示談とは、裁判所を介することなく、当事者の話し合いにより紛争を解決することです。
示談交渉を行い、双方が合意した内容を記載した示談書を作成することで、何度も慰謝料を請求されるなどのトラブルを回避できます。裁判所を介さないため、不貞行為の事実を表沙汰にすることなく解決できます。
この記事では、不貞行為に関する示談の進め方について解説します。
不倫相手の配偶者に不貞行為が知られてしまい、今後どのように対応すればいいか悩んでおられる方のお力になれば幸いです。
目次
不貞行為に関する示談交渉の進め方
不貞行為に関する示談交渉の一般的な進め方は、以下のとおりです。
- 相手の主張・要求や証拠の有無を確認する
- 交渉を進める上での基本方針を検討する
- 相手への交渉を開始する
- 交渉がまとまれば示談書を作成する
以下、順に説明します。
相手の主張・要求や証拠の有無を確認する
相手が何を主張しているか、慰謝料の金額や要求をしっかり確認しましょう。
相手が有力な証拠を持っているかどうか確認することも重要です。法律上、慰謝料請求が認められるのは、不貞行為の事実が証明できる証拠がある場合に限られます。
裁判になっても、証拠がない場合、裁判所が不貞行為を認める可能性は低くなります。証拠がない場合は、慰謝料を支払う必要はありません。
ただし、交渉段階では証拠の提示は必須ではないため、相手に証拠の開示を求めても開示されない場合があります。決定的な証拠はなくても、不貞行為の存在を疑うに足りる証拠がある場合には、慰謝料を支払う義務が生じる可能性もあるため、慎重な対応が必要です。
交渉を進める上での基本方針を検討する
示談交渉を進めるにあたり、どのように交渉を進めるか基本方針を検討しましょう。
相手の主張が事実で有力な証拠を持っている場合、不貞行為があったことを否定することは難しくなります。
示談交渉の方法は、2つあります。
- 当事者が直接話し合う
- 弁護士に交渉を依頼する
相手の主張を全面的に認めて請求額を全額支払うのか、請求額より低い金額や分割払いでの示談を目指して交渉をするのか等も含めて、方針を検討しましょう。
相手への交渉を開始する
どのように示談交渉を進めるか方針が決まったら、相手への交渉を開始しましょう。
相手へ連絡する際は、謝罪の意を示すことも大切です。スムーズに交渉を進めるためにも、誠意ある対応を心がけましょう。
相手から謝罪を求められた場合の対応については、「不倫で謝罪はすべき?謝罪を求められた場合の対処法を徹底解説!」をご参照ください。
交渉がまとまれば示談書を作成する
交渉がまとまれば、双方が合意した内容を記載した示談書を作成しましょう。
できる限り具体的に記載することで、今後のトラブルを防ぎやすくなります。示談書を公正証書にして示談を成立させる方法もあります。
不貞行為の示談を進める際に気をつけたい3つのポイント
不貞行為の示談が成立し、示談書に署名・押印した後に内容の変更を求めることは非常に困難です。不利な条件を認めることにならないか、成立前にしっかり確認することが重要です。
不貞行為の示談を進める際に気をつけたいポイントは、以下の3つです。
慰謝料の支払義務があるかどうか
そもそも、慰謝料の支払義務があるかどうか確認しましょう。
以下のいずれかに該当する場合、原則、慰謝料の支払義務はありません。
- 肉体関係がない
- 不貞行為が始まる前から婚姻関係が破綻していた
- 不倫相手が既婚者だと過失なく知らなかった
- 脅迫があった場合など、相手から肉体関係を強制された
慰謝料の支払義務があるかどうかは、「一瞬でわかる!不倫慰謝料請求をするための条件」をご参照ください。
慰謝料の金額が相場とかけ離れていないか
慰謝料の金額は法律で定められていないため、当事者間で合意できれば、自由に決められます。請求されている金額が相場とかけ離れていないか確認することが重要です。
相場とかけ離れている場合、適正な金額まで減額するよう相手と交渉しましょう。
慰謝料の金額の相場は、不貞行為が発覚した後の相手夫婦の関係により異なります。
- 離婚しない場合は50〜100万円程度
- 不貞行為が原因で別居した場合は100〜150万円程度
- 不貞行為が原因で離婚した場合は200〜300万円
慰謝料を減額できる事由があるかどうかは、「不倫慰謝料の減額を狙えるケースと狙えないケース」をご参照ください。
退職や引越しなど、無理な要求がないか
相手から無理な要求をされていないか確認しましょう。
慰謝料の支払いのほかに、退職や引越しなどを要求してくる場合もあります。
しかし、無理な要求に応じなければならない法的根拠はありません。不当な要求は拒否しましょう。
毅然とした姿勢で相手と話し合うことが重要です。
示談書は請求者・被請求者のどちらも作成できる
示談の内容が決まったら、示談書を作成しましょう。
慰謝料の金額や取り決め等の合意内容を記載しておくことで、解決後のトラブルを防ぐことができます。示談書は、不貞行為の請求者・被請求者のどちらも作成できます。
示談書の書き方
示談書に記載すべき項目は、以下の5つです。
- 不貞行為の事実の確認
- 慰謝料の金額と支払方法・支払期日
- 不倫相手に今後接触しないという約束
- 解決した不貞行為について、第三者に一切口外しないという約束(守秘義務)
- 示談書に記載した内容以外に支払いなどの義務がない(これ以上請求しない)という約束(清算条項)
示談書には、できる限り具体的に記載するようにしましょう。
合意の内容を明確にしておくことで約束した内容を立証しやすく、解決後のトラブル防止やトラブル拡大の予防につながります。
示談書の例文
示談書の例文を紹介します。
あくまでも例文のため、他の条項を盛り込むかどうか、それぞれのケースに合わせて検討する必要があります。
不貞行為の示談交渉を有利に進めたいなら、弁護士への相談も視野に
不貞行為について請求される慰謝料の金額は、相場よりも高額な金額である場合が多いです。
適正な慰謝料の金額は個々の状況により異なるため、相場よりも高額だと感じたら弁護士への相談も検討しましょう。過去の裁判例を基準にした適正な慰謝料の金額を知ることができるため、不当に高い慰謝料を支払わずにすみます。
弁護士に依頼すると交渉がスムーズに進みやすく、早期解決も期待できます。
交渉不成立となった場合、裁判になる可能性もあります。示談交渉を有利に進めたい、自分で対応するのが不安な方は、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
まとめ
相手配偶者に不貞行為が知られてしまったあなたは、とても大きな不安の渦に飲み込まれていることと思います。
不貞行為に関する示談交渉を進める際は、冷静に対応することが大切です。焦りから内容をしっかり確認せずに示談してしまうと、高額な慰謝料の支払いに応じてしまったり、不利な条件を受け入れてしまったりすることも考えられます。
弁護士に依頼することで、相手との交渉の負担が軽減され、有利かつ早期の解決が期待できます。不貞行為に関する様々な問題の解決実績を有するネクスパート法律事務所に、お気軽にご相談ください。