことに変化させることで、「気候変動と闘って」いる(これは、例えば、歩く機会が増える→自動車の利用が減る→二酸化炭素の排出が減る→気候変動が少なくなる、というイメージです)
  3. ステップン(Stepn)はNFTを利用したアプリであり、ステップン(Stepn)が初めてのNFT購入という人も多く、その意味でも、「一般の人々をWeb 3.0に接続」している
  4. 短期的な視点では、損失を出した人もいるとはいえ、上記の運営は、「ユーザーによるWeb 3.0コンテンツを促進する長期的なプラットフォームを構築」することとは矛盾しているとは直ちにいえない

といったことを実現しており、運営がプロジェクト実現に向けて、実際に運用をしていないと認定することは困難です。

そうすると、現時点で確認できる情報からすると、ステップン(Stepn)自体がポンジスキームであるとはいえず、詐欺ということは難しいです。

ステップン(Stepn)に関連して詐欺罪にあたる場合とは??

もっとも、ステップン(Stepn)自体が詐欺ではないとしても、ステップン(Stepn)に関連する詐欺がないとはいえません。それでは、どのような場合に、ステップン(Stepn)を利用した詐欺が起きるのでしょうか?

例えば、ステップン(Stepn)に投資するといって、実際にはステップン(Stepn)に投資もせず、お金を流用した場合(ステップン(Stepn)を名目にポンジスキームがされる場合)には、詐欺罪となります。

これは、ステップン(Stepn)を自分でやるのは暗号資産のウォレットを作ったりするのは面倒だし、怖いので嫌だが、ステップン(Stepn)の儲け話には一枚関与したいという人に起こりやすいです。

ステップン(Stepn)に関連して行われる詐欺の例としては、「私がステップン(Stepn)を運用しておくので、お金を入れてください。利回りは10%で戻します」といった話がされたにもかかわらず、実際にはステップン(Stepn)にお金も入れずに逃げてしまうような場合です。

詐欺ではなくても違法

なお、上記の「詐欺となる場合」の例で、実際には出資を受けた相手が、実際にステップン(Stepn)に出資した場合、詐欺にはならないこともありますが、その方法次第では、出資法や金融商品取引法に違反する可能性は高いです。

今回のTKO木本武宏さんの件が、詐欺になるのかは事実関係の詳細が不明なので分かりませんが、もし、TKO木本武宏さんが周りの芸人さんたちに、「ステップンを運用しておくので、お金を入れてください。利回りは月10%で戻します」などと勧誘して出資させ、実際に運用していなかった場合には詐欺となる可能性があります。

おそらく、善意で儲け話を伝えてあげたという可能性も十分にありますが、その場合でも、出資法違反や金融商品取引法違反となってしまう可能性もあります。

 暗号資産に関する詐欺や違法行為は実際に非常に多いです。詐欺罪にあたるか、支払った金銭を回収できるかは、専門的な判断と行動が必要です。

 もし、疑わしい事情がある場合には、早めに専門家に相談しましょう。

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