破産管財人とは?破産管財人の仕事や役割をわかりやすく解説! - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

破産管財人とは?破産管財人の仕事や役割をわかりやすく解説!

自己破産をすると、破産管財人が選任されることがあります。

自己破産には、大きく分けると次の2つの手続きがあります。

  • 同時廃止事件
  • 管財事件

破産管財人は管財事件の場合に選任されます。

この記事では、次の順に破産管財人についてわかりやすく解説します。

  • 破産管財人とは?
  • 破産管財人の仕事は?
  • 破産管財人の権限は?
  • 破産管財人が選任された場合の注意点

破産管財人に関する疑問を解消するためのご参考になれば幸いです。

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破産管財人とは?

破産管財人は、破産手続きにおいて次のような業務を行う人です。

  1. 破産者の財産管理(破産者の代理要素)
  2. 配当財産の維持、拡大(債権者集団の利益代表)
  3. 免責調査(裁判所の補助)

ここでは、次の2点を説明します。

  • 破産管財人が選任される管財事件と選任されない同時廃止事件
  • 破産管財人にはどんな人が選ばれる?

破産管財人が選任される管財事件と選任されない同時廃止事件

破産管財人が選任される(管財事件)

管財事件では、破産管財人が選任されます。法人破産の場合には、必ず破産管財人が選任されます。

管財事件になるのは次のような場合です。

  • 申立人にある程度の財産がありお金に換えれば債権者に分配できる場合
  • 借金の返済義務を免除することが相当でない事情(免責不許可事由)がある場合
  • 申立人が個人事業主や法人代表者の場合
  • 申立人の借金の額が多い場合

このような場合、裁判所は破産手続開始と同時に破産管財人を選任して手続きの一部を任せます。

破産管財人が選任されない(同時廃止事件)

同時廃止事件では、破産管財人が選任されません。

同時廃止事件になるのは次のような場合です

  • 申立人の財産が少なくてお金に換えても破産手続きに必要な費用に足りない場合
  • 申立人の借金の返済義務を免除しても問題がない場合

このような場合、裁判所は破産手続開始と同時に手続きを終了(廃止)させます。これが同時廃止と呼ばれる理由です。

破産管財人にはどんな人が選ばれる?

破産管財人には、破産を申立てた裁判所の管轄内の弁護士が選任されるのが一般的です。

具体的には、破産を申立てた地方裁判所の管轄区域内にある法律事務所に所属し、その地域内の弁護士会の破産管財人候補者名簿に登録した弁護士の中から選ばれます。

破産管財人は1人だけでなく複数人選ばれることもあります。

破産管財人の仕事は?

破産管財人は実際にどのような仕事をするのでしょうか。

ここでは、破産管財人の具体的な仕事の内容について説明します。

  • 書類を引き継ぐ
  • 破産者と面談する
  • 財産を処分して現金化する
  • 免責許可が相当であるか調査する
  • 債権者集会に出席して債権者に手続きの進行状況を報告する
  • 債権者へ配当する

ひとつずつ見ていきましょう。

選任直後の流れ

裁判所から選任された破産管財人は、担当する破産事件に関する書類を受け取り、次の手続きをします。

管財人口座を開設する

裁判所から受領する書類の中に管財人資格証明書が含まれており、この証明書を金融機関に提出して管財人口座を開設します。

管財人印の届出

裁判所に管財人印の届出をします。裁判所はこれをもとに印鑑証明書を発行します。管財人の仕事ではこの管財人印と印鑑証明書を使用します。

破産者との面談

裁判所による選任後、破産管財人は破産者及び申立代理人と三者面談をします。面談時間は、通常30分~1時間程度です。面談では主に次のことが行われます。

書類の引継ぎ

破産管財人は申立代理人から、破産者が裁判所に提出した書類の原本を受け取ります。原本の引継ぎが必要な書類は次のとおりです。

破産者が非事業者の場合 破産者が事業者の場合に追加されるもの
①預貯金通帳

②出資証券・株券・ゴルフ会員権証書

③生命保険証券

④自動車の鍵

 

