自己破産が親にバレるケースやバレにくいケース・親への影響を紹介
自己破産は、裁判所を通じて、借金の返済を免除する手続きです。
自己破産をするということは、高額な借金を抱えていたことの証拠になるので、手続きの際に、親や家族に知られたくないと考える人が多いです。
結論、自己破産はバレるケースとバレないケースがあります。
ここでは、自己破産が親にバレる可能性が高いケース、低いケース、自己破産による親への影響、どうしても親にバレたくない人の債務整理方法などを紹介します。
目次
自己破産が親にバレる可能性が高いケース
まず、自己破産が親にバレる可能性が高いケースや、その理由について説明いたします。
親と同居・実家暮らし
親と同居している人や、実家暮らしをしている人は、自己破産が親にバレやすいです。
バレやすい理由はいくつかありますが、一番は、世帯としての収入に調査が入るから、です。
つまり裁判所に、同居・生計を共にしている家族の給与明細や預金通帳を提出しなければならない可能性があるのです。
自己破産することを悟られないようにしながら、家族から給与明細や預金通帳をもらうのは簡単ではないでしょう。
親と同居、実家暮らしだと自己破産がバレやすい理由は他にもありますので、次項で説明します。
親からお金を借りている
親からお金を借りている状態で自己破産をすると、確実にバレてしまいます。親から借りているお金も、自己破産の対象となるからです。
自己破産の際は、すべての債権者(貸主)に対して通知が行われます。
親からの借金を隠して破産手続きをしようとすると、裁判所の調査でそれが発覚したときに、自己破産が認められなくなる可能性があります。
親の借金だけ優先して返済し、完済してから自己破産をする行為も、自己破産が認められなくなる原因となります。
結論、親に借金がある状態で自己破産をバレずに行うのは困難だといえるでしょう。
親が借金の保証人
親が借金の保証人である場合も、自己破産をバレずに行うのは困難です。
自己破産が認められると、借金の返済をしなくてよくなります。しかし、それは自己破産をした本人だけの話です。
借金に保証人がついている場合、自己破産をしたあとは、保証人が返済を継続しなければなりません。
保証人は、本人が返済できなかったときに返済を保証するための存在です。自己破産の際に保証人にバレてしまうのは避けられません。
自己破産が親にバレるかもしれないケース
上記では、自己破産を親に隠すのが難しいケースについて紹介しました。ここでは、自己破産をすることが間接的にバレたり、疑われたりするケースについて紹介します。
自分名義の財産が差押えられてバレる
自分名義の財産が差し押さえられることでバレてしまうケースです。
自己破産をすると、借金がなくなる代わりに、自分が所有している財産のうち、金銭的価値があるものは差押えられてしまいます。換金して、債権者に少しでも返済をするためです。
差し押さえられる財産で代表的なものが家や車です。破産者名義の家や車がなくなってしまうと、生活が大きく変わりますので、結果として、親にバレる可能性があります。
ブラックリストに登録されてバレる
自己破産をすると、ブラックリストに登録されます。ブラックリストに登録されると以下のようなことが起こります。
- 貸金業者の借入審査を通過するのが難しくなる
- クレジットカードを作成するのが難しくなる
- 誰かの借金の保証人になるのが難しくなる
- スマホの分割払いが難しくなる など
また、ブラックリストとは直接関係ないものの、自己破産をするとクレジットカードが強制解約になります。
お金を借りられない、カードを作れない、誰かの保証人になれないという制限の中で生活をしていかなければなりませんので、時には親に疑われてしまう場合もあるでしょう。
裁判所からの連絡や郵便でバレる
裁判所からの連絡や郵便で自己破産をすることがバレてしまうケースです。
通常、自己破産をする際は、弁護士に依頼をします。裁判所からの手紙は弁護士事務所に届くようにしますので、親にいきなり郵便を読まれる心配はありません。
しかし、弁護士から受け取った郵便を自宅で親に見られたり、裁判所からの呼び出しで家を空けることにより、疑いの目を向けられる可能性もあるでしょう。
官報を見られてバレる
官報を見られて自己破産がバレるケースです。官報とは、国が発行している機関紙のことで、国から国民へのお知らせをするためにあります。現在では、インターネットでも閲覧可能です。
裁判所で行われた手続きも官報によってお知らせされるため、自己破産をした場合、その事実や氏名、住所などが記載されます。
親が官報をチェックした場合に、自己破産をしたことがバレる可能性があります。しかし、そこまでの心配はいりません。
まず官報の存在を知っている人が少ないうえに、毎日発行されていて、情報量が豊富なため、特定の個人の情報を見つけるのは困難だからです。
【参考:インターネット版 官報】
自己破産が親にバレにくいケース
自己破産が親にバレにくいケースは以下の通りです。
- 親と同居をしていない
- 家や車などの財産を所有していない
- 親と会う回数が少ない など
親と同居していなければ、裁判所の調査も入りにくいうえに、生活に変化があったことも気づかれにくいでしょう。
さらにいえば、親と離れた距離に住んでおり、会うのが年に数回以下の人であれば、自己破産がバレる可能性は低くなります。
自己破産による親への影響
自己破産を親にバレたくない人は多いですが、バレたところで、親に何か迷惑がかかったりするのでしょうか。ここでは、自己破産による親への影響について説明します。
破産者名義の家に住んでいたら引っ越しになる
