サマリー
個人再生の手続きに要する費用は、負債総額や住宅ローン特則(住宅資金特別条項)の有無、依頼する専門家によって異なりますが、実務上の全体的な相場は一般的に50〜80万円程度とされています。
個人再生とは、民事再生法に基づき裁判所を介して借金を大幅に減額し、原則3年間(最長5年間)の分割で返済していく債務整理(法的整理)の一種です。
財産処分を伴う自己破産や、裁判所を介さない任意整理と並ぶ有力な選択肢ですが、手元に資金がなく「手続き費用が払えない」という理由だけで申立てを諦める必要はありません。
多くの弁護士事務所や司法書士事務所では弁護士費用等の分割払いに対応しており、正式な依頼後に送付される受任通知によって借金の返済を一時停止させ、その間に費用を積み立てるなど、手持ち資金が乏しい状態からでも手続きを開始できる実務上の仕組みが整えられています。
この記事では、個人再生の手続きにかかる総額費用の内訳(裁判所費用や予納金、専門家報酬)から、具体的な支払い方法や分割払いの仕組みにいたるまで、わかりやすく解説します。
個人再生にかかる費用の総額相場(裁判所費用・弁護士費用)は50~80万円
個人再生にかかる費用の総額相場は、裁判所に予納金等として納める実費と、弁護士や司法書士などの専門家へ支払う報酬を合わせて、一般的な目安としておよそ50~80万円程度です。
この費用総額は、裁判所を介さない任意整理などの他の債務整理手続きと比較した場合、一般的に高額になる傾向があります。
例えば、負債総額が400万円のケースで小規模個人再生を申し立てる場合、民事再生法が定める最低弁済基準により借金が5分の1の80万円まで減額される可能性がありますが、それとは別に手続き費用が必要となります(※保有資産の状況や清算価値保障原則などにより実際の減額幅や返済額は異なります)。
費用の平均額が高くなる理由は、個人再生が裁判所主導で厳格に進められる法的厳格手続であり、再生計画案や家計の収支表といった多数の提出書類の作成、および裁判所や債権者とのやり取りに高度な専門知識と複雑な実務対応が求められるためです。
なお、手続きに要する費用の額は借金総額に単純比例するわけではなく、住宅ローン特則を利用するかどうかや、個人再生委員が選任されるかといった具体的な手続きの内容(実務上の運用)によって決定されます。
費用の内訳①|裁判所へ納める費用(予納金・実費)

個人再生の手続きにおいて管轄の裁判所へ納める実費には、主に申立て手数料、官報掲載費用、郵便切手代(予納郵券)、個人再生委員への報酬(予納金)の4種類が存在します。
これらの費用は、手続きを申し立てる際またはその前後に、裁判所へ予納金として納付します。支払い方法は原則一括ですが、管轄裁判所の実務上の運用(履行テストを兼ねた分割予納など)によっては分割での納付が認められるケースもあります。
特に個人再生委員への報酬は、事案や裁判所の判断によって再生委員が選任されるケースと選任されないケースに分かれ、それによって裁判所費用の総額が大きく変動する重要な内訳項目です。
これは弁護士や司法書士などの専門家へ支払う報酬とはまったく別個に発生する実費であるため、選任要件に該当する場合は、あらかじめ裁判所費用として確実に準備しておく必要があります。
申立て手数料(収入印紙代)
個人再生の申立て手数料は、再生手続きの開始を裁判所に申し立てる際に法律上必要となる費用であり、申立書1通につき全国一律で1万円と定められています。
この手数料は現金で直接納めるのではなく、相当額の収入印紙を購入し、裁判所に提出する再生手続開始申立書に貼り付けて納付する実務運用となっています。
収入印紙は、郵便局や法務局のほか、一部のコンビニエンスストアなどでも購入することが可能です。
個人再生の手続きを正式に進めるための初期費用として、申立てを行うすべての人が例外なく支払う必要があります。
適式にこの申立て手数料を納付し書類を提出することで、裁判所に申立てが正式に受理され、その後の審査プロセスへと移行します。
官報掲載費用(予納金)
官報掲載費用とは、個人再生の手続きが開始された事実や再生計画案の決議・認可に関する情報を、国の機関紙である官報へ公告(掲載)するために必要となる法的な実費です。
裁判所を介して行う特定の債務整理手続きでは、債権者をはじめとする利害関係人へ広く不利益が及ばないよう、民事再生法によって官報公告が義務付けられています。
