配偶者の浮気調査にGPSの利用を検討している人もいるでしょう。
GPSによる調査は、比較的低コストかつ手間も少ないことから、手始めにとりあえず使ってみようかなと考えている人もいるかもしれません。
しかし、たとえ夫婦でも、GPSによる浮気調査には法的リスクが伴う場合があります。
この記事では、GPSによる浮気調査のリスクについて解説しています。ぜひ参考にしてください。
目次
浮気調査で車にGPSを取り付けることに法的リスクはある?
GPSを取り付ける車やその手段等によっては犯罪にあたり、刑事責任を問われる可能性があります。
GPSを使った浮気調査そのものを規制した法律はありませんが、他人の位置情報をGPSにより無断で取得する行為が、プライバシーの侵害にあたるとされる可能性もあります。
相手の同意がある場合
相手の同意を得てGPSを取り付ける場合は、法的に問題はないでしょう。
例えば、災害時に備えてGPSを付けることを夫婦間で承諾していた場合等が挙げられます。
自分名義の車の場合
自分名義の車にGPSを取り付ける場合も、法的な問題は発生しないでしょう。
自己の所有物である以上、自己の判断でGPSを取り付けても問題ないでしょう。
夫婦共有名義の車の場合
夫婦共有名義の場合、自己の所有物と同視し得ると考えれば、法的に問題になる可能性は低いでしょう。
ただし、他方の所有者(他方の配偶者)に無断で取り付ける行為が、プライバシーの侵害にあたる可能性もあります。
配偶者名義の車の場合
配偶者名義の車にGPSを取り付ける場合には、プライバシー侵害や器物損壊罪にあたる可能性があるでしょう。
配偶者の所有物は、他人の所有物にあたります。
たとえ夫婦でも、他人の所有物に勝手にGPSを取り付け、その位置情報を取得した場合には、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。
さらに、配偶者名義の車にGPSを取り付ける際に、車を損壊した場合には、器物損壊罪に問われる可能性もあります。
不倫相手の車の場合
不倫相手の車にGPSを取り付ける場合には、プライバシー侵害や器物損壊罪、住居侵入罪にあたる可能性があるでしょう。
他人の所有物に勝手にGPSを取り付け、その位置情報を取得した場合には、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。
配偶者名義と同様に、不倫相手の車を損壊した場合には、器物損壊罪にあたる可能性もあります。
さらに、不倫相手の車にGPSを取り付けるために、勝手に不倫相手の敷地内に侵入した場合には、住居侵入罪に問われる可能性もあります。
浮気調査で配偶者の持ち物やスマホにGPSを仕込むことの問題点
車だけでなく、配偶者の持ち物やスマホにGPSを仕込む行為にも法的リスクが伴います。
配偶者の持ち物やスマホは、他人の所有物にあたります。他人の持ち物(カバンや財布、衣類等)に勝手にGPSを仕込んだ場合には、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。
最近特に多いのが、配偶者のスマホにGPSアプリを無断でインストールする行為です。
配偶者のスマホにIDとパスワードを用いて勝手にアクセスした場合には、不正アクセス禁止法に抵触する可能性があります。
配偶者のスマホに勝手にGPSアプリをインストールした場合には、不正指令電磁的記録供用罪に問われる可能性があります。
これらの行為は、たとえ夫婦でも罪に問われる可能性があります。
したがって、浮気調査で配偶者の持ち物やスマホにGPSを仕込むことはやめましょう。
GPS調査で得た位置情報は浮気の証拠になる?
GPS調査で得た位置情報単体を浮気の証拠とするのは難しいでしょう。
浮気の証拠とするには、他に肉体関係があったことを示す強力な証拠が必要です。
単体で浮気の証拠とするのは難しい
単体で浮気の証拠とするのは難しいでしょう。
GPS調査で得られる情報は、あくまで位置情報のみです。
たとえ、位置情報がラブホテルの所在地を示していたとしても、それだけでは浮気の証拠としては弱いでしょう。
その理由としては、次のようなことが挙げられます。
- 位置情報は正確ではないため絶対にそこに居たとは証明できない
- 配偶者が車を使用していたとは限らない(「車を貸していた。」と言い逃れされる可能性もある。)
- 浮気相手と一緒に居たことまでは証明できない
浮気を証明するためには、配偶者と浮気相手との間に肉体関係があったことを直接または間接的に証明する証拠が必要です。
したがって、GPS調査で得た位置情報のみを浮気の証拠とするのは難しいでしょう。
より強力な証拠を得るための情報として有用
GPSの情報のみで浮気を立証することは難しいですが、より強力な証拠を得るための情報としては有用です。
GPSの位置情報から得られた配偶者の行動範囲や行動パターンから、次のような浮気現場の証拠を抑えられる可能性もあるでしょう。
- 配偶者と浮気相手がラブホテルに出入りしている写真や動画
- 配偶者が浮気相手の自宅に出入りしている写真や動画
したがって、GPS調査で得た証拠は、他の有力な証拠を収集する手立てとして有用でしょう。
GPS調査で得た証拠の証拠能力は?
GPS調査で得た証拠は、原則として証拠能力が認められます。
そもそも証拠能力とは、訴訟の当事者が提出した資料を事実認定のために用いることのできる資格です。
つまり、当事者が提出した資料を裁判の判断材料として用いるには証拠能力がなければなりません。
民事訴訟においては、著しく社会的に反した手段を用いて収集された資料などを除いては、原則、証拠能力は制限されません。
したがって、GPSの位置情報は、民事裁判で証拠として使用できるでしょう。
ただし、GPSの設置手段等が悪質な場合には証拠として認められない可能性もあります。
【補足】
弁護士には一般の方々よりも厳しい倫理基準が課されているため、訴訟手続き等を依頼する際、GPSの記録を証拠として提出することを断られる可能性がある点に留意しましょう。
GPS調査が相手にバレた場合訴えられる?
GPSを使った浮気調査が相手にバレたら訴えられる?
浮気調査が相手にバレた場合、プライバシーの侵害であるとして損害賠償請求される可能性はあるでしょう。
したがって、1章や2章で違法になり得る行為は避けることをおすすめします。
浮気調査にGPSを利用する場合はリスクを念頭に!
GPSの利用は、プライバシーの侵害やその他の罪にあたる可能性があることから、その利用にはリスクが伴うことを念頭に置きましょう。
配偶者が本当は浮気をしていなかった場合には、GPSの調査が夫婦の信頼関係にヒビを入れることにもなりかねません。
特に、夫婦関係の継続を考えている場合には、GPSの調査がバレたことで離婚に繋がるおそれもあることから、利用には慎重になりましょう。
まとめ
浮気調査にGPSを利用した場合、取り付けた場所やその手段によっては法的な問題が生じる可能性があります。
GPSの情報が取得できても、それだけで浮気の証拠とするのは難しいでしょう。
浮気の証拠収集の方法は、GPSによる調査以外にも多数ありますから、自分での調査が思うように進まない場合には、一度弁護士に相談してみるのもよいでしょう。弁護士に相談すれば、事実関係を整理したうえで今後の方針を検討してもらえるでしょう。
手元にある証拠等から、次のようなアドバイスをもらえます。
- 今ある証拠で慰謝料請求が見込めるか
- 今ある証拠で不十分の場合には他にどんな証拠が必要か
- 他に証拠が必要な場合にどのような調査方法が有用か
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