①過去3年分の確定申告書

②社印・実印・銀行届出印

③手形・小切手帳

④事務所や店舗の鍵

⑤賃金台帳・従業員名簿

⑥売掛金台帳・金銭出納帳・総勘定元帳

⑦社会保険関係書類

⑧賃貸借契約書

⑨リース契約書

破産者からの事情の聞き取り

破産管財人は、正式に選任される前に候補者として、担当予定の破産事件の書類に目を通しています。面談では、申立書に記載された内容を中心に、破産者に質問します。

破産管財人が質問する主な内容は次のとおりです。

  • 借金の内容
  • 借金をした時期
  • 借金をした理由・事情
  • 借金を何に使ったか
  • 財産の内容
  • 収入と支出の内容

三者面談の回数は特に決まっていませんが、借金の理由が浪費やギャンブルの場合や、法人破産の場合は、複数回行うことがあります。

収支を確認する必要がある場合は、破産者に毎月家計簿をつけて提出するように指示することもあります。

財産を処分して現金化する

破産者の財産を調査して、お金に換えられる財産や回収できる債権を把握します。破産管財人のよる処分の具体例は次のとおりです。

  • 自宅を売却してお金に換える
  • 自動車を売却してお金に換える
  • 生命保険契約を解約して解約返戻金を回収する
  • 売掛金を回収する

破産管財人は、必要に応じて裁判所に処分の許可をとります。

立替払い手続きにおける未払賃金を証明する

事業者の破産手続きでは、従業員への給料が未払いとなっているケースが多くあります。

一般社団法人労働者健康安全機構は、未払賃金を立て替える制度を運用しています。この制度を利用する場合、破産管財人が未払金額等を証明します。

免責許可を出してよいかを調査する

破産管財人は次の点を踏まえて判断し、裁判所に免責に関する意見を述べます。

  • 破産に至った経緯を反省しているか
  • 破産管財人による調査に協力しているか
  • 生活を立て直すための努力をしているか
  • 借金ができた理由に同情する事情があるか
  • 債権者への配慮がみられるか

免責に関する意見書を提出する前には、破産者と面談し詳しい事情を聴取します。

債権者から免責に関する反対意見が出された場合、破産管財人はその債権者に事実関係を確認して裁判所に意見書を提出します。

債権者集会に出席して債権者に手続きの進行状況を報告する

債権者集会に債権者が出席している場合、破産管財人は破産者の財産の処分状況を報告します。債権者への主な報告事項は次のとおりです。

  • 配当の有無
  • 配当率
  • 配当の見込み

債権者集会に債権者が出席していない場合は、報告を省略し書面の提出で進行します。

債権者へ配当する

処分の対象となった破産者の財産を売却・解約・回収して得たお金を債権者に公平に配当します。債権者に公平に配当をするために、債権に関する調査も行います。

債権者に配当するお金が残らなかった場合は、破産手続きを終了(廃止)します。

破産管財人の権限は?

ここでは、破産管財人の権限について説明します。

管財人に与えられる権限

破産管財人には、次のとおり様々な権限が与えられています。

預貯金を解約する

自由財産(破産者が手元に残すことを許された財産)以外の預貯金を解約して、預金残高を引き出します。

自宅を売却する

破産管財人は、裁判所の許可を受けて自宅などの不動産を売却します。

具体的には、次の順で任意売却の手続きを進めます。

  • 不動産業者との間で一般媒介契約を締結する
  • 不動産業者に買受人を探してもらう
  • 買受人が現れたら裁判所の許可を得る
  • 管財人証明書・管財人印鑑証明書・売却許可決定を準備して売却する
  • 所有権の移転登記手続きをする

住宅ローン債権者により自宅が競売にかけられている場合も、破産管財人は任意売却を並行することがあります。

なお、破産者が自宅に住んでいる場合は引っ越しを求め、第三者が住んでいる場合は明渡しを求めます。

自動車を売却する

破産管財人は自動車を売却できます。原則として自動車の評価額が100万円以上の場合は裁判所の許可が必要です。大阪地方裁判所をはじめ、例外的に自動車の売却に許可が不要な裁判所もあります。

自動車を処分する場合、開始決定後に事故が起きると破産管財人に責任が生じます。このため、破産管財人は開始決定後ただちに自動車の鍵を預かり、早期に売却するケースがほとんどです。

過払金を回収する

破産者の借金に過払金があれば、破産管財人は過払金を請求します。任意交渉での解決が難しい場合は裁判を起こして回収することもあります。過払金の回収額が100万円を超える場合は、その合意(和解)に裁判所の許可が必要です。

貴金属や美術品を売却する

破産管財人は、処分の対象となる貴金属や美術品を売却できます。価値が100万円を超える場合は原則として裁判所の許可が必要です。

株式・債券などの有価証券を売却する

破産管財人は、株式・債権などの有価証券を売却できます。原則として売却代金が100万円を超える場合は裁判所の許可が必要です。有価証券の市場における時価で売却する場合は、例外的に許可不要行為として取り扱う裁判所もあります。

