会社経営者の方で離婚を検討されている方は、一体どのようなことを心掛けて離婚に臨むべきでしょうか。会社経営者の方は財産を有している方が多く、離婚の際には主に「財産分与」について争いとなる傾向があります。

事業用の資産をどう扱うのか、会社の株式はどうするのか、など多くの課題があります。そこで、この記事では「経営者が離婚をする際に心がけるべきこと」をテーマに解説します。財産分与やよくあるトラブルなども紹介しますので、ぜひご一読ください。

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経営者は離婚する人が多い?よくある離婚理由

「会社経営者の方は離婚する人が多い」と耳にしたことはありませんか。実際に有名企業の経営者の中には離婚歴がある方も多く、成功者は離婚をしやすいというイメージが定着しているようです。では、どうして経営者は離婚する人が多いのでしょうか。以下3つのポイントで紹介します。

1.プライベートが無い

会社経営者は常に仕事をしており、プライベートが無い方が多くおられます。土日は経営者同士の集まりやゴルフに出かけたり、長期的に出張したり海外に出かけたりととにかく忙しいのです。仕事人間だからこそ会社経営者として成功しているため、家庭でゆっくり過ごす時間がないのです。

2.いつもストレスを抱えている

会社経営者の方々は常に経営のことを考えており、決算期や社内トラブルなど、解決すべき問題も多く、いつもストレスを抱えているのです。

社会情勢の変化もめまぐるしく、円安や新型コロナウィルスなどが経営を直撃していることもあります。ストレスを不貞行為や家庭にぶつけてしまう方も少なくありません。

3.経営者は誘惑も多い

独創的な方も多く、裕福な経営者は人としても異性としても魅力があります。経営者には誘惑も多く、異性交遊が派手な方も多くおられます。接待をすることも受けることも多く、飲食店への出入りも多いため、交友関係に悩まされる配偶者も多いのです。

経営者の財産分与で注意すべきポイントやリスク

経営者が離婚する場合「財産分与」に注意する必要があります。経営者は高所得者が多く、離婚時には夫婦共有財産をどう分けるのか争点になりやすいのです。経営者である配偶者に対して高額の財産分与を請求するケースもあり、慎重に話し合いを進める必要があります。財産分与を進める際のポイントは以下の4つです。

財産分与の割合

財産分与は原則夫婦間で「2分の1ルール」に沿って分けられていますが、会社経営者の方の場合財産分与はこのルールを適用することが正しいとは限りません。

婚姻前から自力で会社を立ち上げ、非凡な才能を発揮し経営を軌道に乗せてきた方も多く、医師や弁護士などと同様に自身の努力で財産を築いたと考えることができます。先代からの遺産相続等、特有財産を用いて利益を得ているケースもあるので、安易に2分の1ルールで判断しなくて良いのです。

株式の財産分与

会社経営の場合、株式の財産分与についても慎重に行う必要があります。婚姻時に自社株を取得している場合には、夫婦の共有財産とみなす可能性があるからです。中小企業などの非上場企業は株式の評価が難しく、難航するおそれもあります。

加えて、離婚によって株式を配偶者に分与をすると、離婚後も配偶者が株主として経営に関わることになります。無用なトラブルが継続する可能性があるため、財産分与時には別の財産を多く譲り、株式は分与しないなど対策を行う必要があります。

会社名義の財産

会社名義の財産は財産分与の対象になりませんが、会社所有扱いにしている財産を私用としても使っている場合には財産分与の対象です。よくあるケースが車や不動産で、会社所有にしていても実質は個人所有のように利用していることがあるでしょう。このようなケースも慎重に財産分与を検討する必要があります。

借金の扱い

会社に借金がある場合も財産分与の対象ではありません。経営者は会社の債務について連帯保証人になっていることが多いですが、抱えている事業用の借金については財産分与しなくても良いのです。しかし、経営者が個人で借入してしまっているケースもあるでしょう。

会社から利益が出ない時期に生活資金のために借金をしている方もおられます。この場合、生活のために借金をしているため財産分与として対象となります。借金が法人なのか個人なのか、対象は何だったのかによって考え方が異なるため注意しましょう。

離婚時の財産分与とは?財産分与の対象になるものと3つの決定方法

【配偶者連帯保証人になっている場合も注意を】

配偶者が借入の連帯保証人になっている場合、金融機関や貸金業者側は簡単に保証人を外しません。離婚後にも連帯保証人である事態を避けたい場合には、代わりとなる方を探したり、返済を終えたり等の対処が必要となります。

経営者の離婚でよくあるトラブル

会社経営者の離婚は通常のサラリーマン夫婦と異なり会社経営に関することや財産の多さなどを背景にトラブルが起きやすくなっています。では一体どんなトラブルが多いのでしょうか。

妻(夫)を雇用している

会社経営者の配偶者は夫や妻の経営する会社に雇用されていることが多く、離婚時には雇用の取り扱いについてトラブルとなりやすいのです。

結論から言うと、離婚を理由に妻を解雇させることはできません。双方が納得した上で退職をすることが理想です。もし配偶者が会社は辞めない、と主張した場合には話し合いを重ねる必要があります。

妻(夫)が役員になっている

会社経営者の多くは配偶者を会社の役員にしており、離婚時にはどう扱うべきか争点となります。雇用とは異なり役員には任期があるため、任期満了を待つ方法があります。

また、議決権の配分次第では解任することもできます。しかし、役員報酬を失う配偶者からすると「離婚は解任の正当な理由には当たらない」と主張する可能性もあります。この点も慎重に議論を重ねる必要があるでしょう。

婚姻費用や養育費の算定

会社経営者をはじめとする高所得者の離婚には、お金に関するトラブルがつきまといます。配偶者から離婚協議中から高額の婚姻費用分担請求を受けることも多い上、養育費の算定についてもトラブルになりやすいのです。

特に婚姻費用も養育費も年収が2000万を超えると裁判所が公表している算定表に記載されていないため、独自に算定を行う必要があります。また、会社経営者は会計処理上役員報酬と実態の生活が異なるケースも多く、額面上の収入と実生活の乖離も議論になりやすいのです。婚姻費用や養育費の算定は火種が多く眠っておりトラブルとなりやすいため注意しましょう。

まとめ

この記事では会社経営者の方が離婚の際に心がけておくべきことを紹介しました。会社経営者の方は株式や雇用、役員についてなど、一般的な離婚時にはあまり考えなくて良い部分に時間をかけて議論を尽くす必要があります。特にお金に関する部分は夫婦双方の人生を大きく左右する部分であり、税金についても考慮する必要があります。離婚をご検討の際には、お早めに弁護士にご相談ください。