NFTエアドロップと景表法

ブロックチェーンゲームなどでは、新規ユーザーを増やすために、NFTをエアドロップする(無料で配布する)キャンペーンをすることがあります。

このようなキャンペーンを実施する場合、事業者は景品表示法に抵触しないかをチェックする必要があります。

目次

景品表示法の規制

景品表示法の規制対象になるかどうかは、「景品類」に該当するかを確認することが必要です。「景品類」「景品類」に該当する場合、過大な景品を提供することが禁止されます。

「景品類」に該当するかは、以下の①~③の要件で判断します。

  1. 顧客を誘引するための手段であること
  2. 事業者が提供する商品やサービスに付随して提供すること
  3. 提供された商品やサービスに経済上の利益が認められること
(図は景品規制の概要|消費者庁を参照し作成)

NFTエアドロップ(おまけNFT)が受ける景表法の規制

ブロックチェーンゲームなどで新規顧客の獲得に向けたエアドロップキャンペーンは、基本的には①~③の要件を満たします。

そのため、景品表示法の規制を受け、過大な景品を提供することが禁止されることになりますが、どのような景品を提供すると、過大な景品として禁止されるのでしょうか。

これは、景品の配布方法によって、提供できる金額が異なってきます。景品の配布方法については、同一の事業者がやることを前提に、以下の2つの配布方法があります。

一般懸賞について

一般懸賞とは、商品やサービスの利用者に対し、くじなどの偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することをいいます。

一般懸賞の例としては、あるNFTのNFTを購入した人(ホルダー)に対してくじ引きなどの方法で新たなNFTその他の景品を付与するものです。

一般懸賞にあたる場合、取引価額が5,000円未満の場合、取引価額の20倍まで、取引価額が5,000円以上の場合、10万円までが許容されます。なお、どちらの場合であっても、売上予定総額の2%が上限となります。

例えば、最初のNFTの取引価額が3,000円の場合、エアドロップするNFTについては、その20倍の金額まで許容されるので、60,000円相当のNFTをエアドロップすることは許されます。

他方で、最初のNFTの取引価額が10,000円の場合、エアドロップするNFTについては、最大100,000円となりますので、100,000円相当のNFTをエアドロップすることは許されます。

総付景品について

総付景品とは、懸賞によらず、商品・サービスを利用した人にもれなく景品類を提供することをいいます。

総付景品の例としては、特定のNFTのホルダー全員に新たなNFTをエアドロップするようなものは総付景品にあたります。

総付景品の場合には、取引価格が1,000円未満の場合に200円、取引価格が1,000円以上の場合、取引価額の10分の2までが許容されます。

なお、NFTホルダーに対して発行される、おまけNFTについて、二次流通にて価格が高騰した場合、あくまで一般論ですが、景表法の規制は受けないという、消費者問題特別委員会の答弁がありました。

ただし、個別の案件によっては、規制を受ける可能性も否定しきれないので、個別具体的な検討が必要です。

まとめ

このように、NFTをエアドロップする場合でも、景表法の規制が及ぶかの問題があります。NFTに関する法規制は、この景表法の規制に限らず、他の規制も密接に関連するため、個別具体的な判断が必要な場合には、弁護士にご相談ください。

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