再逮捕とは?再逮捕されるケース、再逮捕後の流れについて解説

この記事をご覧の方の中にもニュースなどで「再逮捕」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。

今回は、この再逮捕の正確な意味、再逮捕されるケース、再逮捕された後の流れについて詳しく解説してまいります。

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再逮捕とは

再逮捕とは以下のいずれかの意味で使われます

一つは、逮捕、あるいは逮捕に引き続き勾留された方が釈放された後、その逮捕・勾留される基となった犯罪事実とは別の犯罪事実によって再度逮捕される、という意味です。

たとえば、「令和2年8月1日、Aスーパーにおける万引き(窃盗罪)」(A事実)で逮捕・勾留され、処分保留(※)のまま釈放されたとします。

※処分保留
検察官が起訴、不起訴の刑事処分を出すことを保留すること。
検察官は必ずしも勾留期間中に刑事処分を出さなければならないという決まりはありません。何らかの事情によって勾留期間中に起訴できないという場合は、処分を保留したまま被疑者を釈放し、釈放後に、起訴、不起訴の刑事処分を出すことも可能なのです。

しかし、その逮捕・勾留中に、「令和2年8月15日、Bスーパーにおける万引き(窃盗罪)」(B事実)が判明し、A事実で釈放後に今後はB事実で再逮捕されるというケースです。

前に逮捕・勾留された事実(A事実)と再逮捕される事実(B事実)が「別の犯罪事実」かどうかは、犯行日時、場所、被害者などの要素を比べて判断されます。

したがって、「罪名が異なる場合」はもちろん、「罪名同じ+犯行場所同じ、しかし、犯行日時が異なる場合」、「罪名同じ+犯行場所同じ、しかし、被害者が異なる場合」などは「別の犯罪事実」と判断され、再逮捕される可能性があります。

もう一つは、逮捕、あるいは逮捕に引き続き勾留された方が釈放された後、その逮捕・勾留される基となった犯罪事実と同じ犯罪事実によって再度逮捕される、という意味です。

ニュースなどで耳にする再逮捕は一つの目の意味で使われることが多いですが、本来の(刑事学上の)再逮捕の意味は二つ目です。

そして、二つ目の再逮捕は原則として違法と解されています。

なぜなら、もし二つ目の意味の再逮捕を許容すれば、法律で規定されている時間制限の趣旨をないがしろにしてしまう可能性があるからです。

つまり、法律では、逮捕から48時間以内に検察庁へ送致、送致から24時間以内に勾留請求、勾留決定後は一部の事件を除き、最大で20日間の身柄拘束をという時間制限を設けています。

ところが、たとえば、勾留期間15日目に再逮捕された場合はどういう事態となるでしょうか?

仮に、その後、勾留された場合は少なくとも13日間(48時間+24時間+はじめの勾留期間(10日間))、さらに身柄拘束され、結果として合計で28日(=15日+13日)もの間身柄を拘束されてしまう可能性があるのです。

しかし、これでは法律が「最大で20日」という時間制限を設けた意味がなくなります。

そのため、再逮捕(及びそれに引き続く再勾留)は原則として認められておらず、認められる場合も極めて例外的ケースに限られます。これを一罪一逮捕一勾留の原則といいます。

そのため、以下では、「再逮捕」を一つ目の意味の再逮捕であることを前提に解説していきます。

再逮捕されるのはどんなケース?

再逮捕の意味についてご理解いただいた上で、どんな場合に再逮捕されやすいのかについて解説していきます。

余罪が判明した場合

たとえば、Xさんが被害者Aさんに対する盗撮(A事実)で逮捕・勾留されたところ、勾留期間中に被害者Bさんに対する盗撮(B事実)が判明し、B事実で逮捕されるというケースです。

もっとも、(通常)逮捕の要件は、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由(逮捕の理由)と逃亡・罪証隠滅のおそれ(逮捕の必要性)であるところ、逮捕の理由、逮捕の必要性は事実ごとに個別に判断されます。

したがって、A事実では逮捕の理由・必要性が認められるものの、B事実では認められない場合は再逮捕されないでしょう。

余罪が判明したからといって、必ずしも再逮捕されるわけではありません。

再逮捕されなかった余罪については、在宅事件として扱われます。

保釈請求される可能性がある場合

たとえば、前記の盗撮のケースで、XさんがA事実で起訴されたとします

この場合、Xさんは身柄を拘束されたままですが、裁判所に対して保釈請求し、請求が許可されて保釈保証金を納付すれば、B事実で再逮捕されない限り釈放されます

したがって、起訴後に被告人側からの保釈請求が見込まれる場合は、被告人を釈放しないための対抗措置として余罪について再逮捕されることがあります。

もちろん、この場合は、B事実について逮捕・勾留の要件を満たさなければなりませんし、勾留されたまま起訴された場合は保釈請求できることはA事実と同様です。

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重大事件の場合

たとえば、死体遺棄・殺人の事件で、はじめ死体遺棄罪で逮捕、その後、殺人罪で逮捕というケースです。

勾留期間は最大で20日ですから、死体遺棄罪で20日、殺人罪で20日勾留されると、合計で40日間勾留されることになります。

死体遺棄・殺人の事件では、何らかの形で死体が発見されることが事件の発端となりますが、死体が発見されただけではその遺棄に関わった人物は特定できても、殺害に関わった人物を特定するには至らないことが多いです。

そのため、まずは死体遺棄の逮捕・勾留を先行させ、その捜査の過程で殺害に関与したことの疑いが高まった場合には殺人罪で再逮捕という流れとなるのです。

重大事件では、逮捕の要件である逃亡、罪証隠滅のおそれも認められやすいです。そのため、余罪が判明すればするほど再逮捕され、身柄拘束期間が長期化する傾向があります。

再逮捕の流れ

まず、先行する事実について何らかの刑事処分(起訴、不起訴)を受けた、あるいは処分保留のまま勾留期間が経過した後に再逮捕されます。

再逮捕の後は、通常の逮捕と同じ流れです。

つまり、逮捕から48時間以内に検察庁へ事件と身柄が送致(送検)され、送致から24時間以内に、検察官に勾留請求されます。

そして、裁判官が検察官の勾留請求を許可すると、10日間の勾留(身柄拘束)が決定します。また、さらに勾留が必要と判断された場合は、最大で10日間、勾留される可能性があります。

なお、再逮捕の回数に制限はありません

つまり、余罪が発覚し、かつ、その余罪につき逮捕、勾留の要件を満たす限り、何度でも再逮捕、再勾留される可能性があります。

捜査機関が不当・違法な再逮捕を繰り返す場合は、弁護人から意見を申し入れてもらう必要があるでしょう。

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まとめ

一般的に使われる再逮捕は、先行する逮捕事実とは異なる事実で逮捕される、ということです。

この再逮捕は事実が異なる以上適法で、回数の制限もありません。

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