この官報掲載費用の額は全国の各地方裁判所で概ね共通しており、一般的には約1万2,000円から1万5,000円程度の実費となります。
実務上、申立て時に予納金の一部として裁判所へ事前に一括納付することが求められ、個人再生手続きを遂行する上で避けて通れない必須の費用です。
郵便切手代(予納郵券)
郵便切手代(実務上「予納郵券」と呼びます)は、裁判所が申立人の債権者などの関係各所へ、開始決定通知書や再生計画案などの必要書類を郵送するためにあらかじめ徴収する実費です。
申立人は、裁判所から指定された券種(金額)の切手をあらかじめ組み合わせて、申立て時にまとめて提出する実務形式となっています。
必要となる総額は、対象となる債権者の数や各地方裁判所の実務運用によって異なりますが、一般的には3,000円から1万円程度が目安とされています。
一例として、東京地方裁判所(東京地裁)の運用では、債権者の件数に応じて納付すべき予納郵券の総額や切手の組み合わせが細かく規定されています。
原則として申立ての初期段階において、現金ではなく実物の切手セットを裁判所へ納付することが実務上求められます(※使用されずに残った切手は、手続き完了後に申立人へ返還されます)。
個人再生委員への報酬(予納金)
個人再生委員への報酬とは、裁判所によって選任された個人再生委員(通常は地域の弁護士が選ばれます)が、申立人の財産・収入状況を調査し、申立人の財産や収入状況を調査し、再生計画案の作成に関する適切な指導・監督を行う対価として裁判所に納める費用(予納金)です。
例えば東京地方裁判所のように、実務上、原則としてすべての案件で個人再生委員が選任される運用の裁判所では、一般的に15万円から25万円程度の報酬(予納金)を裁判所に分割または一括で納める必要があります。
一方で、多くの地方裁判所などの運用では、専門家である弁護士が代理人として就任している場合、個人再生委員が選任されないケース(非選任)も多く、その場合はこの分の予納金費用は発生しません。
このように、個人再生委員が選任されるか否かという管轄裁判所の実務運用の違いが、裁判所へ納める総額費用を大きく左右する最大の要因となります。
費用の内訳②|弁護士・司法書士へ支払う報酬(専門家費用)

個人再生の手続きを弁護士や司法書士などの専門家へ依頼した場合は、裁判所への実費とは別に、代理人業務や書類作成支援の対価として専門家報酬が発生します。
この専門家費用の内訳は依頼先の事務所ごとに独自の料金体系が敷かれていますが、一般的には法律相談料、着手金、成功報酬金(認可報酬)、その他実費・日当といった項目で構成されるのが通常です。
料金設定は各事務所の規定に委ねられているため、正式な委任契約を交わす前に、追加料金の発生要件を含めた総額の見積もりを明確に提示してもらい、十分に確認することが実務上極めて重要です。
法律相談料
法律相談料は、弁護士や司法書士に対して個人再生の申立て手続きを正式に委任する前の段階で、自身の借金状況や見通しについて対面やオンライン等で相談・診断を受ける際にかかる費用です。
実務上、現在では多くの法律事務所や司法書士事務所が、過払い金や債務整理・借金問題に関する初回法律相談を無料化する体制を敷いています。
そのため、初期費用を気にすることなく複数の専門家からアドバイスや費用の見積もりを受け取り、自身に最適な依頼先を比較検討することが可能です。
なお、相談料が有料に設定されている事務所の場合であっても、その実務上の相場は一般的に30分あたり5,000円から1万円程度となっています。
個人再生の手続きを検討する際は、まずはこれら専門家の無料相談を活用し、減額効果の見通しや手続きの流れ、詳細な費用の見積もり、さらには担当者との相性を直接確認することをおすすめします。
着手金
着手金とは、弁護士や司法書士と委任契約を締結し、個人再生の申立てに向けた実務(債権者への受任通知送付や書類作成など)に正式に着手してもらう段階で支払う費用です。
この費用は、原則として手続きの結果(再生計画の認可・不認可など)にかかわらず返還されない性質の金員であり、実務上の相場は一般的に30万円から50万円程度に設定されています。
ただし、多重債務で経済的に困窮している依頼者の状況に配慮し、実務上は多くの法律事務所が着手金の分割払いや、手続き中の後払い(積立方式)といった柔軟な支払いプランに対応しています。
近年の実務では、依頼者の初期負担を極力抑える目的から、この着手金を無料(ゼロ円)と設定している事務所の事例も見受けられます。
