立退料500万円獲得 好立地の老朽化が進んだ住居の立退きを巡る長期の紛争

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小田急線成城学園前駅付近の好立地にある平屋建、68.58平米の物件、賃借人は、約36年間ここで暮らしてきました。この建物を巡り、前々賃貸人の代から立退紛争が生じていました。賃貸人は、跡地に結婚後の新居を新築するため、賃借人に明渡しを要求。裁判所が500万円の立退料を認めたポイントとは?

住環境最高の好立地、老朽化による建替えの必要性の主張は認められるか

裁判所(東京地裁平成22年2月24日判決)は、以下の事情を認めました。

  1. この建物は、成城学園前駅から徒歩数分の距離にあり、広さは65.58平米、道路交通条件良好、付近に公共施設が充実など、日常生活の利便性に富んでいます。家賃は1か月8万7000円です。
  2. この建物の築年数は60年以上で、老朽化が相当住んでいる上、物理的な損傷個所が随所に見られました。また、必要な耐震補強工事には、360万円の費用がかかるとされていました。当時の固定資産評価証明書の価格は、14万1700円とされていました。この建物は、周辺環境との適合性において、近年の建物と比較してかなり劣位にありました。
  3. 以上の事情に加え、賃貸人が跡地に結婚後の新築を築造することを計画していることから、「明渡しを求める切実な必要性がある」としました。
  4. 一方、賃借人は約32年間この建物に病気の妻とともに居住していました。また、この建物の近くに賃借人が経営している店舗があり、この店舗の閉店が深夜2時を回ることを認定して、賃借人にも「建物を使用する切実な必要性」があるとしました。
  5. 双方の必要性を比べて、立退料の支払いによって明渡請求が認められるとしました。

立退料算定の際には、従前の立退き交渉の経緯も考慮される!

この事例では、立退料の支払いで明渡請求が認められるとされましたが、従前の立退き交渉の経緯も考慮されました。この建物を巡っては、前々賃貸人の代から、賃借人との間で立退き交渉が行われていました。

しかし、賃借人は、頑として立退きを拒み続けてこの建物での居住を続けてきました。現賃貸人は、前賃貸人の立退き交渉が決裂していたことを知りながら、この土地を取得したのです。このような事情も考慮され、立退料が500万円になったと考えられます。

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