サマリー
公務員が自己破産を検討する際、「免職になって職を失うのではないか」「職場や同僚に知られてしまうのではないか」といった不安や疑問はつきものです。
しかし、破産法などの法的なルールや実務上の手続きを正しく理解すれば、一般的に公務員の身分を維持したまま、債務整理によって借金問題を根本的に解決できる可能性があります。
この記事では、国家公務員法・地方公務員法に基づき自己破産が公務員の身分に与える影響、官報や共済組合などから職場に知られる具体的なケースと対策、そして退職金(破産財団への組み入れ)や給与といった財産の扱いに加え、弁護士等の専門家へ相談するメリットについて詳しく解説します。
自己破産を理由に公務員を免職(クビ)や失職処分にされることは原則としてない
結論として、自己破産の手続きをしたこと(破産者となったこと)だけを理由に、国家公務員・地方公務員が懲戒免職や分限免職といった形でクビ(失職)になることは原則としてありません。
借金の返済が困難になり、経済的再生を図るために破産法に基づき法的な債務整理手続き(自己破産)を選択することは、国家公務員法等における懲戒処分の対象となるような違法行為や非違行為には該当しないとされているためです。
したがって、単に自己破産をしたという事実のみを理由に、公務員としての身分を一方的に剥奪(免職・失職)されることは、現在の法律や実務上の運用においてはないと解されています。
私生活における経済的な問題(多重債務など)と、公務員としての職務遂行能力や適格性は、原則として直接的に結びつくものではないと判断される傾向にあります。
根拠は国家公務員法・地方公務員法の欠格事由に自己破産が該当しないため
公務員が自己破産をしても免職・失職にならない法的根拠は、国家公務員法第38条および地方公務員法第16条などに定められた欠格事由(採用制限・失職条件)に、自己破産(破産者であること)が含まれていない点にあります。
欠格事由とは、公務員に採用される資格を失う、あるいは在職中に該当した場合に原則として当然失職となる具体的な条件を定めたもので、禁錮以上の刑に処せられた場合などがこれに該当します。
かつての法律では「破産者で復権を得ないもの」という項目が欠格事由に含まれていましたが、令和元年の法改正(成年被後見人等の権利制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律などに伴う欠格条項の見直し)により、当該規定は削除されました。
そのため、現在の法律上は、自己破産の手続きを行うことが、国家公務員・地方公務員のいずれにおいても身分を失う直接的な理由には原則としてなりません。
ただし一部の職種や業務(資格制限)においては一定期間の影響を受ける可能性に注意
ほとんどの公務員は自己破産による身分上の影響を受けませんが、一部の特定の職種や資格を要する業務においては、手続期間中に資格制限(職業制限)を受ける可能性があります。
具体的には、裁判所による破産手続開始決定から復権までの期間(一般的に数ヶ月程度)、弁護士や税理士、警備員、生命保険募集人、あるいは宅地建物取引士などの特定の資格を用いる業務に就くことが法律上制限されます。
また、公正取引委員会の委員や公安委員会の委員など、個別の法律で個別に破産に関する規定(欠格事由など)が残されているごく一部の特殊な役職・職務においては影響が出る場合があるため、自身の職務や保有資格が制限の対象となっていないか、事前に弁護士などの専門家に確認することをおすすめします。
関連記事:自己破産における制限職種一覧|資格制限を受ける期間も解説
公務員の自己破産が職場や周囲に知られてしまう(バレる)5つの原因と具体的な対策
自己破産をしても法律上原則として免職処分にはなりませんが、裁判所を通した破産手続きの過程において、職場に知られる(露見する)リスクは実務上ゼロとは言い切れません。
ここでは、職場に自己破産の事実が伝わる可能性がある代表的な5つのケースと、それぞれの実務的な対策について解説します。

これらのケースを事前に把握し、弁護士のアドバイスのもとで適切に対応することで、リスクを抑え、プライバシーを守りながら債務整理手続きを進められる可能性が高まります。
ケース1|国の機関紙「官報」に氏名や住所が掲載された場合
自己破産の手続き(管財事件・同時廃止事件問わず)を行うと、裁判所の破産手続開始決定時と免責許可決定時の少なくとも2回、氏名と住所が官報という国の機関紙に公告として掲載されます。
官報はインターネット等を通じて誰でも閲覧可能ですが、一般の職員が日常的にチェックするものではないため、ここから直接職場に知られる可能性は、一般的な傾向としては低いとされています。
官報への掲載自体を止める法的な対策はありませんが、職場の人事担当者や、業務上(税金の滞納処分や各種審査業務など)官報を定期的に確認する部署に所属する職員がいる場合は、知られるリスクが完全にゼロとは言い切れない点に留意が必要です。
関連記事:自己破産すると官報に載る?周囲にバレる?生活への影響を徹底解説!
