高所得かつ激務として知られる「医者」という仕事は、大変魅力的ですが離婚率が高いと言われていることをご存じでしょうか。医者の離婚事由にはさまざまな原因が考えられますが、人命を預かる責務からストレスを抱える方も多く、夫婦関係の不和に陥りやすいとも言われています。

医者の場合、離婚協議の際には「お金に関すること」がトラブルになりやすく注意が必要です。収入が多く、所有している財産も多いため財産分与や養育費などの局面でトラブルになりやすいのです。時には離婚によって病院経営に関しても協議を重ねる必要があります。今回の記事では「医者が離婚する際に気を付けること」をテーマに解説します。

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医者の離婚率とは

社会的地位が高く、お見合いでも人気の職業である医者ですが、実は離婚率が高い職業としても知られています。一説にはその他の職業と比較すると「3倍」とも言われていますが、日本における確かな統計は存在していません。

アメリカでは看護師や歯科医者などの離婚率も高く、医療関係全般で離婚率がやや高い、とも言えるでしょう。医者という仕事は他業種と比べると高所得であり、場合によっては医療機関の経営者でもあります。

ステイタスのある仕事であり、異性から支持されやすい仕事です。そのため「モテる」というイメージから必要以上に離婚率が高いとされているのかもしれません。

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医者の離婚が多いとされる理由

どうして医者は離婚が多いとされるのでしょうか。主な理由は下記のとおりです。

家事や育児に協力できない

医者という仕事は大変忙しく、多忙を極めています。救命救急医の世界では家に帰れないことも常態化しており、病院に寝泊まりをしている方も多いのです。勤務医の場合には外来と入院患者のへの対応、オペなどに追われており、家には眠りに帰るだけ、というケースもあります。

開業医の場合には医師としてだけではなく経営者としての仕事も多く、プライベートが無いという声もあります。働き方は違っても医者全般が忙しく、家事や育児に参加することが難しいのです。特に急患の対応も多い勤務形態の場合には、予め日程が決められている学校行事にすら参加が難しいことも多いのです。

ストレスによる夫婦仲の悪化

新型コロナウィルスの蔓延が世界中を脅かしたことが記憶に新しく、エッセンシャルワーカーである医者たちは今まで以上に激務化しています。元々医者は激務の傾向が強く、執刀医である場合は人の生命に常にメスと共に関わっている状態です。

論文や学会といった別の業務も抱えているため、常にストレスに晒されています。発散できる場所も少ないことから、不貞行為や散財、モラハラと言った行為に走る方も少なくありません。仕事上のストレスが引き金となり夫婦仲が悪化するケースが多いのです。

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職場での不貞行為

医者の離婚の背景には職場における不貞行為も挙げられます。医療の現場には看護師・介護士・理学療法士や医療事務関係者などさまざまな職種の方が従事しており、医療という仕事に知見もあるため会話も弾み、関係が深まることがあります。勤務形態などにも理解があるため不貞行為を築きやすいのです。

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医者が離婚する時に気を付けた方が良いこと

もしも医者が離婚をする場合には、気を付けるべきポイントはあるでしょうか。医者の離婚は高収入ゆえにお金の問題が争点となりやすく、多くの方が頭を抱えています。気を付けるべきポイントは以下の4つです。

財産の評価方法

医者の離婚では「財産分与」について争点となることが多く、評価方法については慎重に検討が必要です。医者は高収入ゆえにその他の職種の方よりも所有している財産が多く、有価証券や高級車、不動産なども当たり前に所有している傾向があります。

また、開業医の場合には個人事業主であるため病院に関係する資産も夫婦共有の財産とみなします。今後も病院を経営していくためには離婚で財産を失わないように慎重に検討する必要があります。通常の財産分与のルールである「2分の1ルール」が適用とならず、個別に財産の評価を行いながら財産分与の取り決めを行います。

なお、医療法人名義となっている事業用動産は法人のものであり財産分与の対象ではありません。しかし、医療法人の出資に妻が参加している場合、夫婦の財産をみなします。財産分与においてトラブルに発展する可能性があります。出資持分に関しては慎重に評価を行う必要があるでしょう。

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養育費の算定

高収入である医者は、数千万から億単位の年収があることも多く、子どもがいる場合には養育費の金額も争点となります。裁判所が公表している養育費の算定基準表内に年収が収まらないためです。

医者の子どもは私立学校や名門の学習塾、習い事などの支出が多い教育を受けていることも多く、高額の養育費を請求される可能性があります。適切な養育費の算定にはさまざまな資料を踏まえながら金額を決める必要があるでしょう。

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慰謝料

不貞行為やDV、モラハラのような行為があった場合等には配偶者から慰謝料請求を受ける可能性が高いでしょう。財産分与や養育費とは別途支払わなければいけない可能性があるので注意が必要です。

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子どもの学費

本来は養育費の中に組み入れる学費ですが、子どもの年齢によっては大学進学の費用が20歳を超えても必要となるため、別途求められる可能性があります。

本来は20歳まで支払われるものですが、医学部や歯学部の場合通常の四大よりも長く在籍する必要があります。そのため養育費に上乗せするような形で大学の学費を求められることも多いのです。

医者の離婚で弁護士に相談した方が良いケース

一般的な離婚よりも特にお金に関する面で苦労しがちな医者の離婚ですが、一体どんな場合には弁護士に相談をすべきでしょうか。以下の4つのポイントをご参考ください。

激務で時間がない

一般的に医者の方々は激務であり、普段から休む間もなく働いています。その上で離婚問題に適正に対処ができるのか、と考えると困難です。

医者として働きながら財産分与や養育費などの取り決めを議論できるか、と言うととても不利な状況に陥りやすいため、早期に弁護士に依頼されることがおすすめです。弁護士が算定から交渉、調停や訴訟に至るまで対応します。

資産や収入が高額

医者の収入は非常に高額であり、財産分与・養育費だけではなく婚姻費用に関しても離婚交渉時から争点となります。また、単純に金額だけが争点となるのではなく病院の持つ資産や経営に影響する動産をどう扱うかも大きな争点です。

個人事業主として所有している病院関係の動産も含んで財産分与を争う場合、法的な知見の下で算定を行い、交渉を重ねなければ離婚後の病院経営に暗い影を落としかねません。

また、医者同士の離婚の場合には双方が高額の資産や収入を所有していることが多く、どのように財産分与を行うべきか線引きが難しいケースもあります。早期に弁護士と共に算定や議論を進めることで、トラブルが起きにくくなり円満な離婚に近付けます。

有責配偶者である

不貞行為やDV、モラハラを起こしたことをきっかけに配偶者から離婚請求を受けている場合には、慰謝料の支払いについても大きな争点となります。有責配偶者は不利な状況に置かれやすいので、弁護士と共に解決を目指すことが大切です。

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親権を争う場合

医者の方は非常に多忙ですが、子どもがおられる場合には親権についても相談をしたいというケースがあります。代々家系が医者、医療法人の経営者の場合、子どもの親権についても十分に考えた上で離婚協議に臨みたいのではないでしょうか。

子どもの福祉の観点から親権は決定されていますが、最初からあきらめる必要はありません。弁護士に依頼をすることで状況が変わることもあります。

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まとめ

今回は医者の離婚について詳しく解説を行いました。医者の離婚についてはお金が争点となり、大きなトラブルとなる可能性があります。医者としての業務にしっかりと集中しながら離婚を円満に進めていくためにも、離婚問題に悩んだらお早めに弁護士にご相談ください。