財産に関する書類や帳簿を検査する

破産管財人は財産の内容や評価額を確認するために、書類や帳簿を検査できます。確定申告書や帳簿に計上された財産と、破産者が裁判所に提出した財産目録に食い違う点がないか確認します。食い違いがある場合は、その理由を把握して漏れがないよう調査します。

事業を譲渡・商品を売却する

破産者が事業者の場合、事業用の資産にとどまらず事業そのものを処分することがあります。

事業者が破産する場合に破産管財人が行いうる処分の内容は次のとおりです。

  • 事業を第三者に譲渡する
  • 事業用物件(店舗・事務所・工場)を売却する
  • 事業用物件(店舗・事務所・工場)の賃貸借契約を解約し敷金・保証金を回収する
  • 在庫商品を売却する

いずれの場合も、その価格が100万円を超える場合に裁判所の許可をとります。

破産者あての郵便物を開封し中身を確認する

破産手続きが開始すると、破産者あての郵便物はすべて破産管財人に転送されます。破産管財人は破産者あての郵便物を開封し中身を確認できます。

これにより、破産者による財産の申告漏れや財産隠しが発覚することもあります。

財産の不当な処分を取り消す

破産管財人には、破産者の財産に関する不当な行為をなかったことにする権限があります。

具体的には、破産者に次のような行為があった場合、その行為自体を取り消します。

  • 破産申立直前に自宅の名義を家族に変更した場合
  • 破産申立直前に財産を不当に安い値段で売却した場合
  • 破産申立直前に自宅を借金の担保にした場合
  • 特定の債権者だけに返済した場合

破産管財人は裁判所に監督される

裁判所は破産管財人の仕事の進め方を監督しています。破産管財人を監督する立場には裁判所のほか、債権者や破産者も含まれています。

破産法では、次のとおり裁判所・債権者・破産者の権利を定めています。

  • 裁判所は破産管財人を解任できる
  • 債権者は破産管財人の計算報告書に異議を述べることができる
  • 破産者も管財人の計算報告書に異議を述べることができる
  • 債権者と破産者は破産管財人の解任を申し立てることができる

破産管財人には様々な権限が与えられていますが、監督する立場がいるので不安を感じることはありません。

破産管財人が選任された場合の注意点

ここでは、破産管財人が選任された場合の注意点を紹介します。

破産管財人への説明義務

破産管財人との面談

破産管財人との面談において質問された内容に対し、破産者は、回答・説明する義務があります。説明義務は口頭説明だけでなく、必要な書類を提出する義務も含まれます。

破産管財人に嘘をついたり財産を隠したりすると、免責されない可能性が高くなります。破産管財人との面談では誠実な対応を心がけましょう。

債権者集会

破産者は、債権者集会に出席する義務があります。債権者集会で破産管財人から意見を述べるよう指示されたときは、それに従って意見を述べなければなりません。

破産管財人への費用(報酬)の支払い

破産管財人の報酬は、破産者が支払います。

破産管財人に支払う費用とは?

破産管財人は破産手続きをサポートしています。したがって、破産管財人はその仕事の対価として報酬を受けることができます。

破産管財人の報酬は、破産事件の規模や財産の額にもよりますが概ね次のとおりです。

  • 少額管財事件の場合:最低20万円
  • 管財事件の場合:最低50万円(法人破産の場合は70万円以上)

破産管財人の報酬は引継予納金と呼ばれます。

破産管財人に報酬を支払う時期は?

破産管財人への報酬(引継予納金)は、破産手続開始後すみやかに支払います。

破産管財人の選任後、破産管財人から振込先(管財人口座)が指定され、申立代理人を介して支払うのが一般的です。破産申立てから、1カ月ぐらいが納付の目安です。

破産管財人に費用が払えない場合は?

予納金の分割払いは認められないのが原則です。しかし次の場合、例外的に分納や追納・猶予が認められます。

  1. 東京地方裁判所では、20万円の引継予納金の納付に限って、破産手続開始決定後の4回の分納を認めています。
  2. 同時廃止として申立てをした後に、裁判官が管財事件として処理すると決めた場合は、通常3ヶ月(最長6ヶ月)の積立期間を定めて、積立完了後に引継予納金を支払うことが認められます。

まとめ

破産管財人の選任や業務内容について解説しました。

破産管財人の調査には協力しなければならず、嘘をついたり、隠し事をしたりすると免責許可を得られない可能性があります。

大切な財産を処分されるため、破産管財人に対してあまりいい感情がない方もいるかもしれません。しかし、自己破産に至った経緯を反省し、破産管財人の調査に協力しなければ免責許可を受けられません。

破産管財人には正直に話し、誠実に対応するようにしましょう。

個別の事情については、申立てを依頼する弁護士に相談するとよいでしょう。

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