2025年最新版|ドバイ法人設立&移住完全ガイド:税制・ビザ・移住後に必要なコンプライアンスの対策まで徹底解説

ドバイでの法人設立や移住を検討中の方へ向けて、2025年の最新情報をもとに税制・ビザ・コンプライアンス対策までを、弁護士がわかりやすく解説します。

移住後に必要な手続きも含め、ドバイで安心してビジネスを始めるためのポイントをまとめました。ぜひお目通しください。

目次

ドバイ移住・法人設立を始める前に

なぜ今、ドバイなのか?投資・資産形成・移住を同時に実現できる都市の魅力とは

「節税したい」「将来の資産を守りたい」「海外に拠点を移したい」―こうした希望をすべて同時に実現できる国があるとしたら、それがドバイです。

ドバイは近年、富裕層、暗号資産ホルダー・起業家・グローバル投資家から圧倒的な注目を集めており、その理由は大きく分けて3つの柱に集約されます。

①【移住】法人設立/不動産取得で簡単に長期滞在可能

ドバイは、移住のハードルが非常に低い国のひとつです。
以下の方法で、合法的かつスムーズに長期滞在が可能です。

  • 法人を設立する
  • 一定金額以上の不動産を購入する

国によっては、一定の年収要件や現地労働者の雇用要件が課されるなどVISA取得にハードルがある場合が少なくありませんが、ドバイではそのような煩わしい要件は課されていません。
さらに、配偶者・子どもも帯同可能なため、ファミリーでの移住にも対応できます。

②【資産形成】税金ゼロで将来の資産を守る

ドバイでは、個人に対する以下の税金が一切かかりません

No.科目ドバイでの取り扱い
1所得税なし
2キャピタルゲイン課税なし
3贈与税・相続税なし
4住民税なし
注:特に2及び3については日本における課税リスクについて要検討

つまり、稼いだお金・資産価値がそのまま手元に残るということです。
日本に住みながらでは得られない、ダイレクトな資産保全のメリットがあります。

法人税も一定の売り上げ以下の中小企業には非課税制度が適用され、実質的に個人・法人ともに税制優遇の恩恵を受けられます。

③【投資】圧倒的に有利な不動産投資環境

 ドバイの不動産市場は、世界的にも高利回り・高成長を誇ります。

  • 過去10年間で右肩上がりの価格上昇
  • 年間6〜10%の高水準インカムゲイン
  • キャピタルゲインは非課税(個人保有)
  • 東京・香港と同価格でも広くゴージャスな物件
  • 外国人でも自由に売買可能
  • 暗号資産(仮想通貨)での購入対応ディベロッパーも存在

購入 → 保有 → 売却のどのフェーズにおいても税金が発生せず、実質的なリターンが非常に高いのが特徴です。

ドバイが世界中の投資家や富裕層から選ばれる理由は、税制優遇にとどまらず、圧倒的な地政学的・制度的メリットにあります。

欧州・中東・アジアを結ぶ交通・物流の要所に位置し、政治的にも極めて安定した国家運営のもと、外資100%所有可能な法人制度や外貨送金の自由、世界最高水準のインフラとスマート行政が整備されています。

英語が通用し、多国籍な居住者に優しい社会環境も魅力であり、税務・投資・移住のいずれの面でも極めて優位な選択肢として注目されています。

ドバイの税金は本当にゼロ?法人税・個人に対する課税・キャピタルゲイン税の仕組み

無税の国として注目されるドバイですが、すべての税金が完全にゼロというわけではありません。
特に法人や個人事業主に対する法人税制度が2023年6月に導入され、一定の条件を満たす場合には課税対象となります。

ここでは、主な税目についての正しい理解を整理します。

⑴ドバイの法人税制度の概要(20236月導入)

 UAEでは2023年6月1日より、連邦法人税(Corporate Tax)が導入され、以下のような制度設計となっています。

a)課税対象

UAE国内で事業活動を行う全法人(フリーゾーン法人を含む)・個人事業者が対象です。
石油・ガスなどの天然資源開発企業や一部の金融機関を除き、原則として適用されます。

b)税率
No.基準税率
1年間課税所得が AED 375,000(約1,500万円)以下0%
2年間課税所得が AED 375,000(約1,500万円)超え9%
注:多国籍大企業(OECD最低税率対象):15%(条件を満たす場合)
(c)非課税所得
  • 国内外の子会社からの配当収入や株式譲渡益
  • グループ内再編などの一定条件を満たす組織再編

注:キャピタルゲインについては原則課税

d)申告義務

連邦税務庁(FTA)への法人税登録・年次申告が必要です。
なお、源泉税(Withholding Tax)は原則0%であり、国際取引の障壁は少ないのが特徴です。

e)中小企業免税(Small Business Relief)
  • 年間売上が AED 300万(約1.2億円)以下の法人は、希望すれば課税所得をゼロとして申告可能
  • 適用期間:2026年12月31日までに終了する会計年度(以降の延長は未定)
  • 適用には法人税登録・年次申告は必要ですが、実質的に納税義務は生じない

⑵フリーゾーン法人の法人税に関する取り扱い

ドバイには多数のフリーゾーン(自由貿易地域)が存在し、従来は法人税0%・外資100%所有可といった特典で注目されてきました。

2023年の法人税制度導入後も、一定の条件を満たすフリーゾーン企業は「Qualifying Free Zone Person(QFZP)」に該当するものとして0%税率が継続適用されます。

