不貞行為を理由に会社で処分される?適切な対処法と注意点を解説

  • 最終更新日: 2023.10.19

不貞行為をしたことが会社にバレると、解雇や減給等の懲戒処分等を受けることがあるのでしょうか?不貞行為を理由に懲戒処分を受けた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

この記事では、不貞行為を理由に会社に処分される可能性があるかどうかや、懲戒処分を受けた場合の適切な対処法や注意点について解説します。

不貞行為がバレたらそれを理由に会社に処分される?

ここでは、不貞行為を理由に会社で処分された場合について解説します。

原則、不貞行為を理由に会社は社員を処分できない

会社は、原則として、不貞行為を理由に社員を処分できません。なぜなら、不貞行為は、それがセクハラ・パワハラに該当しない限り、業務とは無関係の社員のプライベートな問題(私生活上の行為)だからです。

不貞行為の当事者が会社の上司や部下など、いわゆる社内不倫の場合でも、自らの仕事をきちんとこなしており、周囲にその関係を知る人がほとんどいないなど、業務の円滑な遂行や職場環境に悪影響を及ぼしていなければ、処分の対象にはできないと考えられています。

不貞行為を理由に会社に処分される可能性もある

社員のプライベートな問題とはいえ、不貞行為を理由とした処分が必ずしも認められないわけではありません。

多くの企業は、就業規則で「会社の名誉や信用を傷つけたとき」「不名誉な行為で会社の体面を汚したとき」などの懲戒事由を定めています。

不貞行為によって、上記に抵触することがあった場合、会社側も処分を検討せざるを得ないことがあります。例えば、同じ部署内の不倫などで、周囲に発覚して部署内の雰囲気が悪くなったり、取引関係を乱して業績が落ちたりした場合などです。

このような場合、会社は、事実関係の調査をし、社内不倫の事実が明らかになれば口頭での注意を行い、改善が見られない場合には、戒告・けん責などの軽い懲戒処分や、配転等を検討する可能性があります。

就業時間中に私用のメールを送信したり密会したりすると、職務専念義務違反に問われる可能性もあります。このように、不貞行為以外の理由と併せて懲戒処分の対象になるおそれもあります。

公務員の場合、不貞行為で処分されるのか?

失職

不貞行為により当然失職となることはありません。

公務員が違法行為をした場合、重い順に失職、次いで懲戒分限免職休職という処分が下されます。公務員として最も重い処分である失職は、公務員の欠格事由に該当するに至った場合に、当然に職員としての身分を失うことです。国家公務員法、地方公務員法では、欠格事由が定められており、犯罪行為で禁固以上の刑に処せられた者などが該当します。

犯罪ではない不貞行為は欠格事由にあたりません。

懲戒

不貞行為そのものを理由に減給や降格等の懲戒処分を受けることも原則ないでしょう。

公務員の懲戒事由について、国家公務員法および地方公務員法下記のとおり規定しています。

国家公務員法 82条1項 地方公務員法 29条1項
1.国家公務員法若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合 1.この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基づく条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規定に違反した場合
2.職務上の義務に違反し又は職務を怠った場合 2.職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
3.国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合 3.全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

国家公務員も地方公務員も「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」を懲戒事由としています。これに不貞行為があたるかどうかが問題となりますが、いずれも不貞行為は該当しないとしています。

ただし、警察官や教員等は、警察庁や各都道府県の教育委員会が定める懲戒処分の指針に従って懲戒処分を受ける可能性があります。

分限免職

国家公務員の休職に関しては、国家公務員法と人事院規則に規定がありますが、不貞行為そのものが分限免職の対象となる事由にはなりません。地方公務員も同様です。

ただし、国家公務員法では、「官職に必要な適正を欠く場合」に分限免職できると規定しています。不貞行為によって職務に集中できないなど、仕事がおろそかになった場合には、分限免職処分を受ける可能性があります。

実際に、消防署職員が同僚の妻と不倫をしたケースで、以下を理由に分限免職処分が有効とされた事案もあります。

  • 不貞行為が原因で同僚夫婦が離婚をしたこと
  • 不貞の事実が消防署員や市民に広がり抗議が殺到したことから業務に支障を来したこと

不貞行為で会社から処分されたらすべきことは?

