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中央区銀座にある料亭が、立退料2000万円獲得した事例

築40年以上の中央区銀座のビルの地下1階の物件、賃借人は、7年間ここで料亭を営んできました。賃貸人は、ビルの耐震性に問題があり、他の賃借人がすべて立退いてしまったことなどからビルの建替えが必要であるとして、賃借人に明渡しを要求。裁判所が2000万円の立退料を認めたポイントとは?
耐震補強で使用に不利益が出る場合は立替の必要性を基礎づける
この事例のビルは、賃貸人から解約を申し入れられた時点で築40年以上経過し、震度6ないし震度7程度の地震により倒壊または崩壊する危険がありました。このビルの外観は経年ほど劣化がありませんでしたが、補修工事を行うとすると多額の費用が掛かる上、このビルにある事務室のオフィスとしての機能に支障が生じ、賃貸することが困難となります。
賃貸人が明渡を求めた当時、この事例のビルの賃借人は1人しかおらず、他の賃貸人は、耐震性の問題から既に退去済みでした。
賃借人の規模、代替建物の存在からこのビルでの営業が必須でなかった
賃借人は、創業から80年あまり銀座で日本料亭を営んでおり、ミシュランガイド東京で一ツ星の認定を受け、国内外の知名度が飛躍的に上昇していたため、料亭の営業にとってこのビルの立地条件等は重要でした。しかし、賃借人がこのビルを使用していたのは7年間であり、代替建物が存在すること、賃借人の営業成績等からこのビルを明け渡しても廃業を余儀なくされるわけではありませんでした。
他の賃借人の立退状況等も考慮して立退料が定められた
このビルには、複数のテナントが入っていましたが、賃借人を除き、耐震性の問題が浮上してから他のテナントが退去していきました。そのため、このビルには、賃借人以外の借主はいませんでした。
そして、裁判所(東京地判平成22年5月20日)は、上記事情を考慮して、立退料の支払いにより正当事由が認められるとしました。裁判の中では、営業休止補償額等を含めた借家権価格が5910万円とされていましたが、多くのテナントが立退料なしでこのビルから退去していること、立退料を支払ったテナントでも、最大で賃料の7.15か月分であったことなどから、立退料は2000万円とされました。