しかし、QFZPに該当するためには、所得の大半がQualifying Activities(適格活動)から稼得される必要があるところ、日本人が行う典型的な事業(例:コンサルティング、仲介、BtoB/BtoCのオンライン販売など)は、Qualifying Activitiesに該当しないケースが多く、QFZAとして課税ゼロとできる場合は限定的です。

また、QFZPは財務諸表の監査が義務化されるため、年次での監査コストや手続き的負担が中小規模法人にとって大きな負担となることも懸念されます。

そのため、中小企業免税制度を活用することが主流となっています。

⑶個人所得税は一切なし(給与・配当・不動産収入も非課税)

ドバイに住む最大のメリットの一つが、個人に対する所得税が存在しない点です。

ポイントは以下のとおりです。

  • 給与所得:課税なし
  • 配当・株式売却益・銀行利子:非課税
  • 不動産賃貸収入・暗号資産の売買益:非課税
  • 唯一の例外:個人事業者の法人税適用

フリーランスや個人で事業を営む者は、その所得がドバイ国内の事業または事業活動(Business or Business Activity)によって稼得されている場合に、法人税の対象となります。

ただし、自然人については暦年の売上がAED 100万(約4,000万円)以下の場合には非課税となります。

自然人についても中小企業免税制度の申請が可能となります。

出典:Basis of Taxation – Natural Person-(tax.gov.ae)

⑷その他の税制:消費税(VAT)は5%、相続税やキャピタルゲイン税はなし

  • 消費税(VAT):標準税率 5%。商品・サービスの購入時に発生
  • 相続税・贈与税・富裕税:存在しない
  • キャピタルゲイン税(個人):なし

⑸まとめ: ドバイ(UAE)は法人にも個人にも優しい“低税率”の国

No.区分課税内容税率
1法人税(通常)年間375,000ディルハム超の所得9%
2法人税(フリーゾーン)条件付きで適格所得に限り (注:日本人運営の会社の場合、条件を満たすことが難しいケースが多い)0%
3法人税(中小企業)年間売上3百万ディルハム以下0%
4個人所得税給与・配当・利子・不動産収入0%

移住・法人設立の具体的な手続きと選択肢

ドバイ移住の2大ルート 法人設立か不動産購入か?

ドバイへの移住を実現するためには、主に2つの代表的なビザ取得ルートが存在します。

⑴法人設立によるVISA取得 スピーディー&低ハードルな起業型移住

ドバイでは、近年の法改正により、フリーゾーンのみならず、メインランドにおいても外国人が100%出資できるようになりました。

多くのフリーゾーンではオンライン申請も可能で、法人設立からライセンス取得、ビザ発給までが2~4週間程度で完了することも珍しくありません。

法人を設立すれば、その法人の出資者・管理者・従業員として居住ビザが取得可能です。
他国では法人維持に厳格な会計報告や現地スタッフ雇用要件がある中、ドバイは極めて柔軟かつ事務負担が軽いのが大きな魅力です。

  • 設立コスト:メインランド法人か否か、フリーゾーンの種類といった点により異なりますが、初期費用は200万円〜300万円程度が相場
  • 設立後の維持コスト:年次ライセンス料の支払いのみで済み、監査要件なし(フリーゾーンによる)
  • ビザ維持も簡単:法人を維持する限り、ビザの更新もスムーズであり、定期的な入国義務のみ課されるケースが大半

⑵不動産購入によるVISA取得 資産形成と移住を同時に実現

ドバイでは、一定額以上の不動産を購入することで、長期滞在可能な居住ビザを取得できます。

代表的なのがゴールデンビザ(Golden Visa)です。取得条件などの特徴は以下のとおりです。

  • 購入額200万ディルハム以上(約8,000万円)の不動産
  • オフプラン(建設中)物件でも、頭金支払いにより要件を満たす場合あり
  • ビザ期間:10年間有効の長期滞在が可能(更新も可)
  • 申請から発給までが迅速:必要書類と初期支払いを終えれば、1〜2週間で発給されるケースも多い

ドバイ不動産は投資商品としても魅力が高く、移住のみならず投資としてのメリットについても享受できます。

  • ドバイの不動産市場は年二桁%の値上がりも珍しくなく、安定した成長市場となっている
  • 流動性が高く、売却も容易なため、出口戦略も取りやすい

欧米のゴールデンビザ制度では、100万USドル以上の投資が必要な国も多い中、ドバイは金額の低さ滞在期間の長さの両面で優位性があると言えます。

こんな人におすすめ!ドバイ移住が向いているタイプとは?

