ブラックリストでもクレジットカードは作れる?作れない人の特徴
クレジットカードの利用において、数ヶ月にわたる支払いの遅延などのトラブルを起こすと、いわゆる、ブラックリストに登録される可能性があります。
ブラックリストに載ると、新しくクレジットカードを作れなくなったり、今持っているカードの更新ができなくなったりするなど、さまざまな不都合が生じます。
すでにブラックリストに載ってしまった人は、できるだけ早く元の状態に戻せるよう対策を取ることが大切です。まだ登録されていない人も、事前に防ぐ方法を知っておくと安心です。
この記事では、クレジットカードのブラックリストとは何か、登録されるとどうなるのか、確認方法や対処法などを詳しく解説します。
ブラックでも作れるクレジットカードはある?
ブラックリストに登録されていると、基本的には新たなクレジットカードを作るのは難しくなります。
ただし、すべての可能性がゼロとは限りません。ここでは審査の現状と、例外的に作れるケースについて解説します。
ブラックリスト登録中は基本的に審査に通らない
信用情報に延滞や債務整理といった事故情報が記録されている(ブラックリストに載っている状態)と、多くのクレジットカード会社の審査には通りません。
これは、クレジットカード会社が貸し倒れリスクを避けるため、信用情報を重視して審査を行っているためです。
たとえ他に借金がない場合でも、過去の信用情報に問題があれば「信用力が低い」と判断され、申込みをしても自動的に否決されるケースがほとんどです。
基本的に、ブラックリストに載っている間は新規発行は難しいと考えたほうがよいでしょう。
例外的に作れる可能性のあるケース
ブラックリストに載っている人にお金を貸すこと自体が、法律で禁止されているわけではありません。
クレジットカード会社や貸金業者が、独自の基準で審査を行い、信用情報に問題がある人を落としているだけです。
そのため、基本的には審査に通るのは難しいものの、例外的にクレジットカードを作れるケースもあります。
たとえば、現在の収入や勤務先などを重視し、過去の信用情報をあまり問わないカード会社もあります。
地方のデパートなどが発行するカードは、顧客獲得を目的に審査基準が比較的緩いこともあります。
リボ払いやショッピングの限度額をあえて低く設定し(例:5万円程度)、リスクを抑えることで、審査を通過できる場合もあります。
ただし、短期間に複数のカードに申し込むと「お金に困っている」と見なされ、かえって審査に不利になります。
申込み履歴は半年間信用情報に残るため、審査に落ちた場合は、6ヶ月ほど空けてから再チャレンジするのが無難です。
クレジットカードのブラックリストとは
そもそも、ブラックリストとはなんなのか、ブラックリストに載るとどのような不都合があるのか、改めて解説します。
個人信用情報に事故情報が記録されている状態のこと
ブラックリストに載るとは、実際には、個人信用情報に事故情報(延滞や債務整理、強制解約などの記録)が登録されている状態を指します。
この個人信用情報は、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSK)といった信用情報機関が管理しています。
クレジットカード会社や金融機関は、申し込み時にこれらの情報を照会して審査を行います。
申込者の情報情報を確認したとき、事故情報の記録があると、「この人にお金を貸すのはリスクが高い」と判断され、審査に通過できなくなる仕組みです。
ブラックリストに載るとできなくなることの例
ブラックリストに載ると、以下のような場面で不利になったり、手続き自体ができなくなったりすることがあります。
- 新たなクレジットカードの発行
- 今使っているクレジットカードの更新(期限切れ時に再発行されない)
- カードローンの新規申込み
- 自動車ローン・住宅ローンの契約
- 携帯電話端末の分割払い契約
- 家賃保証会社の審査(賃貸契約時に不利になる)
- 高額商品の分割購入(ショッピングローン)の審査通過
ブラックリストに載ると、借り入れに関する行動は基本的にできなくなると考えましょう。
クレジットカードでブラックリストに載る条件は?
