自己破産すると官報に載る?周囲にバレる?生活への影響を徹底解説!
自己破産をすると、周囲に知られてしまうのでしょうか?
自己破産をすると、官報に住所や氏名が掲載されるため、周囲の人に知られる可能性がゼロとは言い切れません。
この記事では次の点を解説します。
- 官報とは?
- 自己破産すると官報に掲載される?
- 官報公告で自己破産したことがバレる?
- 官報公告後の結婚や引っ越しへの影響
- 官報公告のデメリット
自己破産が周囲に知られるのが不安な方は、是非参考になさってください。
官報とは?
官報とは何かを知っておきましょう。ここでは、官報について解説します。
官報は国が発行する機関紙
官報は、国の機関紙(国が発行する新聞)です。行政全般について伝える手段として使われています。行政機関の休日を除いて毎日発行されています。
官報の掲載内容は、次の2つに分類されます。
- 公文
- 公告
主に次の内容が掲載されます。
公文
政府や各省庁が公布する法律・政令・条約が掲載されます。
公告
各官公庁・地方公共団体・裁判所が公告する情報が掲載されます。
裁判所公告として掲載されるのは、次の情報です。
- 相続
- 公示催告
- 失踪
- 破産・特別清算・再生に関する情報
自己破産すると官報に掲載される?
自己破産をすると官報に破産者情報として掲載されます。
ここでは次の点を解説します。
- 自己破産したら官報に掲載されるのはなぜ?
- 自己破産したら官報にはいつ・何回掲載される?
- 自己破産したら官報にはどんな個人情報が掲載される?
ひとつずつ確認しましょう。
自己破産したら官報に掲載されるのはなぜ?
債務者の自己破産手続きを、債権者や利害関係者に知らせるために掲載されます。自己破産により免責を受けると借金の返済を免除されます(非免責債権を除く)。その結果、債権者が不利益を被ります。破産法では債権者の言い分を述べる機会を与えています。公平性を保つため、自己破産の情報を官報に掲載します。
自己破産したら官報にはいつ・何回掲載される?
自己破産をして官報に掲載されるのは、次の2回です。
- 破産手続開始決定
- 免責許可決定
それぞれの具体的な掲載時期は、次のとおりです。
- 裁判所が破産手続開始の決定をした日から概ね1週間
- 裁判所が免責許可の決定をした日から概ね2週間
自己破産したら官報にはどんな個人情報が掲載される?
官報には具体的にどのような情報が掲載されるのか見てみましょう。
同時廃止事件の場合
破産手続開始決定(同時廃止)
令和△年 (フ) 第△△号
〇〇県〇〇市〇〇町△丁目△番△号 債務者 〇〇〇〇 1 決定年月日時 平成△年△月△日 午後△時 2 主文 債務者について破産手続きを開始する。 本件破産手続きを廃止する。 3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足する。 4 免責意見申述期間 令和△年△月△日まで 〇〇裁判所◯◯部 |
免責許可決定
令和△年(フ)第△△号
〇〇県〇〇市〇〇町△丁目△番△号 破産者 〇〇〇〇 1 決定年月日 令和△年△月△日 2 主文 破産者について免責を許可する。 〇〇裁判所〇〇部 |
破産管財事件の場合
破産手続開始決定
令和△年(フ)第△△△号
〇〇県〇〇市〇〇町△丁目△番△号 債務者 〇〇〇〇 1 決定年月日時 令和△年△月△日午後△時 2 主文 債務者について破産手続を開始する。 3 破産管財人 弁護士 ○○○○ 4 破産債権の届出期間 令和△年△月△日まで 5 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和○年△月△日午前△時 〇〇裁判所〇〇部 |
免責許可決定
令和△△年(フ)第△△△号
〇〇県〇〇市〇〇町△丁目△番△号 破産者 〇〇〇〇 1 決定年月日 令和△年△月△日 2 主文 本件破産手続を廃止する。 3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。 4 主文 破産者について免責を許可する。 ○○裁判所○〇部 |
官報公告で自己破産したことがバレる?
官報公告をきっかけに自己破産が周囲にバレる可能性は低いでしょう。以下では、その理由を詳しくご説明します。
官報で周囲に自己破産がバレる可能性は低い
一般の方が日常的に官報を見ることは、ほとんどありません。そのため、官報で周囲に自己破産をしたことがバレる可能性は低いでしょう。もちろん、可能性はゼロとは言い切れませんが、自己破産における官報公告を過剰に心配する必要はないでしょう。
では、どのような人が日常的に官報を閲覧しているのでしょうか。
官報は誰が見る?
次に挙げる人は官報を日常的に閲覧する可能性があります。
- 信用情報登録機関
- 市区町村の税務担当者
- 金融機関
- 不動産業者
- 警備会社
- 生命保険会社
経済的な信用をチェックする必要がある職業や、自己破産により制限される職種の会社は、官報を閲覧する可能性が高くなります。
官報の閲覧方法
官報は、次の方法で閲覧できます。
紙媒体
紙媒体の官報は次の方法で閲覧できます。
- 図書館で閲覧
- 官報販売所・取扱書店で購入
インターネット
インターネット版官報は、直近30日分の閲覧が無料でできます(過去分は有料)。
自己破産の官報公告はいつまで?何年残る?
