債務整理をするとクレジットカードは使えない?5つの解決方法も解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

債務整理をするとクレジットカードは使えない?5つの解決方法も解説

クレジットカードが利用できなくなることを理由に債務整理を躊躇する人も少なくありません。

債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ると言われる状態です。

ブラックリストに載ると、一定期間クレジットカードを新たに作れなくなります。

この記事では、以下の点について解説します。

  • 債務整理とクレジットカードにまつわる疑問
  • 債務整理後にもクレジットカードを使う5つの方法

債務整理後もクレジットカードを使いたい方はぜひご参照ください。

債務整理するとクレジットカードは使えない?

債務整理をすると、クレジットカードは使えなくなるのでしょうか。また、クレジットカードで購入した商品はどうなるのでしょうか。

ここでは、次の3点を解説します。

  • 使用中のクレジットカードは使えなくなる?
  • クレジットカードで購入した商品はどうなる?
  • 任意整理しないクレジットカードは使える?

使用中のクレジットカードは使えなくなる?

使用中のクレジットカードは使えなくなる

自己破産や個人再生をすると、すべてのクレジットカードが強制解約となり使えなくなります。

任意整理をする場合には、原則として、任意整理の対象としたクレジットカードは使えなくなります

使用中のクレジットカードが使えなくなるのはいつ?

多くの債権者は受任通知を受け取った時点で、クレジットカードの利用を停止します。

債務整理を弁護士に依頼した場合、弁護士は債権者に対し受任通知を送付します。

受任通知に記載するのは主に次の項目です。

  • 債務者の氏名・住所
  • 債務整理の依頼を受けたこと
  • 債務者への直接の連絡を行わないようにする旨

このため、公共料金や携帯電話料金の支払いをクレジットカード払いにしている場合には、債務整理をする前に、支払い方法を変更しておく必要があります。

受任通知発送後にクレジットカードの利用があった場合、債権者からクレームが入ったり、受任通知受領後に発生した債務を別途請求されたりすることもありますので注意しましょう。

クレジットカードで購入した商品はどうなる?

クレジットカードで購入した商品はどうなるのでしょうか。

問題になるのは、購入した商品等を債権者に返さなければならないかという点です。

一般に、ローンを組んで購入した商品には、所有権留保がつきます。所有権留保とは、代金の支払いが終わるまで、その商品の所有権は債権者にあるということです。

所有権留保のある借金を債務整理した場合、原則として、債権者から商品の返却を求められます。

返却を求められないのは、主に次のようなケースです。

  • 商品代金が安価なもの
  • 経年劣化でその価値が大きく下がるもの
  • クレジットカードのリボ払いの枠で購入した商品など

個人再生・自己破産の場合

個人再生・自己破産の場合には、車、ブランド品の時計やバッグ等の高額な商品については、返却を求められる可能性が高いでしょう。どうしても返却したくない場合には、商品代金の返済を終えてから、キャッシング分のみ申立てをする方法があります。

任意整理の場合

任意整理で、クレジットカードで購入した商品が生活必需品や仕事に使用するため、商品を取り上げられるのは困る場合には、返却できない事情を説明し、その点を考慮した合意内容を検討する方法もあります。

任意整理しないクレジットカードは使える?(一部のクレジットカードだけ任意整理する場合)

例えばクレジットカードを3枚持っていて、そのうち1社分のみ任意整理する場合、その他2社のカードは従前どおり使用できるのでしょうか。

任意整理の場合、対象としたカードが使えなくなるのはもちろん、他のカードも使えなくなる可能性があります。任意整理をしたクレジットカード会社が信用情報機関に事故情報を登録すると、同じ信用情報機関に加盟している他のクレジットカード会社が情報を照会できるからです。

任意整理の対象外のクレジットカードについては、次のような取り扱いになることがあります。

  • 上限額が引き下げられる
  • 利用をストップされる
  • 利用はできるが増枠ができない

それまでの利用状況や利用可能枠、返済状況、収入・資産によっては、従前どおり使用できることもあります。

ただし、債務整理を検討される段階では、既に返済が困難になっているケースが多いので、クレジットカードの利用に頼らず、収入に見合った支出に抑えましょう。

クレジットカードの利用分は債務整理できる?