クレジットカードの利用に関して、ブラックリストに載ってしまうパターンはいくつかありますので、紹介します。
数カ月以上の滞納
クレジットカードの支払いを長期間滞納すると、その事実が“延滞”として信用情報に記録されます。
一般的には、2~3カ月以上の滞納が続くと、事故情報として登録され、ブラックリストとに載ります。
たとえ少額でも、長期間支払わないままにしておくと信用に傷がつくため、延滞には十分注意しましょう。
強制解約を受けた
支払いの遅延や利用規約違反が続くと、カード会社から強制解約されることがあります。
この強制解約の情報も信用情報に記録され、ブラックリストの扱いになります。
強制解約されると、そのカードは使えなくなるだけでなく、他社のカード審査にも大きく影響します。
債務整理をした
クレジットカードの支払いができなくなり、債務整理をした場合、その事実が事故情報として記録されます。
債務整理とは、任意整理や自己破産など、借金を減額したり、返済を免除したりする手続きのことをいいます。
債務整理をすることにより、信用情報に「異動情報」が載り、クレジットカードの審査には通らなくなります。
債務整理後、少なくとも5年間はブラックリストに載り続ける可能性が高いです(手続きによる)。
クレジットカードが作れない人の特徴
クレジットカードを申し込んでも審査に通らない人には、いくつかの共通点があります。
どれか一つでも当てはまると、審査で不利になる可能性があります。
信用情報に傷がある人
過去に長期の延滞や債務整理、強制解約などがある人は、信用情報に、事故情報が残っており、審査に通りにくくなります。信用回復には時間が必要です。
収入がないもしくは不安手にな人
無職や収入が不安定な人は、返済能力に不安があると判断され、審査が通りづらくなります。
短期間で多くの申し込みをしている人
短期間に複数のカードやローンに申し込むと「お金に困っている」と判断され、審査に落ちやすくなります。
このような状況を、申し込みブラックと呼ぶことがあります。申し込みブラックになったら、6ヶ月以上あけて、再度別の会社の審査を受けてみましょう。
過去に踏み倒しなどをしている人
返済を長期間放置したり、踏み倒しのような行為をしている場合、ブラックリストに載っている可能性が高いです。
ブラックリストから抜け出すには、返済できていない借金を完済する必要があります。
スーパーホワイトの人
「スーパーホワイト」とは、信用情報機関に一切の履歴がない人のことを指します。
通常は、クレジットカードやローンの利用履歴があることで信用実績が積み上がります。
しかし、スーパーホワイトはそれが全くないため、審査側からすると“評価材料がない=リスクが読めない”状態です。
特に30代以降でスーパーホワイトの場合、「過去に債務整理をして、情報が消えたばかりなのでは?」と疑われることもあり、若年層よりも厳しく見られる傾向があります。
スーパーホワイトから抜け出すには、少額のローンを組んで返済の実績を摘んだり、スマホを分割払いしたりするなど、様々な方法があります。
他社の借入が多すぎる人
総量規制に引っかかりそうな人は、クレジットカードが作成できない場合があります。
総量規制とは、貸金業法により、年収の3分の1を超える貸し付けを原則禁止する決まりのことです。
消費者金融やカードローンを利用している場合、すでに借入額がこの上限に近いと、新たなクレジットカードの審査にはまず通りません。
年収の3分の1の金額が、自分自身の限度額だと考えるとわかりやすいでしょう。
クレジットカードの強制解約後の扱いについて
長期滞納や債務整理によって、強制解約となったクレジットカードがその後どうなるのかを説明します。
強制解約後に再度復活できる?
一度強制解約されたクレジットカードを再び使えるようになることは、基本的にありません。
強制解約は、カード会社が重大な規約違反があったと判断した場合に行う措置であり、その契約は事実上終了しています。
信用情報に記録された強制解約の情報は、一定期間が経過すれば削除される可能性がありますが、カード会社は顧客情報を社内で保存し続けます。
この状態は、社内ブラックと呼ばれ、同じカード会社で再びカードを作るのは非常に難しいと考えられます。
強制解約になっても5年後にはまたクレカを作れる?
信用情報機関に登録された強制解約の情報は、一般的に5年程度で削除されます。
情報が削除された後であれば、他社のクレジットカードに申し込んで審査に通る可能性はあります。
ただし、それまでに延滞分を完済し、安定した収入や職歴を整えておくことが前提です。
なお、延滞分の返済が済んでいない場合は、情報が削除されず、審査に通る可能性はほとんどありません。
強制解約後の支払いはどうなる?