ドバイは、その圧倒的な税制優遇とビジネス環境の柔軟性により、さまざまな層から注目を集めています。
特に以下のような方には、ドバイ移住が非常に有利に働きます。

起業家:IT・コンサル・越境ECなど「場所を選ばない」ビジネスに最適

近年、リモートワークの普及により、オフィスに縛られない働き方を実現する起業家が増えています。
特にIT関連、コンサルティング、デジタルマーケティング、越境EC等の事業を営む方にとって、ドバイは理想的な移住先です。

  • ドバイの法人税率は世界的に見ても非常に低く、(375,000AED以下は0%、中小企業免税制度を使えば0%)と、税制上のメリットが大きいです。
  • フリーゾーン制度を活用すれば、外資100%の法人を設立可能で、かつ輸出入や国際取引にも柔軟に対応できます。
  • 現地法人の設立により、ドバイの長期滞在ビザを取得しやすく、ビジネスと移住をセットで進められます。

結果として、ドバイへ移住することで、税負担を軽減しつつ資産を効率的に蓄積し、将来的な出口戦略(株式売却や事業売却)にも備えられます。

富裕層:不動産投資+移住で、資産保全・投資・滞在権の三拍子

ある程度の資産を既に保有している富裕層にとっても、ドバイは魅力的な移住先です。

理由は以下のとおりです。

  • 不動産を一定額以上購入することで、居住ビザの取得が可能です。
  • 賃料利回り及び不動産価格の上昇が比較的高いエリアも多く、不動産投資先としても魅力的です。
  • 所得税・相続税・キャピタルゲイン税が原則ゼロであるため、資産保全と節税を両立できます(ただし、相続及び自身がオーナーの会社株式の譲渡については専門家に要相談)               

 もっとも、注意点として、日本の税務上の「出国税」(保有株式に対する含み益課税)や、日本居住者とみなされるリスク(住所・居住形態・家族帯同・資産のロケーション、帰国頻度などが考慮される)にも留意が必要です。
適切な出口計画・税務対策とあわせて移住を計画することが求められます。

暗号資産ホルダー:非居住化×ドバイで大幅な節税が可能に

暗号資産を多く保有している方にとって、ドバイ移住は極めて有効な節税手段となります。

日本では、暗号資産の売却益は雑所得として最大55%(所得税+住民税)課税される一方、ドバイではキャピタルゲイン税ゼロ。この違いは非常に大きなインパクトをもたらします。

たとえば、以下のようなステップを踏むことで、課税を合法的に回避できます。

  1. 日本での生活拠点を整理し、ドバイへ移住し、日本の「非居住者」としての地位を確立(税法上の非居住者認定)
  2. ドバイに移住した後に暗号資産を売却することで、日本の課税対象外となり、多額のキャピタルゲインに対して課税されずに済む

ただし、形式的な移住では日本税務署に否認される可能性があるため、事前に専門家との相談が必須です。

まとめ:あなたはどのタイプ?

タイプドバイ移住のメリット主な留意点
起業家(IT/コンサル)法人税9%以下(中小企業免税が申請できる場合は0%)で資産形成、海外展開しやすい実態ある事業拠点・法人設立が必要
富裕層不動産投資+移住で資産保全・高利回り・居住権取得可能出国税・日本居住者判定のリスク
暗号資産ホルダーキャピタルゲイン非課税、保有資産の売却タイミングを調整可非居住者認定・居住実態の断絶が必要

節税には注意!日本の税務リスクと回避策 出国税や居住者認定のリスクなど

ドバイ移住の最大の魅力は、所得税・キャピタルゲイン税が原則ゼロという税制メリットです。
特に起業家や暗号資産ホルダー、富裕層にとっては多大な節税効果が見込まれます。

しかし、日本からドバイに移住する場合、日本の税法上の落とし穴に注意しましょう。適切な対応をしなければ、日本側で課税が発生することもあり、節税どころか税務リスクを高める結果になりかねません。

以下では、特に注意すべき出国税居住者認定リスク外国子会社合算税制(タックスヘイブン税制)について解説します。

出国税(国外転出時課税)とは?

出国税(国外転出時課税)とは、2015年7月から施行された国外転出時課税制度のことで、一定の資産を保有する個人が国外に居住地を移す際、含み益(未実現のキャピタルゲイン)に課税される制度です。

適用対象者
  • 過去10年間のうち5年以上、日本の居住者であった個人
  • 出国時において、一定の対象資産の評価額が1億円以上
対象資産の例
  • 株式(上場・非上場)や投資信託などの有価証券
  • 匿名組合契約の出資持分
  • 先物取引やオプション取引等
課税のタイミング
  • 日本を出国した「時点」で、対象資産を時価で売却したものとみなして課税されます。
  • 実際の売却がなくても、含み益に対して所得税等が課されます。
納税猶予制度
  • 出国後も引き続き日本国税当局に連絡が取れる体制(納税管理人の設置)を整えたうえで、納税を最大5年間猶予する制度があります。
  • ただし、出国後に資産を売却した場合は、その時点で納付義務が生じます。
  • 担保の提供を求められることもあります。
特に注意すべき人
  • 上場株式などの金融資産を有する裕福層
  • 会社を経営する経営者・起業家

対策の一例

出国税の発生を回避するには、対象資産評価額を1億円未満に抑える、または資産を先に売却してから出国する、あるいは納税猶予制度を活用する方法があります。

居住者認定リスクとは? 非居住者になったつもりが実は日本に課税されるケース

ドバイに移住すれば、自動的に日本の「非居住者」になるとは限りません。日本の税法では、実態に基づいて「居住者」か「非居住者」かを判定し、居住者と判断された場合には全世界所得に対して日本で課税されるリスクがあります。

主な判断基準(総合的に判断)
  • 年間の外国滞在日数
  • 主たる職業
  • 配偶者・子どもが日本に在住しているか
  • 日本に不動産や車など生活基盤が残っているか
  • 日本に住民票等が残っているか
  • 外国の居所(賃貸不動産かホテルか等)

一部に”住民票を抜けば非居住者になれる”という誤解がありますが、これは不正確です。重要なのは実態(生活拠点・経済的関係)です。

外国子会社合算税制(タックスヘイブン税制)とは?

