愛子が不二夫との間で不貞関係を持ち、その結果不二子と不二夫の婚姻関係が破綻して精神的苦痛を被ったとして不二子が愛子に対し慰謝料等の支払いを求めた事案である。
愛子は、H14年頃、愛子が経営するスナックに客として訪れた不二夫と知り合い、肉体関係を伴う男女の関係を持つようになり、遅くとも関係開始からしばらくたったころには不二夫が婚姻していることを知ったが、ホテルや愛子の自宅において不貞関係を継続した。H18年12月頃不二子が愛子らの不貞関係を知ったことから、一旦交際を解消したが、遅くともH22年頃から再び交際を開始した。
愛子と不二夫はH18年12月の交際発覚後に、不貞関係を一旦解消したのであるからH22年に開始された交際とは別の不法行為ととらえるべきものであると解され、H18年12月から訴訟提起までに3年を経過しているから消滅時効が完成しており、争点は、H22年以降の交際について性交を伴うものであったか、性交を伴わないものであったとして不法行為を構成するか、婚姻関係は破綻していたかとされた。
愛子と不二夫は、H18年以前に4年間にわたり肉体関係を伴う男女の関係にあり、そのことが不二子に発覚して関係を解消したのであるから、その後の接触等については不二子から誤解を受けることのないよう十分注意して行動するのが然るべき関係にあったにもかかわらず、不二夫は愛子の店に行くばかりでなく、自宅へ赴き、長時間を共に過ごしていることや不二夫は出張であると不二子に嘘をついて愛子の自宅に泊まったことが認められ、過去に不貞関係にあったもの同士であること等より、性交を伴うものであったと合理的に推認されるべきとし、愛子らの交際が開始された当時、不二子らは婚姻住居において長女とともに過ごし、不二子が不二夫の朝食等の準備や選択等の家事を行っていたこと、不二夫が会社を起こすと不二子はその経理補助の事務を行い、家庭の経済的基盤を夫婦で維持してきたものであること、仮に不二夫が内心において不二子に不満を抱いていたとしても別居や離婚に向けた話が出たことはなかったこと等からしても婚姻関係が破綻していたものと認めることはできないとし、不二子は不貞行為によりうつ状態と診断されるほどに精神的衝撃を受けたこと、他方、不貞行為の頻度等は明らかでないこと、婚姻関係は相当程度円満さが失われた状態にあったものといえること、子らがいずれも成人していること等を踏まえて慰謝料135万円、弁護士費用15万円の合計150万円が相当とされた。
当事者の情報
不貞期間 | 4年(時効成立)、6年 |
請求額 | 330万円 |
認容額 | 150万円 |
子供人数 | 2人(31歳、26歳) |
婚姻関係破綻の有無 | 破綻していない |