クレジットカードには、ショッピング利用分と、キャッシング利用分があります。

これらはどちらも債務整理の対象となるでしょうか。

ここでは、クレジットカード利用分の債務整理について、債務整理の種類ごとに解説します。

ショッピング利用とキャッシング利用

任意整理の場合

ショッピング利用、キャッシング利用のいずれも任意整理を行うことができます。

ただし、ショッピング・キャッシングの両方の利用がある場合、いずれか一方のみを任意整理することはできません。

キャッシング利用分は、その利息が利息制限法を超えている場合には、減額の対象となります。

他方、ショッピング利用分(ショッピングリボを含む)は利息ではなく手数料なので、利息制限法に基づく引き直しによる減額の対象となりません。基本的にはショッピング利用残高を分割して返済します。合意日以降の手数料はカットできるので、返済総額は軽減できます。

キャッシング利用分に過払金が発生する場合には、ショッピング利用分の返済にあてることも可能です。

個人再生の場合

個人再生の場合も、ショッピング利用分とキャッシング利用分をまとめて、借金を減額できます。

ただし、前述のとおり、クレジットカードを利用して商品を購入した場合には、所有権留保により、債権者に商品を返却する必要が生じます。

なお、クレジットカードで購入した商品を売って現金化した場合には、返済計画が認められない可能性があります。破産法のように免責不許可事由に該当するわけではありませんが、債権者の同意を得られなかったり、裁判所の心象が悪くなったりするためです。

自己破産の場合

自己破産をして、裁判所から免責許可を受けると、ショッピング利用、キャッシング利用のいずれも借金の返済が免除されます。

ただし、この場合もショッピング利用分・キャッシング利用分のいずれかのみを免除してもらうことはできません。

個人再生と同様に、クレジットカードを利用して商品を購入した場合には、所有権留保により、債権者に商品を返却する必要が生じます。

なお、クレジットカードで購入した商品を売って現金化した場合には、不利益な条件での債務負担、不利益な条件での処分として、免責不許可事由に該当すると判断される可能性があります。

特定調停の場合

特定調停の場合も、基本的には任意整理と同じ取り扱いです。

ただし、特定調停の場合は、調停委員が商品を返却しなければ完済できる見込みがないと判断した場合には、商品の返却に応じなければならないでしょう。

債務整理をするとクレジットカードを作れない?

債務整理をすると、新規にクレジットカードを作ることはできるのでしょうか。

ここでは、債務整理後のクレジットカードについて解説します。

ブラックリストに載る(信用情報機関への登録)

債務整理後は、新規にクレジットカードを作れません

その理由には、ブラックリストに載ること(信用情報機関への事故情報の登録)が関連します。

クレジットカード会社や貸金業者は信用情報機関に加盟しています。

信用情報機関とは、加盟しているクレジットカード会社などから個人のクレジットやローンに関する信用情報を収集し、加盟している会社からの照会に応じて情報提供を行う機関です。

現在、個人の信用情報機関は3つあります。

  1. 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  2. 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  3. 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

これらの信用情報機関に加盟している会社は、クレジットカードを発行する際に信用情報を照会し、審査をしています。

そのため、事故情報の登録があると(ブラックリストに載ると)クレジットカードを作ることや、ローンを組むことができなくなります。

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ブラックリストへの掲載が削除された後はどうなる?

一般には、債務整理をした債務を完済してから5年~10年は登録が削除されないと言われています。

では、登録が削除された後は、すぐクレジットカードを作れるのでしょうか。

これは、ケースバイケースで、ブラックリストの削除後すぐにクレジットカードを作れる場合もあれば、削除後も数年作れない場合もあります。

ブラックリスト削除後すぐにクレジットカードを作れる場合

ブラックリスト削除後にすぐクレジットカードを作れることや、稀に、ブラックリスト削除前に審査が通ったケースもあります。

クレジットカード会社では、次の内容から新規発行の可否を審査しています。

  • 選択した債務整理の手段
  • 返済を要する手続き(任意整理、特定調停、個人再生等)での返済状況
  • 資産の有無
  • 収入
  • 社会的地位

上記項目の審査を通過すると、クレジットカード会社の判断でカードが発行されます。

ブラックリスト削除後もクレジットカードを作れない場合

ブラックリスト削除後も、過去に取引のあった(債務整理をした)金融機関やクレジットカード会社ではクレジットカードを作れない場合があります。金融機関等が、個別に過去の債務整理の記録を残しており、社内独自のルールにより新規発行はしないと定めていることがあるからです。