ケース2|所属する共済組合から貸付(借入れ)を受けている場合
公務員が職場に自己破産を知られる最も可能性の高いケースが、共済組合からの借入れです。
弁護士等の専門家に自己破産を依頼すると、破産法上の債権者平等の原則に基づき、すべての債権者に対して手続き開始を知らせる受任通知(弁護書面)が送付されます。
公務員の共済組合からの借入れ(普通貸付や特別貸付など)がある場合、共済組合も債権者の一つとなるため、この受任通知の送達によって自己破産の事実が共済組合側に伝わります。
共済組合は職場(庁舎・学校など)の人事や給与管理部署と密接に関連・連携している組織であるため、給与天引きの停止手続きなどを経て、職場の事務担当者に情報が伝わるリスクが高いとされています。
自己破産では特定の債権者のみを除外して手続きすることは破産法上認められていないため(特定の債権者だけに弁済すると偏頗弁済となり免責不許可事由に該当する恐れがあります)、共済組合からの借入れを含めて申し立てる必要があります。どうしても職場への露見を避けたい場合は、特定の債務を除外して交渉できる任意整理など、他の債務整理手続きを選択できるか弁護士と慎重に検討することが重要です。
ケース3|裁判所に提出する退職金見込額証明書を職場に申請・発行してもらう場合
自己破産の手続きでは、現在の財産状況を裁判所に正しく報告(破産財団の評価)するため、在職中の職員は退職金見込額証明書の提出を求められるのが一般的です。
この証明書は所属自治体の人事課や総務課などの給与・労務担当部署に発行を依頼する必要があり、その際に申請理由や使用目的を尋ねられることで、自己破産の手続きを推測される懸念が生じます。
対策としては、使用目的を尋ねられた際に住宅ローンの借換え・見直しの審査のため、金融機関への相談のためなど、差し支えのない範囲の理由を伝える方法が考えられます。
また、各地の裁判所の運用や個別の事情によっては、職場から証明書の発行を受けずとも、自治体の「退職手当条例(規程)」の写しや給与明細、および自身で作成した計算試算書の提出をもって代替が認められる場合もあります。そのため、職場で申請する前に弁護士へ代替手段の可否を確認することをおすすめします。
職場に対して自己破産のために使用すると正直に告げる法的な義務まではないため、実務上は周囲に配慮した理由説明が行われるケースが見られます。
ケース4|借金の滞納により給与の差押え(強制執行)を受けてから自己破産に至った場合
借金の返済を長期間滞納し、債権者からの督促を放置してしまうと、債権者は裁判所に民事執行法基づく強制執行(給与差押え)を申し立てることがあります。
裁判所から発付される債権差押命令は、給与の支払者である職場(自治体や国)へ直接送達されるため、この時点で多額の借金トラブルや滞納の存在が職場に確実に知られることになります。
給与差し押さえを受けた後に自己破産の手続きを開始した場合、すでに経済的な困窮や法的トラブルの発生が露見しているため、職場に対して事実を隠し通すことは実務上困難となります。
最も効果的な対策は、給与の差し押さえ(強制執行)に至る前の段階で、弁護士などの専門家に相談し、早期に自己破産などの債務整理に着手することです。
専門家に債務整理を依頼すれば、貸金業者等からの直接の取り立てや督促が原則として停止し、迅速に破産手続きへ移行することで、将来的な給与差押えのリスクを未然に回避しやすくなります。
ケース5|不用意な同僚との会話や自身の言動から事情を察知される場合
官報や書類申請といった法的な手続き上の経路とは別に、日頃の自身の言動が原因となって、結果的に職場に知られてしまうケースもあります。
例えば、職場の同僚に借金の悩みを打ち明けたり、勤務時間中に金融機関や督促の電話対応を繰り返したりしていると、周囲に経済的なトラブルを察知される可能性が高まります。
また、精神的な負担から仕事に集中できず、不審に思われることも考えられます。
実務的な対策としては、借金や債務整理に関する悩みは職場関係者には話さず、厳格な守秘義務を持つ弁護士などの専門家や、信頼できる家族のみに限定して相談することが賢明です。
精神的な負担は大きいものですが、職場では普段通りに職務に専念し、プライベートな生活上の問題を周囲に悟られないよう配慮することが、露見を防ぐことにつながります。
自己破産によって公務員の財産はどうなる?退職金・給与・共済貯金の具体的な扱い