この制度は、日本の居住者が保有する外国法人の所得を、日本で合算して課税する制度です。
いわゆるタックスヘイブン対策税制とも呼ばれ、低税率国にあるペーパーカンパニーを利用した課税逃れを防止することが目的です。

概要
  • 日本の個人や法人が、50%を超える株式を保有する外国法人で、
  • その法人の実効税率が20%未満の場合、
  • 一定の条件に当てはまると、その外国法人の所得を日本の所得として合算課税
問題となりやすいケース
  • 自身はドバイに移住せず、日本居住者のままドバイ法人を設立し、利益を蓄積させる場合
  • 日本法人がドバイ法人の株式を保有している場合(例:節税目的で海外法人を活用)
適用除外のためのポイント:4つの経済活動基準の充足

例えば、以下の経済活動基準をすべて満たす場合、原則として日本での課税を避けられます。

  • 事業基準:主な事業が株式の保有等一定の事業でないこと
  • 実態基準:ドバイで事務所等を有すること
  • 管理支配基準:ドバイで事業の管理、支配、運営を自ら行っていること
  • 所在地国基準:ドバイで主な事業を実施

ドバイ法人が実態のあるビジネスとして機能しているかが、タックスヘイブン税制回避の鍵となります。
タックスヘイブン税制については、高度に専門的な部分があるため、専門家に相談することが強く推奨されます。

法人設立の詳細情報

法人設立の重要選択|フリーゾーンvsメインランドの違い・メリット・デメリットを徹底比較

ドバイで法人設立を検討する際、最初に直面する重要な選択が、フリーゾーン(Free Zone)か、メインランド(Mainland/本土)か、という法人形態の選択です。
この選択は、今後の事業活動・取引先の自由度・税務・ライセンス更新費用などに大きな影響を及ぼします。

以下では、2025年時点の制度に基づいて、両者の違い・メリット・デメリットを徹底比較します。

フリーゾーン(Free Zone)とは?

フリーゾーンとは、ドバイ首長国内に設けられた経済特区(自由貿易区域)のことで、特定業種や外国資本誘致を目的に、

  • 外資100%保有
  • 関税・輸出入手続きの簡素化
  • 特別な税制優遇

などが認められているエリアです。

ドバイだけでも40以上のフリーゾーンが存在し、代表例として以下のようなものがあります。

フリーゾーン名主な対象業種
DMCC(Dubai Multi Commodities Centre)貿易・コモディティ
DIFC(Dubai International Financial Centre)金融・法務
DAFZA(Dubai Airport Freezone)輸出・輸入・物流
Dubai Silicon Oasis(DSO)IT・ハイテク

メインランド(Mainland)とは?

メインランド法人は、フリーゾーン外のドバイ本土に設立する法人で、ドバイ経済省(DED)ライセンスに基づいて設立されます。

以前はUAE国民(エミラティ)との合弁が義務でしたが、現在では多くの業種で外国人100%出資が可能になっています(例外業種を除く)。

フリーゾーン vs メインランド:比較表

比較項目フリーゾーン法人メインランド法人
外資100%出資可能原則可能(多くの業種で)
UAE本土との直接取引不可(代理店が必要)可能(自由に営業可)
所在地義務各フリーゾーン内ドバイ全域(柔軟)
法人税一定条件で0%(Qualifying Income)一般9%、375,000AED以下は0%
オフィス要件シェアオフィス可(多くの区画で)実体要件あり
銀行口座開設ややハードル高比較的スムーズ
公的契約・政府入札参加不可可能
業種の自由度限定的(ゾーンの対象業種)原則自由
監査義務フリーゾーンによる原則あり

それぞれのメリット・デメリット

     フリーゾーンメインランド
メリットライセンス取得が比較的早く、簡単 シェアオフィスやバーチャルオフィスでも法人設立が可能 条件を満たせば法人税0%(Qualifying Free Zone Person制度)フリーゾーンによっては監査義務がないUAE国内どこでも自由に取引可能 公共案件への入札・契約が可能 業種選択が自由で柔軟銀行や現地企業との取引において信頼性が高い
デメリットUAE本土との直接取引が原則不可 業種に制限がある(例:飲食業、医療、建設は不可または制限)実オフィス要件(Virtual officeが認められない場合も)フリーゾーンと比べてライセンス取得・維持コストが高い傾向 法人税9%が原則適用(ただし、中小は免税枠あり)

どちらを選ぶべきか?判断のポイント

ケース推奨法人形態 理由
海外とだけ取引(日本法人の海外拠点等)フリーゾーン税制・設立コスト・手続の簡便性
ドバイ/UAE国内向けビジネス(飲食・小売・建設等)メインランド本土との取引が必須
政府系案件への入札を狙うメインランドフリーゾーンでは不可
銀行や物流との関係重視メインランドフルオペレーション前提
初期コスト重視、かつ小規模運営フリーゾーンシェアオフィスで安価に始められる

