児童買春、児童ポルノに関する罪では何が問題となるか

児童ポルノ禁止法は、平成26年6月に改正され、児童ポルノの定義の一部改正と、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持、画像データの保管、盗撮による児童ポルノの製造の規定が新設されました。

児童買春、児童ポルノの所持や製造などで逮捕された場合、それらの罪では何が問題となるのでしょうか。

児童買春は援助交際が、児童ポルノは所持や製造の具体的内容が問題となります。

なお、児童ポルノ禁止法は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の略称で、以下、単に「法」ともいいます。

児童買春に関する罪では何が問題となるか

児童買春とは

定義

児童買春とは、児童、周旋者(児童買春をあっせんした者)、保護者(児童の親権者や監護者)又は支配者(児童を支配下に置いている者)に対し、対償(金銭や物品)を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすること、と定義されています(法2条2項)。

ここにいう性交等とは、性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいいます)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。

なお、児童とは、18歳に満たない者を指します(法2条1項)。

罪名と刑罰

児童買春罪は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(法4条)。

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問題となる点

想定される場合

児童買春が想定しているのは、主に「援助交際」と呼ばれる行為です。

援助交際により、女子中学生や女子高校生などの児童に金銭を渡し、性交や性交類似行為をすると、児童買春罪として処罰されます。

同意がある場合

性交等を行った際、児童の同意があっても、性的搾取及び性的虐待から児童を保護するポルノ禁止法の趣旨から、対償の供与又はその約束を伴えば、児童買春罪が成立します。

対償の供与等がない場合

児童と性交等を行ったとしても、金銭や物品を渡したり、渡す約束もしていない場合には、対償の供与や供与の約束という犯罪成立の要件を欠くため、児童買春罪は成立しません。

年齢の誤信がある場合

児童買春罪が成立するためには、相手が18歳未満であることの認識が必要です。

相手の年齢が18歳以上と誤信して性交等を行った場合は、たとえ年齢が18歳以上であると誤信したことに過失がある場合であっても、児童買春罪は成立しません。

しかし、相手が18歳未満かもしれないと思いながら、それでも良いと考えて性交等を行なった場合には、未必的な故意が認められ、児童買春罪が成立します。

相手の容姿や言動などから、18歳未満であると考えるのが常識にかなうという場合には、未必的な故意があるものと判断されると思われます。

なお、児童の使用者は、児童の年齢を知らないことにつき過失がない場合を除いて、児童の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることはできません。

児童ポルノに関する罪では何が問題となるか

児童ポルノとは

定義

児童ポルノとは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの、と定義されています(法2条3項)。

ここにいう児童の姿態とは、児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る姿態、他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態(性欲を興奮させ又は刺激するもの)、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態(殊更に児童の性的な部位〔性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいいます〕が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)のことをいいます。

罪名と刑罰

※新設された児童ポルノの所持、製造に関する罪名と刑罰

児童ポルノ所持罪は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられ(法7条1項)、盗撮による児童ポルノ製造罪は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(法7条5項)。

問題となる点

児童ポルノの内容

児童ポルノとは、児童の姿態を記録した写真や画像データのことです。

児童ポルノの例を挙げますと、児童が性交や性交に類似する手淫・口淫・同性愛などの行為をしている様子を撮影した写真や画像データ、他人が児童の性器等を触ったり、児童が他人の性器等を触っている様子を撮影した写真や画像データで、性欲を興奮させ刺激するもの、全裸や半裸の児童に扇情的なポーズをとらせて撮影した写真や画像データで、性欲を興奮させ刺激するものなどです。

両親が、成長の記録や思い出として、子供の海水浴の際の水着姿の写真や、水着の写真が載っている小中学校時代の卒業アルバムなどは、殊更に性的な部位が露出されていたり強調されていなければ、児童ポルノには該当しません。

児童ポルノ所持罪の成立要件

法7条1項は、「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)」と規定しています。

児童ポルノ所持罪が成立するためには、所持の時点において「自己の性的好奇心を満たす目的」があったと認められる必要があります。

また、児童ポルノを「自己の意思に基づいて所持するに至った者」であると「明らかに認められる者」でなければ処罰されませんので、知らないうちに児童ポルノを送り付けられたという場合には、基本的には処罰されません。

児童ポルノ所持罪の成否

法7条1項で処罰されるのは、「自己の性的好奇心を満足させる目的」での児童ポルノの所持です。

盗撮による児童ポルノ製造罪新設の趣旨

法7条5項では、ひそかに児童ポルノに該当するような児童の姿態を写真等に描写することにより児童ポルノを製造する行為(盗撮)を処罰するとしています。

ここにいう「ひそかに」とは、描写の対象となる児童に知られることのない態様で、という趣旨です。

旧法では、提供目的のない児童ポルノの製造行為については、意図的に児童に児童ポルノに該当するような姿態をとらせて製造する行為だけが処罰されていましたが、盗撮という悪質な態様により児童ポルノを製造するような行為は、児童に姿態をとらせるような場合と同様に児童の尊厳を害する行為であるため、このような態様による製造も処罰できるように、法7条5項の規定が新設されたのです。

まとめ

児童買春、児童ポルノに関する罪では、一般的に、何が問題となるのか、お分かりいただけたことと思います。

児童買春では援助交際、児童ポルノでは所持や製造を巡って、法律的な問題も生じます。

児童買春、児童ポルノに関する罪で逮捕された場合には、法律のプロである弁護士に相談するのが望ましいでしょう。

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