自己破産手続きにおいては、原則として債務者の一定の財産が換価・処分の対象となりますが、生活再建のために法律で認められた自由財産など、すべての財産が没収されるわけではありません。

特に公務員の方の場合、共済貯金や退職金といった公務員特有の財産がどのように評価・処分されるのか、また手続き開始後の毎月の給与やボーナスの扱いがどうなるのかは、非常に重要な関心事と言えます。
ここでは、破産法や裁判所の実務運用に基づき、自己破産における公務員の退職金や給与、各種積立金の具体的な取り扱いについて詳しく解説します。
在職中の退職金は支給見込額の8分の1相当額が破産手続きでの処分(換価)対象となるのが一般的
在職中の公務員が自己破産の手続きを行う場合、現時点で退職したと仮定して算出される退職金支給見込額が、破産手続きにおける財産(破産財団の評価対象)として扱われます。
多くの裁判所の実務基準(例えば東京地方裁判所など)では、今後も公務員として勤務を継続しすぐに退職する予定がない場合、退職金支給見込額の「8分の1」に相当する額を評価額とし、破産財団への組み入れ(債権者への配当原資)対象とする運用が一般的です。(※すでに退職間近である場合などは4分の1相当額となる場合があります。)
例えば、現時点での退職金支給見込額が800万円である場合、その8分の1にあたる100万円が破産手続きにおいて精算すべき財産として扱われることになります。
この評価額に相当する現金を破産管財人に納付する必要がありますが、実務上は毎月の給与収入などから分割で積み立てて支払う運用が認められるケースが多いため、自己破産のために退職金の前借りをしたり、職場を強制的に退職したりする必要はありません。
したがって、退職金の評価・清算手続き自体が、公務員としての職務を継続する上での直接的な支障や妨げになることは原則としてありません。
共済貯金や互助会の積立金・庁内預金も原則として処分の対象(財産)となる
公務員特有の財産である共済貯金(積立貯金)や、互助会の各種積立金、庁内預金などは、一般的な銀行の預貯金口座と同様に、自己破産手続きにおける債務者の財産として扱われます。
破産手続開始決定の時点でこれらの貯蓄や積立金がある場合、一定額(一般的に合計20万円など、裁判所の基準を超える場合)以上の金額については原則として破産財団に組み込まれ、債権者への配当原資に充てられることになります。
破産手続きの直前に共済貯金等を解約して特定の債権者(親族や友人、一部の業者など)だけに優先して返済する行為(偏頗弁済)や、解約金を隠す行為(財産隠匿)は、破産法第252条第1項各号に規定される免責不許可事由に該当します。この場合、最終的に裁判所から借金の免除(免責許可)が得られなくなる重大な不利益が生じるため、絶対に行ってはなりません。
すべての財産関係は裁判所や破産管財人に対して正直に申告し、弁護士のアドバイスや裁判所の指示に従って適切に処理を進めることが、確実に免責を得るための鍵となります。
破産手続開始決定後に支給される給与やボーナス(新得財産)は原則として没収されない
自己破産の手続きにおいて、債権者への配当などのために処分の対象(破産財団)となるのは、原則として裁判所が破産手続開始決定を下した時点において債務者が保有している財産に限られます。
したがって、破産手続開始決定の確定後に新しく発生・取得する毎月の給与収入や期末手当・勤勉手当(ボーナス)は、破産法上「新得財産(しんとくざいさん)」として扱われ、破産手続きによって差し押さえられたり没収されたりすることはありません。
開始決定後に得たこれらの給与収入等は、自身の今後の生活費や、破産手続きを円滑に進めるための弁護士費用・予納金などの費用に自由に充てることが可能です。
これにより、公務員としての安定した毎月の収入をベースに、自己破産の手続き期間中であっても生活基盤を維持しながら、経済的な再建(生活の立て直し)を着実に図ることが期待できます。
ただし、個別の共済組合の扱い等については細かな実務判断が必要となる場合があるため、まずは債務整理の実務に精通した弁護士等の専門家へ相談することをお勧めします。
公務員が自己破産手続きで受けるデメリット・生活上の制限
自己破産は、裁判所から「免責許可決定」を得ることで公務員自身の借金・返済義務(一部の非免責債権を除く)を免除してもらえる強力な法的解決策ですが、その反面、一定期間は法律上・生活上の制限や制限事項が生じることになります。
