刑事事件の弁護士費用が払えない場合はどうなるのか解説
刑事事件の弁護士を探す際に気になるのが、弁護士費用を払えない場合はどうなる?ということではないでしょうか?
今回は、刑事事件の弁護士費用や払えない場合の流れについて解説します。
目次
刑事事件の弁護士費用の内訳と相場
刑事事件の弁護士費用の内訳は、以下に分類されます。
- 接見費用
- 法律相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当費
- 実費
内訳の金額などは、各法律事務所が独自に設定しています。
接見費用【1回につき、3万円~】
接見費用は、弁護士に弁護活動を依頼する前、すなわち弁護士と委任契約を締結する前に、弁護士が身柄を拘束された方と初めて接見する際に発生する費用です。
接見費用は日当費と弁護士が接見する場所まで行くのにかかる交通費が含まれます。
事務所から接見する場所が遠ければ遠いほど、接見費用は高くなります。
なお、弁護士に弁護活動を依頼した後の接見にかかる費用は、後の日当費、交通費に含まれます。
法律相談料【30分5,000円~】
法律相談料は、弁護士に法律相談を行う際に発生する費用です。
近年は、初回の法律相談に限って「無料」とする法律事務所も増えてきました。
もっとも、無料とはいえ、回数制限(1回限り)や時間制限(30分まで等)が設けられている場合があります。
そして、回数制限が設けられている場合は、2回目以降の法律相談は有料となります。
初回から有料の場合は「30分5,000円~」が相場です。有料の場合でも回数制限、時間制限が設けられている場合があります。
着手金【30万円~】
着手金は、弁護士に刑事弁護士を依頼した直後に発生し、その後の弁護士による弁護活動の成果の善し悪しにかかわらず返金されないお金です。
着手金という名の通り、緊急の場合を除き、着手金を支払わないと刑事弁護活動を始めてくれません。
また、着手金は一括払いが原則です。稀に分割払いも可能な法律事務所もあります。
着手金の額は事件の難易度により異なります。たとえば、罪を認めている自白事件の場合だと30万円のところ、否認事件だと40万円というように金額が異なります。
報酬金【成果の内容による】
報酬金は弁護士による弁護活動の成果に応じて発生する費用です。
成果は、最終的な結果に関する成果、身柄釈放に関する成果、被害者対応に関する成果に分けることができます。
最終的な結果に関する成果は、成人事件の場合、執行猶予→略式命令(罰金)→無罪・不起訴・不送致の順に報酬金が高くなります。
身柄釈放に関する成果は、接見禁止解除→勾留延長阻止→勾留阻止・保釈の順に報酬金が高くなります。
被害者対応に関する成果は、被害弁償、示談締結、宥恕(許すこと)、告訴取消しなどがあります。
日当費【弁護活動の内容による】
日当費は、弁護士が事務所外で行う活動によって発生する費用です。
弁護士が事務所外で行う活動とは、被害者との示談交渉や刑事裁判における裁判所への出廷、訴訟活動などです。
特に、出廷、訴訟活動の日当費は高く、刑事裁判が長期化すればするほど、その回数は多くなりますから、その分、日当費も高くなります。
接見費用のところでも述べたように、依頼後の接見費用はこの日当費の中に含まれます。
実費【弁護活動の内容による】
実費は弁護活動によって実際に発生した費用のことです。
文書のやり取りで必要な郵送費、出廷、接見などの際に必要な交通費などがあります。
刑事事件の弁護士費用が払えないとどうなる?
刑事事件の弁護士費用は安くはありません。
では、弁護士費用を払えない場合、手続きはどう進んで行くのか在宅被疑者・被告人の場合と身柄(逮捕又は勾留されている)被疑者・被告人に分けて解説します。
在宅被疑者・被告人の場合
在宅被疑者の場合は弁護人なしで手続きが進められていきます。
すなわち、警察、検察から呼出しを受けて出頭し、取調べを受け、一定期間経過した頃に、起訴・不起訴の刑事処分を受けます。
在宅事件では身柄事件と異なり、国選弁護人は選任されません。
在宅被疑者段階、あるいはその前から刑事弁護が必要な場合は「私選」弁護人を選任する費用が掛かります。
他方で、在宅被告人(在宅事件で正式起訴(※1)された人)の場合は、起訴された罪が任意的国選弁護事件か必要的国選弁護事件(※2)かで異なります。
※1正式起訴
よくニュースなどで見る公開の法廷で正式裁判を受けるための起訴。正式起訴に対して、公開の法廷で刑事裁判を受ける必要がない刑事裁判を略式裁判といい、略式裁判のための起訴を略式起訴といいます。
※2任意的国選弁護事件、必要的国選弁護事件
必要的国選弁護事件は、弁護人が選任されていないと正式裁判を開くことができない事件で、具体的には「死刑又は無期若しくは懲役三年を超える懲役又は禁錮にあたる事件(比較的重い犯罪)」です。任意的国選弁護事件は、必要的国選弁護事件ではない事件です。
任意的国選弁護事件の場合は、資力が50万円未満の場合は国選弁護人の選任を請求することができます。
資力が50万円以上の場合は、いったん弁護士会に私選弁護人になってくれる弁護士がいないかどうか申し出をする必要があります。
私選弁護人が選任されない場合は国選弁護人を請求することができます。
一方で、必要的国選弁護事件の場合は、資力にかかわらず必ず国選弁護人が選任されます。
身柄被疑者・被告人の場合
身柄被疑者の場合は、逮捕→勾留決定後に国選弁護人が選任されます。
つまり、在宅事件の場合と異なり、被疑者の段階から国選弁護人が選任されるものの、逮捕された後、勾留決定が出されるまでの約3日間は、国選弁護人は選任できません。
この間に、釈放に向けた弁護活動などが必要な場合は、私選弁護人を選任する必要があります。
また、当番弁護士が行うのは1回限りの接見のみで、具体的に充実しら活動を行ってくれるとは限りません。
被疑者の国選弁護人を請求できる要件は、在宅被告人の任意的国選弁護事件の場合と同様です。
つまり、基本的に資力が50万円未満の方が請求でき、それ以上の方は、一旦弁護士会に対して私選弁護人の選任の申し出を行うことが必要となります。
身柄被告人については、通常、身柄被疑者の段階から選任されている国選弁護人がそのまま刑事裁判も担当します。
被疑者段階の国選弁護人が何らかの理由によって解任された場合は、別の国選弁護人が選任されます。
まとめ
刑事事件の弁護士費用を払えない場合は、国選弁護人を選任するのも一つの方法です。
もっとも、弁護士費用ばかりに目を奪われ、満足な結果を得ることができなければ元も子もありません。
ご自身が納得のいく弁護士を選びたいという場合は、多少、弁護士費用が高くても、私選弁護人を選任するのも一つの方法です。
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