任意整理の費用は安い?相場や安く抑える方法・分割払いを解説
任意整理は、裁判所を介さず、借りた側と貸した側で直接、借金の減額交渉を行う手続きです。裁判所を介さない分、手続き費用を安く抑えることができますが、他の債務整理と比べると減額効果が控えめなのが特徴です。
任意整理の費用が高すぎると、借金は減るものの、その分弁護士費用がかかるという状況になり、手続きをする意味があまりなくなってしまいます。
そのため、借金を減らすためにも、任意整理の費用はできるだけ安い方がいいでしょう。
ここでは、任意整理にかかる費用の内訳や相場、安く済ませる方法、手元にお金がない人でも任意整理ができる理由などの紹介します。
目次
任意整理にかかる費用の内訳と相場
まず、任意整理にはどのくらいの費用がかかるのか、確認しましょう。
弁護士費用の内訳と相場
任意整理にかかる弁護士費用の内訳と相場を紹介します。
内容 | 費用 |
---|---|
相談料 | 弁護士と相談するためにかかる費用 初回無料~30分あたり5,500円程度 |
着手金 | 弁護士に任意整理を依頼するためにかかる費用 1社あたり2~5万円程度 |
成功報酬 | 任意整理が成功し、借金が減った場合にかかる費用 減額分の10~20%程度 |
実費 | その他弁護士が使った実費 数千円~多くて数万円 |
任意整理によって借金を50万円減額できた場合の費用を試しに計算してみます。
・相談料:1時間で11,000円
・着手金:30,000円
・成功報酬:75,000円
・実費:10,000円
・合計:126,000円
これは任意整理一社あたりにかかる費用です。複数社の手続きをした場合、減額できる借金額が増える代わりに、手続き費用も多くかかります。
裁判所の費用はかからない
法律に関わる手続きは、弁護士に依頼をするための費用と、裁判所に納める手数料の2種類がかかることが多いです。
しかし、任意整理は裁判所を通さず、借りた側と貸した側で直接話し合いを行います。そのため、裁判所に手数料を支払う必要がありません。必要なのは、弁護士費用のみです。
任意整理の費用を安く抑える方法
それでは、任意整理にかかる費用がなんとなくわかったところで、費用を安く抑える方法を紹介します。
複数の法律事務所を比較する
弁護士事務所は、それぞれ任意整理にかかる費用が違います。なるべく安く済ませたいのであれば、複数の事務所で見積もりする必要があるでしょう。
費用が高ければ高いほどいいサービスを受けられるわけではない点にも注意が必要です。
なぜならば、任意整理に関わらず、弁護士事務所でかかる費用は、以下のような事情を踏まえて総合的に決定しているからです。
- 事務所の立地(かかる家賃)
- 在籍するスタッフや弁護士の人数(人件費)
- 事務所としての意向 など
これらを踏まえて、費用だけではなく、様々な面から弁護士事務所を比較できるといいでしょう。
無料相談を活用する
弁護士事務所では、一般的に30分/5,500円の相談料がかかりますが、債務整理を検討している人は、経済的に苦しい状況であるため、初回の相談を無料としているところも多いです。
法律に直接関わらない費用の相談などであれば、事務所スタッフが無料で何度も対応してくれることもあるので、それらを利用して、依頼するまでの費用を抑えることができるでしょう。
任意整理する金融業者を絞る
複数社から借入がある人は、任意整理する貸金業者を絞ることで、弁護士費用を抑えることができます。例えばですが、以下のような借金は、任意整理をしてもあまり意味がありません。
- 借入額が少ない:任意整理をしてもあまり借金が減らない
- 利率が低い:任意整理をしてもあまり借金が減らない
- 借入期間が短い:業者が厳しい条件を出してくる可能性がある など
自分の返済能力などと相談しながら、目先の手続き費用だけにこだわることなく、自分が総合的に得をする選択を取るようにしましょう。
司法書士に相談する
実は、任意整理の手続きは、弁護士だけでなく、司法書士にも依頼することができます。法務大臣から認定を受けた司法書士のみ、140万円以内の任意整理であれば、依頼をすることができます。