これは公務員特有のものではなく、自己破産の手続きを行うすべての人に共通する一般的なデメリットです。

具体的には、信用情報機関への事故情報の登録(いわゆるブラックリスト)、各種ローンやクレジットカード契約の制限、アンド一定以上の価値を持つ保有財産の処分(換価)などが挙げられます。
これらの生活上の制限や実務上の影響をあらかじめ正しく理解した上で、手続きに臨むことが重要です。
信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリスト入り)
自己破産の手続きを行うと、加盟する各種信用情報機関(主にシー・アイ・シー【CIC】、日本信用情報機構【JICC】、全国銀行個人信用情報センター【KSC】)に、破産手続開始決定の事実が事故情報として登録されます。
これがいわゆる「ブラックリストに載る」と表現される状態であり、法的なペナルティではなく、あくまで金融上の信用評価に関する仕組みです。
この事故情報は、手続き完了(免責許可決定の確定)から一般的に5〜7年程度の期間登録され続け、その間は金融機関やクレジットカード会社が新規の与信審査を行う際に必ずこの情報を参照します。
この情報が参照されることにより、金融上の経済的信用度が低いと判断され、期間中は新たな借入れやクレジットカードの発行、ローンの組込みなどが著しく困難になります。
関連記事:ブラックリストとは?信用情報の重要性を徹底解説
各種ローン契約やクレジットカードの新規作成・更新が制限される
信用情報機関に事故情報が登録されている期間中は、金融機関からの与信(信用)が得られないため、新たな融資やローン契約を結ぶことが実務上極めて難しくなります。
具体的には、マイホーム購入時の住宅ローン、自動車ローン、教育ローンといった各種ローンの審査を通過することが原則として困難になります。
また、クレジットカードの新規発行や有効期限の更新ができなくなるほか、現在利用中のカードについても、途上与信(定期的な信用チェック)や債権者への通知に伴い、原則として順次強制解約(利用停止)となります。
そのため、一定期間の買い物や決済は現金払いや銀行口座直結のデビットカードが基本となり、クレジットカード紐付け型のETCカードの利用なども制限されます。
ただし、保証金を預けることで発行できるETCパーソナルカードや家族名義のカード(家族カード)などは利用できる場合があります。
持ち家や車など20万円を超える価値がある破産財団対象の財産は原則として手放す必要がある
自己破産の手続き(管財事件)では、生活の再建に最低限必要と法律で認められた自由財産を除き、破産手続開始決定時に債務者が保有する一定以上の価値を持つ財産は破産管財人によって換価・処分され、債権者への配当原資に充てられます。
多くの裁判所の実務基準において、個別の項目ごとに処分時の評価額(査定額)が20万円を超える財産が、原則として換価・処分の対象となります。
具体的には、所有名義のある不動産(持ち家や土地)、査定価格が20万円を超える自動車、解約返戻金相当額が20万円を超える積立型の生命保険・学資保険、および法律上認められる99万円を超える現金などが該当します。
ただし、衣服、寝具、家具、家電など、日常生活を営む上で不可欠な家財道具(民事執行法上の差押禁止動産)が没収・処分されることは原則としてありません。
そのため、一定以上の資産価値がある高価な財産を所有している場合は、事前に弁護士などの専門家と綿密な財産調査を行い、処分の範囲を正確に把握しておくことが推奨されます。
関連記事:自己破産したら何を失う?処分される財産と残せる財産を解説
公務員が選択できる自己破産以外の債務整理手続き(任意整理・個人再生)
借金(多重債務)問題を法的に解決するためのアプローチは、自己破産だけではありません。
特に、毎月の給与収入が安定している公務員の場合、減額された債務を今後も継続して返済していくことを前提とした、他の債務整理手続きを選択・活用できる可能性が実務上高いと言えます。
自己破産のような特定の職種における資格制限(職業制限)が発生せず、保有財産への影響も抑えやすい任意整理や個人再生といった手続きも非常に有効な選択肢となります。
それぞれの手続きが持つ法的なメリット・デメリットを正しく理解し、自身の債務総額や収入の状況に最も適した解決方法を選ぶことが大切です。
