任意整理したら携帯・スマホは使える?
借金の利息をカットして、毎月の返済の負担を軽減できる任意整理。しかし任意整理をすると、携帯・スマホが使えなくなるのではと不安に思っている方も多いです。
今回は任意整理したら携帯・スマホはどうなるのかを中心に、以下の点について解説します。
- 任意整理したら携帯・スマホは使えるのか?
- 任意整理後に携帯・スマホの新規購入・乗り換えはできるのか?
- 携帯ブラックと任意整理におけるブラックリストの違い
- 任意整理後に携帯・スマホを利用するためにすべきこと
- 任意整理で携帯・スマホを失わないためにすべきこと
目次
任意整理したら携帯・スマホは使えるのか?
ここでは、任意整理をすると携帯・スマホは使えるのか解説します。
滞納がなければ使える
端末代金を支払い済みで、毎月の通信料などの滞納がなければ、任意整理後も携帯・スマホを利用できます。
新規契約や継続契約でも、滞納さえしていなければ任意整理で携帯・スマホの利用に影響が出ることはありません。
返済中の場合強制解約の可能性がある
現在利用している携帯・スマホが分割払い返済中の場合、任意整理すると強制解約されることがあります。強制解約になった場合、それ以降携帯・スマホは使えません。
分割払いを滞納していると強制解約の可能性がある
分割払いを滞納しており、滞納していた未払い債務を任意整理する場合、携帯・スマホは強制解約になる可能性があります。
なお携帯の支払いに関する情報は、電気通信事業者の業界団体であるTCA(電気通信事業者協会)で管理されています。
分割払いの滞納や未払い債務を任意整理した情報は、上記協会で管理・共有されているので、今後新規契約や乗り換えができなくなるおそれもあります。
任意整理後は携帯・スマホの分割払いは利用できない
任意整理を行うと金融事故情報、いわゆるブラックリストとして信用情報機関に登録されます。
携帯・スマホの分割払いやクレジットカードの新規作成では、信用情報機関に信用情報を照会して、支払いの遅滞や債務整理をした記録がないか審査を行います。
ブラックリストに登録されている場合、この審査に通りません。ブラックリストの登録は、約5年経過すれば抹消されるので、それ以降は携帯・スマホを分割払いで購入できます。
任意整理後に携帯・スマホの新規購入・乗り換えはできるのか?
ここでは任意整理後に携帯・スマホの新規購入・乗り換えはできるのか解説します。
新規契約はできる
任意整理後も携帯・スマホは、手続き前と同様に契約できます。ただし滞納や未払い分の債務がある場合、新規契約ができない可能性が高いです。
乗り換えもできる
任意整理後も携帯・スマホは、手続き前と同様に他社へ乗り換えできます。ただし新規契約時と同様に、滞納や未払い分の債務がある場合は契約できない可能性が高いです。
携帯・スマホ本体の購入もできる
任意整理後も、携帯・スマホ本体の購入は可能です。ただし新規契約の際は、携帯・スマホの本体を分割購入はできません。ブラックリストに登録されているので、分割支払いの審査に通らないためです。
任意整理後高価な携帯・スマホを購入したい場合、一括で購入するか、端末代金が安くなっている中古を購入する必要があります。
キャリア決済は使えない可能性が高い
大手携帯会社では、買い物などを後払いできるキャリア決済サービスを提供しています。
キャリア決済は、クレジットカードの利用と同様に後払いを前提で与信枠が与えられるので、任意整理後は利用できない可能性が高いです。
任意整理後にキャリア決済が利用できても、クレジットカードと同じ性質を有しているので、使いすぎると返済の負担になります。場合によっては、任意整理の返済計画に影響が出るので、任意整理後にキャリア決済はできるだけ利用しないでください。
携帯ブラックと任意整理におけるブラックリストの違い
ここでは、携帯ブラックと任意整理におけるブラックリストはいったいどう違うのか解説します。
携帯ブラックとは?
