継続的な不貞行為で婚姻関係を侵害したが、破綻していたとは認められず、慰謝料500万円を請求したうちの180万円が相当だと認定された事案

愛子は、不二夫の勤務している会社の別部署で勤務しており、不二夫とは共通の知人を通じて知り合い、不二夫が婚姻していることを知りながら性交渉を含む交際を開始、継続した。よって、不二子が不二夫と愛子の不貞行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料500万円の支払いを求めた事案である。


不二夫と愛子の不貞行為は継続的なもので、婚姻関係を侵害する程度は大きいというべきであり、加えて、不二夫が過去に別の女性と不貞行為に及んだことがあるとの事情は、本件不貞行為の不法性を強めるものと評価できるとしたが、不二子は子らへの配慮から共同不法行為の一方当事者である不二夫の責任を追及しない姿勢を示しており、愛子のみに対して全面的な責任を負わせることに躊躇を覚えざるを得ないとされた。

また、不二子は本件不貞行為により抑うつ症を罹患したとし診断書を提出したが、それ以前の不二子の心身における健康状態が客観的に明らかになっていないから本件不貞行為との間に相当因果関係を認めることはできず、採用されないとした。よって、不二子の愛子に対する慰謝料請求額は180万円が相当とされた。

当事者の情報

不貞期間約2年
請求額500万円
認容額180万円
子供人数2人(13歳、9歳)
婚姻関係破綻の有無婚姻関係が別居状態に至っていたもので、希薄化しつつあったと言わざるを得ないが、完全に復元見込みのない状態に立ち入っていたとはいえないから、破綻していたとは認められない

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