フリーゾーン法人設立にかかる費用とタイムライン【2025年版】

ドバイでの法人設立を検討する際、最も一般的かつ手続きが比較的シンプルなのがフリーゾーン法人です。

外国人が100%出資可能であり、一定の条件を満たすことで法人税の優遇も受けられることから、起業家や海外進出企業に広く利用されています。

ここでは、2025年時点におけるフリーゾーン法人設立の手続きの流れと費用について、実務上のポイントを踏まえて詳しく解説します。

フリーゾーン法人設立手続きの概要

フリーゾーン法人の設立は、以下の3つのステップで進められます。

STEP
必要書類・情報の準備(数日から1ヶ月程度)

法人設立にあたっては、株主・役員に関する情報および本人確認書類などの提供が求められます。

株主が個人の場合

パスポート、顔写真、住所等株主情報などを提出します。数日で準備可能です。

株主が法人の場合

以下の書類が必要となり、通常数週間程度を要します。  

  • 登記簿謄本
  • 定款
  • 取締役会決議書
  • 上記書類の翻訳、公証、UAE領事館認証

日本法人が株主の場合、この準備が最も時間を要する部分となるため、早めの着手が重要です。

STEP
申請書類の作成・電子申請(1週間程度)

提出された情報と必要書類をもとに、フリーゾーン当局向けの申請書類を作成し、電子的に申請を行います。

  1. 商号の選定と事業ライセンスの種類(例:コンサルティング、IT、トレーディングなど)を確定
  2. ライセンスの内容に応じたビジネスアクティビティを記載
  3. オフィス形態(Flexi Desk、シェアオフィス、専有オフィスなど)を選択(フリーゾーンによる)
STEP
フリーゾーン当局による審査・承認(約1週間)

申請が完了すると、フリーゾーン当局が書類の審査を行い、問題がなければ法人設立およびライセンス発行が正式に承認されます。

この段階で法人登記証明(Certificate of Incorporation)および営業ライセンス(Business License)が発行されます。同時に、Establishment Card(法人のIDカード)も取得され、今後のビザ申請などに活用されます。

なお、フリーゾーン法人は、ドバイへの訪問を要することなく設立できます。

設立にかかる費用【2025年時点の目安】

フリーゾーン法人設立にかかる費用は、主に次の2つのカテゴリーに分かれます。

(1)フリーゾーン当局への支払い

年間ライセンス維持に関する実費として、以下の項目が発生します。

費目内容目安金額
年間ライセンス料営業許可(事業内容による)約30〜70万円
ライセンス登録料登録時のみ必要約10〜20万円
Establishment Card法人識別カード約5〜10万円
VISA費用等居住ビザ費用・健康診断費用・エミレーツID申請費用等約20-30万円

合計目安:60〜120万円程度(フリーゾーンによって異なる)

(2)申請代行費用(専門家に委託する場合)

法人設立や認証取得の手続き、現地当局との調整などを専門家に依頼する場合は、以下の費用が発生します。

サービス内容金額目安         
書類作成・翻訳・認証支援・法人設立申請代行・健康診断申請代行、VISA取得代行・エミレーツID取得代行・個人/法人口座開設支援等100〜200万円程度
税務・法務コンサルティング(任意)別途見積

日系コンサルを通じた場合、日本語での支援が可能な反面、費用は高めとなる傾向があります。

まとめ:設立目的に応じた予算とスケジュール設計を

フリーゾーン法人設立は、個人起業家であれば最短2〜3週間法人出資を含む場合には1〜2か月程度を見込む必要があります。

フリーゾーンの種類やオフィスの形態、ビザの有無・数によっても総費用が変動する点については留意する必要があります。

法人設立後の実務対応と資産管理

VISA取得から法人口座開設までに必要な手続きの概要【2025年版】

ドバイでの移住やビジネス展開を実現するにあたっては、VISAの取得、エミレーツIDの取得、ドバイの携帯電話番号の取得、銀行口座の開設等の一連のプロセスを円滑に進めることが不可欠です。

ここでは、フリーゾーン法人を設立した場合を前提に、VISA取得から法人の銀行口座開設までの流れをわかりやすく整理します。

STEP
E-VISAの取得(事前の入国許可)

まず、ドバイで居住VISAを取得する前提として、E-VISA(入国ビザ)の取得が必要です。

• 取得方法:オンラインで申請(国外・国内いずれも可)
• 所要期間:通常3~5営業日、急ぎの場合はVIP申請(24時間以内)
• 推奨:入国前にE-VISAを取得しておくことが望ましい

E-VISAを取得して入国した場合、居住VISAを取得するまでドバイから出国できないため、滞在スケジュールの調整に注意が必要です。

STEP
居住VISAの取得

ドバイ入国後は、以下の手続きにより居住VISA(Residence Visa)を取得します。

  • 指定医療機関での健康診断
  • タイピングセンターでの情報入力手続き
  • 居住VISAの発給申請

所要期間:通常1週間(VIP申請を活用すれば数日以内も可能)
注意点:健康診断とVISA発給手続きは、いずれもドバイ国内での実施が必須

STEP
エミレーツIDの取得(ドバイ生活の必須身分証)

エミレーツID(Emirates ID)は、UAE居住者の全員が所持すべき国家IDであり、銀行口座の開設・SIMカード取得・賃貸契約など、生活インフラの整備に必須です。

手続き概要:

  • 健康診断・タイピングセンターでの入力手続き
  • 指定センターでの指紋採取(事前予約制)
  • エミレーツIDの発行

所要期間:通常1週間から1ヶ月程度(指紋採取予約が遅れるケースも多い)
注意点:このIDがないと次のステップ(口座開設・通信契約等)に進めません。

STEP
携帯電話番号(ドバイSIM)の取得

エミレーツIDが発行されると、Etisalatやduなどの通信キャリアで携帯番号(SIMカード)を取得できます。

  • 必要書類:エミレーツID、パスポートコピー
  • 所要時間:即日対応(店舗で完結)