この140万円は、借金の総額ではなく、1社あたりの借り入れです。
例えば、A・B・C社から各50万円、計150万円借りているケースでは、3社とも任意整理ができます。しかし、A社のみで150万円の借り入れがある場合には、140万円を超えているため、司法書士には依頼できません。
こういった制限があることも関係し、弁護士よりも費用を安めにしている司法書士事務所があります。
弁護士だけにこだわらず、司法書士も選択肢に入れられるといいでしょう。
法テラスに相談する
経済的に余裕がなく、任意整理の費用を捻出するのが難しい人は、法テラスを通じて手続きを行いましょう。
法テラスとは、日本司法支援センターのことで、国が設置した、法律に困っている人のための総合窓口のようなものです。
法テラスのサービスで、民事法律扶助(みんじほうりつふじょ)というものがあり、年収や資産が一定のラインを下回るなど、条件を満たしている方のみ、任意整理にかかる弁護士費用を肩代わりしてもらうことができます。
法テラスについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
任意整理が分割払いできる理由と支払いの流れ
任意整理は、債務整理の中でも手続きにかかる費用が安く済みます。それでも、複数社の任意整理の場合、費用がそれなりの金額になってしまうでしょう。
借金の返済が厳しく、生活費が不足しているような状況の中で、まとまった金額を出すのは難しいので、多くの事務所では、任意整理にかかる費用を分割払いできます。
「ただでさえ借金の支払いが多くて大変なのに、ここから弁護士費用を分割払いしていくなんて無理!」という声が聞こえてきそうですが、安定した収入がある人であれば、手続き費用を支払うことは可能です。
ここでは、お金がない人でも弁護士費用が分割払いできる理由を説明するために、分割払いの流れを説明します。
①弁護士に任意整理を依頼する
まずは自分の借金に関する状況や、悩みについて弁護士と相談を行います。相談した結果、任意整理をすべきという決断がでたら、弁護士と契約を結びます。
その時点で、弁護士が債務者(借主)の代理人となるため、債務整理の手続きや、連絡のやりとりなどを代理してくれるようになります。
②弁護士から債権者に対して通知をする
任意整理の依頼を受けた弁護士が最初に行うのは、債権者(貸主)たちへの通知です。任意整理の対象となる業者に対して、受任通知と呼ばれるものを送付しますが、その内容は、以下になります。
- 弁護士の情報、依頼者の情報
- 弁護士が任意整理手続きの依頼を受けた事実
- 今後のやりとりは弁護士を通じて行うこと
- 過去の取引履歴の要求
- 支払停止のお願い など
③債権者からの通知・取り立てが止まる
受任通知を受け取った債権者はすべてのやり取りを弁護士を通じて行わなければならないため、業者から借金に関する連絡がくることはなくなります。
さらに、貸金業法21条(取り立て行為の規制)により、本人に対して取り立てをすることもできなくなります。電話・メール・手紙・自宅に訪問など、すべての行為がNGになります。
取り立ての連絡が来なくなったタイミングで返済もやめます。ここで浮いたお金が、弁護士費用を捻出するカギとなります。
④この期間に弁護士費用を積み立てる
債権者が受任通知を受け取ったタイミングで、債務者本人には取り立ての連絡も来なくなりますし、返済をストップさせることができます。
そこで、今まで返済に充てていた金額を、弁護士費用として積み立てていきます。
毎月の給料から支払いを行い、これが必要な弁護士費用が貯まるまで繰り返します。
これにより、手元にまとまった費用がなくとも、弁護士に任意整理を依頼することができます。
⑤弁護士費用が積みあがったら任意整理開始
返済がストップして浮いたお金を少しずつ弁護士事務所に積み立てていき、必要な金額に達したら、弁護士が正式に任意整理に着手します。今後の簡単な流れは以下を参考にしてください。
- 取引履歴をもとに、正確な借金額を計算する
- 返済計画を作成する
- 債権者と借金減額について交渉する
- 交渉がまとまったら返済を開始する
任意整理を自分で行う場合のデメリット