ただし、着手金が無料である分、手続き完了時に発生する報酬金が通常より高額に設定されているケースもあるため、トータルの料金体系の総額でいくらになるのかを事前に契約書等で確認することが重要です。
報酬金(成功報酬)
報酬金(成功報酬)とは、裁判所から再生計画の認可決定を受け、それが確定した際、手続き成功の対価として発生する費用です。
この費用は、借金の大幅な減額および分割弁済の権利が法的に確定したことに対する対価として、手続き完了時に精算されます。
報酬金の一般的な相場はおよそ20万円程度ですが、事務所の料金体系によってはあらかじめ着手金と報酬金を一本化しているケースや、一律で報酬金を一括設定していない事例もあります。
反対に、前述の通り初期の着手金を低額または無料に抑える代わりに、この認可時の報酬金を相場より高めに設定してバランスを取っているケースも実務上存在します。
そのため、委任契約を結ぶ前に全体の料金体系と支払いスケジュールを必ず確認し、どのタイミングで、いくらの費用が、どのような方法で発生するのかを明確に把握しておくことが重要であり、不明な点は事前に相談先の弁護士や司法書士へしっかりと確認することをおすすめします。
実費、日当
実費とは、個人再生の手続きを遂行する上で実際に外部への支払いや消費で発生した直接経費のことで、具体的には裁判所等への交通費、債権者とのやり取りを伴う通信費(郵便代)、必要書類の取得にかかる印紙代やコピー代(謄写代)などがこれに該当します。
これらの実費精算分としては、一般的に数千円から1〜2万円程度をあらかじめ見込んでおくのが実務上の通例です。
一方、日当(出廷日当・出張日当)とは、弁護士や司法書士が管轄裁判所への出頭や、個人再生委員との面接(面接立ち会い)などのために事務所を離れて拘束される場合に、移動距離や拘束時間に応じて発生する手当のことです。
自身の居住地とは離れた遠方の法律事務所に依頼した場合や、管轄の地方裁判所が遠隔地にある場合などに、実務上別途請求される傾向があります。
これらの実費や日当があらかじめ基本の専門家報酬パックに含まれているか、あるいは手続き後に別途清算として追加請求されるかは事務所の規定によって異なるため、契約を交わす前の無料見積もりの段階で、内訳と追加発生の有無を明瞭に確認しておくことが推奨されます。
関連記事:債務整理にかかる弁護士費用はいくら?仕組みと相場を徹底解説
個人再生の手続き費用が払えない場合の対処法と分割払いの仕組み
借金問題の解決に向けて個人再生を検討する際、多くの方が手続きに要するまとまった費用の支払いに強い不安を感じています。
「日々の借金返済や取り立てへの対応で手一杯なのに、さらに高額な弁護士費用や裁判所予納金を用意するなんて到底無理だ」と考えるのは当然のことです。
しかし、手元に十分な現金や預貯金がないからといって、裁判所への民事再生申立てを断念する必要はありません。
実務上、債務整理を専門的に扱う多くの弁護士事務所や司法書士事務所では、経済的に困窮している依頼者の状況に配慮し、柔軟な支払い方法を導入しています。
手続き費用の工面が難しい場合でも、以下に解説する実務上の対処法を把握しておくことで、無理なく手続きを進められる選択肢を見つけることが可能です。
対処法①|専門家費用の分割払い・後払い(積立金制度)を利用する
個人再生の初期費用が用意できない場合、実務上で最も広く活用されているのが、弁護士や司法書士へ支払う専門家報酬(着手金など)の分割払いや後払い制度です。
債務整理を取り扱う多くの事務所では、依頼者の毎月の家計収支や可処分所得の状況に合わせて、無理のない範囲で柔軟な分割支払いプランを提示する運用を行っています。
具体的には、月々2〜5万円程度の分割払いに設定されるケースが多く、依頼者の収入状況によってはボーナス時の増額支払いなどに対応している事務所もあります。
そのため、まずは事前の法律相談(無料相談)の段階で、現在の財産状況や家計のゆとりを正確に伝え、費用の支払い方法について具体的に相談することをお勧めします。
手続き完了後の清算や後払いに応じている事務所も存在するため、専門家のアドバイスを受けながら、生活を圧迫しない確実な支払い計画を構築することが可能です。
対処法②|受任通知による返済停止期間中に費用を積み立てる
弁護士や司法書士に対して個人再生手続きを正式に依頼すると、専門家から速やかに対象となる各債権者(貸金業者やクレジットカード会社など)へ受任通知(介入通知)が送付されます。
