家賃を滞納でブラックリスト?何年で解除?ブラックリストでも引っ越す方法
家賃を支払えない状況が続くと、契約解除や立ち退きだけでなく、いわゆるブラックリストに載るリスクが生じます。
しかし、すべてのケースで家賃滞納が信用情報に影響するわけではないため、ブラックリストに関する正確な理解が必要です。
ここでは、家賃滞納とブラックリストの関係、ブラックリストに載るケースやその影響、さらに滞納の予防策と入居審査を通過するための対策まで、詳しく解説します。
目次
ブラックリストに載る理由と仕組み
まず、家賃滞納の前に、ブラックリストとは何なのか、どういう仕組みなのかを理解しましょう。
①支払いの滞納で信用情報に記録が残る
ブラックリストとは、正式には信用情報機関に登録される、金融事故の記録のことを指します。
クレジットカードやローンの支払いを滞納した場合、その情報がCIC(Credit Information Center)やJICC(Japan Credit Information Reference Center)に登録されます。
家賃の滞納も、特定の条件を満たす場合には信用情報に記録され、ブラックリストに載る形になります。
②借入審査で信用情報をチェックされる
お金を借りたり、クレジットカードを作ったりする際の審査で、銀行や貸金業者は、信用情報機関を通じて、申込者の情報をチェックします。
そこで、金融事故の記録が発覚すると、ブラックリストであるから(返済の見込みが薄いから)という理由で審査を通過しにくくなります。
これがブラックリストに載ると借入などの行動が困難になる理由です。
家賃を滞納してもブラックリストに載らない理由
家賃を滞納したからといって、必ずブラックリストに登録されるわけではありません。なぜなら、家賃は借金ではないからです。
信用情報機関に記録を残せるのは、信用情報機関に加盟している貸金業者や銀行のみです。
つまり、一般的な賃貸契約では滞納の記録が直接信用情報に反映される仕組みはありませんし、大家の一存でブラックリストに載るようなこともありません。
家賃滞納でブラックリストになるケース
上記で、一般的な賃貸契約では滞納の記録が直接信用情報に記録される仕組みはない、と説明しました。
しかし、特定の条件を満たしている場合、家賃滞納が信用情報に記録され、ブラックリストに登録される可能性があります。
ここでは、考えられる2つのケースについて紹介します。
家賃保証会社が信販系であるケース
クレジットカードを発行している会社、いわゆる信販系の会社(エポス、アプラス、ジャックスなど)が家賃保証をしている場合、家賃滞納がそのまま信用情報機関に記録されることがあります。
家賃滞納が数ヶ月続くと、契約者本人に代わって保証会社が家賃の支払いを行います。そのタイミングで、信用情報に記録が残る可能性があります。
家賃保証会社が信販系であるケースが多いので、ブラックリストに登録されないように注意しましょう。
家賃保証会社がLICCに加入している
信販系でない家賃保証会社でも、LICC(全国賃貸保証業協会)に加入している場合、家賃滞納でブラックリストに登録される可能性があります。
LICCとは、家賃保証会社が加盟する信用情報機関のようなものだと考えてください。LICCにも、信用情報のように、利用者の名前や滞納情報などが記録されています。
LICCに加盟している保証会社は、下記のリンクから確認することができます。
【関連:正会員一覧 – 全国賃貸保証業協会】
家賃は1日でも遅れるとブラックリストに載る?
家賃は1日でも遅れるとブラックリストに載るのでしょうか。ここでは、家賃滞納がはじまってからブラックリストになるまでの期間や、ブラックリストの記録が消えるまでの期間について説明します。
滞納から2~3か月ほどでブラックリストに載る
家賃の支払いが1日遅れたとしても、即座にブラックリストに載ることはありません。
家賃保証会社の規約では、2~3か月程度の滞納が発生すると、信用情報に記録されるケースが多いです。
これを回避するためにも、遅れそうな場合は早めに保証会社や管理会社に相談することが重要です。
滞納解消から5年ほどでブラックリストの記録が消える
一度ブラックリストに登録されると、最低でも5年間は記録が残ります。
さらにいうと、家賃の滞納が解消してから5年で記録が消えるとされているため、家賃を支払わない限り、永遠にブラックリストに登録されたままになります。
一度ブラックリストに載ってしまった人は、なるべく早く支払うことが、信用回復の近道になります。
家賃滞納でブラックリストに載ったか確認する方法
自分がブラックリストに載っているか確認するには、CICやJICCに情報開示を依頼する必要があります。
これには手数料がかかりますが、インターネット経由で簡単に申し込むことができます。滞納の有無を確認することで、将来の入居審査や借入計画に備えられます。
各信用情報機関のホームページは、以下のURLを参考にしてください。
信用情報機関 | URL |
CIC | https://www.cic.co.jp/ |