このドバイ現地の電話番号の取得は、銀行口座開設において必須の要素です。

STEP
銀行口座の開設(個人口座・法人口座)

個人口座の開設

  • 開設条件:エミレーツIDと現地電話番号があれば基本的に問題なし
  • 所要期間:早ければ数日〜1週間程度
  • 主要銀行:Emirates NBD、Mashreq、ADCBなど

外国人でも比較的ハードルは低く、勤務証明なども不要です。

法人口座の開設

従来、法人口座の開設は、

  • 現地実態の確認
  • 取引先の提示
  • 取締役の履歴確認 など

を要し、数ヶ月を要することもある高いハードルとされてきました。

しかし、近年では以下のようなオンラインバンク(デジタルバンク)の登場により、大幅に簡素化・高速化されています。

銀行名特徴口座開設期間  
Wio Bank書類提出からオンラインで完結、ペーパーレス対応最短2〜5営業日
Mashreq Neo Biz口座開設が早く、日本語対応の支援業者も存在1週間前後

一方で、法人口座の開設にもエミレーツIDが必須であり、つまりドバイ現地での一度の滞在が必須となります。

法人口座開設のための現地滞在の必要性と期間目安

法人の銀行口座を開設するためには、最低1度は本人がドバイに渡航し、エミレーツIDを取得する必要があります。

  • 必要滞在期間:政府機関の対応速度によるが、最短1週間、最長4週間程度
  • 現地で以下の手続きを済ませる必要があります:
  • 健康診断
  • タイピングセンターでのVISA情報登録
  • 指紋採取・ID発行
  • SIM契約

まとめ:法人設立後は「IDSIM・口座」取得がカギ

ステップ手続き内容滞在要否所用期間
E-VISA取得ドバイ入国許可不要(オンライン可)3〜5日(VIPあり)
居住VISA取得健康診断・申請必要1〜2週間
エミレーツID取得指紋採取・発行必要約1.5〜2.5ヶ月
携帯番号取得通信契約必要(ID要)即日
個人口座開設銀行口座申請必要(ID要)数日〜1週間
法人口座開設法人書類+ID+SIM要申請時には不要最短数日(Wio等)

設立後の手続きとコンプライアンス対応【最新】 財務諸表作成・VAT登録・法人税登録の義務とは?

ドバイで法人を設立した後、重要になるのが設立後の会計・税務コンプライアンス対応です。
法人を設立しただけでは終わらず、財務諸表の作成、VAT登録・申告、法人税登録・申告等の義務を順守しなければなりません。

特に2023年6月に法人税が導入されて以降、フリーゾーン法人に対しても義務が実質化してきており、最新の対応が求められます。

1. 財務諸表の作成義務【フリーゾーン法人も対象】

法人税導入前の状況

かつては、財務諸表の作成義務は主にメインランド法人に限られており、フリーゾーン法人では作成義務がない、あるいは緩やかな運用が一般的でした。

しかし、以下の理由により、現在ではフリーゾーン法人でも財務諸表の作成が不可避となっています。

法人税導入後の対応(2023年6月~)

(1) ライセンス更新要件としての義務化

IFZAなど一部のフリーゾーンでは、ライセンス更新の際に財務諸表の提出を義務付ける運用に変更されました。

ライセンスが更新できなければ、VISAの失効にもつながるため、ID更新のためにも会計帳簿の整備が必須となります。

(2) 中小企業救済措置(Small Business Relief)の申請要件

売上が年間AED 3百万以下の法人は、2026年12月31日までの課税年度について法人税が免除される中小企業救済措置を利用できますが、この申請の前提として財務諸表の作成が必須です。

ドバイに移住して起業するような中小規模法人では、この中小企業救済制度の申請が通例であるため、財務諸表の作成は事実上の必須対応となります。

監査の必要性

年間売上がAED 50百万超または適格フリーゾーン法人(QFZP)に該当する場合を除き、監査は義務ではありません。

移住起業者の多くはこの基準に該当しないため、監査は不要でも財務諸表の作成は必要です。

2. VAT(付加価値税)登録義務

UAEでは2018年1月よりVAT制度(日本の消費税に相当)が導入されており、フリーゾーン法人にもVAT法が適用されます。

登録義務が発生する条件

以下のいずれかの条件に該当する場合、VAT登録が義務となります。

  • 過去12か月間の課税売上・輸入の合計がAED 375,000超
  • 今後30日以内にその額を超えると予測される場合

課税対象売上には、日本法人へのサービス提供など0%税率対象取引も含まれるため、国外向けビジネスでも基準超過の可能性に留意が必要です。

任意登録の選択肢
  • AED 187,500超の売上がある場合には、任意登録が可能

海外取引先との取引で「VAT番号」が求められるケースでは、自主的に登録するケースもありますが、登録後はVAT徴収・納付・申告義務が発生するため、慎重な判断が必要です。

3. 法人税登録義務(Corporate Tax)

