個人再生すると退職金はどうなる?退職金見込額証明書の要否も解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

個人再生すると退職金はどうなる?退職金見込額証明書の要否も解説

個人再生では、自己破産のように財産を処分されることはありません。

ただし、財産の有無によって、借金の減額幅が変わります。退職金も財産の一つですので、退職金によって借金の減額幅に影響を及ぼすことがあります。

この記事では、個人再生と退職金の関係について、次のとおり解説します。

  • 個人再生すると退職金はどうなる?
  • 清算価値に含める退職金の評価方法
  • 個人再生するには退職金見込額証明書が必要?
  • 個人再生しても退職金を少しでも多くもらうには?

個人再生を検討中の方で、勤め先に退職金制度がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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個人再生すると退職金はどうなる?

個人再生において、退職金はどのように取り扱われるのでしょうか。

ここでは、個人再生における退職金の取り扱いを解説します。

退職金見込額は個人再生の返済額に影響する

個人再生には清算価値保障の原則があります。

清算価値が、以下に記載する基準債権額による最低弁済額を上回る場合、清算価値が計画弁済総額(※)となります。

基準債権額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円を超え1,500万円以下 借金額の5分の1
1,500万円を超え3,000万円以下 300万円
3,000万円を超え5,000万円以下 借金額の10分の1

※計画弁済総額とは、再生計画認可決定確定後に、実際に返済する金額の総額です。

清算価値保障原則とは

清算価値保障の原則とは、全財産を清算したときに得られる価値(自己破産手続きを行った場合に弁済される配当額)は、最低限債権者に弁済しなければならないとする原則です。

例えば、借金の額が300万円、財産の総額が120万円の場合は、計画弁済総額は120万円となります。基準債権額による最低弁済額は100万円ですが、財産の清算価値が120万円あるからです。

清算価値に含める退職金の評価方法

個人再生では、退職金は清算価値として計上されますが、退職金全額が清算価値に含まれるわけではありません。退職金が確実に受給できるとは限らないからです。

では、退職金はどのように評価されるのでしょうか?

ここでは、清算価値に含める退職金の評価方法を解説します。

次の3つのケースに分けて、見てみましょう。

  • 退職して退職金を受け取っている場合
  • 退職したが退職金を受け取っていない/退職する予定がある場合
  • 退職する予定がない場合

ひとつずつ説明します。

退職して退職金を受け取っている場合

退職して退職金を受け取っている場合は、次のとおり取り扱われます。

  • 退職金を預金口座に預け入れている場合は預貯金として清算価値に計上される
  • 退職金を現金保管している場合は現金として清算価値に計上される

すなわち、退職金をすでに受け取っている場合は、原則として退職金全額が清算価値に計上されます。

退職したが退職金を受け取っていない/退職する予定がある場合

退職したが退職金を受け取っていない場合や、退職予定がある場合は、退職金見込額の4分の1が清算価値に計上されます。

法律上、退職金の4分の3に相当する部分は、差押禁止債権とされています。そのため、個人再生でも清算価値に計上する金額が4分の1までと定められているのです。

退職する予定がない場合

退職する予定がない場合は、退職金見込額の8分の1が清算価値に計上されます。

清算価値に計上される割合が低いのは、他のケースよりも退職金を受給できるか否かが不確実だからです。

個人再生するには退職金見込額証明書が必要?

個人再生では、必ず退職金見込額証明書を提出しなければならないのでしょうか?

ここでは、退職金見込額証明書について解説します。

勤続5年未満でも退職金見込額証明書が必要

勤続5年未満でも退職金見込額証明書が必要となることがあります。

一般的には勤続5年以上の場合に退職金が支給されるケースが多いですが、東京都労働相談情報センターによると、勤続5年未満でも退職金を支給する企業が増えています。

したがって、勤続年数5年未満でも退職金を受け取れる場合は、退職金見込額証明書が必要です。

退職金見込額証明書なしで見込額を確認する方法はある?

退職金見込額は、退職金規定をもとに自分で計算できます。

退職金制度がある会社は、何らかの方法で退職金に関する規定を定めています。通常、就業規則で退職金に関する規定が定められています。

退職金規定には、退職金の計算方法が記載されていますので、その計算方法に基づいて、退職金見込額を算出できます。

退職金見込額証明書が不要なケースは?

退職金制度がない場合は、退職金見込額証明書の提出は不要です。ただし、退職金制度がないことを確認できる次のいずれかの書類を提出します。

  • 就業規則のコピー
  • 退職金がないことの証明書

退職金制度がある場合も、次の書類を提出することで退職金見込額証明書を不要とする裁判所もあります。

  • 退職金規定(就業規則)のコピー
  • 退職金見込額の計算書

退職金見込額の発行を依頼すると会社に個人再生することがバレる?

会社に退職金見込額証明書の発行を依頼すると、使途や提出先を聞かれる可能性があります。

会社に個人再生することを知られたくない場合は、納得してもらえる言い訳を考える必要があります。教育ローンや住宅ローンの審査に、退職金見込額証明書を求められるケースがありますので、ローン審査を言い訳にしても良いでしょう。

個人再生しても退職金を少しでも多くもらうには?

個人再生しても退職金を多くもらう方法はあるのでしょうか?

ここでは、退職金をより多く手元に残す方法を解説します。

退職金は再生計画の認可決定以降に受け取る

個人再生の認可決定確定後に退職金を受け取った方が、退職金を少しでも多く残せます。したがって、退職時期を慎重に検討する必要があります。

認可決定確定後に退職金を受け取ることができれば、清算価値に計上される割合を低くし、再生計画に基づく弁済額も低くできます。

個人再生と同時に退職を考えている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

勤務先に退職金制度がある場合、その金額や受け取るタイミングによって、個人再生による減額幅が変わります。

個人再生の手続きは、債務整理の中でも最も複雑な手続きです。清算価値保障原則に基づく計算も自力で対応するのは難しいでしょう。

退職金は、退職後の生活を支える大切な財産です。

個人再生と退職を同時に考えている方は、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。

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