JICC | https://www.jicc.co.jp/ |
KSC | https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/ |
各信用情報機関で加盟店が違います。例えば、CICではブラックリストに登録されているが、KSCでは登録されていない、といったことも起こります。
念のため、3つの機関すべての信用情報を確認することをおすすめします。
ブラックリストに載ることで発生するデメリット
次に、ブラックリストに載ることで発生するデメリットについて説明します。
新たな借入やクレカの作成などが困難になる
ブラックリストに登録されると、新たな借入やクレジットカードの発行が難しくなります。銀行や信販会社は審査の段階で信用情報機関に登録された履歴を確認します。
その際、延滞や滞納の記録が見つかると、返済能力や信用力に疑問を持たれるため、ローンやカードの審査に落ちる可能性が高くなります。
特に、クレジットカードは日常生活においても公共料金の支払いやネットショッピングに不可欠なため、カードが作れないと不便な生活を強いられることになります。
自動車ローンや住宅ローンの審査も通りにくくなるため、将来の大きな買い物にも影響が出ます。
クレジットカードが強制解約になる
滞納が信用情報に登録されることで、すでに持っているクレジットカードが強制的に解約されるケースもあります。
クレジットカード会社は、利用者の信用状況を定期的にチェック・管理しています。
そのため、ブラックリストに登録されると信用喪失とみなされ、カードの使用停止や契約解除に至ることが多いです。
カードが解約されると、公共料金の自動引き落とし設定も停止されるため、期日通りの支払いが難しくなり、生活のあらゆる面で支障をきたします。
解約されると再びカードを作ることが難しくなるため、長期的に不便を強いられることになります。
誰かの借金の保証人になれなくなる
信用情報に傷があると、自分自身の借入だけでなく、他人の借金の保証人になることもできなくなります。
保証人は、借主が返済できなくなった場合に代わりに返済する責任を負うため、契約者と同様に審査されます。
これにより、家族が教育ローンや住宅ローンを組む際などに、苦労する可能性があるでしょう。
次回以降の入居審査で落ちる可能性がある
ブラックリストに載ると、新たに賃貸物件に入居する際の審査にも影響を与えます。
次に引っ越す予定の物件の保証会社が信販系だったりした場合、申込者の信用情報をチェックできます。
ここで、信用情報に傷があれば、入居審査に落ちる可能性が高くなります。ブラックリストに登録されていると、引っ越し先の選択肢に制限がかかることを覚えておきましょう。
家賃滞納でブラックリストに載らないためにできること
上記で説明したように、ブラックリストに登録されると、生活や人生に支障がでます。ここでは、家賃滞納でブラックリストに載らないためにできることを紹介します。
現在すでに滞納がある人は、これを読んでできることからはじめてください。
すぐに滞納を解消する
最も重要なことは、滞納が発生した時点でできるだけ早く解消することです。
家賃の支払いが遅れたとしても、短期間であれば保証会社から信用情報機関に報告されることはほとんどありません。
しかし、2~3か月以上滞納が続くと信用情報に記録されるリスクが高まります。すでに滞納がある人は、すぐにでも支払う方法がないか考えてみましょう。
滞納が続くと、ブラックリスト入りの可能性が高まるだけでなく、遅延損害金が加算され、支払額が多くなる可能性もあります。
管理会社や大家と支払いの相談をする
支払いが難しい場合は、管理会社や大家に早めに相談することが大切です。
早めに相談することで、支払い期限の延長や分割払いの提案など、柔軟な対応を受けられる可能性があります。
家賃保証会社を利用している場合も、保証会社に事情を説明して支払いプランを再調整できるとよいでしょう。
相談を先延ばしにすると相手側の対応が厳しくなるため、早めにコミュニケーションを取ることが重要です。
公的な支援を受ける
急な失業や収入減など、個人の力での支払いが難しい場合は、公的支援を利用することも選択肢の一つです。
自治体によっては、生活保護制度や住居確保給付金など、家賃の支払いをサポートする制度が整備されています。
制度 | 内容 | 問い合わせ先 |
生活保護 | 毎月一定額を給付 | 各市町村の福祉事務所 |
住宅確保給付金 | 実際の家賃額を原則3か月給付 | 各市町村の役所 |
生活福祉金貸付制度 | 低所得者、高齢者、障害者などに資金の貸付を行う | 都道府県社会福祉協議会 |
公的な支援は申請に時間がかかる場合もあるため、早めに調べて準備するようにしましょう。
ブラックリストに載った人が入居審査を通過する方法
ブラックリストに載ってから、信用情報が元通りになるまでは少なくとも5年ほどはかかるといわれています。
その間、引っ越しが不可能になるかと言われたら、そうではありません、ここでは、ブラックリストに載った人が入居審査を通過する方法を紹介します。