UAEでは、2023年6月から法人税(Corporate Tax)が本格導入されており、フリーゾーン法人を含めて法人税登録が原則義務付けられています。

税率と免税枠
  • 一般税率:9%
  • 免税枠:年間AED 375,000以下の課税所得は0%
  • 中小企業救済制度に該当すれば、課税免除の特例あり
登録義務の内容
  • 全ての法人は法人税登録が義務
  • たとえ課税対象所得がない(中小企業救済制度に該当)場合でも、申告義務は免除されない
  • 実務上は、財務諸表+法人税登録+中小企業救済申請の3点セットで進めるのが標準対応

まとめ:設立後の対応は放置できない重要業務

項目内容義務の有無補足
財務諸表作成ライセンス更新・法人税申告の前提実質的に義務特に中小企業救済制度利用時
VAT登録課税売上がAED 375,000超で必須条件付き義務任意登録は可能だが慎重に判断
法人税登録すべての法人に登録義務あり義務課税免除でも登録・申告は必要

法人を設立した後は、帳簿の整備・税務登録・申告業務が継続的に発生します。

これらを適切に対応しないと、ライセンスが更新できずVISA失効や罰金の対象になるリスクもあるため、早期の対応と専門家の活用が重要です。

移住後に発生する法人維持費用等の概要【2025年版】 年間200万円からの法人運営コストを正しく把握しよう

ドバイでは、所得税・相続税・キャピタルゲイン税が存在しないことから、移住や起業の地として大きな注目を集めています。しかし、法人を設立・維持していくには、一定のランニングコストが発生することを正しく理解しておく必要があります。

本章では、フリーゾーンに法人を設立した場合を前提に、移住後に毎年発生する主要な法人維持費用の項目と金額感について解説します。

年間ライセンスフィー【約60100万円】

フリーゾーン法人を維持するには、毎年、管轄のフリーゾーン当局へライセンスの更新料(年間ライセンスフィー)を支払う必要があります。

  • 金額:約60〜100万円(フリーゾーンにより異なる)
  • 内訳:ライセンス料、Establishment Card更新料など
  • 特徴:業種やオフィス形態(Flexi Desk/専用オフィス)によっても変動

法人を休眠・閉鎖しない限り、毎年発生する必須コストです。

税務関連コスト(法人税・VAT)【変動制】

法人税対応

2023年6月に導入されたUAE法人税(Corporate Tax)により、年間所得がAED 375,000(約1,500万円)超の場合、超過分に対して9%の法人税が課されます。

• 所得が基準額以下であれば免税
• 中小企業救済措置を申請する場合でも、登録と財務諸表の提出は必須

VAT(付加価値税)対応

  • 年間売上がAED 375,000超の場合、VAT登録義務あり
  • 登録後は四半期ごとの申告義務が発生
  • 0%税率の取引(海外サービス等)も登録対象となる可能性あり

法人税・VATの導入により、税務処理対応のための実務コストが発生するようになりました。

会計処理・財務諸表作成費用【約100万円〜】

近年は多くのフリーゾーンで、ライセンス更新の際に財務諸表の提出が義務化されつつあります。また、法人税やVATへの対応にも、正確な帳簿が不可欠です。

外部会計士・専門家に依頼する場合、年間100万円〜が相場です。内容には、帳簿作成、決算書類作成、税務代理申請などが含まれます。

財務諸表の未作成はライセンス更新に支障が出る場合もあるため、対応は必須です。

オフィスコスト【フリーゾーンにより無料もあり】

フリーゾーン法人では、多くの場合、実オフィスを借りずにバーチャルオフィスで登記可能です。

この際の住所利用料(Flexi Desk Fee)が発生するか否かはフリーゾーンによって異なります。

弊グループが推奨するフリーゾーンでは、バーチャルオフィス利用料は不要
※一部ゾーンでは年間数万円〜十数万円程度の費用がかかる場合もあり

実際に常駐オフィスを構える場合は、別途賃貸契約が必要になります。

その他の実費(居住費用等)

法人の維持費とは異なりますが、移住に伴い必要となる生活コストとして不動産賃料にも留意が必要です。

• 単身・郊外:月額20万円〜
• 中心部・家族帯同:月額100万円以上も一般的
• ドバイでは原則年間一括払いが通例で、初期負担が大きいため要注意

移住初期には不動産契約・初期家具費用・保証金なども発生します。

まとめ:法人維持費用は最低200万円〜、業種や規模により上振れも

項目年間費用目安(AED/円換算)備考
年間ライセンス更新料AED 15,000〜30,000(約60〜100万円)フリーゾーンにより差
会計・税務対応費用AED 25,000〜(約100万円〜)外部専門家に依頼時
法人税・VAT納付収益・売上に応じて変動登録・申告義務あり
オフィス維持費用無料〜AED 5,000(約0〜20万円)Flexi Deskなど

法人の基本的な維持費用は、居住費用を除いて年間200万円程度〜が目安です。

よくある質問(FAQ)まとめ

ドバイへの移住や法人設立を検討されている方から寄せられる質問を、手続き・銀行口座・ビザ・税務・国際税務の各カテゴリに分けてまとめました。

制度が大きく変化している現在、2025年最新の情報に基づいて解説しています。

A. 手続き・現地訪問に関する質問

ドバイ法人を設立するために現地に行く必要がありますか?

原則として現地に行く必要はありません。
フリーゾーン法人の設立は、リモートでの電子申請により完結可能です。
ただし、銀行口座やエミレーツID取得などの関係で、設立後に渡航が必要となる場合が多いため、将来的には一度の訪問が前提となります。

法人口座を開設するためにドバイに行く必要がありますか?