ここでは、不貞行為で会社から処分されたらすべきことについて解説します。
不貞行為が会社にバレて処分を受けたら、下記の点について確認しましょう

受けた処分が妥当かどうか

不貞行為を理由に懲戒解雇された場合は、会社の就業規則の懲戒事由を確認しましょう。懲戒解雇は、社員としての身分を失う最も重い処分です。就業規則やこれに準ずるもの懲戒の種別や事由が明記されているか規律違反の種類・程度その他の事情に照らして、懲戒解雇が相当であるか等の検討が必要です。

不貞行為以外の不正行為がなかったかどうか

会社は、原則として、不貞行為のみを理由に社員を処分できません。

しかし、不貞行為が職務を遂行する上で悪い影響を及ぼしていたら、会社も見過ごせないでしょう。

就業時間中に業務と関係のないメールを不貞相手とやり取りをしていないか、就業時間内に密会をしていないか、自分の行動を振り返りましょう。

不貞相手との関係が同僚にバレて、職場の雰囲気が悪化していたら問題です。仕事がやりづらいなど、同僚から不満の声が上がっている可能性があります。取引先に不貞行為が知られてしまったら、会社全体のイメージも悪くなります。

処分を受けたことに不満があるかもしれませんが、自らの行動を振り返り、改めることも重要です。

不貞行為をした配偶者や不貞相手の会社に報告したらどうなる?

ここでは、不貞行為をした配偶者や不貞相手の会社に不貞行為を報告したらどうなるのか、解説します。

配偶者や不貞相手の会社に不貞行為を報告するのは原則違法

配偶者や不貞相手の会社に不貞行為の事実を報告する行為は、名誉棄損罪や侮辱罪に該当しうる行為です。刑事上の責任が問われるだけでなく、民法上の不法行為として損害賠償請求の対象となることがあります。

配偶者の不貞行為が分かり、怒りを抑えきれず会社に報告したことによって、配偶者の社会的評価や信用を低下させては、ご自身の利益にもなりません。

会社側は、不貞行為を報告されても原則何もできません。怒りにまかせて配偶者の不貞行為を会社に報告することは絶対にやめましょう。

不貞行為の報告で名誉棄損罪が成立する可能性も

配偶者や不貞相手の会社に対して不貞行為を報告した場合、具体的には、刑事上どのような罪に問われるのでしょうか。

不貞行為をしたことを同僚の前で報告したら名誉毀損罪

不貞行為をしたことを、会社の同僚がいるところで報告したら、名誉毀損罪(刑法第230条)に問われる可能性があります。

不貞相手に謝罪を強要すると強要罪など

不貞相手に対して、謝罪を強要したり脅迫めいたことを言ったりすれば、強要罪(刑法第223条第1項)や脅迫罪(刑法第222条第1項)に問われる可能性があります。

会社に出向いて騒ぎ立てたら威力業務妨害罪

会社に乗り込んで騒ぎ立てると、威力業務妨害罪(刑法第223条)に問われる可能性があります。

不貞行為で会社から処分された時・されそうな時に弁護士に相談・依頼するメリット

ここでは、不貞行為で会社から処分された時、またはされそうな時に弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

処分が適当かどうか判断してもらえる

会社は、原則として、不貞行為そのものを理由に社員を処分できません。ただし、会社の信用や職場環境を悪化させる行為があったときには、何らかのペナルティーを受けることもあります。

弁護士であれば受けた処分が適当かどうか判断できます。

不当な処分への対応を任せられる

会社から受けた処分に納得できない場合、弁護士に依頼することで不当な処分への対応を任せられます。

会社への不貞行為の報告等に対して適切に対処してくれる

不貞相手の配偶者が会社に押しかけて不貞行為を報告したり、脅迫めいた言動をとったりする可能性があります。

弁護士が代理人としてついていれば、相手方も過激な行動に出ることを控えますし、実際に不当な要求や言動があったら、弁護士が適切に対応できます。

不貞相手の配偶者とトラブルになりそうなときは、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

まとめ

不貞行為は離婚原因の一つとなり、民法上の不法行為に該当します。

しかし、不貞行為は私生活上の行為であるため、不貞行為のみを理由に会社から処分を受けた場合、その処分が妥当なものかどうか判断しなければいけません。

不貞行為で会社から何らかの処分を受けたら、弁護士に相談をして、的確なアドバイスを受けることをおすすめします。

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