離婚をする際には夫婦が話し合い離婚届を出して終わる「協議離婚」の場合もありますが、争うべきポイントがある場合には調停や裁判が家庭裁判所にて行われています。意見が対立する場合には「離婚調停」を速やかに申立てすることで話し合いを重ねているよりも早く解決する場合があります。

しかし、離婚調停でも意見が対立して決着がつかない場合には、裁判に移行します。この記事では「離婚裁判」について申立てから解決への流れや、平均的な訴訟期間などについて詳しく解説します。

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離婚裁判(離婚訴訟)とは

離婚裁判(離婚訴訟)とは、協議や調停で離婚の話し合いがまとまらなかった場合に行われる裁判のことです。離婚裁判をするためには、まず調停を行うことが必要です。すでに調停の前の段階から意見が激しく対立している場合であっても、まずは調停から行い不成立となった上で裁判に移行する流れとなります。

調停で離婚が成立すれば裁判を行う必要はないため、離婚裁判を行う方は毎年全体の数パーセント程度で推移しています。日本における離婚はほとんどが調停の前段階である協議離婚で終わるため、裁判に至るケースは少ないのです。

年月 離婚総数 協議 調停 裁判
2016年 216,856 189,005 21,663 2,166
2017年 212,296 185,026 20,903 2,204
2018年 208,333 181,998 19,882 1,992

参考:種類別離婚数および離婚率|国立社会保障・人口問題研究所

離婚裁判をするまでの流れ

実際に離婚裁判を行う際にはどのような流れで行われるのでしょうか。この項では離婚裁判の流れについて解説します。

離婚調停の不成立

日本における家庭裁判所での離婚手続きは「調停前置主義」が採用されているためまずは離婚調停を申立てることが必要です。離婚調停が不成立となってから裁判へと移行します。離婚調停が不成立に終わった段階で、裁判への準備を行います。

調停前置主義とは – コトバンク
離婚調停が不成立になる割合とその後の流れ

家庭裁判所に訴状を提出

離婚裁判も調停と同様に家庭裁判所が管轄です。夫婦のどちらかがお住まいの住所地を管轄する家庭裁判所へ訴状を提出します。調停と同様の家庭裁判所が選ばれることが一般的です。主な提出物は訴状・ご夫婦の戸籍謄本・離婚調停不成立調書・印紙と郵券(家庭裁判所によって異なる)です。

この他に年金分割に関する部分も併せて訴えを起こす場合には、年金分割のための情報通知書も用意します。裁判は本人訴訟と言ってご自身で行うことも可能ですが、相手方に弁護士がいる場合には大変不利な立場に陥る可能性もあります。また、裁判は訴状や裁判中の証拠の提出なども大変複雑なため、できれば弁護士とともに準備を進めましょう。

離婚裁判にかかる費用と弁護士費用の相場

離婚裁判の具体的な流れ

離婚裁判の具体的な流れは訴状の提出からがスタートです。具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 第1回口頭弁論の日程調整
  2. 答弁書の提出
  3. 第1回口頭弁論当日
  4. 第2回以降の口頭弁論
  5. 本人尋問・証人尋問
  6. 和解・判決

第1回口頭弁論の日程調整

訴訟提起を行い裁判所にて無事に受理されると、第一回口頭弁論の日程を裁判所にて調整します。口頭弁論は期日と呼ばれており、期日の調整を原告側と行った後に被告側に第一回口頭弁論への呼び出しと訴状が送付されます。相手方も調停の不成立を承知しているため、弁護士と訴訟の準備を進めている可能性は高いでしょう。

答弁書の提出

被告側(訴えられた側)は訴状を受け取ったら答弁書を提出する必要があります。答弁書とは訴状を読んだ上で、ご自身の意見や反論についてを書面として提出するものです。各家庭裁判所によって提出日の目安が定められているので、それまでに提出をします。答弁書を出さずに第1回目の口頭弁論を欠席すると訴えの請求を認めることになるため注意が必要です。

