罰金刑でも前科はつく!回避するためにできることと前科がつくまでの流れについて

罰金という言葉は刑罰以外でも使用されることがあり、その意味で、前科はつかないと考えている方も多いのではないでしょうか?

今回は、罰金で前科がつくのか、どういう流れでつくのかなどについて解説してまいります。

弁護士佐藤
弁護士佐藤
逮捕後23日以内に起訴・不起訴の判断がなされます。前科を避けるには、限られた時間のなかで被害者の赦しを得る必要があります。
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罰金は刑罰の一種で前科がつく

罰金は、死刑、懲役、禁錮、科料、拘留と同じように刑罰の一種です。

死刑が最も重たい刑罰、拘留が最も軽い刑罰で、罰金は禁錮と科料の間に位置し、すべての刑罰の中で中間の位置に位置付けられています。

死刑はいうまでもなく人(受刑者)の生命を奪う生命刑と言われています。

以下の限られた罪にしか設けられていない刑罰です。

  • 現住建造物等放火罪(刑法108条)
  • 殺人罪(刑法199条)
  • 強盗殺人罪(刑法240条後段)など

懲役・禁錮・拘留について

懲役禁錮及び拘留は、いずれも人の自由を奪う自由刑と言われています

自由を奪われるというのは、要は、刑務所に収容されるということです。

懲役・禁錮・拘留の違い

懲役と禁錮の違いは、懲役には刑務所内での刑務作業が科されるのに対して、禁錮には刑務作業が科されないという点にあります

また、懲役・禁錮と拘留の違いは、前者は刑期の上限が20年まで設けられているのに対して、後者は1日以上30日未満と短いです。

また、拘留の受刑者に対しても刑務作業は科されません。

もっとも、禁錮受刑者、拘留受刑者が希望する場合は刑務作業に就くことができます。

罰金・科料について

罰金科料は、いずれも一定額のお金を人から強制的に徴収する財産刑です。

罰金は一万円以上の額ですが、罪の罰則に「●●万円以下の罰金に処する」などと規定されていることが多いです。

科料は千円以上一万円未満の額で、罪の罰則には単に「科料に処する。」と規定されています。

刑法に規定されている罪の中で罰金の罰則が設けられている主な罪は以下のとおりです。

    【罰則に罰金が設けられている主な罪】

  • 住居侵入罪(刑法130条前段):3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
  • 公然わいせつ罪(刑法174条):6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金若又は拘留若しくは科料
  • 傷害罪(刑法204条):15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 暴行罪(刑法208条):2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
  • 脅迫罪(刑法222条):2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 窃盗罪(刑法235条):10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 器物損壊罪(刑法261条):3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料

以上のとおり、罰金は懲役、禁錮などと並ぶ刑罰の一種で、懲役、禁錮で前科がつくのと同じように罰金にも前科がつく可能性は十分にあります

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罰金の前科がつくまでの流れ

以下が罰金の前科がつくまでの流れです。

  • ①起訴(※略式起訴の場合は、検察庁での取調べの際に、略式裁判を受けるかどうかの同意を求められます)
  • ②刑事裁判(※略式起訴された場合は略式裁判)
  • ③判決又は命令で「●●万円の罰金に処する」
  • ④ご自宅に略式命令謄本送達(在宅事件の場合)
  • ⑤正式裁判申立て期間(謄本を受け取った日の翌日から14日間)の経過
  • ⑥略式裁判確定
  • 前科

まず、①起訴されることが大前提です。

起訴には正式裁判(裁判官、検察官、被告人・弁護士が公開の法廷に出廷して行う裁判)を求める正式起訴と、略式裁判(裁判官の書面審理のみで終わる裁判)を求める略式起訴があります。

罰金の前科は「略式起訴→略式裁判」というケースでつくことが多いため、以下では、この流れについて解説します。

なお、検察官が略式起訴する予定の場合は、検察庁での取調べの際に、略式裁判を受けるかどうかの同意を求められます

①略式起訴されると検察官が選別した事件記録が簡易裁判所に提出され、裁判官はその記録に基づいて略式命令を発します(②、③)。

裁判官が発した略式命令の内容は略式命令謄本という書面に記載されており、それが簡易裁判所からご自宅に送達されてきます(④)。

その後、略式命令謄本を受け取った日の翌日から起算して14日が正式申立て期間(⑤)ですが、この期間内に申立てを行わずに期間が経過すると略式命令を出した略式裁判が確定します(⑥)。

そして、略式裁判が確定した後、前科がつきます(⑦)

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罰金、前科を回避するためにできることは?

罰金刑を受けること、または前科がつくことを避けるには起訴されないこと、つまり、不起訴処分を獲得することです(警察に事件が発覚し、検察庁へ事件が送致された場合)。

不起訴処分を獲得するために最も有効な方法は、被害者と示談をすることです。

さらに、被害者から「被疑者を処罰しないで欲しい」という積極的な意思表示が得ることができればなおさら不起訴処分獲得の可能性は高まります

被害者が存在しない罪の場合、そもそも示談交渉を行うことはできませんが、弁護士会や慈善団体に対して贖罪寄付するなどの方法で不起訴処分を獲得できることもあります。

なお、被害者との示談交渉は弁護士に任せましょう。

示談交渉はご自身で行うことも可能ですが、事件の当事者同士の話し合いでは話がこじれる可能性が高いです。

一度、話がこじれると再度、示談交渉することは難しくなりますから、示談を希望する場合は弁護士に交渉を任させた方がよいでしょう。

また、被害者と面識がなく、名前や連絡先を知らない場合には、捜査機関(警察、検察)から被害者の個人情報を入手する必要があります。

しかし、捜査機関が加害者に被害者の個人情報を教えることはありえません

この場合は、弁護士を通じて被害者に連絡を取るのがいいでしょう。

弁護士なら、被害者も連絡先を教えてくれる場合が多いため、示談交渉できる可能性が上がります。

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罰金と反則金の違い

最後に、よく疑問に思われることが多い罰金と反則金の違いについて解説します。

罰金は、前述のとおり、刑事手続きに沿って科されるお金です。裁判が確定すれば前科が付きます。

他方で、反則金は交通反則通告制度という刑事手続きとは別の手続きに沿って科されるお金です。

刑事手続きと交通反則通告制度はまったく異なる手続きです。

前述のとおり、刑事手続きでは、刑事裁判を経た上で罰金が科されます。

他方で、交通反則通告制度では、刑事裁判は開かれません。

というよりも、警察に検挙され反則金を納付すれば刑事手続きに移行せず終了です。

反則金の対象となるのは、交通違反で、交通違反の中でも比較的軽微な交通違反です。

酒酔い運転、酒気帯び運転、無免許運転などで検挙された場合は、交通反則通告制度は適用されず、ただちに刑事手続きに移行します。

したがって、検挙されたその場で現行犯逮捕される、ということも十分考えられます。

まとめ

罰金は懲役や禁錮などと同じく刑罰の一種で、刑罰である以上前科がつく可能性があります。

前科がつくのを避けたい方は、24時間365日いつでも無料相談できる当事務所に、示談交渉を依頼することも含めて、ご相談ください。

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