官報公告はいつまで残るのでしょうか。
インターネットでの閲覧は掲載から30日
インターネット版官報は、掲載から30日間は無料で閲覧できます。過去の閲覧は官報情報検索サービスにユーザー登録をすれば有料で閲覧できます。
紙媒体は半永久的に残る
紙媒体の官報は、掲載されると破棄されない限り残ります。図書館で閲覧する場合、図書館にもよりますが、最低でも掲載から5年間は保管されます。国立国会図書館では永久保存されています。
自己破産で官報に載ると、結婚や引っ越しに影響する?
官報公告後の結婚や引っ越しへの影響官報公告は結婚や引っ越しに影響を及ぼすのでしょうか。
ここでは、官報公告が与える結婚・引っ越しへの影響について解説します。
結婚|自己破産は戸籍に記載されない
官報公告が結婚に影響を及ぼすことはないでしょう。
官報に掲載された内容が戸籍に記載されることはありません。
引っ越し|官報の住所は変更されない
破産手続開始決定後、免責許可決定までの間に引っ越しをした場合
破産手続開始決定時に公告された官報の住所は更新(修正)されません。ただし、免責許可決定時の官報には引っ越し後の住所が記載されます。
免責許可決定時の官報公告後に引っ越しした場合
開始決定時の官報も含めて、官報に記載された住所は更新(修正)されません。
自己破産手続中の引っ越しには次の点に注意しましょう。
同時廃止事件の場合
破産申立てから免責許可決定の確定までの間に住所を変更したときは、裁判所に変更の届出が必要です。
管財事件の場合
住所変更前に、あらかじめ裁判所に許可を取る必要があります。
自己破産で官報に載るデメリット
ここでは官報公告のデメリットをご紹介します。
官報公告による影響で注意すべき点は次の3つです。
自己破産を会社に隠していると解雇される可能性(資格制限のある職業の場合)
資格制限の対象となる業種では、会社が官報をチェックすることがあります。制限期間中、会社に黙って資格を用いた仕事をした場合、解雇されるリスクが生じますので注意しましょう。
資格制限の対象となる職業に就いている方は、破産手続中、資格を用いて仕事をすることはできません。資格の制限を受ける間、これを隠して働くのは違法です。勤務先に休職又は(資格を使わない仕事への)転属の申入れをしましょう。
資格制限の対象となる代表的な例は、次の職業です。
- 弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士
- 宅地建物取引士、土地家屋調査士、不動産鑑定士
- 警備員、警備業者
- 生命保険募集人、損害保険代理店
- 旅行業務取扱管理者、旅行業者
資格制限は破産手続開始決定後、制限が解除されるまで続きます。制限の解除を復権といい、免責許可決定の確定により大半が復権します。
闇金からダイレクトメールが届く
官報への住所・氏名の記載により、闇金や悪質業者の標的にされやすくなるので注意しましょう。
闇金業者も官報をチェックしています。官報の情報をもとにダイレクトメールが届くことがあります。
自己破産をすると、一定期間、貸金業者や金融機関から融資を受けられなくなります。「ブラックOK」「即実融資」との内容のダイレクトメールで、法律に違反する高金利の貸付を勧誘してきます。
官報以外で情報が公開される可能性がある|破産者マップについて
過去には、官報公告の内容をもとに破産した人の情報をGoogleマップ上で確認できるインターネットサイト「破産者マップ」が存在しました。
破産者の個人情報が公開されたことが物議を醸し、同サイトは現在閉鎖されていますが、その後も「モンスターマップ」「自己破産・特別清算・再生データベース」「破産者情報通知サービス」等の名称で後継サイトも出現しました。
これらはいずれも個人情報保護委員会の停止命令により現在は閉鎖されています。
2022年6月には、2009年以降の破産者等の情報を年別にGoogleマップにピン止めする「新・破産者マップ」なるウェブサイトが出現しました。同サイトは、個人情報保護委員会から停止命令・刑事告発を受けているにもかかわらず、運営が海外で行われていることを理由に現在も公開を続けています。
「新・破産者マップ」は、運営者も特定されていない状況であるため、抜本的な解決には至っていないのが現状ですが、このサイトから特定の人が破産したかどうかを調べるには、その人の住所や事業所の所在地、破産した年等を把握していない限り、容易ではないと考えております。
日本における年間破産件数は、毎年6万件~8万件に及んでおり、膨大な情報を調べる必要があるからです。
日本弁護士連合会も、2023年6月19日付けで会長声明を発出し、破産公告等について閲覧・頒布期間を一定の期間に制限する、第三者提供の罰則を定める等の対応を求める等の活動を進めていますので、将来、法整備等により抜本的な解決策が見つかるかもしれません。
このようなサイトの存在によって、破産した場合の情報拡散を恐れるあまり、自己破産を選択することに躊躇される方もおられますが、それを理由に借金問題の解決を先延ばしにするデメリットの方が大きい場合もあります。
自己破産を検討している方の中で、このようなサイトの存在にお悩みの方は、まずは弁護士に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
官報への記載をきっかけに周囲に自己破産を知られることはさほど心配しなくてもいいかもしれません。
借金滞納を続けると、債権者からの電話や手紙が自宅に届くことがあるので、これをきっかけに周囲に知られる可能性の方が高いかもしれません。
弁護士に依頼すると、債務者とのやりとりは全て任せられます。さらに、弁護士から債権者に受任通知を送付した後は、債権者は取り立てや督促できなくなります。
自宅に連絡が来たことをきっかけに周囲に知られる心配は少なくなります。
当事務所は債務整理に関するご相談は無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。