自己破産の予納金とは|分割できる?払えない場合はどうなる? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産の予納金とは|分割できる?払えない場合はどうなる?

予納金(よのうきん)とは、裁判所が自己破産の手続きを進めるための費用のことです。自己破産の申立人は、裁判所が定める金額を納付する必要があります。

この記事では、予納金について以下の点を解説します。

  • 破産手続きに必要な予納金の内訳と金額
  • 予納金を支払うタイミング
  • 予納金払えない場合

予納金への理解を深めるためにご参照ください。

寺垣弁護士
寺垣弁護士
予納金を支払えないと、自己破産の申立てを却下されるおそれがあります。支払いが難しい場合は分割納付や積立をしましょう。

弁護士は、予納金の支払いを含め自己破産が認められるために必要なサポートをします。自己破産で失敗しないためにも一度ご相談ください。

自己破産の予納金とは?

予納金は、裁判所が破産手続きを進めるために必要な費用です。予納金は、申立時に裁判所に支払います。予納金の額は事件の種類によって異なります。

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自己破産で裁判所に支払う費用

自己破産で裁判所に支払う費用の内訳は、次のとおりです。

  • 申立手数料
  • 予納郵券
  • 官報公告費用
  • 引継予納金

ひとつずつ説明します。

①申立手数料(収入印紙)

破産手続開始・免責許可申立の手数料です。次の金額の収入印紙を申立書に貼り付けて裁判所に納めます。

同時廃止事件 少額管財事件 通常管財事件(特別管財)
一律1,500円

②予納郵券(郵便切手)

予納郵券は、破産手続開始決定や免責許可決定を債権者に通知する際に必要な費用です。申立て時に郵便切手で裁判所に納めます。裁判所によって納める額や内訳が異なり、追加納付を求められるケースもあります。

※東京地方裁判所の場合、予納郵券の金額・内訳は以下のとおりです(2024年9月24日~)。

金額 内訳
4,950円 ・500円×4枚
・180円×1枚
・110円×22枚
・50円×4枚
・10円×15枚

※大型合議事件の場合は、金額や内訳が異なります。

③官報公告費用(予納金)

自己破産をすると、官報に自己破産を申し立てた人の住所や氏名を含めた情報が掲載されます。官報公告費用の額は、破産事件を管轄する裁判所や、破産事件の種類(同時廃止事件か管財事件)によって異なります。

東京地方裁判所の場合は以下のとおりです(2019年10月1日~)。

同時廃止事件 少額管財事件 通常管財事件(特別管財)
11,859円 18,543円 18,543円

官報公告費用は、申立日当日に支払うことが一般的です。お釣りが出ないように現金を準備します。

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④引継予納金(破産管財人の報酬)

引継予納金は、破産管財人が管財業務を行うために必要な費用です。このため、同時廃止事件の場合は不要です。

同時廃止事件 少額管財事件 通常管財事件(特別管財)
20万円以上 50万円以上

通常の管財事件の場合、下記表のとおり、引継予納金が高額になることがあります。

引継予納金が高額であると自己破産を利用できる人が限られてしまうため、いくつかの裁判所では少額管財制度が運用されています。弁護士が申立てを代理する場合に限り、少額管財制度を利用できます

引継予納金は、破産管財人に支払います(振込または申立代理人経由)。

【通常管財の引継予納金:東京地方裁判所・自然人の場合】

負債額 引継予納金
5000万円未満 50万円
5000万円~1億円未満 80万円
1億円~5億円未満 150万円
5億円~10億円未満 250万円
10億円~50億円未満 400万円
50億円~100億円未満 500万円
100億円以上 700万円
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自己破産の予納金を納めるのはいつ?

予納金を納める時期について、法律上の決まりはありません。

各裁判所の運用によりますが、一般的な目安は次のとおりです。

  • 同時廃止の場合:申立日当日
  • 少額管財・通常管財事件の場合:申立日から2週間~1ヶ月程度

東京地方裁判所や大阪地方裁判所では、裁判官が同時廃止か管財事件のいずれにするか判断するために、申立代理人と面接する即日面接の制度があります。

面接により同時廃止とする旨決定した場合、申立日当日に破産手続開始決定がなされるため、申立日当日に予納金を納めることになります。

自己破産の予納金は戻ってくる?

