【弁護士解説】飲食店における禁止表示について|景品表示法の表示規制

飲食店経営においては、様々なメディアを用いて自店のメニューを広告等を行うことでしょう。それでは、飲食店の広告において何らかの規制はあるのでしょうか?

飲食店を経営する会社の法務部出身の弁護士が、飲食店経営に際して注意すべき表示規制について概説します。

目次

景品表示法一般について

先の記事において記載しましたが(※以下関連記事をご参照ください)、飲食店経営に当たっては食品表示の必要は基本的にはありません。

他方で、表示してはならない事項については、景品表示法により定められています。

今回は景品表示法が禁止している優良誤認表示有利誤認表示について特に記載していきます。

景品表示法の優良誤認とは?

優良誤認表示とは、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの、または(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示とされています。

飲食店における優良誤認表示の違反例

飲食店での例でいえば、自店の提供する食品について、その品質(食材の品質など)や規格(食品の大きさなど)等の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示や、競合他社の商品より著しく優良であることを示す表示を言います(景品表示法5条1号)。

違反例としては、

  • 国産と表示しているにもかかわらず、外国産の食品を使用する
  • 広告上では一枚肉を使用した写真を使用しているが、実際には加工肉を使用する
  • 果汁100%と表示しているにもかかわらず、実際には果汁80%の商品を提供する

等が例として挙げられるでしょう。

景品表示法の有利誤認とは?

有利誤認表示とは、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、(1)実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものまたは、(2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示と定められています。

飲食店における有利誤認の違反例

飲食店での例でいえば、自店で提供する食品の価格について、実際のものよりも著しく有利(安い等)であると示す表示や、競合他社の商品より著しく有利であることを示す表示を言います。

具体的には、

  • 「他店に比べて圧倒的安さ!」等との表示
  • 限定10食と表示しているにもかかわらず、実際には限定がない場合
  • 期間限定価格と表示しているにもかかわらず、実際には当該価格が通常価格である場合

等が挙げられます。

景品表示法ステルスマーケティング(ステマ)規制について

広告方法についてですが、飲食店を経営する者が自分自身で広告する場合に加え、2023年10月から所謂インフルエンサーを用いた広告についても規制が及ぶことになります。

ステマ規制については、弊所の「薬機法・医療法・景表法解説サイト」の記事で詳細な解説がありますので、そちらを参照してください。

終わりに

以上のとおり、飲食店における広告は景品表示法により規制されています。

もっとも、メニュー表示や広告は、売り上げに直結する経営上極めて重要な要素であり、商品の良さを伝えるためにも表示を工夫することが不可欠です。

どのような表現が許容されて、どのような表現が法と抵触するのか、バランスを意識した広告が必要です。

弊所においては、広告物やメニューの適法性チェックも承っており、特に筆者は、飲食店を経営する会社の法務部出身であり、日常的にメニューの文言等をシェフや事業部のメンバーと一緒に考えてきました。そのような経験や専門的知見を有する弊所弁護士が、貴社が消費者に伝えたい事柄を最大限尊重しつつ、かつ、適法な範囲での広告を提案するお手伝いをさせていただきます。

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