大麻事件の弁護活動方針|弁護士に依頼するメリットや費用相場も解説

大麻の所持、栽培、譲受・譲渡や輸出入などは法律で禁止されています。

大麻事件で逮捕された場合、隠している大麻を捨てたり、売人と口裏合わせしたりするなど、証拠隠滅が疑われやすく、原則勾留されます。勾留が延長されると、最大で23日間身柄の拘束が続く可能性があります。

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起訴・不起訴の判断や判決には、大麻の所持量、前科前歴の有無、反省の程度など、様々な事情が考慮されます。不起訴処分や執行猶予付判決を目指した弁護活動を行うためには、弁護士への早期のご依頼が不可欠です。

この記事では、大麻事件の弁護活動の方針や弁護士に依頼するメリットについて、次のとおり解説します。

  • 大麻事件の弁護活動の方針(自白事件)
  • 大麻事件の弁護活動の方針(否認事件)
  • 大麻事件を弁護士に依頼するメリット
  • 大麻事件の弁護士費用の相場

大麻事件を弁護士に依頼することをご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。

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大麻事件の弁護活動の方針(自白事件)

ここでは、大麻事件で罪を認める場合の弁護活動の方針を解説します。

被害者なき犯罪である大麻事件の弁護活動においては、ご本人の反省状況や更生意欲を示し、再犯可能性がないことを捜査機関や裁判所に伝えるのが重要です。

具体的には、以下のとおり、ご本人に大麻の危険性や依存性を認識していただき、反省の態度や更生意欲をアピールできるようにサポートします。

  • 専門の医療機関や更生施設の更生プログラムを受ける
  • 入手ルートを包み隠さず打ち明ける
  • 家族や親族のサポートを受ける

ひとつずつ説明します。

専門の医療機関や更生施設の更生プログラムを受ける

ご自身のお身体や今後の更生のため、専門の医療機関を早期に受診されることをおすすめします。

大麻依存から脱却するためには、薬物依存症専門の医療機関や更生支援団体(ダルク等)の力を借りるのが有益です。大麻への依存度が高ければ高いほど、ご自身だけの力で大麻依存から抜け出すのは困難です。

大麻は、他の薬物に比べて依存性が低いと言われていますが、依存性が全くないわけではありません。違法性を意識せず安易に手を出すケースが多く、再犯率が高いことも知られています。

専門の医療機関での診断書やカルテ、更生支援施設の入所を証明する書面を検察官や裁判官に提出することで、更生意欲をアピールできます。

入手ルートを包み隠さず打ち明ける

取り調べや裁判において、入手ルートを包み隠さず打ち明けましょう。入手ルートや仲間を守りたい気持ちが見られると、大麻に未練があるとみなされる可能性があります。

大麻を完全に断ち切る姿勢を見せなければ、裁判所も簡単に執行猶予付き判決を出してくれません。

大麻と関連する人間関係を清算し、大麻とのかかわりを断ち切る意思を示しましょう。

家族や親族のサポートを受ける

ご本人が大麻を絶ち更生するためには、ご家族のサポートも不可欠です。

ご家族の目の届くところで生活し、次のような点を監督してもらえる生活環境を整えましょう。

  • 大麻と関わる人との連絡を絶っているか
  • 大麻の使用をうかがわせる変わった様子はないか
  • 所持品に不審なものがないか

ご家族とともに、薬物問題や治療法についての情報を収集することも有益です。

家族が監督し更生を支援する体制が整っていることを、検察官や裁判官にアピールすることで、不起訴処分や執行猶予付き判決を得られる可能性があります。

大麻事件の弁護活動の方針(否認事件)

ここでは、大麻事件で罪をあらぬ疑いをかけられた場合や認めない場合の弁護活動の方針を解説します。

否認事件では、以下のとおり、無罪を目指した弁護活動を行います。

  • 自白調書を作らせない
  • 職務質問や所持品検査等の違法性を主張する
  • 大麻であると認識していなかった旨主張・立証する

ひとつずつ説明します。

自白調書を作らせない

捜査機関にどんなに強く自白を迫られても、犯していない罪を自白してはいけません

取り調べの主な目的は、事件に関する被疑者の供述を記録して、供述調書をとることです。罪を認める内容の供述調書を自白調書といいます。

取り調べ段階で作成された自白調書は、後の刑事裁判において重要な証拠として使用されます。いったん自白調書をとられるとそれを覆すことは非常に困難です。

取り調べにおける弁護活動では、逮捕後すぐにご本人に接見(面会)して取り調べへの対応方法を助言し、自白調書の作成を阻止します。具体的には、以下の点をご本人に説明します。

  • 黙秘権や供述拒否権があること
  • 事実と異なる供述調書への署名・押印(指印)は拒否する権利があること
  • 如何なる場合でも虚偽を述べることは不利益にしかならないこと

なお、取調官が「罪を認めれば起訴しない。」と利益を供与する言葉や、「共犯者が自白したから嘘をついても無駄だ」と虚偽によって他者への不信感を煽る言葉を用いるケースが見受けられますが、そのような言葉が用いられること自体が違法です。

万一、そのような取り調べのもとで得た自白は、本来、刑事裁判で証拠能力を否定されるべきものです。

行き過ぎた取り調べ方法があった場合には、直ちに弁護士に相談しましょう。弁護士が捜査機関に強く抗議して取調官の交代を求め、刑事裁判で証拠として採用しないよう働きかけます。

