借金を放置して裁判所からの連絡も無視した場合のリスクは?
貸金業者や銀行から借りたお金を返済せずに放置していれば、やがて債権者(貸主)から法的措置を取られます。
例えば、借金の返済を求める裁判などが当てはまりますが、裁判所からの呼び出しも無視したりすると強制的に敗訴となり、相手方の言い分が全面的に認められる形になります。
裁判所から「あなたは借りたお金を全額返済しなさい」と命令が下るわけですが、その命令を無視したらどうなるでしょうか?今まで通り、返済しなくて済むのでしょうか?
答えはNOです。裁判所からの命令は無視することができません。裁判所の決定を無視すると、強制執行となり、財産や給料を没収(差し押さえ)されることになります。
ここでは、借金を放置し、裁判所からの呼び出しすらも無視していたらどうなるか?について説明します。
目次
借金を放置して裁判所も無視したらどうなる?
早速、借金を放置して、裁判所も無視したらどうなるのか、説明します。
裁判に敗訴し判決結果の書類が届く
電話やメール、書面での取り立てに一向に応じないでいると、最終手段として、債権者は法的措置を取ります。代表的な手段は以下の2つです。
- 支払督促:金銭の支払い命令をする手続き
- 裁判:通常の裁判手続き
裁判所から支払督促の通知が来た場合、2週間以内に異議申し立てをしなければ支払いが決定します。裁判の場合、原則裁判所に出廷しなければ、敗訴となり、支払いが決定します。
つまり、支払督促や裁判に関する手紙を無視すると、強制的に負け扱いになり、借金返済の命令が下ってしまうのです。
第一段階として、法的措置に対する結果を通知する書面が届きます。
自宅や勤務先に差押命令の書類が届く
裁判所から支払いの命令が下ったにも関わらず、それを無視していると、債権者は、債務者の財産を強制的に回収しようとします。一般的に、差押えと呼ばれるものです。
差押え命令の書類は自宅や勤務先に届きます。差押さえ命令の書類には、一般的に以下のような内容が記されています。
- 差押さえ命令の発行者
- 差押さえ命令の発行日
- 債権者、債務者の情報
- 差押えの対象となる財産(例えば銀行口座、不動産、給与)
- 差押えの理由
- 返済すべき金額
- 裁判所の判決に関する内容
- 差押えの実施予定日
差押えの実施予定日より前に支払いができないと、差押えが実施されることになります。
差押さえが実行される
差押えの予定日までに支払いができなかった場合、本当に差押えが行われます。
- 自宅の場合:債務者が所有する財産を差押えて換金し、債権者への返済にあてる
- 勤務先の場合:給料の一部からお金を引き抜いて、債権者への返済にあてる
財産の差押えの場合、債務者が車や不動産、貴金属など、それなりに価値のあるものを所有していなければ、差押えが失敗に終わります。
給料の差押えの場合、差押え分が差し引かれてから給料が支払われるため、逃れることはできないでしょう。
借金の放置で裁判所から届く代表的な書類
借金を放置すると、裁判所から法的な書類が送られてきます。これらの書類は無視せず、しっかりと目を通し、迅速に対応することが大切です。
ここでは、借金を放置したときに裁判所から届く書類の中でも代表的な、支払督促と訴状について説明します。
支払督促
支払督促は、債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所から債務者に対して送られる書類です。支払督促には、未払いの借金の返済を求める内容が記載されています。
この書類を放置すると、仮執行宣言がなされ、強制執行(差押え)が行われる可能性があります。それを防ぐには、異議申し立てをするか、きちんと返済をする必要があります。
異議申し立てをすると、裁判に発展します。
訴状
訴状は、債権者が正式に裁判を起こす際に、裁判所に提出する書類で、債務者に送付されます。訴状には、借金の詳細、債権者の主張、裁判の日程などが記載されています。
裁判を欠席すると、欠席裁判となり、債権者の主張がそのまま認められることが多いです。訴状を受け取った場合は、速やかに答弁書を作成し、裁判所に提出することが求められます。
この段階に進んでしまったら、自己判断で物事を進めていくのはリスクがあります。できることなら、弁護士に相談して、適切な対応を取るようにしましょう。
借金で裁判を起こされたときの対処法
借金を返済できず、債権者から裁判を起こされた場合、適切な対応をしなくてはなりません。裁判所からの通知を無視するなどはしてはいけないのです。
ここでは、裁判を起こされた場合の対処法を紹介します。
期限までに答弁書を提出する
裁判所から訴状が届いたら、指定された期限までに答弁書を提出しなければなりません。答弁書には、借金の経緯や返済の意思、現在の経済状況などを詳細に記載します。
答弁書を提出することにより、裁判所に対して、自分の意思や立場について正確に伝えることができます。
答弁書の提出を怠ると、債権者の主張がそのまま認められ、不当な判決が下される可能性が高くなるため注意しましょう。
期日に裁判所へ出廷する
裁判所から呼び出しがあった場合、指定された期日に必ず出廷しましょう。出廷しないと、欠席裁判となります。欠席裁判の場合、債権者の言い分が全面的に認められる可能性が高いです。
出廷することで、裁判官や相手方に直接自分の立場や考えを伝えることができます。特に、自分の経済状況や返済能力について具体的に説明することで、裁判所からなんらかの理解を得ることができるかもしれません。
対応が難しい場合は弁護士に相談する
借金問題で裁判を起こされ、自分だけでは対応が難しいと感じる場合は、弁護士に相談することが重要です。
弁護士は、法的な知識と経験を活かして、最適な解決案を提供してくれます。弁護士に依頼することで、答弁書の作成や裁判所での対応もスムーズに進めることができるでしょう。
そして、債権者と交渉を行うことで、裁判前・裁判中に分割払いなどの条件で和解できる可能性が高まります。
弁護士の力を借りることで、適切な対応ができるだけでなく、精神的なストレスも軽減できるでしょう。
長年放置している借金は返済しないといけないの?