裁判所を通さず債権者と直接交渉し将来利息のカットを目指す任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに弁護士や司法書士が代理人となり、各債権者(貸金業者等)と個別に直接交渉を行って、合意に基づく新たな和解契約を締結する私的整理手続きです。
この手続きでは、主に将来発生する予定の利息(将来利息)や遅延損害金のカットを求め、借入元本のみを原則として3〜5年程度(36〜60回分割)をかけて毎月分割返済していく計画を立てます。
裁判所を通さないため手続きが比較的迅速であり、かつ整理する債権者を自由に選べる点が特徴です。
例えば、職場に直結する共済組合からの借入れだけを任意整理の対象から除外して従来通り返済を継続すれば、職場に債務整理の事実を知られるリスクを最小限に抑えることが可能になります。
ただし、自己破産や個人再生とは異なり借入元本そのものが大幅に減額されるわけではないため、和解後の分割弁済を継続できるだけの安定した収入(返済能力)が前提となります。
関連記事:任意整理とは?メリット・デメリット・費用相場や手続きができる条件・流れをわかりやすく解説
住宅ローン中の持ち家を残したまま借金を大幅に減額できる個人再生
個人再生(民事再生法に基づく法的整理手続き)は、裁判所に再生計画案を提出して認可決定を受けることで、住宅ローン以外の借金総額を民事再生法の最低弁済額基準に従って大幅(最大5分の1から10分の1程度)に減額し、減額後の残債を原則3年間(最長5年)で分割弁済していく仕組みです。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度を併せて利用すれば、住宅ローンの返済はそのまま継続することでマイホーム(持ち家)を手放すことなく、消費者金融やカードローンなどの他の借金のみを大幅に整理・減額できる点が実務上の大きな特徴です。
また、自己破産の手続き期間中に生じるような特定の職種に対する資格制限が一切ないため、職務上特定の資格制限を受ける懸念がある一部の公務員の方にとっても、非常に選択しやすい解決方法と言えます。
ただし、裁判所への提出書類が多く手続きが比較的複雑であることや、減額後の債務を確実に返済していく必要があるため、法律上将来にわたり継続的または反復して安定した収入を得る見込みがあることが厳格な利用条件となります(この点、公務員の方は条件をクリアしやすい傾向にあります)。
関連記事:個人再生とは?手続きの全体像をわかりやすく解説!
公務員の借金トラブルは弁護士等の専門家への早期相談が根本解決の鍵
公務員の方が抱える借金・多重債務の問題は、周囲への露見を恐れて一人で悩み続けると精神的な負担が増大するだけでなく、滞納が長期化して裁判上の手続き(給与差押えなど)に発展し、かえって職場に知られるリスクを高める結果になりかねません。
自身の職務状況や財産(退職金・共済貯金)を踏まえた最適な解決策を見つけるためには、法律の専門家、特に裁判所でのすべての手続きにおいて制限なく代理人となれる弁護士に、できるだけ早い段階で相談することが極めて重要です。
弁護士等の専門家に正式に債務整理を依頼すると、各債権者に対して発せられる受任通知の効力により、貸金業者等からの直接の電話連絡や書面による督促が原則として即座に停止するため、まずは精神的な平穏を取り戻すことができます。
その上で、自己破産だけでなく、職場への影響を考慮した任意整理や持ち家を残す個人再生など、公務員特有の資産状況や職種に応じた実務上最善の解決プランの提案を受けることができます。
現在は借金問題に関する初回法律相談を無料で行っている弁護士事務所も多いため、まずはプライバシーが守られた環境で気軽に相談してみることが、生活再建への確実な第一歩となります。
【Q&A】公務員の自己破産に関するよくある質問と回答
ここでは、公務員の方が自己破産や債務整理を検討する際、実務上特に多く寄せられる疑問について、法律や運用の観点から分かりやすく回答します。
懲戒処分の有無や将来のキャリアへの影響、さらには公務員試験・新規採用への影響など、具体的な疑問について解説します。
自己破産の手続き後も公務員として働き続けられるのか、また、これから公務員を目指せるのかといった不安の解消にお役立てください。
自己破産をすることは懲戒処分の対象(事由)になりますか?