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職務質問や所持品検査等の違法性を主張する

職務質問や所持品検査は、犯罪の予防・鎮圧を目的として行われていますが、強制手段にあたる場合には違法とされます。

大麻事件において、違法な職務質問・所持品検査が問題となり、無罪となったケースには、次のようなものがあります。

  • 対象者が拒否したにも関わらず令状発布までの約5時間現場路上に留め置いたケース
  • 警察官が職務質問中に対象者を投げ倒したケース

違法な職務遂行の過程において警察官が収集した証拠は、刑事裁判で証拠能力が否定されるべきです。被疑者が受けた職務質問や所持品検査が違法に行われた場合、弁護士は、証拠能力を争うために必要な資料を収集します。

職務質問

職務質問の違法性を主張するために、被疑者本人から以下の事情を聴取・記録し、勾留決定に対する準抗告や刑事裁判に備えます。

  • 職務質問等のきっかけ、場所、時刻
  • 警察官の氏名、人数、言動とこれに対する応答者の態度
  • 加えられた有形力の具体的な内容(肩を掴む等)、程度、時間
  • その場に居合わせた人の有無

所持品検査

所持品検査については、次の点を被疑者本人および警察官に確認し、違法性を主張します。

  • 被疑者が所持品検査を承諾したかどうか
  • 所持品検査の必要性・緊急性の具体的理由
  • 所持品検査の行為内容

大麻であると認識していなかった旨主張・立証する

以下のように、大麻と知らずに所持していたケースなどでは、大麻所持の故意を否定する弁護活動を行います。

  • 知人から大麻が入った荷物を預かったが中に大麻が入っていると知らなかった
  • 友人や交際相手が知らぬ間に自宅に大麻を隠していた
  • 中身が大麻であることを知らずに運び屋にされた

このような場合は、周辺人物を調査したり、客観証拠を収集したりして、ご本人が大麻と認識していなかったことを主張します。

大麻事件を弁護士に依頼するメリット

ここでは、大麻事件を弁護士に依頼するメリットを紹介します。

逮捕後すぐ面会してもらえて法的助言を受けられる

逮捕後72時間以内は、ご家族も面会が禁止されています。弁護士は、制限を一切受けることなく自由に面会できるため、いち早くご本人のもとに駆け付けられます。

不用意な発言で後の処分や裁判で不利な立場に立たされぬよう、取り調べへの対応等を助言します。

ご家族からの伝言や、差し入れも弁護士が窓口となってサポートします。

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警察や検察に早期釈放を働きかけてもらえる

ご本人との面会で、事件の詳細やご本人の状況をお聴き取りし、検察官や裁判所に提出する意見書を作成します。

ご家族がご本人を適切に監督する旨を誓約書や、身元引受書を提出し、逃亡のおそれや証拠隠滅の可能性がないことを捜査機関や裁判所に示し、早期釈放を求めます。

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不起訴処分を目指せる

弁護士は、検察官に次の点を主張し、不起訴処分を目指した弁護活動を行います。

  • 犯行態様が悪質でないこと
  • 本人が大麻の危険性・違法性を十分に認識して深く反省していること
  • 第三者機関や家族などのサポート体制が整っていること
  • 再犯のおそれがないこと

再犯可能性がないことを可視化することで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。

大麻事件では、検察統計上、約半数が不起訴で終了しています(2020年版検察統計年報)。

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実刑判決を免れる可能性がある

大麻事件では、専門の医療機関で薬物依存の治療を受けていることや更生支援団体(ダルク等)への通所、家族による監視・監督状況を情状として主張します。

初犯の場合、これらの主張により、裁判官が執行猶予を付けてもよいと判断する可能性は十分にあります。

再犯の場合は、実刑判決が下されるケースが多いですが、弁護活動によっては執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。

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大麻事件の弁護士費用の相場

ここでは、大麻事件の弁護士費用の相場を解説します。

大麻事件の弁護士費用の相場は、合計で60万円〜120万円程度です。

相談料

相談料の相場は、30分5,500円(税込)です。

着手金

着手金の相場は、33万円~66万円(税込)です。

着手金とは、弁護士が弁護活動に着手するための費用で、事件の結果を問わず、原則として返金されない費用です。

報酬金

報酬金の相場は、22万円~88万円(税込)です。

報酬金とは、弁護活動の成果によって発生する成功報酬です。早期釈放・不起訴・刑の減軽・無罪の獲得など、結果ごとに報酬金が設定されているのが一般的です。

実費・日当

日当の相場は、1日あたり3万3,000円~5万5,000円(税込)です。

日当とは、弁護士が遠隔地に出張する際に発生する時間的拘束に対する対価です。

実費は、弁護活動において支出する交通費や記録謄写料などで、事案によって金額が異なります。

まとめ

国外では、大麻が合法とされる国もあるため、罪の意識を持たずに好奇心などから安易に手を出すケースも少なくありません。他の違法薬物と比べ依存性が低いと言われる大麻ですが、大麻への依存度が高まれば高まるほど、大麻依存から抜け出すことが困難になります。大麻を入り口に、他の違法薬物に手を染めてしまうこともあります。

依存症からの早期脱却は、ご自身の身体のみならず、その後の処分や裁判にも有益です。

大麻で逮捕された場合は、適切な弁護活動により早期釈放や不起訴処分、刑の減軽を獲得できるよう、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。

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