携帯ブラックとは、次の2とおりの意味を有しています。
- 各キャリアで返済を滞納してしまい社内ブラックに登録される
- TCA・TELESAの不払い者情報交換リストに入る
各キャリアで返済を滞納してしまい社内ブラックに登録される
社内ブラックとは、携帯料金の支払いを滞納したことで利用している携帯会社に迷惑をかけたことが原因で、社内情報上のブラックリストに登録されることです。
社内ブラックは半永久的に情報が残されると言われており、1度登録されると今後その携帯会社のサービスが利用できません。
TCA・TELESAの不払い者情報交換リストに入る
携帯会社は、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)や一般社団法人テレコムサービス協会(TELESA)に加盟しており、端末代金の未払いや滞納が続いた利用者の情報を共有しています。
端末代金の未払いや滞納が長期化して携帯ブラックに登録されると、それ以降新規契約やMNP契約を断られる可能性が高いです。ほとんどのキャリアで契約するのが困難になるため、まずは携帯の未払い料金を完済する必要があります。
ブラックリストとは?
ブラックリストとは、信用情報機関の個人信用情報に金融事故情報が記録されることを指します。
ブラックリストに登録される行為は、主に以下のとおりです。
- 3ヶ月以上借金や携帯料金の支払いを滞納している
- 債務整理をした
- 過払い金返還請求をした
- 競売にかかった
- 特定調停をした
一般的な金融機関は、新規クレジットカードの作成やローンの契約を行う際に、信用情報機関に照会して信用できるかどうかをチェックします。
任意整理などでブラックリストに載っている場合、金融機関の審査には通りません。一定期間経過すればブラックリスト情報は抹消されるので、それ以降はカードの作成やローンの契約もできます。
それぞれの信用情報機関に登録されている事故情報が消えるまでの期間は、以下のとおりです。
機関名 | 主な加盟店 | 事故情報が消えるまで |
CIC | ・消費者金融
・クレジットカード会社 |
5年 |
JICC((株)日本信用情報機構) | ・金融機関 | 5年 |
KSC((株)全国銀行個人信用情報センター) | ・全国の銀行 | 5年以上 |
任意整理後に携帯・スマホを利用するためにすべきこと
ここでは任意整理後に携帯・スマホを利用するためにすべきことを4つ解説します。
未納料金を支払う
任意整理後に携帯・スマホを利用するためにも、事前に未納料金は支払っておきましょう。
カード支払いの場合は支払い方法を変更しておく
携帯・スマホの料金をクレジットカードで支払っている場合、事前に支払い方法を変更しましょう。
任意整理後はクレジットカードが利用できないため、知らない間に滞納してしまいブラックリストに登録される危険があります。
家族名義で契約する
本体価格が高価な携帯・スマホを購入する場合、家族名義での契約もできます。
家族の名義で契約してもらい支払いは自分が行うことで、分割払いでも携帯・スマホを購入できます。
ただし家族名義で契約する場合、事前に家族に事情を説明して了承を得る必要があります。
本体は一括購入する
任意整理後携帯・スマホを分割支払いの購入は不可能ですが、一括で購入するのは問題ありません。
任意整理で携帯・スマホを失わないためにすべきこと
任意整理で携帯・スマホを失わないためには、任意整理の対象に携帯・スマホを選ばないことが重要です。
任意整理は、他の債務整理とは異なり手続きする対象を選べます。端末代金が分割支払い中の携帯・スマホを任意整理の対象にすると、強制解約になるおそれがあります。
なお任意整理をしても、携帯・スマホの契約をしている携帯会社に本体を没収されることはありません。
(指定商品の引渡し及び所有権の移転) 第6条 指定商品は、本契約成立後、当社所定の本契約の申込画面又は交付書面(以下、総称して「交付書面等」といいます。)に記載する時期に当社から契約者に引渡しされるものとし、指定商品の現実の引渡しが完了したときに指定商品の所有権が当社から契約者に移転するものとします。
大手携帯電話会社では、割賦販売契約約款でこのように定めています。分割払いにすると、本体を受け取った時点で携帯・スマホ本体の所有者は契約者自身へ移るため、携帯電話会社に携帯・スマホを没収されることはありません。
まとめ
任意整理をしたとしても、料金を滞納していなければ携帯・スマホを継続して利用できます。ただし分割払いが終わる前に債務整理をすると、ブラックリストに登録されて強制解約される可能性が高いです。
任意整理後でも携帯・スマホを利用したい場合は、以下の方法をおすすめします。
- 任意整理で携帯・スマホを対象としない
- 滞納していた料金があれば手続き前に支払っておく
任意整理後に、携帯ブラックになって携帯・スマホが利用できないことを防ぐためにも、手続き前に対策しましょう。