この受任通知が債権者に到達した時点で、貸金業法等の規定に基づき、債権者からの直接の取り立てや督促、および毎月の借金返済が一時的に停止します。
この返済が猶予されている期間を活用し、これまで借金の返済に充てていた原資を、法律事務所への支払いや裁判所費用としての積立金に回すことができます。
専門家が申立て書類を精査し、裁判所へ申し立てるまでの準備期間は通常3〜6か月程度確保されるため、この猶予期間中に無理なく手続きに必要な資金を蓄えることが実務上可能です。
この実務上の仕組みを利用することで、現在の生活費や家計を過度に圧迫することなく、計画的に手続き費用を捻出することができます。
関連記事:個人再生にかかる期間|申立前~返済終了後まで徹底解説
対処法③|法テラスの民事法律扶助制度による費用立替えを利用する
申込者の収入や保有資産が国に定められた一定の資力基準を下回る場合、法テラス(日本司法支援センター)が提供する民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。
この制度は、経済的な理由により専門家への依頼が困難な人が法的整理などの手続きを行う際、法テラスが弁護士費用や司法書士費用を無利息で一時的に立て替える仕組みです。
法テラスが立て替えた費用(償還金)は、手続き開始後、原則として月々5,000円から1万円程度の無理のない分割払いで、法テラスへ長期的に払い戻していく形をとります。
なお、生活保護受給者の方などの場合、実務上の規定により手続き中の償還が猶予され、最終的に返済(償還)が免除される特例措置が適用されるケースもあります。
参考:民事法律扶助業務/日本司法支援センター法テラス
対処法④|初期費用を抑えるため着手金無料の事務所を検討する
申立てにかかる初期の持ち出し費用をできる限り低く抑えたい場合、着手金を無料(ゼロ円)と定めている法律事務所を選択肢に入れることも一つの現実的なアプローチです。
通常は契約時に必要となるまとまった額の着手金が不要であれば、手元に資金がない状態からでも専門家への委任を進めやすくなります。
ただし、初期の着手金が安価あるいは無料である代わりに、手続き完了時に発生する成功報酬(認可報酬金)が高めに設定されているケースも実務上散見されます。
そのため、目先の広告上の安さだけで即決せず、最終的な手続き完了までに支払う総額費用がいくらになるのかを見積もり等で必ず算出し、複数の法律事務所の料金体系と比較検討することが重要です。
【ケース別】個人再生の手続き費用総額が変動する3つの大きな要因
個人再生に要する手続き費用は、すべての申立人が同一の一律料金になるわけではありません。
選択する手続きの具体的なスキームや、依頼する専門家(弁護士・司法書士)の料金規程、管轄裁判所の運用によって、最終的な総額は大幅に変動します。
ご自身の事案において具体的な費用感がいくらになるのかを予測するためには、金額を左右する実務上のチェックポイントをあらかじめ把握しておくことが極めて大切です。

以下では、個人再生の手続き費用総額に直接的な影響を与える、実務上代表的な3つの要因について詳しく解説します。
これらの要因をご自身の債務状況や居住地(管轄地)と照らし合わせることで、より正確な実務上の費用相場をイメージしやすくなります。
要因①|住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用するか否か
民事再生法上の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を手続きに組み込むかどうかは、専門家報酬の総額を左右する実務上の大きな分岐点となります。
この特則は、住宅ローンが残っているマイホームを手放して処分されるリスクを回避しつつ、それ以外の一般カードローンや借金のみを大幅に圧縮できる、個人再生手続きならではの強力な法制度です。
しかし、この特則を適用する場合、住宅ローン債権者(銀行や保証会社)との法的な協議や要件審査が必要となるため、通常の個人再生手続きと比較して実務が高度に複雑化し、裁判所へ提出する書面や資料も大幅に増加します。
こうした実務負担の増加を背景に、多くの弁護士事務所や司法書士事務所では、住宅ローン特則を利用するケースの成功報酬・着手金として、通常の手続き基本料金に一般的に5万〜10万円程度の追加費用(加算報酬)を設定しているのが通例です。
関連記事:個人再生なら住宅ローンがある家を守れるというのは本当か?