また、事故情報の削除後は、過去の取引履歴も削除されるため、信用の実績が少なく、審査が通らないことや、希望の借入枠が認められないこともあります。

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債務整理後に利用できるクレジットカードの5つ代替方法

債務整理をすると、使用中のクレジットカードの利用や、新規クレジットカードの発行が、できなくなるのは先述のとおりです。

インターネットでの買い物やキャッシュレス決済が増えている現在、カードが全く使えないのも不便です。

そこで、ここでは債務整理後も利用できるクレジットカードの代替方法を5つご紹介します。

プリペイドカードやデビットカードを使う

審査不要のプリペイドカードやデビットカードを使う方法です。

プリペイドカードは、あらかじめチャージした金額分を利用できるカードです。

デビットカードは、決済時に登録してある銀行口座から即時で引き落とされるカードです。

どちらも原則一括払いとなること、利用できる店舗がクレジットカードに比べると少ないなどの不便さはありますが、カード決済が必要な場面では利用できるでしょう。

家族カードを使う

家族カードは、本会員の家族などに発行できるカードです。

利用すると、本会員の登録した銀行口座からの引き落としになり、本会員以外の家族が債務整理をしていても利用可能です。

当然、この場合には家族への事情の説明や理解を得ることが必須となり、家族に迷惑をかけない範囲での利用を心がけることが必要です。

信用情報から事故情報が削除されるまで待つ

前述のとおり、信用情報機関に事故情報が登録されているのは一般に5年~10年です。

債務整理後にクレジットカードを作る際は、自分で信用情報を確認してから新規発行の申し込みをするとよいでしょう。

ただし、前述のとおり、事故情報が削除されても、新たにクレジットカードを作れない場合もあります。

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ETCパーソナルカードの利用

債務整理によってクレジットカードが利用停止となり、付帯されていたETCカードも使えなくなると、高速道路の通行料の支払いが現金による方法しかなくなり、不便に感じることもあるでしょう。

このような場合には、ETCパーソナルカードを利用する方法があります。

ETCパーソナルカードとは、NEXCOをはじめとする高速道路会社で発行しているETC専用のカードで原則審査不要です。

年会費はかかりますが、ETCカード利用による割引を考慮すれば、利用頻度によっては現金払いより安く済むこともあるでしょう。

電子マネーやスマホ決済の利用

従来の電子マネーやスマホ決済では、クレジットカードを登録しないと利用できないものもありましたが、現在では、引落口座を登録することで利用できる電子マネーも増えています。

電子マネーでは、デビットカードと同様に登録した銀行口座から即時引き落とされる「デビット型」や、あらかじめ利用分をチャージしておく「プリペイド型」などがあります。

スマホ決済についても、携帯電話利用料と合算できる方法もあります。

使い過ぎに気をつけながら、用途に応じて、ご自身に見合った決済方法を選びましょう。

債務整理後に新たにクレジットカードを作る際のポイント4つ

ここでは、債務整理後新たにクレジットカードを作る際のポイントを4つご紹介します。

過去に取引のあったクレジットカード会社には申し込まない

クレジットカード会社によって、信用情報機関への事故情報の登録が削除された後も、新規クレジットカードの申込が受け付けられない場合があります。

このため、債務整理をしたカード会社には申し込みをせず、過去に利用したことのないクレジットカード会社に申し込みをすることも、ポイントです。

複数のクレジットカード会社に同時に申し込みを行わない

信用情報機関への情報の登録は、「事故情報」のみならず、カードや借金の「申し込み」自体も記録として残されます。

このため、複数のクレジットカード会社に同時に申し込みをすると、審査担当者に「他社で断られたかもしれない」「返済が滞るのではないか」と不審を抱かせてしまい、審査に通らない可能性があります。

また、審査に落ちた場合に、他のクレジットカード会社に申し込みする場合は、一定期間(半年程度)空けてから申し込むようにしましょう。

限度額が少ないカードを申し込む・キャッシング機能をつけない

新規クレジットカードを申し込む場合には、利用限度額をなるべく低く設定しましょう。

また、キャッシング機能を付帯しないことも審査に通りやすくなります。

利用限度額を高く設定しすぎると、再び債務整理が必要な状況になる可能性もあります。

申し込みまでに年収・勤続年数・居住年数・貯金などをバランスよく高めておく

クレジットカード会社では、申込の審査時に次の項目を総合的に勘案します。

  • 信用情報
  • 申込者の年収・勤続年数
  • 居住年数(又は賃貸か所有か)
  • 資産状況など

債務整理後もクレジットカードを利用したい場合には、債務整理により、生活の再建を目指すとともに、年収・勤続年数・居住年数・貯金などをバランスよく高めていくことを意識しましょう。

まとめ

債務整理をすると使用しているカードは使えなくなり、当分の間、新規契約もできません。

公共料金や携帯電話代金をクレジットカード払いに設定している場合には支払い方法を変更せざるを得ず、ネットショッピングの利用も困難になるでしょう。

不便なことはあるかもしれませんが、クレジットカードを使えないということは無駄な出費を防ぎ、収支を見直すよい機会になります。

債務整理をして生活の再建を目指すためにも、クレジットカードを使わなくても生活していけるような収支のバランスを保てるよう努力することも重要です。

クレジットカードを使えなくなると困るという理由で債務整理を躊躇している方は、まずは弁護士に相談してみましょう。

借金を滞納すると、債務整理をしなくても事故情報に登録されてしまいます。なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

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