婚姻関係は調停を申し立てた時点で修復不能な状態となっており、既に破綻していたと認められるので請求が棄却された事例

不二子が主位的請求として不二夫に対して、脅迫的言動及び暴力行為によって不二子を本件物件から退去させた不法行為又は法律上の占有権原なく本件物件を占有した不当利得を理由として、平成22年4月11日~本件離婚の日である平成24年5月21日の期間、愛子に対しては法律上の占有権原なく本件物件を占有したことによる不当利得を理由として平成23年11月~本件離婚の日である平成24年5月21日の期間にそれぞれ係る本件物件の賃料相当損害金の支払いを、予備的請求として不二子と不二夫が本件離婚に至ったのは、不二夫らの不貞行為が原因であると主張して、不法行為を理由として、不二夫らに対し、慰謝料の支払いを求めた事案である。

本件物件とは不二子が不二夫の母と持分2分の1ずつで共同取得し、1階を不二夫の母及びその夫の世帯が、2階及び3階を不二子と不二夫の世帯が使用することとして家族の住居として購入されたものである。

不二子は不二夫が躁鬱病の診断を受け医療保護入院する前に夫婦喧嘩をして本件物件を出ており、不二夫が入院をしたことから本件物件に戻っていた。

しかし、不二夫が退院し、本件物件に戻ることを希望したことから不二夫との関わりを避けるために自ら本件物件を退去した不二子の行動は、客観的にみて、別居のために自らの意思で夫婦の居宅である本件物件を退去したと認められる行動であり、不二子は、自らの意思で本件物件の使用利益を失ったものといわざるを得ないとされ、不二子が生計を支え、不二子のほか不二夫の母も共有持分を有する本件物件が夫婦の居宅であり、退院した不二夫が本件物件に帰宅しようとすることを違法と評価することは、社会通念に照らしてなおさら困難なであり、本件物件を退去するという不二子の意思が、本件物件に帰宅するという不二夫の意向を原因として形成されたからといって、不二夫に不法行為が成立するともいえず、愛子に対してもその占有が独立性のある占有であったと認めるに足りる証拠はないとし、不法行為は認められなかった。また、不二子らの婚姻関係は、遅くとも不二子が本件調停を申し立てた頃には、修復不能な状態となっていたと認められ、既に破綻していたといえるとし、主位的請求及び予備的請求いずれも理由がないとして棄却された。

当事者の情報

不貞期間
請求額300万円
認容額0万円
子供人数2人(9歳、6歳)
婚姻関係破綻の有無破綻していた

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