要因②|管轄裁判所により個人再生委員が選任されるか否か
手続きを担当する裁判所によって個人再生委員が選任されるかどうかも、納付すべき裁判所費用の総額に直接的な影響を及ぼします。
個人再生委員とは、裁判所から選任され、中立的な立場から申立人の財産・収入状況の調査を行い、適正な再生計画案の作成や手続きの進行を監督・補助する役割を担う専門家(主に地域の弁護士)のことです。
例えば東京地方裁判所(東京地裁)などの本庁運用では、実務上、原則としてほぼすべての個人再生事案で一律に再生委員が選任されるルールとなっており、その報酬(予納金)として15万〜25万円程度を別途裁判所に納付する必要があります。
一方で、大阪地方裁判所(大阪地裁)や千葉地方裁判所(千葉地裁)などの実務運用では、専門家である弁護士が代理人として就任していれば、原則として個人再生委員を選任しない(非選任とする)扱いが多いため、その場合はこの分の予納金費用(15万〜25万円程度)は発生しません。
関連記事:個人再生委員とは?役割や対応する際の注意
要因③|専門家選びにおいて弁護士と司法書士のどちらに依頼するか
手続きの窓口となる専門家として、弁護士と司法書士のどちらを選択(委任)するかによっても、発生する報酬の価格帯は変動します。
一般的に、司法書士に依頼して書類作成等のサポートを受ける場合の報酬は、弁護士に全面的な代理人を依頼する場合と比較して、総額でおよそ5万〜10万円ほど安価に設定されている傾向があります。
この差が生じる理由は、地方裁判所の管轄となる個人再生手続きにおいて、司法書士の業務範囲が「提出書類の作成代行・作成支援」に限られているためです。
一方、弁護士は法的代理人として本人の代わりにすべての手続きや裁判所との折衝を行えるほか、個人再生委員との面接(審尋・審理)にも同席してサポートできます。
したがって、手続き全体の包括的な代理権や面談同席などの手厚いサポート・安心感を重視する場合は弁護士へ、自身での裁判所対応を前提としつつ書類作成のコストを抑えたい場合は司法書士へ、といった事案に応じた比較検討が可能です。
関連記事:債務整理は司法書士に依頼できる?デメリットや上限・費用について
個人再生の手続き費用を少しでも安く抑えるための3つの実践的なコツ
個人再生の手続きを遂行するには一定の初期費用・総額費用が必要となりますが、実務上のポイントを押さえておくことで、経済的な自己負担を最小限に抑えることが可能です。
特に、前述した大阪地裁や千葉地裁のように個人再生委員が選任されにくい管轄裁判所を利用できるケースなど、個別の状況(居住地)に応じて裁判所実費の総額は大きく変動します。

上記の3つのコツを検討・実践することで、料金トラブルや予期せぬ出費を防ぎ、自身の経済状況に最もマッチした専門家選びや手続きの遂行が期待できます。
ただし、手続き費用が安いに越したことはありませんが、単純な価格の低さ(最安値)だけで安易に依頼先を判断しないという視点も、手続きを成功に導くためには極めて重要です。
コツ①|複数の事務所の無料相談を活用し、総額の見積もりを比較する
総額費用を合理的に抑えるための最も確実な方法は、複数の法律事務所や司法書士事務所の無料相談を利用し、事前に具体的な費用の見積書を発行してもらって比較検討することです。