長年放置されていて、貸し借りに関する記憶や情報があいまいになっている借金もあるかもしれません。こういった借金も返済しなければいけないのでしょうか。それとも、返済しなくていいのでしょうか。
催促がなくても返済義務はなくならない
長年放置された借金も、自然に消えたりはしません。お互いに、返済をしないし求めない状態が続いているだけだと考えましょう。
貸した側が急に思い出して返済を迫ってきた場合、借りた側には返済をする義務があります。
ですが、長年放置された借金は、時効の援用をすれば返済義務がなくなります。ですので、すぐに手続きをするのがおすすめです。
時効の援用で返済義務がなくなる可能性がある
借金は、時効を援用することで返済義務がなくなる可能性があります。借金が放置されたまま一定期間経過すると、時効を迎えます。
時効を迎えたことにより、今後返済する義務がないことを主張するのが時効の援用です。
時効を迎えるまでの期間は、個人間の借金なら10年、業者からの借入であれば5年です。
この期間に、一度も返済もしていないし、借金を認めるようなやりとりなどをしていないことが条件になります。
時効援用の手続きは専門家に相談する
時効援用の手続きは弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。時効の援用自体は個人でもできますが、以下のようなリスクやデメリットがあります。
- 手続きが難しくて時効の援用そのものがうまくいかない
- 時効を迎えていないのに時効を援用することで手続きが失敗に終わる
- 時効の援用が失敗に終わったことがきっかけで返済が再開する
- 過去に滞納していた借金を一括で請求される など
長年放置していた借金の時効の援用が失敗に終わった場合、これまで滞納した遅延損害金を含めて、高額な請求を受ける可能性があります。
時効の援用に失敗は許されないため、出来る事なら弁護士に依頼して行った方がいいでしょう。
借金を放置したときのよくある質問
借金を放置したときのよくある質問を紹介します。
簡易裁判所の支払督促を無視したら?
簡易裁判所からの支払督促を無視すると、債務者(借主)は財産を差し押さえられることになります。
具体的には、支払督促の手続きを無視された債権者は、仮執行宣言の申立てを行うことができます。仮執行宣言が下されると、債務者に対する財産の差押えが可能になります。
差押えが行われると、債務者が所有する財産や給料を没収し、債権者への返済にあてることになります。
20年放置した借金はどうなる?
貸した側が返済を要求せず、借りた側は返済をせず、の状態が20年続いているとしたら、その借金はすでに時効を迎えています。
時効を迎えた借金は返済をしなくてよくなりますが、時効は援用しないと意味がありません。
時効の援用とは、以下の3点を債権者に伝える手続きだと考えましょう。
- 借金はすでに時効を迎えていること
- すでに返済義務はなくなっていること
- 今後返済をしないこと
時効の援用の手続きについては、弁護士に相談するのがおすすめです。
個人間の借金で裁判を起こされたら?
個人間の借金でも、返済をせずに放置していたら裁判を起こされる可能性があります。債権者が個人であろうと、消費者金融のような企業であろうと、裁判の中身は変わりません。
債権者側はお金を貸していることの証拠を出した上で返済を求めますし、債務者側はそれに対して反論をしなくてはいけません。
債務者側は敗訴となれば、借金の返済は避けられないでしょう。
まとめ
借金を放置していると、最終的に債権者から裁判を起こされる可能性があります。
これまで債権者からの連絡や取り立てを無視してきたことで、なんとか返済をせずに済んだかもしれませんが、裁判所からの連絡を無視するのは大変危険です。
借金返済を求める手続きには、支払督促や、通常の裁判がありますが、どちらも、債務者側が無視をすると債権者側の主張が全面的に認められやすくなります。
例えば、「これまで借りたお金を全額、一括で返済しなさい」などの判決が下る可能性があるのです。
裁判所の決定は、これまでと違い、無視ができません。裁判所の決定には法的強制力があるため、無視をすると、差押えなどの強制執行を受けることになります。
具体的には、自分が所有している車や不動産、貴金属などの財産を差押え、換金して債権者への返済にあてます。給料を差し押さえられた場合、会社に通知がいき、毎月の給料が振り込まれる前に、借金返済分を差し引かれることになります。
重要なのは、こうなってしまう前に手を打つことです。例えば、裁判になる前に、債権者と和解することができれば、分割払いでの返済が認められるかもしれません。
今までずっと借金を返済していなかったわけですから、こちらの主張もそう簡単には受け入れてもらえないでしょう。手遅れになるまえに弁護士に相談し、適切な行動を取るようにすべきです。
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