はい、必要です。
法人の銀行口座を開設するには、代表者がドバイでエミレーツIDを取得する必要があり、IDの発行には渡航・指紋採取等が不可欠です。
渡航期間は、行政の処理状況によりますが、最短1週間〜最長4週間程度が一般的です。

個人口座を開設するためにも渡航は必須ですか?

はい、必要です。
個人の銀行口座開設にもエミレーツIDと現地電話番号が求められるため、一度はドバイを訪問してID取得を済ませる必要があります。

B. 銀行口座・資本金に関する質問

個人の銀行口座開設は難しいのでしょうか?

難しくありません。
エミレーツIDとドバイの電話番号があれば、外国人でも比較的スムーズに開設可能です。勤務証明や資産証明が不要なケースも多く、大手銀行を含めて対応可能です。

法人の銀行口座開設は難しいのでしょうか?

以前は難易度が高かったものの、現在は簡易化が進んでいます。
特に、Wio Bankなどのオンライン銀行の登場により、書類提出後1週間以内で開設が可能になっています。
ただし、業種や取引内容によっては審査に時間がかかるケースもあるため、事前準備が重要です。

ドバイ法人設立時に資本金は払い込む必要がありますか?

ほとんどのフリーゾーンでは、資本金の払い込み義務はありません。

登記時に資本金額を設定する必要はありますが、実際の払込証明の提出は求められないケースが大半です。

資本金はいくらに設定するのが適当ですか?

最低資本金の定めはないフリーゾーンが多く、AED 10,000(約40万円)程度が一般的です。

実態に即して設定することが望ましく、将来的な資金調達や銀行審査を見据えて多めに設定することもあります。

C. ビザ・家族・生活に関する質問

家族も一緒にVISAを取得できますか?

はい、可能です。

法人代表者が居住VISAを取得した後、扶養VISA(Dependent Visa)を取得することで家族も帯同可能です。配偶者・子ども・親などが対象となります。

法人設立のためにはオフィスを借りる必要がありますか?

フリーゾーン法人であれば、物理的なオフィスの賃貸は不要です。

「Flexi Desk(共用住所)」制度により、シェア型の登記用住所を利用することで、実オフィスを借りずに法人設立・維持が可能です。

ドバイ国外に長期間出ていても問題ありませんか?

一定期間以上ドバイを離れると再入国許可を取得する必要が発生します。
通常、180日間連続してUAEを離れる場合再入国許可を取得しなければならなくなるため、少なくとも半年に1度は入国することが推奨されます。

D. 税務・会計に関する質問

ドバイ法人は財務諸表を作成する必要がありますか?

はい、必要です。

法人税や中小企業救済制度(Small Business Relief)の申請、ライセンス更新の際に必要となるため、財務諸表の作成は実質的に義務化されています。

ドバイ法人は法人税の申告をする必要がありますか?

はい。

たとえ課税所得がゼロでも、法人税登録および毎年の申告は必須です。

免税(課税所得AED 375,000以下)の場合も、登録・申告は省略できません。

ドバイで個人として税金の申告は必要ですか?

通常は不要です。

ドバイでは個人所得税が存在しないため、個人としての税務申告は不要です。ただし、他国(日本など)との関係には注意が必要です(後述)。

フリーゾーン法人であれば法人税はかからないという理解で正しいですか?

フリーゾーン法人についても法人税は原則として課されます。

「Qualifying Free Zone Person」に該当すれば、一定の収益に対しては0%課税となりますが、日本人が運営する法人の場合、難しいケースが多いです。

ドバイ法人の利益を全額給与として支払えば、課税対象にならないという理解で良いですか?

正確ではありません。

法人の利益を役員給与として支払っても、その金額が不当に過大であったり、支払い態様に問題があったりする場合、法人税上の給与等として認められない場合があるため、法人税回避策としては成立しません。給与支払いの整合性や事業実態を伴う必要があります。

ドバイでは監査を受ける義務がありますか?

通常の中小フリーゾーン法人であれば監査義務はありません。

ただし、以下に該当する場合は監査が必要です:

  • 年間売上がAED 50百万(約20億円)を超える場合
  • 特定の認定フリーゾーン法人(QFZP)に該当する場合

E. 国際税務・日本との関係に関する質問

ドバイに住めば相続税はかからないのですか?

UAE(ドバイ)では相続税は存在しません。

しかし、日本の税法上「10年ルール」により、日本の非居住者となってから10年以内であれば、相続人が日本居住者である場合などに日本で課税されるリスクがあります。専門性の高い分野となりますので専門家に相談することが推奨されます。

ドバイに移住した場合、日本の所得税や住民税はどうなりますか?

日本の非居住者になれば、原則として日本での所得税・住民税の課税はなくなります。

ただし、滞在日数、家族、財産の所在、住民票の有無などから形式的な移住と判断された場合、日本での課税が継続されるリスクがあります。

ドバイでは個人の税金は一切かからないという理解で正しいですか?

概ね正しいですが、完全にゼロではない可能性もあります。

現時点では個人所得税・相続税・贈与税は存在しませんが、将来的な制度変更や一部間接税(観光税・VAT等)には注意が必要です。また、個人事業を営む場合、法人税の対象となる可能性があります。

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