各専門家オフィスによって基本報酬や追加手当の規定は大きく異なるため、最初に相談した1社のみの提示額で即決してしまうと、結果的に実務相場よりも高額な費用を負担することになりかねません。
そのため、最低でも2社から3社の事務所へ法律相談を行い、それぞれの明細化された見積もりを横並びで比較検討することが推奨されます。
比較の際は、単に提示された費用の総額に目を奪われるだけでなく、分割払いに伴う毎月の積立額の条件や、どこまでの範囲をカバーしてくれるかという実務サービスの内容、さらには担当弁護士・司法書士との相性や信頼性を含めて総合的に見極めることが大切です。
コツ②|自身が法テラスの民事法律扶助の利用条件を満たしているか確認する
専門家費用を圧倒的に低く抑えるための強力な制度的選択肢として、前述した法テラス(日本司法支援センター)の活用が挙げられます。
手取り月収や保有する資産額が一定の基準以下であるという審査条件(資力要件)をクリアする必要はありますが、これに該当すれば、一般的な市場相場よりも大幅に低い国定の報酬基準で個人再生の手続きを進められるメリットがあります。
法テラスが専門家報酬の全額を一時的に立て替えてくれるため、依頼時の初期負担がなくなるほか、手続き完了後の法テラスへの毎月の分割返済(償還)も、生活を困窮させない無理のない少額の範囲で設定されます。
まずは法テラスの公式ウェブサイトに掲載されている資力基準表(シミュレーション)で利用条件を確認するか、法テラスの窓口、あるいは法テラスと契約している弁護士等の無料相談を通じて、自身が制度の対象に該当するかを確認することをおすすめします。
コツ③|書類作成費用が比較的安価な司法書士への依頼も視野に入れる
包括代理権を持つ弁護士ではなく、認定司法書士を含む司法書士への依頼を選択肢に加えることも、全体の専門家報酬を抑制するための現実的な方法の一つです。
司法書士は、裁判所に提出する再生手続開始申立書や財産目録などの作成・収集を代行・補助する書面作成の専門家であり、その職権の範囲(申立て代理人にはなれない点)を反映して、一般的に弁護士報酬よりも設定費用が割安な傾向にあります。
ただし、地方裁判所の個人再生手続において司法書士は申立て代理人になれないため、裁判所からの連絡対応や再生委員との面接などは、原則として申立人本人が行う必要があります(※書面作成などのバックアップは受けられます)。
したがって、裁判所対応や再生委員との折衝を含めて実務手続きを全面的に一任したい場合は弁護士への依頼が適している傾向にありますが、債権者数が少なく財産関係もシンプルであり、専門家による書類作成のサポートさえあれば自身で対応可能であると判断できるケースであれば、初期コストを抑えられる司法書士への依頼も有力な選択肢となります。最終的には自身の事案の複雑さに応じて、信頼できる弁護士や司法書士の無料相談を通じて、どちらが最適かを慎重に判断することをお勧めします。
個人再生の費用に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、個人再生に要する裁判所実費や専門家報酬に関して、多くの申立人が抱く代表的な疑問についてよくある質問(Q&A)形式で解説します。
弁護士費用の分割回数の目安や、万が一手続きの途中で支払いが困難になった場合のリスクなど、正式な委任契約を交わす前に把握しておくべき重要ポイントをまとめました。
個人再生の弁護士費用は最大で何回まで分割払いできますか?