例えば、自分名義の家で親と同居しているとします。自分が自己破産になったとき、住んでいる家は差し押さえられてしまいます。
結果として家族全員で引っ越すことになるので、少なからず影響があるでしょう。
破産者名義の車が差し押さえられる
家と同様、破産者名義の車も差し押さえられる可能性が高いです。例えば、自分の車で親を送り迎えしていた場合などは、それができなくなります。
これまで通りの生活を続けるには、車を借りるか、新しい車を購入するなどしなければならないでしょう。
自己破産をした場合、一定期間ローンを組めなくなるので、車を買う場合は、一括払いをする必要があります。
破産者の保証人になっていると請求を受ける
記事の前半でも説明をしましたが、自己破産した場合、保証人が付いているものに関しては、保証人が返済を続けることになります。
もし親が保証人だった場合には、自分が自己破産をしたあとは、親が返済をすることになります。
親に迷惑をかけたくない場合は、一度保証人として借金を肩代わりしてもらったあと、その分を親に返済するといいでしょう。
親本人の収入や財産に影響はない
自己破産をして収入や財産に影響を受けるのは、手続きをした本人だけです。
例えば、自分が自己破産したことで親の財産が差し押えられたり、ブラックリストに登録されたりすることはありません。
家族に内緒にしたい人は任意整理がおすすめ
色々と考えたうえで、「どうしても親にバレたくない、でも借金問題はなんとかしたい」と考えている人は、任意整理がおすすめです。
ここでは、任意整理の手続き内容や、借金の減額効果、任意整理が家族にバレにくい理由を説明します。
任意整理の手続き内容
自己破産は、裁判所を通さずに、債権者と直接、借金減額の交渉をする手続きです。法的な手続きではなく、私的な手続きですので、双方が条件に納得できれば、和解が成立します。
任意整理の借金減額効果
任意整理は、当事者が借金の減額について交渉を行う私的な手続きですが、毎回、バラバラな条件で決着がつくわけではありません。
一般的な貸金業者やカード会社を相手に任意整理をする場合、多くのケースでは、借金の今後かかる利息、および滞納している遅延損害金がカットされます。つまり、借金の元金のみを返済していくことになります。
返済の回数は、36回~60回(3~5年)となることが多いです。業者によっては、7年払いなど、さらなる長期間での分割払いを認めてくれることもあります。
借入をしてすぐであったり、返済実績が乏しい状態で、任意整理をしようとすると、以下のような条件で和解が成立することもあります。
- 若干の利息を残して返済を続ける
- 12回払いなどの短い期間での分割払いを求められる など
業者の方針によっては、任意整理を断られる可能性もあるので覚えておきましょう。
任意整理が家族にバレにくい理由
任意整理が家族にバレない理由として大きいのは、整理する業者としない業者を自分で選択できる点にあります。
例えば、任意整理をして親にバレやすいのは、以下のような借金です。
- 親が保証人になっている借金(返済を親が引き継ぐことになるから)
- 住宅ローン(任意整理すると家を失うことになるから)
- 自動車ローン(任意整理すると自動車を失う可能性があるから)
親が保証人になっている借金がある場合、それ以外をすべて任意整理して、親が保証人になっている借金の返済を継続する、などの方法を取ることが可能です。
自己破産に関するよくある質問
自己破産が親にバレるかどうかに関して、よくある質問を紹介します。
実家が差し押えられることはある?
自己破産して実家が差し押えられるのは、実家の名義が自分であったケースのみです。実家の名義は親であることが多いため、基本的には差し押えの心配はありません。
ちなみに、自己破産時に差し押さえられるのを阻止するために、破産前に実家の名義を他人に変えておくのはやめておきましょう。
裁判所の調査によりバレてしまう可能性が高いだけでなく、発覚すると自己破産ができなくなる可能性があるからです。
【参考:自己破産で家族の貯金はどうなる?妻の収入をチェック?家族の影響とは】
自己破産で親に迷惑がかかる?
親が保証人であるケースを除けば、自己破産が直接親に経済的な負担をかけることはありません。しかし、心理的な負担や、家族間の人間関係に影響を与える可能性はあります。
自己破産がバレた人はどうなる?
自己破産がバレると、親や家族に心配されたり、ネガティブな印象を与えたりする可能性があります。
しかし、自己破産自体は悪い手続きではありません。人生の再スタートの機会を得るための手続きでもあります。
だからこそ「親にバレたらどうしよう」と心配するのではなく、自己破産に至った経緯や事情を説明することで、家族に理解・協力してもらうのがおすすめです。
まとめ
自己破産が親にバレる可能性が高いのは以下のケースです。
- 親と同居しているケース
- 親からお金を借りているケース
- 親が借金の保証人であるケース
これらのケースでは、自己破産の手続き上、親にバレることを避けられないと考えましょう。
その他、家や車を差し押さえられたりすることで、間接的にバレたり、疑われたりするケースもあります。しかし、親と同居しておらず、あまり会ったりしないのであれば、隠し通せる可能性が高いでしょう。
自分が自己破産をしても、親や家族に直接的な損失を与えることはありません。ですので、バレることを恐れるのではなく、自己破産に至った経緯や事情などを正直話してみるのもおすすめです。それにより、今後、親の理解や協力が得られる可能性もあるからです。
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