任意整理をするための費用をできるだけ抑えたいと考える人の中には「自分で手続きすればほとんどお金がかからないのでは?」と考える人もいるでしょう。結論、それはおすすめしません。
ここでは、任意整理を自分で行う場合のデメリットを紹介します。
債権者が交渉に応じない
一番のデメリットは、任意整理を自分で行おうとしても、債権者が減額交渉に応じてくれないことです。
任意整理は、裁判所を通じた法的手続きではなく、借りた側と貸した側が話し合いを行う私的な手続きです。ですので、業者側には、これといった理由がなくても、交渉を断る自由があります。
例えば、手続きをスムーズに進めるために、弁護士や司法書士からの連絡でないと応じないという業者もいますし、相手が一般人だからという理由で厳しい条件をつきつけてくる場合もあるでしょう。
自分で交渉するのは100%不可能なわけではありませんが、基本的には専門家に依頼することになります。
任意整理中も請求や取り立てが止まらない
弁護士や司法書士が送る受任通知には、請求や取り立ての連絡を止める効果がありますが、自分で行う任意整理にはそれがありません。
よって、いつまでも取り立ての連絡が届き続けることになり、精神的なストレスがかかります。
過払い金を回収できない可能性がある
弁護士や司法書士の場合、取引履歴をもとに正確な借金額を計算しなおすと共に、過払い金がないかもチェックします。これを、引き直し計算と呼びます。
過払い金があれば返還を求めることもできますが、自分の力で正確な引き直し計算をするのは難しい場合があります。
結果として過払い金の回収ができず、損をするかもしれません。
任意整理の費用に関するよくある質問
任意整理の費用に関するよくある質問を紹介します。
任意整理が安すぎる業者は信用できる?
任意整理の費用が安すぎるからといって、一概に信用できる、できないの判断はできません。しかし、以下の点には注意する必要があるでしょう。
- 事務所に十分な経験や実績があるかどうか
- 追加費用がないかどうか
- サービスの質はいいかどうか
- 事務所の体制はきちんと整っているかどうか
- きちんと弁護士連合会や弁護士会に所属しているかどうか
これらを確かめるために、いくつかの事務所に連絡して比較してみたり、ネット上の口コミや評判をチェックするのがおすすめです。
任意整理の費用以外に注意すべき点は?
基本的には、サービスの質と費用が釣り合っているかどうかが大切です。サービスについては、以下を参考にしてください。
- 任意整理が得意な事務所かどうか
- 弁護士との相性、性格が合うかどうかなど
- 事務所の評判はどうか
- 料金について不明確な点はないか
- 返信はスムーズか、手続きの進捗を定期的に報告してくれるか
- 事務所の規模はどのくらいか、体制が十分に整っているか
- 事務所の立地はいいか、オンラインでの手続きに対応しているか など
これらすべてを調べることができないにしても、ネット上での評判をチェックするなどして、ある程度の情報を集められるといいでしょう。
まとめ
任意整理は、手続きのハードルが低い代わりに、減額効果も他の債務整理と比べると控えめになっています。そのため、弁護士費用を安く抑えることが大切です。
任意整理の費用の相場は以下の通りです。
内容 | 費用 |
---|---|
相談料 | 弁護士と相談するためにかかる費用 初回無料~30分あたり5,500円程度 |
着手金 | 弁護士に任意整理を依頼するためにかかる費用 1社あたり2~5万円程度 |
成功報酬 | 任意整理が成功し、借金が減った場合にかかる費用 減額分の10~20%程度 |
実費 | その他弁護士が使った実費 数千円~多くて数万円 |
任意整理の費用を安くおさえるには、複数の事務所から見積もりを取って比較したり、無料相談を有効活用したり、司法書士や法テラスに相談するなどが考えられます。
費用が安くても、サービスの質が悪ければ意味がないため、気になっている事務所の口コミや評価はチェックするようにしましょう。
ネクスパート法律事務所では初回30分の無料相談を行っています。任意整理について気になることがあったらお気軽にご相談ください。