分割回数の上限は各法律事務所の料金規程や方針によって異なりますが、実務上は10〜12回(約1年間)程度の分割プランが提示されるケースが一般的です。
これは、個人再生の申立てから再生計画の認可決定にいたる標準的な実務期間がおよそ半年から1年程度であるため、手続きが完了するまでの期間内に専門家報酬の精算を完了させるスケジュールを想定していることが理由です。
ただし、依頼者の特別な事情や家計の困窮度合いによっては、実務上、積立スケジュールを一定期間緩和したり、毎月の支払額を低く抑えて調整したりと、個別の事情に応じて柔軟に相談に乗ってくれる法律事務所もあります。
まずは無料相談の段階で毎月の収支や家計の状況を正確に専門家へ伝え、将来の生活再建を見据えた無理のない支払い計画を構築することが重要です。
個人再生の手続きの途中で、専門家費用や裁判所費用が払えなくなったらどうなりますか?
万が一、手続きの途中で費用の支払いや積立が滞ってしまった場合、委任契約の不履行により依頼していた弁護士や司法書士が辞任せざるを得なくなる可能性が高くなります。専門家が辞任し、必要な裁判所予納金が納付されない場合、裁判所への予納金が納付されない場合、個人再生の手続き自体が棄却または廃止されるリスクがあります。
手続きが棄却・廃止された場合、一時停止していた借金の返済義務や遅延損害金は元の状態に戻り、債権者からの督促や一括請求が再開されます。
そのため、万が一失業や急な出費などで費用の支払いが困難になった場合は、決して放置せず、すぐに依頼先の弁護士や司法書士へ現状を正直に伝え、積立スケジュールの再調整(支払い計画の見直し)を相談することが極めて大切です。
法律事務所への相談だけの段階でも相談料金は発生しますか?
多くの弁護士事務所や司法書士事務所では、借金問題の解決(債務整理)に関する初回相談を無料のカウンセリング体制として受け付けています。
そのため、相談料の負担を気にすることなく複数のプロフェッショナルに現状の負債状況を診断してもらい、自身にとって個人再生が本当に最適な解決策であるか、また総額の費用見積もりがいくらになるのかを事前にしっかりと確認・比較できます。
ただし、一部の事務所や相談内容(2回目以降の相談など)によっては有料相談(30分5,000円〜1万円程度)となるケースもあるため、事前の問合せ・予約の段階で無料適用の有無を確認しておくと実務上安心です。
借金問題解決の第一歩として、まずはこれら初期費用のかからない無料相談を活用し、経験豊富な専門家から客観的なリーガルアドバイスを受けることを強くお勧めします。
まとめ|個人再生の費用相場を正しく理解し、無理のない生活再建へ
個人再生に要する手続き費用の総額相場は一般的に50〜80万円程度とされていますが、多くの法律事務所で導入されている弁護士費用の分割払いや受任通知後の返済停止期間を利用した積立制度を賢く活用することで、手元にまとまった資金がない状態からでも実務上、安全に手続きを開始することが可能です。
最終的な総額費用は、マイホームを残すための住宅ローン特則(住宅資金特別条項)の適用の有無、管轄裁判所の運用による個人再生委員の選任有無(予納金の発生有無)、そして依頼先が弁護士か司法書士かといった具体的なケースごとに変動します。
少しでも自己負担を抑えるためには、複数の事務所で無料相談を受けて総額の見積もりを比較検討することや、国の公的制度である法テラスの民事法律扶助基準(資力要件の審査あり)を満たしているか確認することが極めて有効な対策となります。
費用面への不安から手続きの申立てをためらって多重債務を深刻化させる前に、まずは初期費用の発生しない無料相談を通じて専門家に相談し、民事再生法に基づく再生計画案の認可確定(借金の大幅な減額)による生活再建を目指して一歩を踏み出すことが大切です。
多額の借金返済や督促にお悩みであれば、ぜひネクスパート法律事務所へご相談ください。債務整理の手続きに精通した経験豊富な弁護士が、お客様の現在の収入や資産状況を丁寧にヒアリングし、個人再生をはじめとした最も適切な解決方法を親身にアドバイスいたします。
当事務所では、借金問題に関する初回相談は30分無料で実施しております。ご自宅から安心してご相談いただけるオンラインでのリモート相談(Web面談)体制も整えておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。