カードが強制解約された後も、未払いの残高については支払い義務が残ります。
多くの場合、残債は一括での返済を求められます。滞納を続けると、訴訟や財産の差し押さえといった法的手続きに発展する可能性もあります。
返済が困難な場合は、弁護士に相談して債務整理を検討するのが現実的な対応策です。
クレジットカードのブラックリストか確認する方法
次に、自分がブラックリストに登録されているかを確認する方法を紹介します。
前提として、主要な信用情報機関が3つ存在します。
CIC | JICC | KSK | |
正式名称 | 株式会社シー・アイ・シー | 日本信用情報機構 | 全国銀行個人信用情報センター |
主な加盟業者 | ・信販会社
・クレカ会社 ・携帯電話会社 |
・消費者金融
・信販会社 ・クレカ会社 |
・銀行
・信用金庫 ・信用組合 |
開示請求方法 | ・ネット
・郵送 ・窓口 |
・スマホアプリ
・郵送 ・窓口 |
・ネット ・郵送のみ |
開示手数料 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000円 |
特徴・補足 | スマホで簡単に開示可能 | アプリから手軽に申し込める | やや手続きが煩雑 |
それぞれの登録情報や情報保有期間の目安、信用情報の確認方法を以下で解説します。
なお、各機関は情報を共有しているため、たとえば、CICでブラックだったがKSKでは問題なかったのでカードが作れた、などの状況は基本的に起こりません。
CICの場合
CICは、2025年5月現在、郵送での情報開示のみを受け付けています。手順は以下の通りです。
- ①信用情報開示申込書を記入
- ②手数料を定額小為替証書で支払う
- ③申し込みと本人確認
- ④必要書類を投函
申し込みから10日程度で開示報告書が郵送にて届きます。
登録情報 | 登録期間(目安) |
申し込み | 6ヶ月 |
延滞 | 完済日から5年 |
貸付自粛制度の利用 | 申し込み日から5年 |
任意整理 | 完済日から5年 |
個人再生 | 完済日から5年 |
自己破産 | 完済日から5年 |
参考:郵送で開示する CIC
JICCの場合
JICCは消費者金融や信販会社との取引がある場合に情報が登録されます。スマホで簡単に開示請求できるのが特徴です。
登録情報 | 登録期間(目安) |
申し込み | 6ヶ月 |
延滞 | 完済日から5年 |
貸付自粛制度の利用 | 申し込み日から5年 |
任意整理 | 完済日から5年 |
個人再生 | 完済日から5年 |
自己破産 | 完済日から5年 |
情報開示の申し込みは、下記のリンクから可能です。
参考:開示を申し込む JICC
KSKの場合
KSKは銀行・信用金庫などの情報を主に扱い、開示請求はネット・郵送です。やや手間はかかりますが、住宅ローンや奨学金の情報が確認できます。
ネットでの開示手続きの手順は以下の通りです。
- ①メールアドレスの登録
- ②申し込み情報の入力
- ③本人確認
- ④手数料の支払い
- ⑤開示報告書ダウンロード
登録情報 | 登録期間(目安) |
申し込み | 6ヶ月 |
延滞 | 完済日から5年 |
貸付自粛制度の利用 | 申し込み日から5年 |
任意整理 | 完済日から5年 |
個人再生 | 完済日から10年 |
自己破産 | 完済日から10年 |
クレジットカードのブラックリストは何年で消える?
手続きや業者により5~10年
ブラックリストに登録される期間は、事故情報の内容や登録先の信用情報機関によって異なります。
強制解約の場合は5年、延滞の場合は完済した日から5年、自己破産などの法的整理では最大10年程度が目安です。
同じ内容でもCIC・JICC・KSKで登録期間が異なることがあります。
延滞を解消しないといつまでも消えないので注意
ブラックリストの情報は一定期間で自動的に消えると思われがちですが、延滞を放置している場合は情報が更新され続け、削除時期が後ろ倒しになる可能性があります。
たとえば、長期滞納のまま支払いをせずに放置していると、延滞中として継続的に記録されてしまいます。
ブラックリストから早く抜け出したいなら、まずは延滞を完済することが重要です。
ブラックリストを早く消すには債務整理が有効
ブラックリストから早く抜け出したい場合は、債務整理を検討するのが有効です。
任意整理や個人再生によって返済計画を立て直し、早期に完済できれば、その分だけ信用情報の回復も早まる可能性があります。
手続き後は一定期間ブラック状態が続きますが、放置するよりも早く信用を回復できる傾向があります。
クレジットカードのブラックリストに関するよくある質問
必ず審査が通るクレジットカードはある?
「必ず審査に通る」とされるクレジットカードは存在しません。どのカードも何らかの審査を行っており、信用情報に問題があると通過は難しくなります。
長期延滞中でも作れるクレジットカードはある?
審査が緩いカード会社もありますが、現在延滞中の人が審査に通る可能性は極めて低いです。まずは延滞を解消することが先決です。
延滞なしでクレジットカードを強制解約になることはある?
延滞がなくても、利用規約違反や不正利用、虚偽申告があれば強制解約されることがあります。
クレジットカード延滞の信用情報はいつまで残る?
クレジットカードの延滞情報は、延滞解消から約5年間、信用情報機関に記録されます。放置したままだとさらに長引く可能性があります。
まとめ
クレジットカードにおけるブラックリストとは、延滞や債務整理などの事故情報が信用情報機関に登録された状態を指します。
ブラックリストに登録されると、新規カードの発行やローンの利用をはじめとした、借り入れに関する行為全般の審査を通過するのが困難になります。
早くブラック状態から抜け出すには、延滞を解消し、完済後の情報削除を待つ必要があります。
自力での返済が難しい場合は、弁護士に相談し、債務整理によって完済を早めるのが有効です。