専業主婦でも債務整理できる?家族に内緒でできる債務整理は?
専業主婦の方でも、結婚後の生活費の補てんや独身時代の借金により、返済に行き詰まるケースがあります。
専業主婦でも債務整理はできるのでしょうか?家族に知られずに借金を整理することは可能なのでしょうか?
この記事では、専業主婦の方の債務整理について、次のとおり解説します。
- 専業主婦でも債務整理できる?
- 主婦が家族に内緒でできる債務整理
- 主婦の債務整理でよくある質問
債務整理を検討中の専業主婦の方は、ぜひご参考になさってください。
目次
専業主婦でも債務整理できる?
専業主婦でも債務整理できます。
債務整理には主に次の3つの手続きがあります。
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理
ここでは、手続きごとに、専業主婦が利用できるかどうかを検証します。
自己破産はできる
自己破産は、条件を満たせば専業主婦でも利用できます。具体的には、次の条件を満たさなければなりません。
- 支払不能の状態にあること
- 免責不許可事由がないこと
自己破産は、裁判所に免責が認められれば、借金の支払義務が全額免除される制度です(非免責債権を除く)。
一定の財産が処分されますが、専業主婦の場合、処分の対象となる財産(評価額が20万円以上のもの)が全くないケースもあります。
家族からの援助も受けられず、収入もない場合には、自己破産を検討しましょう。
夫の協力が必要
自己破産では、裁判所に同居家族を含めた世帯全体の収支状況を報告しなければなりません。裁判所によっては、同居家族の給与明細や通帳等の提出が求められます。
普段から夫の給与明細や通帳を管理していれば、これらの書類を準備するのは簡単でしょう。そうでなければ、内緒で集めることは難しいので、手続き前に家族に伝えて協力を得なければなりません。
自己破産には、裁判所手続きに必要な費用や、弁護士に依頼した場合の弁護士費用がかかります。ご自身で費用を準備できなければ、家族に援助を求めなければなりません。
個人再生は難しい
個人再生は、裁判所を通して借金を大幅に減額できる制度ですが、原則として専業主婦は利用できません。
個人再生は本人に収入がなければ利用できない
個人再生を利用するためには、申立人本人が継続的に安定した収入を得ている必要があります。減額後の借金を原則3年(最長5年)で返済しなければならないからです。
そのため、収入がない専業主婦の方は個人再生を利用できません。
任意整理はできる可能性がある
任意整理は、裁判所を介さず、債権者と債務者との交渉により返済方法を変更する手続きです。将来利息のカットや返済期間の延長により毎月の返済額を軽減できます。
任意整理では、返済原資が問われません。よって、次のような場合は、専業主婦でも任意整理を利用できます。
- 家計のやりくりによって返済原資を賄える
- 夫・家族の援助を受けられる
- パート・アルバイトで一定の収入を得られる
夫の協力が必要
任意整理では、原則として借金の元本を3〜5年かけて分割返済します。したがって、次のような場合は、夫や家族の協力が不可欠です。
- 家計の中で自由に使えるお金がない
- パートやアルバイトで収入を得られない
主婦が家族に内緒でできる債務整理
ここでは、主婦が家族に内緒でできる債務整理の方法を解説します。
任意整理ならバレにくい
家族にバレずに手続きしたい場合は、任意整理を選択するとよいでしょう。
任意整理は、裁判所を介さず債権者と債務者で交渉する手続きです。弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉の窓口となるため、債権者からの直接の連絡もなくなります。
家族に内緒にしたいならアルバイト・パートが不可欠
家族に内緒で任意整理するためには、アルバイト・パートが不可欠です。
家計の中で自由に使えるお金がある場合でも、家計状況に変化が生じ返済できなくなる事態に発展する可能性もあります。任意整理後に返済を滞納すると、債権者から一括請求されるリスクが生じます。
そのような事態を避けるためにも、アルバイト・パートで返済原資を確保することをおすすめします。
主婦の債務整理でよくある質問
ここでは、主婦の債務整理に関してよくある質問とその回答を紹介します。
夫に収入があっても自己破産できる?
夫に収入があっても自己破産できます。夫の収入は、原則として本人が自己破産できるかどうかの判断には影響しません。
主婦が債務整理すると夫の仕事に影響はある?
妻が債務整理しても夫の仕事に影響が生じることは原則としてありません。
ただし、自己破産では、申立人の住所・氏名が官報に掲載されます。夫の勤務先が官報を日常的にチェックする業種である場合、妻が自己破産したことが知られると、夫が職場で気まずい思いをする可能性があります。
主婦が債務整理すると夫の信用情報に影響する?
妻が債務整理したことによって、夫の信用情報に傷がつくことはありません。信用情報機関への事故情報の登録は、債務整理した本人に限られます。
ただし、妻の借金について夫が連帯保証人になっている場合は、夫にも次のようなリスクが及びます。
- 債権者が夫に残債務を一括請求する
- 夫も信用情報機関に事故情報が登録される
まとめ
専業主婦の方でも債務整理できます。
家族の協力を得られる場合には、任意整理または自己破産が選択肢となります。家族にバレずに借金問題を解決したい場合には、任意整理をおすすめします。ただし、周囲に知られずに任意整理するためには、ご自身で収入を得る必要があります。
借金の返済に困ったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。