原則として予納金は返還されません。

引継予納金は破産管財人の報酬にあてられ、余剰が出た場合は債権者に配当されるためです。

予納金以外で裁判所に支払った費用が返還されるケース

次の場合、裁判所に支払った費用が返還されるケースがあります。

予納郵券の返還があるケース

破産手続開始決定前に破産申立てを取下げた場合、未使用の郵券が返却されます。

破産手続終了時に未使用の郵券がある場合、残郵券が返還されます(管轄裁判所による)。

官報公告費用の返還があるケース

破産手続開始決定前に破産申立てを取下げた場合、還付金返還請求の手続きを経ると、官報公告費用が返還されます。

自己破産の予納金を払えない場合は?

自己破産の予納金が払えない場合はどうすればよいでしょうか。

自己破産の予納金が支払えないとどうなる?

予納金が支払えない場合は、裁判所が申立てを棄却・却下することがあります。自己破産の予納金は、破産手続きを進めるために必要な費用で、破産手続きを開始する要件とされています。

自己破産の予納金は法テラスで立て替えてもらえる?

生活保護を受けている方に限り法テラスで自己破産の予納金を立て替えてもらえます。

2010年4月より生活保護受給者に予納金を援助する制度が開始されました。予納金立替金は本人ではなく裁判所に直接支払われます。

※なお、当事務所では法テラスの民事法律扶助制度の利用を希望される方からのご相談は現在受け付けておりません。

自己破産の予納金は分割できる?

分割納付を認めている裁判所もある

東京地方裁判所本庁と立川支部は、次のとおり、少額管財の引継予納金の分割に応じています。

1回5万円×最大4回までの分割払い

予納金の積立が認められる場合もある

同時廃止として申立後に管財事件へ移行したケースでは、予納金の積立を認める場合があります。大阪地方裁判所では、予納金を一括で準備できない場合、積立計画(原則6カ月以内)とともに裁判所にその旨報告します。計画通りに積立を続け、一括納付が可能となった時点で納付します。

予納金が支払えない場合の対処法

自己破産を弁護士に依頼し申立前に積み立てる

弁護士に自己破産を依頼すると、弁護士から債権者に対し受任通知を発送します。受任通知は、貸金業者の取立を停止させる効果があります。また、弁護士へ自己破産を依頼した後は借金の返済も停止します。これまで借金の返済にあてていたお金を積み立てることで、比較的早期に予納金を準備できます。

申立前に財産を処分(換価)して予納金にあてる

自己破産では、申立前2年間に処分した財産(20万円以上の価値のあるもの)を処分した場合、申告が必要です。申立前の財産の処分には一定のルールがありますが、生活費や自己破産費用(弁護士費用を含む)として費消する場合は、原則、免責不許可事由にはなりません。よって、処分可能な財産(例:生命保険の解約返戻金、車)がある場合は、申立前に換価して予納金にあてることもできます。

ただし、次の事由がある場合は免責が許可されない可能性が生じます。

  • 処分する財産の内容や時期が不適切
  • 処分価格が適正でなかった
  • 処分代金を一部の債権者への返済やギャンブルに支出した

申立前に財産を処分するときは、あらかじめ弁護士に相談しましょう。

まとめ

破産事件の種類別に破産の予納金の合計をまとめると、概ね次のとおりとなります。

  • 同時廃止:2万円前後
  • 少額管財:23万円以上
  • 通常管財(特別管財):53万円以上

予納金を一括で準備できそうにない場合には、まずは自己破産を依頼する弁護士に相談しましょう。ご自身が破産を申し立てる場合、同時廃止・管財事件のいずれの見込みとなるかを含め、予納金を準備するための適切な方法を考えていきましょう。

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