保証会社が不要な物件を選ぶ
すべての物件に保証会社がついているわけではありません。保証会社が不要な物件や、保証会社の代わりに保証人が必要な物件を選ぶのもひとつの手です。
入居希望時に管理会社や不動産会社に相談し、保証会社が不要な物件を優先的に紹介してもらうといいでしょう。
保証会社が信販系でない物件を選ぶ
保証会社は信販系と独立系の2種類があります。信販系の保証会社は入居審査時に申込者の信用情報をチェックします。
一方、独立系の保証会社は、金融とは無関係の保証会社であるため、申込者の信用情報をチェックできません。
独立系の保証会社は審査が比較的緩やかなため、ブラックリストの影響を受けにくいのが特徴です。
例えば信用情報より、現在の収入や勤務先を重視する会社もあることを覚えておきましょう。
親族に代理で契約してもらう
ブラックリストの影響で自分名義の契約が難しい場合、親族に代理で契約してもらうという方法もあります。
信頼できる家族や親戚に入居契約をお願いし、その後実際の居住者として生活する形です。
大家や保証会社は、契約者の信用のもとに家を貸し付けますので、居住者がブラックリストに登録されていても問題ありません。
この方法を用いたうえで滞納すると、契約名義人に迷惑がかかるので注意しましょう。
収入に対して家賃が安い物件を選ぶ
ブラックリストに載っている場合、入居審査は家賃と収入のバランスが特に重視されます。
一般的に、家賃は月収の3分の1以下が目安とされており、これを超える場合は支払い能力に不安を持たれるため審査が厳しくなります。
そのため、入居を希望する際は、収入に対して家賃が低めの物件を選ぶことが重要です。それに、安い家賃を選ぶことで、月々の支払い負担も減り、滞納リスクの軽減にもつながります。
不人気な物件を選ぶ
賃貸市場であまり人気がない物件は、審査基準が緩くなる可能性があります。
たとえば、駅から遠い物件や築年数が古い物件、リフォームが必要な物件などは競争が少ないため、大家や管理会社が柔軟に対応してくれることが多いです。
また、賃貸契約を急いで決めたい物件の場合、審査基準が緩くなったり、保証会社を使わずに契約できるケースもあります。
こういった物件を探す際は、不動産会社に「審査に通りやすい物件を紹介してほしい」と相談するのがおすすめです。
大家に相談する
ブラックリストに載っている状況でも、大家に直接交渉することで入居できる可能性があります。
特に、個人が管理する物件では、保証会社を介さずに契約するケースがあるため、大家との信頼関係を築くことが大切です。
入居を希望する理由や現在の収入状況を説明し、誠実に対応することで、交渉が成功することもあります。
他には、連帯保証人を用意したり、敷金を多めに払うなどの交渉をすることで、大家の不安を解消し、審査に通過することも考えられます。
家賃滞納による悪影響
契約解除で物件から追い出される
家賃滞納が続くと、大家や管理会社は賃貸借契約の解除を求めることができます。
契約書には通常、一定期間以上の滞納があれば契約を解除できるという条項が記載されています。
契約を解除してしまうと、次の入居者が見つかるまで家賃収入が得られなくなるため大家も慎重になりますが、3~6か月程度滞納で契約解除になることが多いです。
契約解除になると、やがて強制退去になるため注意が必要です。
家賃+遅延損害金で支払額が増える
家賃滞納が発生すると、通常の家賃に加えて遅延損害金が発生します。
遅延損害金は、契約書に明記されている利率に基づいて計算され、支払いが遅れるほど最終的な支払い総額が増える仕組みになっています。
他には、保証会社を利用している場合、保証会社が代わりに家賃を立て替えた後は、保証会社からの督促が続き、追加手数料なども請求される可能性があります。
家賃滞納とブラックリストに関するよくある質問
家賃滞納によるブラックリストが解除されるのは何年後?
家賃滞納によるブラックリストが解除されるのは、家賃滞納が解消されてから5年ほどと言われています。
家賃を滞納している限り、ブラックリストは解除されませんので、早めに支払うことが大切です。
家賃滞納履歴はいつ消える?
家賃を少し滞納したくらいでは、信用情報に記録や履歴として残ることはありません。残るとしたら、契約者に代わって保証会社が家賃の支払いを行ったタイミングです。
この履歴(金融事故の記録)は、家賃滞納を解消してから5年ほど経過すると消えます。
まとめ
家賃滞納をしたすべてのケースでブラックリストに登録されるわけではありませんが、信販系の家賃保証会社やLICC加盟の保証会社を利用している場合は注意が必要です。
一度ブラックリストに載ると、新規借入やクレジットカードの発行に支障をきたし、場合によっては次回の入居審査にも影響することがあります。
万が一、ブラックリストに載った場合でも、保証会社の利用が不要な物件や、信販系以外の保証会社を選ぶなどの工夫で入居のハードルを下げることができます。
ブラックリストに載ることのないよう、家賃を滞納したら早めに支払いをしたり、大家や保証会社、親族などに相談するといいでしょう。