何らかの原因で夫婦関係に亀裂が入り、別居をはじめる夫婦は少なくありません。今回は、別居から離婚するまでの平均期間や別居してるのに離婚してくれない場合の対処法などをご紹介します。

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別居から離婚するまでの平均期間

平成21年度に厚生労働省が公表した「離婚に関する統計」を見ると、別居から離婚するまでの平均期間は「1年未満」が最も多く、その割合は82.5%です。多くの夫婦が別居後すぐに離婚していることがわかります。

同居をやめたときから届出までの期間(別居期間)別構成割合 -平成20年-
別居期間 割合
1年未満 82.5%
1~5年 12.8%
5~10年 約2.7%
10年以上 約2%

参考:平成21年度「離婚に関する統計」の概況:平成20年の詳細分析

離婚種類別の別居期間

先程の統計データから、離婚種類別(協議離婚と裁判離婚)の別居期間を見ていきましょう。

離婚種類別の別居期間
別居期間 協議離婚 裁判離婚
1年未満 85.1% 64.4%
1~5年 10.6% 28.9%
5年以上 4.3% 6.7%

協議離婚の場合だと別居期間が1年未満の割合は85.1%、裁判離婚の場合は64.4%となっています。協議離婚よりも裁判で離婚する夫婦の方が別居期間は長い傾向があります。これは、裁判になると平均で「半年から1年程度」の期間を要するため、離婚するまでの別居期間もおのずと長くなっていることが考えられます。

離婚裁判(離婚訴訟)の流れと平均期間
離婚調停にかかる平均期間と期日の回数

子どもがいる夫婦の別居期間

続いて子どもがいる夫婦といない夫婦の別居期間を見ていきます。

子どもがいる夫婦といない夫婦の別居期間
別居期間 子あり 子なし
1年未満 84.1% 80.5%
1~5年 13.3% 12.2%
5年以上 2.6% 7.3%

離婚するまでの別居期間が1年未満の割合は、子どもがいる場合84.1%、子どもがいない場合は80.5%となっています。子どもがいる夫婦の方が離婚するまでの別居期間は短い傾向があります。

子どもがいる夫婦の別居期間が短くなる理由としては、別居が長く続くと子どもにとっても負担になることや、別居時にはすでに離婚に合意していたことなどが考えられます。

夫婦の年齢別の別居期間

続いて夫婦の年齢別の別居期間を見ていきます。

夫の届出時年齢(5歳階級)別にみた別居期間別構成割合
年齢 別居期間(1年未満)
20~24歳 92.5%
25~29歳 90.5%
30~34歳 87.5%
35~39歳 85%
40~44歳 82.1%
45~49歳 79.4%
50~54歳 75.7%
55~59歳 72.1%
60~64歳 68.2%
65~69歳 66.6%

年齢が高くなるほど別居期間1年未満の割合が低くなっています。つまり年齢が高いほど別居期間は長くなる傾向があります。別居を理由に裁判で離婚する場合には、一般的に3~5年程度の別居期間が必要と言われていますが、同居期間と比較して別居期間が長いか短いかも考慮されます。そのため、同居期間が短い夫婦の場合ですと、別居期間が短くても裁判で離婚が認められる可能性が高くなります。

別居してから離婚を決意するまでの期間

令和3年度に実施された協議離婚の経験がある30代~40代の男女1,000名のアンケートでは、別居する前に離婚を決意していた方が最も多く、別居後では6ヶ月以上経過してから離婚を決意された方が多くなっています。

離婚を決意した時期
別居する前 176人
別居後1カ月未満 48人
別居後1~6ヵ月 100人
別居後6ヵ月以上 106人

参考:協議離婚に関する実態調査結果の概要.pdf

別居から離婚までの期間を早めるには

別居をしてから1日でも早く離婚したいと考える方も少なくないでしょう。少しでも早く離婚したいのであれば、調停や裁判を経ずに「協議離婚」による離婚の成立を目指しましょう。協議離婚は、夫婦の話し合いによって離婚する方法で、双方の合意をもって役所に離婚届を提出すれば離婚は成立します。(参考:協議離婚とは|協議離婚の進め方や流れ・決めること

ただし、財産分与や親権などの離婚条件が中々まとまらない場合や、相手がそもそも離婚したくない場合などは、協議が難航し、離婚するまでの期間が長引くでしょう。夫婦間の離婚の話し合いが進まない場合は、調停や裁判に発展していきます。

夫婦間の話し合いの場で大切なことは、ご自身の譲歩できる部分とできない部分をきちんと相手に説明することです。一方的な意見を相手に押し付けると、話がまとまらずさらに時間を要してしまうでしょう。

別居してるのに離婚してもらえない場合の対処法

別居している離婚してくれないというケースも少なくありません。相手が離婚に同意してくれない、話し合いに応じてくれない場合の対処法をご紹介します。

話が進まない時は離婚調停を申し立てる

夫婦間での話し合いが平行線となってしまった場合は、離婚調停を申し立てるのも選択肢の一つです。離婚調停では、調停委員が間に入って話し合いを進めていくため、第三者の意見を聞きながら冷静に離婚を進めていくことができます。

また、離婚調停にも相手が応じてくれない場合は、調停が不成立になり、裁判へと発展します。裁判への出席も拒否した場合は、申立人の全面勝訴となり離婚が成立します。

離婚調停が不成立になる割合とその後の流れ
離婚調停申し立ての手続きや流れ|有利に進める3つのポイント

弁護士に依頼する

離婚の交渉を弁護士に依頼するのも選択肢のひとつです。弁護士に依頼することで、ご自身の代わりに相手と交渉してくれるため、スムーズに離婚が進む可能性があります。また、弁護士を立てることで、離婚への決意・本気度を相手に示せるため、これまで話し合いに応じてくれなかった相手も離婚について真面目に考え始めるでしょう。

弁護士は依頼者の利益になるような交渉をしてくれるため、少しでも有利な条件で離婚したいと考えている方にもおすすめです。

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裁判で離婚が認められる別居期間

離婚で裁判まで発展した場合には、裁判で認められる離婚原因が必要です。裁判で認められる離婚原因は民法第770条で定められています。

第770条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用元:民法第770条 – Wikibooks

別居を理由に裁判で離婚する場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に当てはまるかどうかがポイントとなります。これが認められるためには、一般的に3~5年程度の別居期間が必要と言われています。

しかし、別居期間以外にも夫婦の個別の事情を総合的に考慮して判断されるため、3~5年の別居期間が経てば必ずしも離婚できるとは限りません。逆にもっと短い別居期間であっても、離婚が認められる可能性もあります。

例えば、別居時は収入の高い側が収入の低い側へ生活費用を支払う義務がありますが、別居後支払いを拒否すると悪意の遺棄とみなされ法定離婚事由に該当するでしょう。その他に、DVやモラルハラスメントがあると離婚が認められる可能性は高くなるでしょう。

悪意の遺棄とは|該当する行為や慰謝料の相場

まとめ

別居から離婚するまでの平均期間は1年未満がもっとも多いです。少しでも早く離婚したい場合は、協議による離婚の成立を目指し、相手が話し合いに応じてくれない場合には弁護士への依頼がおすすめです。また、別居期間中は収入の少ない方が多い方に「婚姻費用」を請求できます。婚姻費用に関して詳しくは「婚姻費用とは」の記事をご覧ください。