第1回口頭弁論当日

第1回目の口頭弁論が行われます。答弁書を提出している場合には欠席が可能です。弁護士に依頼をしている場合には弁護士のみが出席することが一般的です。今後の争点を確認する程度で終わるため、具体的なやり取りは第2回目以降になります。

第2回以降の口頭弁論

第2回目以降は事前に裁判所へ準備書面や証拠を提出し、期日の当日は提出物をもとに裁判官と協議を行うような形で進んでいきます。調停とは異なり、双方の言い分を調停委員の下で調整することはありません。

本人尋問・証人尋問

離婚訴訟ではほとんどのケースで本人尋問が行われています。本人尋問とは原告、被告が裁判官の質問に答える形式で進みます。例えば不貞行為の事実確認などがそれぞれに対して行われます。本人尋問の前には作文のようなスタイルの「陳述書」を提出し、それに沿った内容で行うことが一般的です。

証人尋問は主張を補足することができる証人や、反対に相手の主張を否定できる証人が出廷するものです。証人尋問が行われない離婚裁判もあります。

和解・判決

双方の証拠や言い分、本人尋問が終わると裁判所にて判決が言い渡されます。離婚裁判においては和解を裁判官が勧めるケースも多く、実際には判決に至る前に和解期日にて和解が行われることが多くなっています(和解勧告)。

しかし、判決に至った後に不服として控訴するケースもあり、控訴に至った場合には高等裁判所へ争いが移ることになります。

離婚裁判の判決後の流れとは

離婚裁判の判決後にはどんな流れが待っているのでしょうか。裁判が終わると判決が確定します。判決の確定後から10日以内に離婚届を提出する必要があります。一方で判決が不服な場合には控訴を行います。

判決に不服であれば控訴へ

判決が出ても不服な場合には、高等裁判所へ再審理を求めることが可能です。この手続きを控訴と言います。控訴したい側が控訴状を家庭裁判所へ提出し、高等裁判所での審理に移ります。高等裁判所でも和解勧告が行われていますが、不服な場合は最後に最高裁への上告も可能です。

離婚裁判で負ける理由と離婚できる確率|負けた場合離婚できない?

判決の成立後は速やかに離婚を

調停から訴訟へと長く続いてきた争いですが、控訴がなければ離婚が成立します。判決正本を受けてから2週間以内に控訴がなければ判決が確定です。確定日から10日以内に判決書謄本と判決確定証明書、離婚届を用意して提出すれば無事に離婚が成立します。

和解で終わっている場合には判決確定証明書や判決書の謄本はないため、和解調書と離婚届を提出します。決められた期日内に手続きを終える必要があるので、確定日や提出期限は弁護士や裁判所に確認をされることがおすすめです。

離婚裁判(離婚訴訟)にかかる平均期間

離婚訴訟は調停とは異なり、実際の口頭弁論の当日は短い時間で終わります。調停は数時間かけて行われることが多いので、裁判に移行すると手続きの流れの違いに驚かれる方も少なくありません。しかし、事前に多くの証拠や準備書面、陳述書を作成し、裁判官のジャッジに備えていくテクニックが必要です。

離婚裁判の全体の期間は平均的に半年から1年程度で終わることが多いですが、2年程度かかる人もいます(参考:人事訴訟事件の概況(平均審理期間について)|裁判所)。令和2年度の場合は新型コロナウィルスの影響もあり、さらに長期化をしています。調停からの流れを考えると、大変長い時間をかけて離婚をする夫婦もいるのです。

まとめ

今回は離婚裁判の流れに注目し、手続きの流れや平均期間についても詳しく解説しました。離婚裁判は一人での対応は非常に難しく、弁護士へのご依頼がおすすめです。

弁護士に依頼をすると、証拠を裁判所向けに丁寧に整えたり、裁判がより有利な結果になるようにプロとしてサポートしてくれます。本人尋問以外は基本的に弁護士が対応してくれるので負担感も大きく減ります。できる限り早めに弁護士に依頼をすることで、問題も解決しやすくなりますのでまずは法律相談から始めましょう。