原則として、自己破産の手続きをしたこと自体を理由に懲戒処分を受けることはありません。
自己破産の手続きを行うことは、国家公務員法第82条や地方公務員法第29条に定められた懲戒事由(職務上の義務違反や全体の奉仕者たるにふさわしくない非行など)には該当しないと解されているためです。
ただし、多額の借金を抱えるに至った原因(理由)が、公金の横領や収賄、職務に関連する詐欺行為などの犯罪行為、あるいは著しい非違行為である場合は、自己破産という手続きとは関係なく、その不正行為自体を理由として懲戒免職などの厳重な処分が下されることになります。
自己破産した事実が、将来の昇進・昇給などのキャリアに影響しますか?
原則として、自己破産の事実が将来の人事評価、昇進、昇給に直接影響することはありません。
そもそも自己破産という私生活上の経済的再生手続きはプライバシーに属する事由であり、これを理由に人事評価で不当・不利益な取り扱いをすることは実務上想定されていません。
公務員の昇進や昇給は、各法規や人事院規則・条例に基づき、あくまで日頃の勤務成績、業務の客観的な評価、職務遂行能力に基づいて厳格に判断されるため、自己破産の手続きをとったこと自体が直接人事評価を左右することはないとされています。
家族への影響はどうなりますか?家族の財産も処分されますか?
家族が借金の保証人や連帯保証人になっていない限り、自己破産による法的な影響や返済義務が家族に及ぶことは原則としてありません。
ただし、ご家族が連帯保証人となっている債務がある場合、破産申立てによって主債務者の期限の利益が喪失し、債権者から連帯保証人であるご家族へ一括返済の請求が行われるため、事前に弁護士と慎重な対策を検討する必要があります。。
なお、破産者本人の名義である持ち家や自動車などが処分される結果として、家族全員での転居が必要になったり、本人のクレジットカードに紐付けられていた家族カードが利用停止になったりする等の、生活上の間接的な影響は生じる場合があります。
一方で、家族が自分自身の名義で所有している独自の財産(預貯金や車など)が没収されることはありません。
まとめ|公務員の借金問題は正しい知識と専門家への相談で解決可能
結論として、公務員が自己破産の手続きを行っても、国家公務員法や地方公務員法上の欠格事由に該当しないため、それを理由としてクビ(免職・失職)になることは原則としてありません。
職場に知られるリスクとしては、主に共済組合からの借入れ(貸付)がある場合や退職金見込額証明書の申請時などが挙げられます。共済組合からの借入れがあるケースなどでは、特定の債権者を除外して和解できる任意整理などの他の債務整理手続きを選択することで、職場への露見を未然に回避できる場合もあります。
また、将来の退職金についても全額が没収されるわけではなく、今後も勤務を継続する在職中の場合は、現時点での支給見込額の8分の1相当額を分割等で清算(破産財団へ納付)する運用が一般的であり、退職を迫られることもありません。
多重債務や借金の返済トラブルは、時間が経つほど給与差し押さえなどのリスクを高めてしまいます。一人で抱え込まず、まずは守秘義務が徹底された債務整理の実務に強い弁護士などの専門家に早期に相談し、公務員としての安定した身分と生活を守りながら経済的再生を果たせる、最適な解決策を見つけ出しましょう。
多額の借金や多重債務の返済にお困りなら、ぜひ債務整理の実務経験が豊富なネクスパート法律事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士がご相談者様の個別の状況を丁寧にヒアリングし、公務員の身分や財産を守るための最適な解決方法(自己破産・任意整理・個人再生)を分かりやすくアドバイスいたします。
当事務所では、初回相談は30分無料で承っております。周囲に知られたくないというプライバシーへの配慮(秘密厳守)はもちろん、オンラインでのリモート相談にも柔軟に対応していますので、まずはどうぞお気軽にお問い合わせください。
コラム監修者
RUI SATO
所属:代表(東京オフィス)
明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。